ジェダイの掟ですか?そこに無ければ無いですね   作:よくゑたる人

6 / 8
6話

 

 

 

「…ねえ。モルガン、あなたの忠誠はどこにあるの?」

 

 

 

 

 

 

残念ながらエウロペは公務で不在だったが、酒場の店主を通じて国王陛下と連絡を取ることができた。腹を割って正直に話せる事を話した結果、国王陛下は三つの無人惑星での活動を許可してくれた。条件は十分に軍備が整ったらエウロピア星系内の宙域の治安維持を破格の安価で行うことであり、海賊や犯罪者の取締りを行うことになった。だが警察権が与えられるわけではなく、あくまで自衛の過程で取り押さえた体でいくことになっている。つまり後でエウロピアの治安維持機構に引き渡す前提だ。

 

また同時に、これはあくまで宇宙での活動であり、エウロピアの有人惑星には組織として足を踏み入れない事も条件になった。

 

そしてエウロピア軍の人間や退役軍人を軍監、教官として送ることも決まった。想定以上のペースで物事が進行しているが、流石にこれを一人で進めるのは無理だろう。

 

今後は誰か協力者を見つける必要があるが、どこに行っても人脈がカスの俺にあてはなかった。うーん悲しい。とりあえずグリーグに連絡しよ…。

 

 

 

 

 

 

軍監として派遣されたのは、まさかの少佐殿だった。これ普通に左遷では?王室直属軍の左官から私設武装集団の顧問とか罰ゲームの極みもいいところだろう…。

 

え?志願した?じゃああなたがただの変態なんじゃないですか…。

 

あと軍の設立か言ってるけど、そもそも活動資金はどこから引っ張ってくるのって話。兵隊を雇ったら給料払わないとだし、兵器の購入や開発、整備にも人員・金・物資・拠点が必要になる。普通に考えて俺個人で工面できる金額ではないし、現状ではどこの後ろ盾もない。

 

強いて言うなら博打で稼いだ残りの600万クレジットと、陛下から奴隷解放・犯罪組織壊滅で受け取った謝礼金くらい?あとは当該組織の使ってた鹵獲済みの資源は自由に流用してもいいと言われたし、金銭などはともかくブラスターや船舶の利用は許してもらった。

 

なので今は船舶のメンテナンスをしてくれる人員と、不要な物資の売却で活動資金を稼ぐ必要がある。

 

…でも人員がそもそも少ない。非正規メンバーの俺を除けば、グリーグ含む傭兵19人と軍からの出向組8人のみ。俺を入れても実質28人とか海賊以下の勢力で泣けるわ。

 

ここからどうやって星系の治安維持をするってんだよ。この惑星の防衛すらままなりませんよ。そんなわけで早急な人集めの必要が出て来たわけだ。これが企業の私設部隊なら、親会社のツテで探したり、金で優秀な傭兵や賞金稼ぎを雇い入れることも視野なんだがなぁ。

 

俺はマスターに遠回しに命じられた共和国での人脈作りもあるし、やることが無限にあって普通に辟易とする。シスの技で分体とか出来ない?ジェダイの俺、賞金稼ぎ・傭兵の俺、旅行者の俺、研究者の俺、ギャンブラーの俺etc…と無限に分かれている自信があるんだけど。

 

とりあえず会社建てて、そこの私設部隊の建前で活動を開始する事にした。ちなみに会社名は「エウロピアン・フロンティア・コミュニティー」で略してEFCになった。エウロピアンとしか取引しなそう。命名者?匿名で募集してくじ引きで決めたから知らん。少なくとも俺ではないぞ。

 

当面の目標は人材の確保と継続的な活動資金を稼ぐ手段だろう。稼ぐ手段については少しアテがあったりするが、まだ確定はしていないので色んな方向性を模索する必要がある。

 

あとはグリーグ達に信用できる人間の紹介や、出向組には欠損が原因で退役した兵士の紹介なども依頼した。場合によっては、サイバネティックス治療の費用を肩代わりして人を呼び込むことも視野に入れたいからだ。場所によっては欠損した時点で退役になる兵士は今も存在している。そういった人員の中にも必要な人材はいるだろう。

 

まぁ、直ぐに解決しないだろうしゆっくりやろう。今は再利用可能な宇宙船などの在庫の確認を始めているところだ。実際に確認できた数は以下の通りだ。

 

ST-70 M-111レイザー・クレスト・シリーズ 5

G9リガー級軽貨物船 14

スフィルナ級ハンマーヘッド・コルベット 15

CR90コルベット 18

CR70コルヴェット 6

YT-2400軽貨物船 4

YV-865オーロラ級貨物船 2

HH-87スターホッパー 29

YV-666軽貨物船 5

GR-75中型輸送船 5

GR-45中型輸送船 6

ゴザンティ・クルーザー 7

パーソナル・ラグジュアリー・ヨット3000 6

 

2つの星系の裏社会を勢力下に治めていた連中なので、一部の鹵獲品でもここまでの数になった。

 

信じられるか?うちの構成員より船の数のほうが多いんだぜ。まともに動かそうと思ったら、運用に必要な人数で更に削られる事になるし…。本当に人と金が必要だってハッキリ分かるわ。

 

幸いにもグリーグ達傭兵上がりの面々はエウロピアの企業等に雇われて護衛を行う機会が多かったため、当面は中小企業を相手に商売をしようと考えている。

 

そのための売り込みなども、民間軍事会社EFCとしてグリーグ達が各企業に行うことになっている。…今のところ傭兵上がりの面々のコネに頼ってばっかなんだけど。仕事も人集めも。企業視点だとバラバラだった傭兵が集まって立ち上げたPMCだし。グリーグ達が企業視点で比較的まともな傭兵だったことも助かった。

 

とりあえず使えるものを全て使い、流用した物資で整備したHH-87スターホッパーから優先して中古で売っていくことに。俺が把握している複数の中古業者にそれぞれ傭兵達が持ち込みを行い、各自数機づつ売り付けて行った。残念ながら価格は振るわないが、状態のいいガンシップ29機で55万クレジットになった。あの時の博打の収入額が如何にイカれていたかよく分かる。

 

貨物船や輸送船に関しては、今後規模が拡大した場合の兵站構築に必要不可欠なので維持する事に。ただし港で腐らせても維持費がかかるだけの金食い虫になるので、一部の船に関しては運送会社や船を必要とする企業に安価で貸している。所謂レンタルショップ。契約書には船舶を喪失した場合50万クレジットを賠償してもらうと明記してあるので、何かがあった場合はフォースでもなんでも使って死ぬ気で契約者を見つける所存である。あと当然ながら依頼中の戦闘での損傷も契約者持ち。

 

こうしたレンタルの船の多くは、売り払っても大した価格にならない船を中心に行なっている。グリーグが雇われていたような中小企業に対しては、種類にもよるが、1隻を1ヶ月6000〜8000クレジット+当該貨物で得た利益の2%でGR-75中型輸送船やGR-45中型輸送船などを貸すことが決まっている。

 

10隻を1年間貸したとして、年の収益は平均で約84万クレジット…。うちを護衛に雇うことで月額を5000クレジットとかにしたら、船が増えた時に客も増えたりしないかなぁ…。でもこれ狙う相手がまだ自分達の船を沢山揃えられない企業だから、成長したら自前で船を揃えるから尻窄みになるのは目に見えてるんだよな。

 

もうPMCじゃなくて物流会社でも名乗るべきでは?やってること福利厚生が揃った合法的な運び屋と変わらん。

 

でも傭兵衆のおかげで既に3つの会社との定期契約がまとまりそうなので、企業の滑り出しとしては最高だろう。今から大型輸送船の購入も視野に入れておいた方がいいかもな。今の事業の発展に使えて、尚且つそのまま以降のPMCの兵站にも使える。最高じゃん?

 

あと人が増えたらサルベージ事業の方にも手を出していきたい。こっちは独立して動けるバトルドロイドに護衛を任せて、サルベージ担当の非戦闘員を雇いたいな。

 

…あれ?人員の問題、当分はバトルドロイドで多少軽減出来るくね?

 

 

 

 

 

 

最近、マスタードゥークーはコルサントに滞在することが増えていた。俺もEFC関係で忙しくて気にしていなかったが、今日は重要な話があるのでラボのある惑星モルレーで待っていろと言われた。

 

マスターがジェダイ評議員を辞めてはや数ヶ月。一時のダークサイドへののめり込みも落ち着き、以前のような落ち着きを取り戻したマスター。果たして重要な話とはなんだろうか?

 

前に血迷って「シスの暗黒卿探そうぜ!(意訳)」とか言ってたけど。まさか評議員辞めて暇になったから、今度こそ探しに行こうぜとか言わないよな?普通にやだよ俺。

 

さて、遂に待ちに待ったマスターのご到着である。

 

だが開幕から、俺の予想は遥かに大きく裏切られることになる。

 

…マスターが、幼い少女を連れてきたのだ。外見から予想できる年齢の通りなら、恐らくはパダワンになるくらいだろうか?

 

「久しぶりだな、モルガン。息災そうで何よりだ」

 

「お久しぶりです、マスター。そっちも相変わらず元気ですね」

 

「ああ。それで早速で悪いが、紹介させてもらおう。彼女はコマリ・ヴォサ。私の新たなパダワンだ」

 

「…どうも」

 

は?

 

「新たなパダワン?」

 

「ああ、彼女の才覚は素晴らしいぞ?自らこの手で直接指導したいと思ったほどだ」

 

そう言ってコマリ・ヴォサなる少女を俺の前に押してくるマスタードゥークー。娘の方は怪訝そうな顔をしている。

 

「マスター、この少年は誰ですか?」

 

「紹介が遅れたな。彼はモルガン・ル・フェ。私の弟子だ。つまりお前の兄弟子だよ、コマリ」

 

「…兄弟子?私と変わらない年に見えますけど」

 

もう一度疑わしそうに俺のことを一通り見定めるコマリ・ヴォサ。その仕草に、俺は言葉では言い表せない悲しみを感じた。

…誰もこうなりたいとは頼んでないんですよ。

 

「こやつは成長が少々遅くてな。こう見えて17歳で、既にジェダイ・ナイトにも叙されているぞ」

 

「…え?」

 

コマリ・ヴォサの素直な反応に傷付く。そう、俺の容姿はまだ12、13くらいの少年から成長していない。10歳以降の身体的成長が非常に遅い特徴があるのは承知しているが、こうもイジられ続けると辟易とするもんだぞ。女性なら大喜びだろうけど。

 

「同年代のイニシエイト達と同じ様に考えていたら痛い目に遭うぞ?確かにこれまでのお前は敵無しではあったが、モルガンも同じようなものだったからな」

 

おかしいな、この数分で俺との5、6年よりもしっかり指導者としてのジェダイ・マスターをやっているように見えるぞ。まさか俺への指導はダークサイドに汚染され、コマリ・ヴォサにはライトサイドで指導するのか?

 

「兄弟子から学べるものも多いだろう。これからは私がマスターとして教育を進めるが、時にはお前にも協力してもらうことになると思う。構わんな?」

 

「自分に異論は特にないですけど、本気ですか?」

 

この惑星に連れてきたってことは、マスターは将来的に彼女をダークサイド研究に関わらせるつもりだとの認識でいいんだろうか?流石にパダワンになりたての彼女の前で聞くわけにもいかないので、今はそのまま了承して待つしかない。

 

「ではコマリよ、お前は船の荷解きをしてきてくれないか?以前に言ったように、テレキネシスで荷物を出すんだぞ」

 

「はい、マスター」

 

返事をして船の方に駆けていくコマリ・ヴォサ。マスターはまるで孫娘に接しているかのような目つきになっている。あんた最近穏やかになってた理由これ?もう立派な孫持ちのおじいちゃんやん。

 

「…あの子は、今のオーダーではジェダイにはなれないと思う」

 

なんの前振りもなく投下される爆弾。マスター節に慣れてきた俺でも、流石にこれは予想出来なかったわ。

 

「今の彼女は、ジェダイになるに気性が荒すぎる」

 

「気が強そうな娘ではありましたね」

 

「ああ。これまで負けを知らずに育っているからな…。そして運が良いのか悪いのか、彼女の才覚はジェダイの中でも非常に稀なものだ」

 

「…いい意味で彼女の壁になれる人がいないわけですか」

 

「あれは直にナイトに並ぶ実力を身につけるだろう。近年ではお前やメイス・ウィンドゥが最年少でナイトに叙されているが、彼女もそれに並び得る」

 

「とんでもない掘り出し物ってことですね」

 

「ああ。だが既に多くの者が彼女の危うさを解ってしまっている…。現状パダワンがついていないマスターやナイトでは、彼女を導ききれないだろう」

 

「だから自分で引き取ったわけですか」

 

「…あの才覚が悪に流れるのは惜しい」

 

「…」

 

マスターの言葉を受けて黙ってしまった。果たして今のマスターが言う悪とは、何を指しているのだろうか。

 

「彼女が道を踏み外せば、誰にとっても悲惨な事になる。あの子は悪い子ではないのだ…。ただ、身近に対等に競える同年代が居なかっただけだ」

 

…おい、俺の外見から競える同年代枠にあてがおうとしてるか?

 

「そして、以前までの私なら同様に失敗していたと思う。彼女をジェダイの枠におさめる事に囚われてな」

 

やっぱりそうか。マスターは将来的に彼女にもダークサイドを教えるつもりらしい。そして必ずしもジェダイの形に拘りもしない、と。

 

「だからお前には壁になってやって欲しいのだ」

 

「…嫌われ役をやれと?」

 

「あの子は勝てない程度で他人を嫌う程弱くはないさ」

 

「仮に嫌われないとしても、嫌われ役を進んでやりたがるのは変態か物好きくらいですよ」

 

「私の見立てでは、お前はかなりの物好きに見えるぞ」

 

「……壁役は受けますよ。ただダークサイドに触れるのは、もう少し成長してからにしましょう。これまでジェダイ・テンプルの価値観の中で育ってきてるので、ちょっと刺激が強すぎると思います」

 

「それは同感だ。私はあくまで両方を知って欲しいだけで、ダークサイドに染まって欲しいわけではないからな」

 

こうして12歳の少女をボコボコにする役目を課せられる事になった、俺ことモルガン・ル・フェ17歳。時と場所さえ違えば普通に投獄案件である。

 

 

 

 

 

 

ここ数ヶ月で俺はバトルドロイドを137体組み立て、アストロメク・ドロイドを含むドロイドを18体購入した。

 

幸いにも5つの会社と長期の契約を締結する事に成功し、事務員7名と専門の技術者5名、戦闘員7名を追加で雇うことも出来た。おかげで最低限の仕事の棲み分けにも成功。人間47人のドロイド155体という体制に変わった。

 

以前までは俺と傭兵達で船の補修・改修・整備を行っていたが、専門家が来たことで手が空くことになった。

 

流石にサルベージ事業にまでは手が回せていないが、当初予定していた物流関係の事業は何とかなっている。本格的な事業展開から半年が経った今、売上は想定以上に伸びていた。

 

というのも契約した会社のひとつが宇宙船・兵器に使用されるエネルギー伝導材の販売を行なっていたため、この会社がうちの船を使い短期間で稼ぎ出した、2億クレジットの内の2%で400万クレジットが内の売上に入った。

 

そのためここ半年での収益の合計は630万クレジットを少々超えるくらい。諸々の経費などを差し引いた場合、純利益は310万弱くらいに落ち着くだろうか?

 

俺の元々の持ち金の残りの410万と合わせると、会社で使える金は大体720万クレジット。俺の金も換算した場合、純利益は約120万クレジット…。すごい数字なんだけど、やろうとしていることを考えたらちょっと心もとない…。

 

にしても、やってる事が本格的にジェダイじゃないな。

 

…まぁ、除名になった場合の行き先があると思えばいいか。

 

 





17で何してんねんこいつって話ですけど、まぁ遠い昔の銀河だしフィクションだしこいつジェダイ(?)だからいっかの精神で無視しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。