ジェダイの掟ですか?そこに無ければ無いですね 作:よくゑたる人
お久しぶりです。気付けば2ヶ月近くが経過してました。
時間って経つの早いですね…。
更新がない間も誤字報告を送って頂き本当にありがとうございます。
おっす、俺モルガン!会社の経営とか研究をやっていたら、気付けば2年が経ってたぞ!!
ええ、2年ですよ。2年…。時の過ぎるスピードが早すぎるって。
この2年間は、これまでの人生でも屈指の激動だったと思う。主な原因はレオにある。ああ、ダ・ヴィンチさんのことね。仲良くなったから今はレオって呼んでる。
引き込んだ後にダークサイド関係をどこまで事情を話すかで悩んだけど、半年くらい経ったタイミングで彼女に「君、やってるよね?」って問い詰められた事で白状した。
結果、俺はワクワク中年オヤジであった頃のマスター張りに研究室にこもらされることに。過去のテクノロジーと共にダークサイドの研究まで行い、結果俺達は二人きりで十数ヶ月間同じ研究室にいた。しかもレオにはマスターのような人の心はないため、一切休む暇もなく研究が続けさせられた。
これと並行しながら、会社の事も同時に熟さないといけなかったんだぜ?ぶっちゃけ、その辺のジェダイの修行よりも苦行を強いられたと思ってる。
改めてマスターとの研究って楽しかったんだなぁ…。そう嘆き枕を濡らす日々。そんな俺を見て何故か慈愛の笑みを浮かべるレオ。
控えめに言って、何度か彼女をぶち殺そうか迷ったこともある。
もちろん実行に移すことはなかったけども。あんな頭のいい、尚且つイカれた美人が死ぬのは銀河の損失になっちまう。ただ流石に十数ヶ月間もやってれば効率が落ちると思ったのか、レオの病的なまでの探究は一旦治った。
正確には俺の過去視を用いた物は、だが。
最近は俺抜きで一人で引き籠もってらっしゃる。その間に俺は会社の様子を見たり、新しいドロイドの組み立てや購入、新社員の雇用、大規模な襲撃を実行してきた組織への報復、お姉さん達との癒しのお店に出入りしたりした。あとはエウロピア王家への決算や事業の進行度を含む報告書とか。税金とかもちゃんと払わないとなんで。ハイ。
多分、俺は過去数年間では銀河で最も税金を納めてるジェダイだと思う。知らんけど。
残念ながら、現状ではまだ大規模な治安維持部隊を抱えるには至っていない。とはいえ、惑星エウロピア周辺の犯罪者の数はかなり減った。小規模な海賊や盗賊も多くは駆逐されたからな。
そしてエウロピア星系域を担当する新たな司法軍の司令とも懇意にしている影響もあり、木偶の坊だった司法軍も最低限機能している。おかげで凶悪な犯罪者をコルサントなどのコア・ワールドの監獄に移送し、エウロピアで犯罪者を抱えるコストもカットしてもらってる。
だが流石に2年も音沙汰がないと怪しまれるため、今日は久しぶりにコルサントのジェダイ・テンプルへ向かうことにした。
「レオー。俺コルサントに向かうんだけどさ、君はどうする?」
「私はいいかな。奉仕団には未発表の研究成果を定期的に送ってるし、今はこっちでの研究を優先させたいんだ」
「そっか、じゃあ2ヶ月くらいしたら戻るよ。直接連絡がつかなかった場合は、グリーグに連絡してもらってもいい?」
「わかったよ。ただ2ヶ月は長くないかい?」
「ついでに他の用事も片付けようと思って」
「ふーん?まぁ、いいんじゃないかな」
ジト目で言外に不満を表明するレオ。俺としては職務上の義務を伴わない久しぶりの外の世界なので楽しみだが、彼女は研究の停滞が決まって相当ご立腹なようだ。
こいつ、俺のこと積読してる書籍みたいに思ってる節あるよな、絶対。
◇
この陰鬱とした気配。淀んだ大気。吐き気を催すような空気の味。
うん、コルサントだわ。久しぶりに自然が豊な惑星から来ると、改めてこの星の汚さが身に染みて辛い。なんでこんなとこにジェダイの本拠地あんの?臭いのに慣れすぎて感覚麻痺した?
やっぱり自然と惑星の自浄作用がほとんど消えたギャラクティック・シティってのはクソだな、こんなとこに住んでたら心が病んじゃうわ。特に自然の光さえ届かない下層。
俗物な俺でも、ここに長居はちょっと苦しいわ。
『お前ってほんと、思想は変化しても外見はガキのまんまだね』
「うるさいクソブリキ」
『クソブリキを大事にするお前は特殊性癖か?』
「バラすぞお前」
隣には以前にも増して憎たらしくなったR2-E2。
俺にメモリーリセットをする気がないと理解してからは、以前の三割増で調子に乗っていると思う。あと言語機能まわりをいじったことも災いしたかなぁ。今は俺の設定した創作言語で音声出力を行うことで、会話することが可能になっている。
ただ共通の言語を得た影響か、軽口に拍車がかかってしまった。これで見た目が可愛い人間型のドロイドならよかったんだがなぁ。
テンプルに続く階段を上がり切り、到着したのは久しぶりのジェダイ・テンプルだった。
今日はここでマスターランシセスと会う予定になっている。この2年間で評議員の立場から、そして軍備の拡張などの思想を共有する存在として、以前の茶番を巻き起こした連中の監視を行ってもらっていた。
流石にこんな内容を通信で垂れ流すわけにもいかず、直接あって情報共有をする手筈となっている。
…はたから見ると、やってることが完全に反乱分子なんよ。
◇
「…最近、お主も弟子に似て破天荒なクチだとつくづく実感したわい」
久しぶりに再会したマスターランシセスは、辟易としたように俺のことを見つめた。
おかしいな、心当たりがありすぎて何から謝ればいいかわからんぞ?
「まさか、お主まで研究室に1年近く閉じこもるとは思わなんだわ…」
「…俺も、可能であれば早く顔を出したかったです」
切実に…。そんな想いを込めて目を合わせると、マスターの目には憐みの色が浮かんだ。流石はあのイカれた美人の師匠だ、弟子の気質はよく理解しているらしい。
そこからはお互いに当たり障りのない世間話が続いたが、気を利かせたマスター新鮮な話題を提供し続けてくれた。その中には有望な次代のジェダイ候補の子供達の話題などもあり、研究に関係なくテンプルでの滞在期間が少ない俺にとってはありがたい話題だった。
え?次代の子供に目をつける理由?パダワン候補を探すために決まってますやん。一応正式なジェダイ・ナイトなんで、パダワンを迎えることはできるはずだし。
…出来るよな?
審問関係で危険視された場合、俺の考えに悪影響を受けるジェダイが出てくることも危険視されたりとかないよな?
いや、されて然るべきだとは思うけどさ、なんか、こう、ねぇ?
俺も先立として尊敬の目を浴びたいなぁ、みたいな。
え?そんな動機で他人の人生を導こうとするな?ごもっとも。
そもそも今やってる事と並列して弟子を導くとか物理的に出来ないし、まじで古代の技術から分体の手法が出てきたりしないかな?もしくはドロイドの体とリンクして並列思考をするとかさ。そうすりゃ致死性の高い研究や任務をドロイドの肉体で申し分なく出来るし。
まぁ、実現する可能性は低いか。諦めてレオの執念に期待するしかないかもしれない。
でもなぁ。やっぱり将来的にパダワンは迎えたいよな。それこそエウロピア関係の諸々に関われる人間を増やしたいんだよな。
そういう意味ではジェダイに発見されたフォース=センシティブ、フォース=ユーザーにこだわる必要はないんだが、自分でフォース=センシティブを探す余裕なんてないので仕方ない。ただ他所に行く時は、どこかで巡り合えればなぁ、なんて少し妄想しながら移動してる。ご都合主義的な、俺にとって何も問題のない人員いねぇかなぁ。
その辺に引き取っても誰も困らないフォース=センシティブ転がってたりしない?
切実に、フォースを操れる仲間がレオ以外に欲しい。将来的には非公式の後ろ盾になってもらってるエウロピア王家の護衛を担える人員が欲しいんだよな。暗殺やら政変をされようものなら、俺の構想は根底から崩れ去ることになるし。
レオはジェダイとしての修練を多少修めていても、結局それはパダワンの範囲に収まるもの。ナイトとしての実戦経験は乏しく、本人も当分は研究に専念したがっている。
ただ、なぁ…。こんな構想を垂れ流してても、ジェダイ内部の環境で育った子供を外部の思惑のために育てるのは気が引けるんだよな。パダワンを迎えたら、その子供は「ジェダイ・オーダーのジェダイ」になることを夢見て俺に師事するだろう。
そんな子供の想いを俺個人の思惑で歪めてしまうのは、果たして、人として如何なものかと。
結局、外部のフォース=センシティブに対しても変わらないんだよなぁ。師事と称し、洗脳して人材を増やしても意味がない。そんなことをやったら余計な心労で本懐を遂げられなくなる。使うために育てるのと、人を教え導くは完全に異なる道だからなぁ。
腐れジェダイな自覚はあるが、人の道を外れることはできる限り避けたい。
そもそも、ジェダイが子供を洗脳教育に近しい形で育成してる?概ね違いないが、現状俺から提示できる打開案はないので黙るしかないんだよ。そもそもフォース=センシティブをシスや暗黒面に傾倒する人間に洗脳されても困るし。ある種の定めだと現状は諦めるしかない。
そもそもフォース=センシティブになりたいと願って生まれた子供なんざ、特異な例を除いて存在しないし。変な運命を背負ったと諦めるしかない。
うーん。やっぱり、俺が弟子を迎えるのは当分先になりそう。
だが、人材不足で四の五の言ってる余裕がないのも事実。もういっそ、ジェダイ内に派閥を作るか?とも考えた瞬間だってある。
既に成人してるジェダイ連中の中から賛同者を募れば、洗脳だなんだのと悩む必要性はなくなる。
でもそんな事をやってしまうと、過去にフォース=ユーザーが繰り返した内紛の歴史の轍を踏むだけなんだよな。どんなに俺が生きてる内に上手く纏めたとしても、死んだ後は対立して戦争を始めるのが目に見えている。
だから派閥案も現状で実行する気が一切起きない。
うん。堅実にやろ。最悪、レオに泣きつくわ。
(此奴、急に黙ったと思えば百面相をし始めおったな…。)
1人物悲しくなった横で、若きナイトの横顔を観察する老将であった。
◇
モルガンが物悲しくなり、1人廊下で虚無感に浸っていた頃。ジェダイ・テンプルの廊下では1人の小竜が、我が世の春の如くご機嫌であった。
小竜の名はメリュジーヌ。
モルガンの審問のきっかけになった拉致被害者の1人であり、別れ際に強烈なフォースを浴びせた少女であった。
隔絶したフォースとの親和性を有していた彼女は、異常ともいえる精度の未来視を誇っていた。胎児の頃から幾億通りもの未来を視続け、ある種の飽きを覚え始めていた彼女。
そんな飽きはある種の諦観となり、気付けば傲慢とも言い切れない、だが少々不遜な態度を形成するようになっていった。まぁ、赤子が不遜な態度をとっても周囲に気取られることは基本なかったが。
そんな彼女の人生を大きく変えたのは、海賊に囚われていた際に目撃したモルガンであった。
人生で初めてこの眼で観測したフォース=ユーザー。すっかり飽きて久しかった未来視を行使し、彼女は瞬時に彼と関わった場合の幾千通りもの未来を視た。
そこにあったのは「刺激」であった。古代技術の再現失敗で共に爆死する未来もあれば、何故か差し違えている未来、未観測の銀河を仲間と探索する未来、果てには2人きりの惑星開拓という永遠に近い苦行に身を投じている未来。
その未来の幅の広さは、メリュジーヌにとっては大きな刺激となった。この人生ではどのような果てを迎えるのだろうか?
そんな疑問、好奇心で彼女の心は満たされていた。
メリュジーヌは別れ際のモルガンに向けて目一杯の自己主張を行なったが、残念ながらモルガンが彼女をテンプルに連れて行くことはなかった。
これは彼女の人生における最初の挫折であり、悦びであった。理想の人生の鍵がすぐそこにあるのに、非凡さを目一杯アピールしても手を取ってもらえなかった。
未来を識る彼女には早々起ることのない挫折。重ねすぎた未来の中で忘れていた感情と再会し、彼女は絶頂しそうなほど高揚していた。
ここから、どうすればモルガンに出会えるのか?
そうやって試行錯誤を重ね、遂に乗り込んだジェダイ・オーダー。だがテンプルに来て3年程は出会える気配がなく、既に未来視を封じた彼女には未知の人生が始まったことに対する歓喜で埋まっていた。
そして今日。彼女は日課のテンプル内の巡回の途中、百面相を浮かべるモルガンを目撃した。
それは自分の人生の飛躍を意味する再会であり、人生の絶頂期を更新する勢いで興奮していた。
興奮しすぎたせいで、眼前をモルガンとオポー・ランシセスが通過したことに気付かなかったのはご愛嬌である。
まぁ、要約すると、再会の時は近い。