スマホロトムの目覚ましが鳴って、目を覚ます。
キルリアはまだ眠っているので、起こさないようにこっそりボールに戻してエントランスに降りる。どうやらまだ夕方のようで、窓は赤く染まっていた。
「おはよう、よく眠れた?」
「ああ、おはよう。おかげさまで少しは眠れたよ。」
「なら良かった、ちょっと話があるから座って?」
タウニーに促され、僕はエントランスのソファに座った。若干硬いけど、座りにくいことはない。
「ね、キョウヤってどうしてミアレに来たの?家出とか?」
「あー……まあ、そんなところ。もともと住んでたのがカロスの田舎でね。閉塞的だったから出てきたんだ」
「そうなんだ、まあ思春期男子にはいろんな事情があるよね」
「…なんか勘違いしてない?」
別に本当のことを言うつもりはないけど、勘違いされるのもそれはそれで困る。タウニーは若干ニヤニヤしながらも、話を続けた。
「実はね、キョウヤ以外にもホテルZに住んでる子たちがいるんだ。みんないろんな事情があってミアレに出てきて、ホテルZにお世話になってるの」
「そうなんだ」
「それでね、実はキョウヤに頼みというか誘いがあるんだけど」
「頼みであり勧誘?何それ」
「キョウヤには…MZ団に入って欲しいの!」
「……MZ団?」
早速面倒なことになりそうだ。○○団っていうのにロクなのはいないと思ってるんだけど。
「そんな嫌な顔しないで!MZ団はミアレを守る正義の組織なんだから!」
「なんか正規の手順とか踏んでるの?」
「え?いやぁ、あたしが勝手に作っただけだけど……」
「駄目じゃん」
「待って待って!えーっとね……」
「私が説明しよう」
カウンターから、いつの間にかAZさんが出てきていた。もちろんフラエッテも一緒に。
「ミアレは今、危機に晒されている。人とポケモンの共生……その未来が潰えようとしているのだ。そのためにも、ミアレは腕のあるトレーナーを求めている。」
「ミアレが危機に……?」
「ああ。だがその前にきみの実力が知りたい。ぜひタウニーとバトルをしてくれないだろうか」
「……まあ、いいですけど」
ホテル前の広場に出て、タウニーと勝負をすることになった。まいったな、まだ寝起きで頭が回ってないんだけど。
「言っとくけどあたし強いから!負けてもそんな凹まないで!」
「それはすごいね、まあ負けるつもりなんてないけど」
「るら!」
「あれ?なんか進化してない?いいなー、より可愛くなってるじゃん!」
「キルリアはいつだって可愛いよ、早くやろう」
▽ポケモントレーナーの タウニーが 勝負を仕掛けてきた!
「行って、ポカブ!」
「お願い、キルリア」
「ポカブ、ころがる!」
「キルリア、テレポート!そしてサイケこうせん!」
テレポートは本来遠距離を移動するから消耗の激しい技。でもバトル中の短距離移動ならこんな風に連発できるってわけ。
「まだまだ!ポカブ、たいあたり…」
「キルリア、あまえる!」
「げっ!?」
キルリアのかわいい仕草に、ポカブがわかりやすく攻撃をためらった。その隙を、僕もキルリアも見逃さない。
「キルリア、ねんりき!」
「るら!」
「ああ、ポカブ……いや、まだ負けてないし!行って、チコリータ!」
チコリータか、特殊技が主体だろうし耐久もあるからなかなか厄介な相手かもな。
「チコリータ、このは!」
「キルリア、さいみんじゅつ!」
「うぎゃあ!?」
キルリアのさいみんじゅつが命中して、チコリータはすやすやと眠ってしまった。こうなったらしばらくは独壇場だ。
「キルリア、サイケこうせん!」
「ああ、チコリータ……まだまだ!行って、ワニノコ!」
「まだいるのか……頑張れる?キルリア」
「るら!」
ワニノコが姿を見せる。けどなんだか様子がおかしいぞ。とてとて近づいてきて……僕の足に抱きついてきた?
「わぎゃ!」
「ちょっとワニノコ!?何やってんの!?」
「わぎゃ……♡」
「これは勝負ありですね」
「ワニノコちゃん、イケメン好きだもんね〜」
壁の後ろから、男女2人が姿を見せた。女の子は水色で明るそう、男の子は…見るからに気だるげだ。
「初めましてだねえ、あたしはデウロ」
「僕はピュールです。あんたのバトル、なかなか良かったですよ」
「2人とも、帰ってたんだ。てかほんとキョウヤ強すぎ!AZさんから預かったポケモンたちなのに全然いいとこ見せられなかったし!」
「まあ、地元で友達とバトルはやってたしね」
アラタやそのヤンキー友達とバトルしてたのを思い出すな。最後の方はアラタと1対1の勝負になってたけど。
「それにしても……ワニノコ、キョウヤに一目惚れしちゃった?」
「どういうこと?」
「この子♀なんだけど……とにかくイケメン好きでね、あんまりあたしの言うこと聞いてくれないの。」
「そうなの?素直でいい子だけど」
僕が頭を撫でると、嬉しそうにくるくる鳴いているしいい子に見えるけど。
「それはキョウヤがイケメンだからでしょ!そうだ、せっかくだしキョウヤがワニノコのお世話してくれない?」
「いいの?そんなにあっさり」
「いいの!もともとAZさんがお世話してた子だしね、キョウヤさえ良ければ、だけど」
「だってさ。どうかな、ワニノコ」
「わぎゃ!」
「交渉成立!じゃあこれ、ワニノコのボールね!」
流れのまま、僕はワニノコをゲットした。なんだかキルリアがボールを睨んでいる気もするけど、まあ気のせいだろう。
「……勿体ない」
「え?」
「ピュール、どうしたの?」
「さっきから思ってたんです、あんた、せっかくのイケメンなのになんですかそのダサい格好は!ボロボロのつなぎにくたびれたスニーカー!もう少し身なりに気をつかうべきです!」
「え、ダサいかな……?これ、一応思い出の服なんだけど」
「別に捨てろとは言いません、ですが着替えてください!安くておしゃれなブティックを紹介しますから!ほら早く!!」
「え、ええ……?」
ピュールくんに引っ張られて、僕はブティックに連行された。正直おしゃれとかは全くわからないので、そのへんはピュールくんにお任せすることにした。
「うん……これで少しはマシになったでしょう」
「うーん、これがおしゃれなのかなあ」
黒いハットに緑のブルゾン、それから新品のジーンズ。靴も新しいスニーカーを買う羽目になった。
「おお、似合ってるじゃん!ミアレに馴染んでる!」
「いい感じだよ、キョウヤ!」
こそばゆい感じになりながらも、僕たちはホテルZに戻った。
「タウニー、キョウヤとの勝負はどうだった?」
「めっちゃ強かったよ!キルリア1匹相手にあたしたち全然勝てなかった!ワニノコもキョウヤに懐いちゃったし!」
「はは、そうか。それは何よりだ」
「それでAZさん、MZ団とミアレの危機……なんの関係があるんです?」
「詳しいことはまだ語るべき時ではないが……少なくとも、MZ団のようにミアレを守るトレーナーたちが必要なのだ。ぜひ君にも協力してほしい」
うーむ……どうなんだろうか。詳しいことは言えないけど協力して欲しいって、いくらなんでも虫が良すぎやしないか?もちろんホテルに泊めてもらった恩はあるけど、そこまでするほどじゃないって言うか……
「……少し考えさせてください」
「うむ、無理強いはしない」
気分転換に、少しミアレを歩くことにした。正直ミアレを守るって言われてもピンとこない。ミアレにはまだ来たばかりで思い入れもないし、そんなに背負う理由が無いっていうか……
「あの、そこのお兄さん!!」
「…?僕ですか?」
「はい、あなたです!実はその、えっと……」
「宗教なら興味ないので……」
「違いますう!あの、その……」
「ファッションモデルとか、興味ありませんか!?」
「……はい?」
見知らぬお姉さんに声をかけられ、僕はいきなりファッションモデルに勧誘されたのだった。
キョウヤ
MZ団に誘われたけどミアレに思い入れもないし守る義理もないし一旦保留。原作がおかしいんだよ。
ワニノコ
性格:さみしがり
♀。イケメンに目がなく、キョウヤに狙いを定めた。
謎のお姉さん
挙動不審な謎のお姉さん。キョウヤをモデルに勧誘した。
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