ホテルZのゴミ   作:三笠みくら

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ミアレは修羅の街

 

謎のお姉さんに声をかけられ、僕は近くのヌーヴォカフェでお姉さんとコーヒーを飲むことにした。

 

 

「えへへ、さっきは失礼しましたぁ……わたし、ヨシノと申します。こちら名刺です…」

 

「これはどうも……編集部?」

 

 

ヨシノさんからもらった名刺には、ミアレファッション編集部の名前があった。ミアレって確かにブティックが多かったな。

 

 

「実はわたし、ついこの間ミアレ出版に就職したばかりでして……でもなかなか結果が出せていなくって」

 

「まあ、最近就職したばかりなら仕方ないんじゃ?」

 

「そういうわけにもいかないんです!ミアレのファッション業界はまさに血で血を洗うお互いの蹴落とし合い!いい洋服にいいモデル!両方が揃っていないと話題にすら上がらないんですよ!!」

 

「そ、そうなんですね……」

 

 

正直ファッションはよくわからない。基本僕の服選びはキルリアに手伝ってもらってたからなぁ。

 

 

「そこでわたしが目をつけたのがキョウヤさんです!!ミアレには珍しいストレートイケメン!そしてバランスの取れたスタイル!ファッションモデルになるために生まれたかのような造形!どうです、うちのモデルになってくださいませんか!?」

 

「ええ……」

 

「お願いします!お試しだけでもいいんです!!とりあえず読者モデルだけでもやってみませんか!?1回だけでいいので!」

 

 

ヨシノさんに思いっきり頭を下げられる。なんだか僕の方が悪いみたいだ。まあお金がもらえるなら小遣い稼ぎ程度でやってみてもいいかも……?

 

 

「…じゃあ、1回だけ」

 

「ほんとですかぁ!!やった、今行きましょうすぐ行きましょう!!」

 

「おい、コーヒー……」

 

 

ヨシノさんに引っ張られて、ミアレ出版に足を運ぶことになった。ビルの一室に入ると、いろんな大人が忙しなく働いていた。

 

 

「パンジー編集長!読者モデルさん捕まえてきましたよー!!」

 

「あらヨシノちゃんおかえり!そこの彼がモデルさん?」

 

「はい!通りすがりのキョウヤさんです!」

 

「初めまして…」

 

「なかなかカッコいいじゃない!それじゃあ早速撮影に移りましょ!」

 

 

パンジーさんに連れられて、僕はスタジオに移動した。そこであっという間にメイクを施され、洋服も着替えさせられた。

 

 

「はい、笑顔お願いします!いい感じ、いい感じ!」

 

「次は流し目お願い!」

 

「ポーズとって!」

 

 

カメラ目線で、ポーズを決める。簡単なことに聞こえるけど、やっぱりプロの仕事というのはすごいもので。ミリ単位で指示されるので、それはもう疲れた。

 

 

「つ、疲れた……」

 

「お疲れ様ですキョウヤさん、でもおかげですごくいい写真が撮れましたよ!ほら!」

 

 

ヨシノさんが見せてくれた写真には、カメラ目線でキメる僕とモデルポケモンのアブソルが写っていた。

 

 

「カッコいい、ですね…」

 

「でしょう!やっぱりわたしの目は確かでした!キョウヤさん、もしこの写真の載った雑誌が好評だったらキョウヤさん、正式にモデルになってくれますか!?」

 

「うーん、どうしよう……」

 

 

正直悩む。お金をもらえるのはありがたいけどモデル仕事を続けられるかと言ったら……

 

 

「るら!」

 

「キルリア、どうしたの?」

 

 

キルリアは、雑誌に写る僕を見てうっとりしているようだった。僕のページを眺めては、頬をすりすりしている。

 

 

「キルリアさんもお気に入りみたいですよ!まあとにかく雑誌の発売日になったらまた連絡しますから!お疲れ様でしたーー!!」

 

「あ、はい、お疲れ様でした……」

 

 

結局悩んだまま、お給料をもらって帰ることにした。それにしてもヨシノさんの熱意はすごかったな。なんというか、ファッションそのものに相当熱意を注いでいる気がした。僕も何かあれだけ熱意を注げるものがあればいいのだけど。

 

 

「……ん?」

 

 

ホテルZに戻ろうとして、違和感に気づく。ホテルまでの道が、赤いホログラムのゲートで封鎖されていた。いや、これは封鎖されているというよりも仕切られている……?

 

 

「……とりあえず、入ってみるか」

 

 

ゲートを通り抜けた、その瞬間。

 

 

「トレーナーみっけ!バトルだ!」

 

「!?」

 

 

▽勝負を しかけられた!

 

 

「いっけえ、ビードル!」

 

「キルリア、ねんりき」

 

「ああ、おいらのむしポケ!」

 

 

虫とり少年を倒して周囲を見回すと、そこらじゅうにポケモンを連れたトレーナーが立っているのが見えた。おまけに全員殺気立っている。

 

 

「これは……?」

 

「そこのトレーナー」

 

 

後ろから声をかけられた。まずい、また勝負を仕掛けられるのか……?

 

 

「あんた、ZAロワイヤルの参加者じゃない。バトルゾーンに迷い込んだ?」

 

「…バトルゾーン?」

 

「バトルゾーンを知らない?あんた、ミアレの人?」

 

「いや、つい昨日来たばかりで……」

 

「…なるほど。ここで無辜の民を見捨てるのはノットジャスティス。仕方ない、あたしがあんたを護衛する」

 

「え、いいのか?」

 

「もちろん多少報酬はもらうけど。あたしはムク、ジャスティスの会ゴースト担当の師範代。あんたは?」

 

「僕はキョウヤ。ムクさん、よろしく頼むよ」

 

 

シャンデラ頭の少女・ムクさんに守られながら、僕はバトルゾーンを進むことになった。

 




キョウヤ
モデルに勧誘された。意外と乗り気?

ヨシノ
ミアレ出版ファッション部に所属。ファッションへの熱意は高いがいかんせんあがり症なのでスカウトが苦手。

ムク
ジャスティスの精神のもと、キョウヤを護衛することに。

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