Pokemon Legends YAKUZ−A!   作:洋菓子職人II

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 ずっとカラスバさんを見た時に書きたくなってしまった…!文章力がないくせに!


電車の中での一幕

 ガタン、ゴトン、と規則正しいリズムが車内に響く。カロス地方ののどかな田園風景を走り抜ける列車。その窓際の席に座っているのは10代にはとても見えない青年。名前はカズマ。

 

 彼は深く落ち着いた眼差しで窓の外を見つめている。その手の中には、一つのモンスターボールが握られていた。中に入っているのは、彼が「世界一の鯉」を目指して手塩にかけて育て上げた自慢の相棒——兄弟分といってもいいポケモンだ。

 

 「……随分と遠くへ来ちまったな、ニシキ」

 

 カズマがボールに語りかけると、まるで応えるようにボールが小さく揺れた。

 

 「ミアレシティまでまだ時間が掛かる。俺は寝るつもりだがお前はどうする。 外の景色でも眺めてるか?」

 

 カズマがボールにまた語り掛けるとボールは一度だけ横に揺れた後に沈黙するかのように動かなくなった

 

 「そうか」

 カズマはそう一言だけ発し、頭を窓の方に向けて意識を手放した。

 

 どれくらい時間が経っただろうか。列車がミアレシティの手前にある長いトンネルに入り、車内がふっと暗くなった時のことだ。

 

 「おい、調子に乗ってんじゃねえぞ!」

 

 少し離れた席から聞こえる怒鳴り声に目を覚ましたカズマが視線を向けると、派手なトゲトゲの服を着たガラの悪いチンピラの少年二人組が、小さな女の子の席を取り囲んでいた。女の子の足元では、怯えたデデンネがジリジリと電火花を散らしている。

 

「いいからそのデデンネを俺たちのポケモンと交換しろよ。お前に拒否権はねえんだよ!」

「や、やめて……! この子は大事なお友達なの!」

 

 乗客たちは関わり合いを恐れ、目を逸らしている。カズマは深くため息をつき、首の骨をゴキリと鳴らしてゆっくりと席を立ち上がった。その歩みには、一歩ごとに周囲を威圧するような、奇妙な重みがあった

 

 「…おい…」

 

 「あァ? なんだおまっ…!」

 女の子にやたらと強い言葉を吐き続けてきた方のチンピラの手首を、カズマは電光石火の早さで掴み取り、ギリギリと力任せに捻り上げた。

 

 「ぐ、ぐあああっ!? 力、強えぇ、離せっ!」

 「……そこの嬢ちゃんは、嫌がってる。大人しく自分の席に戻るなら、これ以上は何も言わん……消えろ…テメェもだ…!」

 

 まだ16歳の青年とは思えない圧倒的な気迫。チンピラ二人はカズマの鋭い眼光に完全に気圧されてしまった

 

 「ひ、ひえっ……! 悪かったァ!」

 「すみませんでしたっ…!」

 

 と声を上げてチンピラ二人は隣の車両へと逃げ去っていった。

 

 「…大丈夫か、嬢ちゃん」

 カズマは女の子の前でしゃがみ込み、ふっと優しい笑みを浮かべた。

 

 「うん!ありがとう、おじさん!」

 

 「おじさん」という言葉が、カズマの胸に少しだけ突き刺さる。カズマは一瞬だけ呆気に取られたように目を丸くしたが、すぐに苦笑いを浮かべ、自分の頭をガリガリと掻いた。

 

 「気にするな。困った時はお互い様だ。…あとオレはまだ16歳だ」

 「ええっ!? おじ、お兄さん、わたしと4歳しか変わらないの!?」

 

 女の子は嘘でしょ!?と言わんばかりに、あからさまに顎が外れそうなほど驚いてカズマを見つめた。襟元と袖が大きく開いた、白ベースの変形変則ジャケット、16歳にしてすべてを達観したような渋い声と圧倒的な貫禄は女の子にはどう見ても人生の修羅場をいくつも潜り抜けてきた大人の男にしか見えなかったのだ。

 

 「フッ……まあ、よく間違えられる」

 

 カズマは照れ隠しのように不敵に笑うと少女のデデンネに視線を向けた

 

 「そのデデンネ、大切な友達なんだろ?」

 

 カズマが優しく問いかけると、女の子は胸元のデデンネをさらに愛おしそうにぎゅっと抱きしめ、何度も大きく頷いた。

 

 「うん! わたしの家の電気を食べようとしてた時にパパが捕まえてくれたの!ポフレが大好きで名前は『まめ丸』っていうんだ!」

「まめ丸、か……。いい名前じゃねぇか」

 

 カズマが目を細めて微笑むと、デデンネはカズマの指先へ、恐る恐る小さな鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅ぎ始めた。そして、カズマの放つ独特の「漢の包容力」に安心したのか、「デデッ♪」と嬉しそうな鳴き声を上げ、カズマの大きな人差し指に自分の小さな前足をちょこんと乗せた。

 

 「フッ、挨拶ができるとは、律儀な奴だな」

 「あ、まめ丸が懐いてる! まめ丸は本当に強い人や優しい人がすぐ分かるんだよ」

 

 女の子が嬉しそうに笑うと、カズマの腰のモンスターボールが左右に大きく揺れた。まるで、ボールの中のニシキが『俺の挨拶も忘れてもらっちゃ困るぜ、カズマ!』と自己主張しているかのようだ。

 

 「……おっと、俺の兄弟分も、嬢ちゃん達に挨拶がしたいらしい」

 

 カズマがカチリとボタンを押すと白い光が広がり、見事な錦模様のコイキング『ニシキ』が現れた。ニシキは、デデンネの「まめ丸」に向かって、フンスと誇らしげに胸びれをパタパタと動かしている。

 

 「わあ、すごい! 赤と白の綺麗な模様……! コイキングさん?」

 「ああ。名前はニシキだ。ただの綺麗なコイキングに見えるかもしれねぇが、俺の大事な相棒で、世界一高く跳べるコイキングだ」

 「ニシキちゃん、かっこいい! ね、まめ丸!」

 

 デデンネのまめ丸も、ニシキの立派な錦模様に興味津々のようで、短い尻尾を振りながら「デデッ、デデッ!」と話しかけている。ニシキもまんざらでもない様子で、大きな目をパチクリとさせながら、まめ丸と鼻先を突き合わせて「ピチピチ」と優しく音を立てた。

 

 「ニシキちゃんも、おじさん……じゃなくて、お兄さんが大好きなんだね」

 「……ああ。こいつとは、泥水をすするような過酷な特訓を何度も乗り越えてきたからな。言葉は通じねぇが、魂で繋がってんのさ」

 

 カズマがそう言ってニシキの頭を撫でると、ニシキは誇らしげにエラを膨らませた。そんな1人と1匹の姿は、まるで何年も一緒に旅をしてきたベテランチームのような、不思議な安心感と温かさに満ちていた。列車がガタンと大きく揺れ、窓の外にミアレシティの巨大なシルエットが近づいてくる。

 

 「さて、ニシキ、戻る時間だ」「ピチッ!」

 

 カズマの言葉に深く頷き、ニシキは自ら光となってボールへと戻っていく。カズマは立ち上がり、女の子とまめ丸に向かって最後に優しく頭を撫でた。

 

 「お嬢ちゃんとまめ丸、お互いを信じて守り合うんだぞ。……じゃあな」

 「うん! お兄さん、ありがとう! バイバイ!」

 「デーネー!!」

 

 女の子とデデンネの元気な見送りを受けながら、カズマはミアレシティ駅のホームへと降り立つための準備を進めるのだった。




 カズマ
 本作品における主人公。
 龍が如くの主人公、桐生一馬の人格と生命力をインストールされたスーパー観光客。16歳とは思えぬ体格と威圧感、そして据わりすぎている肝を持っており、度々勘違いされることがある。夜中に出歩けば職質されることなど幾星霜。もっとも、この街ではある人物にストーカー被害に遭う予定のようだが…。一体どこの暗黒御嬢様なのだか…
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