「そういえば最近ルルを見ないわね」
デイジーがその若干アヒルな口にソーセージを運びながらなんとはなしに呟く。
トゥトゥのダイニングホール、朝食の頃。
団員たちはそれこそまだ半分も集合してはいない。
まぁ、なにかミーティングのような事はそうそう行なわれない猟団の朝は…朝だけに始まったことではないがかなりフリーダムだ。
そんなズボラいハンター達が多い中でディズの生真面目さは目立つ。
彼女は実家暮らしであるがしかし男やもめであるパパガイの為に色々と食事や洗濯といった家事をこなし、ガルデニア工房の経理その他諸々の雑務もこなし、それに加えて年の離れた相方の世話を甲斐甲斐しく努めている。
そして鍛冶職人としての仕事もしつつモンスターハンターとしてもフィールドに馳せ参じるのだ。
最近はヴァリオンもそれを見かねて狩りのみならずガルデニアの雑務も手伝っているようだが、それにしても彼女の多忙ぶりは目を見張るものがある。
今日も彼女は夜遅くまで帳簿を付け、朝早くに起き出して親父の世話他諸々を済まし、いそいそと未来の旦那の部屋に出向いて共に朝食に連れ立つという既にルーチンワークと化した行動を取ってこの場にいる。
初めの頃は朝早くに起こされる事を憮然としていたヴァンもすっかり慣れっこになってしまい、ディズがドアをノックすると同時に部屋を出られるように準備を早めているくらいなのだ。
「まぁ、謹慎中だからな。ハンター街じゃないとこで遊んでるんだろ、シンバのヤツと」
続けて「硬ぇなこのブロッコリー」と眉間にしわを寄せながらゴリゴリと咀嚼し呑み下す彼の食文化も随分とコントロールされつつある。
眉間のしわは固茹でのブロッコリーのせいなのか、それともシンバのせいなのか、は推して知るべしではあるが。
デイジーの細かに指摘されるお節介に慣れたヴァンは肉中心の食生活からものの見事にバランス形の食事形態へと自然に誘われている。
ヴァリオンの、良し悪しに関係なく琴線に触れなければ大らかという人柄と、デイジーの一見クールっぽく見えてその実世話焼きという性格のマッチングがこれほどうまく行くとは周囲の予想を良い意味でちょっとばかり裏切っていた。
おっさんと美人のカップリングは本人たちの知らないところで色々と物議を呼ぶものですから。
とはいえ、段々と硬さのとれて来たヴァンとディズの関係は羨ましいくらい自然な雰囲気をかもしだしながら着実に進展していたりする。
「ハンター街じゃないとこでデートするかなぁ、ルルが」
「シンバのヤツが連れまわすだろきっと」
「アイツはそういうの上手そうだからな」と吐き捨てるようにブーたれるお兄ちゃん。
そんな悔しそうなヴァンにクスリと笑いかけデイジーは話題をすり返る。
「んじゃさ、今日は私たちもどっか珍しいトコで遊ぶ?」
「…どっかって…それじゃ峡谷でベリル鉱石でも堀りにいくか?」
その答えを聞いてディズがジト目をヴァンに向けた。
この人の脳みそが全部モンスターハンターなのは解っちゃいたけどここまで素で振られると本気で悲しくなってくる。
そりゃベリル鉱石がキレイなのは知ってるけど、遊びに行くと言ってわざわざ採掘に行くようなものでもない。
「…遊びにいこうって言ってるのに」
「んじゃ、ガノトトスでも釣りにいk」
「ちっとは狩りから離れたらどうなんだい?ヴァン兄よぅ」
唐突に台詞を割り込ませながら先程まで話題に上がっていた二人が揃ってテーブルに着く。
にしし、と笑いながらヴァンの言葉をぶったぎったルルリアがディズに哀れんだ視線を向けた。
「ごめんなさいね、デイジー。ウチのダメ兄さんがダメダメで。にしし」
「…まぁ、そこらへんのダメさはもう諦めてるわよ」
「どこを諦めてるんだよ」
「わからないアンタが希少種だよ、ヴァン」
なんだか久しぶりに四人が揃った感じがする。
悪態をつきながらケラケラと笑うルルリアを見ながら、ヴァンとディズはなぜかしらほっとしていた。
相変わらずのクセ毛をツーテールに纏め、相変わらずのガルーダ装備で胸を見せつけ、メランのパンツとニーソックスで太ももと尻を強調する。
そんなルルがなんだかとても懐かしい…。
「ってちょっと待て。あんた、それ…」
デイジーが目ざとく『ソレ』を発見した。
『ソレ』は一つではなかった。
いっぱいある。
しかも、ルルの身体中にある。
「う?…何が?ってちょっとディズ!何よ?」
かくん、と小首をかしげたバカ娘の二の腕を引っつかみ、デイジーは急いで更衣室に向かった。
「ちょっ、ちょっ!何よディズぅ!」
「いーからッ!」
更衣室のドアノブをもぎ取る勢いでくびり回し、ディズは部屋の中にルルを押し込むとその小柄な体を壁際に押し付けた。
そのままルルリアの両方の手首を掴み左右に広げさせる。
さながら壁に貼り付けられたかのようなカッコを取らされたルルはさすがにムッとする。
とりあえず自分が思いつく限りではディズにそんな怒られる理由は無い。
ただ、朝食をとりに来ただけだ。
シンバと一緒に。
そう、パートナーと一緒に。
でへ。
思い返した相方の照れた顔やナニやらかにやらで元々童顔なルルがふにゃりと相好を崩す。
それはまぁ締まりの無いという表現がぴったりのだらしない表情であった。
「あ、アンタね…もうちょっと物事を考えてやんなさいよ!」
そんな明らかに浮ついたルルリアの態度にディズがキレる。
いや、怒っているわけでは…あるようだが、それ以上になんだか、なんというかその紅色に染まった感情は怒気だけではないようだ。
「だからなに怒ってンの?デイジー」
十字架にはっつけられた格好でかくんと小首をかしげる素のルルに対し、釘役のデイジーがうっと言葉を詰まらせる。
バカを勢い良く連れてきたはいいけど、自分が『ソレ』を指摘するということはこのバカに『ソレ』の原理や理由まで説明しなければならない、ということに遅ればせながら気付いたデイジー。
ルルリアの視線は『も、ホントになんだかわがんね。何々なんなの?』という全く心当たりの無いカケラも無い色合いである。
「・・・」
「…だからなんね?」
「・・・」
「ねぇ、だからなんなんだよぅ?」
「…うーッ…アンタって、ほんとバカかぁ?」
「ぅにゃーッ!?!?」
意を決したデイジーがルルのガルーダスーツに手をかける。
と、間髪入れず一息にそのブラを下にズラした。
ぷるん、などどカワイイものじゃない。
ぼばるんッ!という見えそうな擬音を上げながらルルのおっぱいが、下げられた下着の抵抗が無くなると同時に跳ね上がりながらもとに戻ってくる。
まさかデイジーがこんな暴挙に出るとは微塵も考えていなかったルルは目を白黒させながら素っ頓狂な叫び声をあげディズの拘束を振り解いた腕で未だに揺れ動く乳をガードした。
「なななな、なにすンのよディズッ!」
「うるさいバカッ!アンタこの謹慎してた一週間ドコでナニしてたんだ!」
「………う?」
「う?…じゃないッ!」
両腕で胸を隠したルルリアが勢いを無くしくるぅりと壁の方に視線を泳がせた。
デイジーがジト目でそんなルルを畳み込む。
「…シンバと一週間、なにをやってたの?」
「………う?」
「…ナニをヤッてたんか?」
「やん、デイジーってばやらしー」
そう茶化しながらディズの手からガルーダを奪い返し、もそもそとその巨乳をカップに収めるルルに普段の明け透けさは無い。
「図星かよ」
「ナニがよ」
「ナニだろ?」
「だからナニがよ」
「コレだよ!コレ!」
そういってデイジーがせっかく直したルルのブラをまたもやズリ下げる。
「ぅにゃーッ!!やめてよデイジーッ!」
「ぅにゃー、じゃないッ!なによこの大量のキスマークはッ!?」
ルルリアはそんなに色白というわけでは無い。
モンスターハンターとしてフィールドを闊歩するアクティブ系の女の子だ。
どっちかというと肌は赤みの強いペールオレンジがやや日焼けした健康的なボディカラー。
余談だが、先程からデイジーの眼前に幾度と無く露出した彼女の乳首はピーチピンクで、さっきからディズの脳裏には『どうしてそんなキレイなピンクなんだよッ』とジェラシーな気持ちが渦巻いていたりする。
まぁ、ルルは今の今まで自分の乳首など定期的にイジったことなどあるわけが無く、その我侭な乳房自体締め付けるような下着をつけてこなかった…いわばそのおっぱいにとってストレスフリーな環境が彼女の乳に傲慢さと破壊力を与えたと言えるのだろう。
だから、男が…シンバが堪えきれなくなってどうにかなっちゃうのも分かるけども!