クールの極みでスケベな行為を続ける彼は、次にやや伸びた襟ぐりにその指先をひっかけ、慎重にずり下げてゆく。
自分の存在に気づかないモンスターの足元に罠を設置するとき以上にゆっくり、気配を消して人差し指と親指に力を注ぐ。
自らの口と鼻を左手で覆い、その荒い呼気で【獲物】を起こさないように気を配りながら、シンバはゆっくりとルルの白い鎧を剥ぎ取ってゆく。
じりじりとルルリアのやわらかい上乳が露になってゆく。
だが、肝心の部分を露出させるためにはスリーヴをもう少しだけ下げる必要があるようだ。
「ち。これ以上は……危険だな……だけど……」
流石の観察眼である。
ルルの二の腕に食い込気味になったスリーヴを忌々しげに見やり、あとほんの数ミリでオイシイ部分にたどり着ける状況と見比べて危険度を測る。
既に彼女の右乳は半分以上が見えている。
それどころか淡いピンク色の乳輪までもがタンクトップの伸びた襟部分から顔を覗かせている。
これは……いくしか、ない。
額にうっすら滲んだ汗が気になる。
今まで色んな狩りをしてきたが、この狩り以上に難しいものは思い出せない。
彼自身、自分がかいている汗が緊張から来ているのか、精神疲労から来ているのか、それとも単に自分の今の行動の結果待ち受ける惨劇に対する恐怖から来ているのかわからない。
だが、ココまできたら行くしか、無いだろう。
シンバはルルの二の腕に張り付いているシャツの襟端を少し強めにずらし、彼女の肘に引っ掛ける。
そしてそのまま数秒、ルルの寝息をうかがった。
ルルリアは自分のおっぱいが危険に晒されていることなど全く気づく様子無く、気持ち良さそうに寝息を立てている。
「……よし」
小さくうなずき、シンバはそろそろと目標部分に手を伸ばし、そこを思い切ってズラす。
ぷりん、と先端部分があらわれた瞬間シンバは物凄い達成感を感じた。
なんだか、もう、いつ死んでもいいカンジがする。
『さきっぽキター!』と声に出さず感動にむせび泣く彼は、しかしそれでも目線はソコを凝視したままだ。
急に外気に晒されたからだろうか、今まではおとなしかったルルのポッチが、だんだんと隆起してくる。
そしてあれよあれよという間にピンと存在を主張するまでになってしまった。
「おお。これは……!」
いや、自分の乳首も温度変化に敏感だから当たり前なのだが、なぜだろう。
こんなに頭が沸騰するのは!そのぴんぴんにとがったルルリアの乳嘴にシンバの目は釘付けになる。
彼女のソコは薄い桜色でとても清楚な感じがする。
それになんだか可愛らしくて、ルルリアの無邪気な少女らしさの象徴のようだった。
「……!!!」
だがしかし、そんな聡明でクレバーなシンバの脳みそはここで重大な事実に気づく。
この状態でどうやってルルに気づかれないで服を元に戻すのだ?いくら大きめのサイズだからといっても、既に襟と肩の部分はだいぶ伸びている。
簡単にはモトに戻らないだろう。
「……うかつだった……」
バカでねぇのか、この男。
そういう事実に気づいた今、彼の脳裏は急激に冷静さを取り戻してゆく。
今ここでルルリアが目を覚ましてしまったら、もう間違いなく嫌われる。
今までなんとなくいいカンジに築いて来た関係が白紙……いや、壊れてしまうだろう。
それは、マズイ。
それは、いやだ。
「い、今からでも……戻す、か」
幸い、ルルリアというコはこれで結構鈍い。
今なら無かったことにして、全てを隠すことができるかもしれない。
「ああ、でも俺って最低だ……」と今更ながら後悔し始めるシンバ。
だが、えてしてこういう時こそ慎重さが求められるのだよ。シンバ。
ちょっと(かなり)名残惜しいが、いつかまた再会できることを信じて彼はルルリアのおっぱいをシャツの中にしまおうとする。
だが伸びきった襟ぐりを摘もうとした丁度そのとき、空気を読まないルルリアが「うう、ん」と艶っぽく身じろぎする。
「あ」
シンバの指先に、お肉にしてはちょっと硬めの感触が走る。
確かに、そのこりこりした感覚を摘まんで楽しみたいとは思っていたが、今はマズイ。
マズすぎる。
そして更に状況は悪化する。
「……へ、っくし!……ぅん?」
寒くなったのか、女の子らしくないくしゃみを一発。
そしてぐしぐしと目をこすり、ヤツが、ついに目を覚ますのだった。
当然、ルルリアの右乳はポロリしたままだ!
しょぼしょぼと開かないまぶたで自分の胸元を確認するルルリア。
そのまま彼女はむくりとベッドに半身を起こす。
そして何も言わないままベッドから降りた。
シンバはこの状況に固まったまま何も出来ずにいる。
そりゃそうだろう。
ルルの目が覚めた瞬間に飛んでくると予想していた左ストレートが来ない。
それどころか、彼女は自分の存在を全く無視しているようにも見える。
ベッドを回り込んで窓に向かうルルリアの横顔は特に変わった様子は無い。
だが、なんだかイヤな予感がビシビシとするのはなんだろう。
ルルは窓辺にたどり着くと、おもむろにカーテンに手をかけ、そのライムグリーンのドレープをシャッ、と全開にした。
窓の外からはもう既に起き出して早い活動を始めた人たちの声が聞こえる。
朝餉の準備が整い始めた時間帯。
ルルリアは、カーテンに次いで軋む窓ガラスの桟をガン、と叩き開いた。
爽やかに晴れそうな朝の空気が部屋に流れ込んでくる。
ふわり、とカーテンが風を受けて部屋に舞う。
すぅ、とルルリアが息を大きく吸い込んだ気配がした瞬間、シンバは弾かれたようにベッドから飛び降り、彼女の口をその手で覆った。
「シンバに犯されt……ッ!むーーッ!!ぐーーッ!!!」
外に向かって大声を張り上げ、物凄い仕返しをしてくれそうになったルルリアの口を必死でふさぎつつ、彼女を羽交い絞めにする。
この部屋が四階で良かった。
この全開になった窓辺で今起きている状況を誰かが見たら、それこそシンバの立場は、いや全てが終わるだろう。
どう見ても、シンバがルルリアを襲っているようにしか見えない。
ルルの片乳は今だに隠されておらず、彼女が暴れるとぷるぷると弾ける。
大体、ルルリアの格好もマズイ。
誰かさんに伸ばされたタンクトップシャツにパンツのみ。
いや、これが普通の寝間着なんですよ……と言っても今の状況では誰も信じまい。
「ごめん!ルル!ほんっとにごめん!!謝るから!!頼むからおとなしくしてください!!!」
シンバも必死である。
ルルの耳元に謝罪の言葉を放り投げながら、暴れるルルリアをじりじりと窓から引き離す。
ルルリアが小柄でほんとによかった。
どうにか部屋の中ほどまで彼女を運んで安心したシンバの指に激痛が走る。
「痛ってぇッ!痛ってえぇッ!!」
がり、と尚も噛み続けるルルリアの犬歯がシンバの右手小指に食い込む。
容赦の無い罰を彼に与えつつ、ルルリアはシンバをにらみつける。
食いちぎられんばかりの指の痛みにうめき声を堪えることが出来ないシンバを、ルルはふと開放する。
床にひざをつき、小指を確認するシンバ。
噛み切られたかと思った。
ふーふーと指をいたわる彼を尻目に、ルルリアは伸びたシャツを脱ぎ捨て、箪笥から新しいシャツを取り出して無言で着始める。ついでにパンツも脱いで新しいショーツを装着し、さっさと着替えてしまう。
その間、無言。
シンバが彼女の生着替えにあっけにとられていることどころか、彼自体をガン無視して身だしなみを整え、部屋を出て行く。
バンっ!と閉められたドアの勢いに、シンバはびくっと体を縮こまらせる。
無視ですか……。
罵声や蹴りが飛んできた方がまだ救いようがある。
これは本気でルルリアを怒らせてしまったようだ。
「そりゃ、そうだよな……」
ジンジンと噛まれた指が痛む。
自分がルルリアの心に付けたキズはこんなものではないはずだ。
今になって、シンバは自分の浅はかな行動を猛反省する。
状況に流されて、自分はルルリアを傷つけた。
彼女を守ると、あれだけ決意したはずなのに……全く正反対の事をしてしまった。
「俺はバカだ……」
ルルリアの残り香がある彼女の部屋に一人残され、シンバは自分の不甲斐なさに深く落ち込んだ。
◆
その開け放たれたままの窓を遠くから見つめる二人の人影がある。
「ヘタレだな」
「ヘタレですねぇ」
半里ほど離れた城壁の上に、二人並んでたたずむのは例のゲストハンター達。
彼らは、いまだにルルリアの部屋に立ち尽くすシンバをその千里眼で捕らえ、くすくすとあざ笑っていた。
常人では見る事など到底かなわないこの遠距離から、今しがたルルの部屋で起きた一連の騒動をこの二人はしっかりと見ていたのだ。
「彼は『選ばれてない』な」
「ええ、そうですわね。ルルリアが『選ばれて』いるのは間違いありませんが、シンバは違いますね」
シンバは乱れたベッドをのろのろと整え、部屋の隅に詰まれた自分の荷物を持ち、窓とカーテンを閉める。
まさか自分達が遠くから見張られていたとは露知らず、彼はルルの部屋を後にする。
風牙と荊琴は、既にシンバに関心は無く、眼下に広がるアイゼルリューシェ皇国の城下町に視線を向ける。
そこには普段の露出度の高い装備ではなく、グレーのジーンズにホワイトのカラーシャツを合わせたマニッシュなスタイルのルルリアがガルデニア工房に向かっている。
「デイジーか」
「彼女も『選ばれてません』」
その荊琴の報告に小さく頷くも、風牙は「あの工房の武器は別だがな」と意味深なせりふをつぶやく。
そして彼はルルリアがガルデニアのドアを蹴り飛ばして中に入るのを見届け、荊琴に命じた。
「次はヴァリオンだ。例のヤツ等、ちゃんと手配しておけよ」
その言葉を受け、翠髪をふわりと揺らして荊琴は彼の前に膝をつく。
「御意に」
一言を残し、荊琴は城壁から身を躍らせ、何でもない事のように甍をとんとんと飛び石のようにして彼女はガルデニア工房までの最短距離を走る。
彼女の後姿に、にやりと笑みを浮かべた風牙も荊琴とは別方向に跳躍し、その姿をまさしく風に同化させるのだった。
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