モンスターハンターオルタナティブ   作:雨垂夜詩乃

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008 お着替え

 

ルルリアは元々、太刀を好んで使う。

それは母ナァルの影響か、取りあえず、という感じで太刀を背負うことが多い。

しかし小柄なルルリアが長い刃渡りの太刀を振り回す姿はその母にも劣らず美しく頼もしい、と酔った勢いでヴァリオンが褒める程似合っている。

酔っていないと彼は絶対に言わないが。

 

「んしょ、っと。よし。ん?なにコレ、親方」

 

ぷるん、と乳を揺らし縛り紐を安定させると彼女はカウンターに置かれたケースに注目する。はて、自分は太刀の研磨以外に何か頼んだかしら、と首をかしげる。

「あけてみろ」とパパガイに促されてルルリアは箱を開ける。

 

「う、わぁ。これって!?」

 

彼女が箱の中からつまみ出したのは、防具だった。

しかし、ただの防具では無い。

白い羽毛があしらわれたビキニだった。

そう、ルルが大好き、みんなも大好きなガルーダスーツの色違い品だった。

世にも珍しい、蒼白い羽毛を持った【眠鳥ヒプノック】の【アルビノ種】。

つい先日、ルルリアはそれに出会う機会があった。

樹海の調査団の護衛をした時に森の奥深くでばったり出くわしたのだ。

普通の橙色した眠鳥と違い、非常にアグレッシブな動きを見せる白ヒプに俄然やる気を出したヴァンとルルは調査団の護衛をそっちのけでその希少なヒプノックを狩猟したのだった。

ギルドを通さないイレギュラーな狩りだったが、調査団の推薦状もあったためお咎めなし、しかも素材の持ち帰りも許可されたため、二人はその珍しい白眠鳥素材をパパガイに預けておいたのだ。

 

「それで、ヴァンのヤツには催眠袋を使った大剣を作っといたんだが、お前にはコレのが良いんじゃないかと思ってな。白いヒプノックを破壊と再生を告げる鳥ってことにして【フィアラルスーツ】って名前をつけた」

 

鼻息あらく踏ん反り返る親方に、職人たちは惜しみない拍手と喝采を送る。

「あんたの乳に対する情熱は素晴らしい!」だの「それをルルちゃんに着せようってとこが最高!」だの、各々が勝手な言い分なのはアレだが。

 

「うっはぁ。コレ、いいわぁ」

 

ルルリアはそのフィアラルスーツをしげしげと見つめ、ニヤニヤと唇をゆがめる。

パパガイに断りを入れずにスーツを抱え、工房の窓ガラスの前に向かい、そのビキニを胸に当てたり、ひっくり返して、またその防具を見たりと忙しく動く。

その表情は狩りの時以上に真剣そのもの。

その嬉しそうなルルリアを、工房の職人達が温かい目で見守る。

なんだかんだと言いながら、この小さくて生意気な少女ハンターは愛される存在だった。

ルルリアが抱える親無しという闇の部分を知ってか知らずか、街の人々はその心をいたわるように優しく接している。

それはルルリアの精神を無意識のレベルで支えてくれていた。

 

「親方!ちょっと試着室借りるよッ!」

 

満面の笑みをパパガイに向けて言い放ち、返事を待たずに工房の隅の扉に飛び込むルルリア。そんな彼女の様子をみて、パパガイ親方はうんうん、と頷きつつ炉の前に戻る。

数刻後の彼女の変身ぶりを楽しみにするとしようか。

鉄鎚を担ぎ上げパパガイは口元を緩める。

無双刀を見る目はいつもどこか寂しげなルルリアだが、今回の自分の作戦はヤツを喜ばせるのに見事に成功したようだ、と自画自賛。

 

「よぉし、野郎ども、とりあえず作業にもどるぞ!」

 

号令を上げる親方に弟子達が「応ぅ!」と気を合わせる。

女の子の着替えはそれなりに時間がかかるはず。

親方入魂のエロ装備を着たルルちゃんが出てくる潤いのあるひと時までに仕事を幾らかは進めておかねばならん、という暗黙の空気が職人達の間で流れていた。

 

 

ルルは折角結んだ下げ緒の紐をもどかしそうに解くと無双刀を壁に立てかける。

返す手で背に手を回しガルーダスーツのジッパーを下ろした。

工房の熱気に中てられた彼女の汗で幾分かしっとりとしたビキニが外され、ルルリアの形の好いバストが露わになる。

彼女はついでに腰のヒプノフォールドのベルトも外し、オレンジ色の装備を二つ、壁に設えられた棚にまとめた。

一人用の狭い更衣室でメラングリーヴとパンツひとつの無防備な姿、ルルは恥ずかしげもなくバストトップを晒しフィアラルスーツに相対する。

150センチあるかないかという小柄な体躯に不釣合いな85センチオーバーの乳房を持つルルリアは、ソレがある種の凶悪な武器に成りうることをキチンと理解している。

だから彼女はわざわざセックスアピール度の高い装備を好む。

それは自らが抱える闇への裏返し、恐怖を忘れるための無意識の自己防衛手段でもあるのかもしれない。

とりあえず、自分のすがたを見て皆は笑顔になるのを知っていた。

 

まぁ、中には下卑た視線もあるにはあるのだが。

 

カウンターに無造作に積んであるタオルで自慢の巨乳の汗をぬぐう。

真新しいスーツに敬意を払ってか、ただ汗のベタつきが気持ち悪いのか、自らの凶器を入念にお手入れするルルリア。

ガルーダスーツの皮で出来たカップに包まれていた敏感な部分が外気に晒され、タオルの微妙な刺激にも少々反応する。

そのぽっちりと起った乳首の生理現象をルルリアは特に気にとめず無造作に乳を拭きあげ終わる。

 

「鍛冶場の職人さん達は大変だね、職場がこんなに暑いんじゃ、さ」

 

ついでに拭いちゃうか、と独り言。

もう一枚新しいタオルを取り上げ、汗ばんでいたわき腹をぬぐい始め、次いで備え付けの鏡でボディチェックに移る。

さすがにモンスターハンター、彼女の体には余分な脂肪はついていない。

だが、その肌理の細やかな柔肌は少女から大人の女へと移り変わる年頃の美しさに満ちていた。

だが過酷なハンター稼業でキズを受けることは避けられない。

彼女の体も例外なく幾つか目立つ傷が残されている。

メラングリーヴのガーターの位置をなおすために屈んだルルリアの背中にはうっすらと、しかしそれなりに目立つ三本の爪痕が見え、姿見がそれを静かに映し出していた。

 

「やば、また大きくなった、かな?」

 

鏡の中の自分に向かい両のてのひらでバストを上下させ「あんま大きいのも邪魔なんだけどな」と小さくこぼす。

ナツメあたりの耳に入ればまた一騒動起きる問題発言だが、反面、鏡の中のルルリアは誇らしげな表情で、その言葉が『言ってみたかっただけ』な事を物語っていた。

そして、ふにふにと自らの乳房を弄りそのカタチがやわやわと変わる様を見て、にやりとするそれは勝利者の笑みだった。

 

とりあえず、グリーヴに包まれた足以外の汗は全部ぬぐい終わった。

だけどそれにしても暑い。

工房に作られた更衣室、いかに壁で仕切られているとはいえあんなに巨大な鍛冶炉がごうごうと燃え盛っていればただ居るだけで汗がじんわりと出てくるのは仕方がない。

彼女が当初の目的を摩り替えたくなるのも最も話だ。

「水浴びしたいな」とつぶやきながらルルリアはやっとフィアラルスーツを取り上げた。

ガルーダスーツと同じところにあるジッパーを下げ袖を通し後ろ手に留め具を掛けて、姿見に向かいビキニのカップ部分を胸にフィットさせてみると少しアンダーバストが緩い。

 

ちくしょう。

パパガイには自分がもうちょっと“ふっくらと”しているように見えたのだろうか、その認識は今度また直してもらおう。

ヤローを殴ってでも。

 

「ってか、このカップ小さいって」

 

白い羽毛で飾られた、鏡の中の自分はとてもセクシーな美少女だ。

うん、それはいい。

だが、ハーフカップブラのガルーダスーツに比べフィアラルスーツはもうちょっとでトップレスブラになりそうな勢いがある。

幾分の油断も許されそうもない。

コレはまたヴァリオンに小言を食らいそうだ。

ルルリアはワイヤー部分を少し上に持ち上げ、乳首が露出していないのを確認する。

ふむ、アンダーバストが緩めだったのが功を奏したのか、ルルの大きいおっぱいにうまい具合に張り付き、危険極まりないビキニは彼女のバストにフィットしてくれた。

ただ、その“下乳”がはみ出てしまい、見る人のフェチズムによっては余計にエロさを感じてしまう状態になってしまったが。

 

「ま、まぁ、しょうがない、よね」

 

少し頬を染めた、鏡の中の自分にルルリアはちろり、と舌を出しウィンクする。

相変わらず、自分のそういった女の子女の子した仕草は卑怯だと思う。

「ハンター辞めて踊り娘にでもなろうかしら」とつぶやくもその言葉を自嘲気味に笑い打ち消した。

 

「そんなこと、あたし自身が許せるわけないよ…ね」

 

そう言って見上げた姿見の中のルルリアはしっかりとモンスターハンターの眼光を取り戻していた。

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