それから二週間の日付が経った。
焼き肉を食べに行った翌日に、俺は星見プロダクションのマネージャーとして、グループについての方針転換について、五人に告げた。
それは今の五人でグループを組んでもらうこと。これ以上、メンバーを増やしたり、グループを分けることは考えていないこと。そしてデビューもこの五人で行うということだ。
……みんなを集めることを諦めたと言うと嘘になる。だけど、変わったものがあったように、変わってないものもここにある。ならば、今ここにいるメンバーをこれ以上振り回したくない。そんな気持ちが一番だった。
リーダーやセンターは決めていない。センターに関しては曲に合わせて変えるつもりだということは伝えたが、リーダーに関しては今後も決めない方針を告げた。誰かが引っ張っていくんじゃなくて、このグループはこの五人で進んでいくべきだと、そう思ったから。
それを告げた後、俺たちはいよいよデビューに向けて本格的なアイドル活動を始めた。事務所としてもSNSや広告、報道機関も十全に活用しながら宣伝を進め、沙季たちにもビラ配りやラジオでの宣伝もやってもらった。
反響はぼちぼち。だけど今はそれでいい。少しずつ、一歩ずつ進んでいく。それこそがアイドルだと思うから。
レッスンも専用のコーチを雇い、今まで以上に頑張ってもらっている。初めはついていくのに手一杯だった雫、千紗、すずも少しずつ上達していって、今では全員で合わせて踊れるようになった。俺の前で通しで踊って見せたときは、思わず涙が出そうになったほどだ。
デビューまであまり時間はない。これからは更にクオリティを上げていく必要がある。それは、アイドルだけじゃなく、俺も同様だ。
ステージはどうするか、どういう演出にすればいいか、セトリはどうするか。考えることは色々とある。
だけど不思議とそれらを考えるのは苦じゃなかった。楽と呼べるものではなかったが、悩み込むことはなく、仕事は順調に進んでいった。
そんな最中だった。
時刻は日が落ちてしばらく経った頃。仕事も早めに切り上げ、帰ろうとしていたとき、一通の連絡が入った。
星見プロのグループメッセージ内で、沙季からの連絡だった。
"星見プロダクション新人アイドルプロデュース スペシャルライブステージのご案内!"
そんな言葉とともに、出演するアイドルや開催日と時間、開催場所まで書かれている。まるでライブの宣伝ポスターだ。というか実際にそれをモチーフにしているのだろう。
「悪戯か?」
そう思った途端、追加で通知が入った。
「"精一杯頑張るのでぜひ来てください!"か」
沙季からの連絡というのは気になるが、彼女たちのことだ。悪戯だという線も十分にある。でも。
「マネージャーとして、そんな風に書かれたら行くしかないよな」
ジャケットを羽織り、席を立つ。日時は今日の二十一時からで、場所は星見市の高台のステージだった。