モン娘ゲットだぜ! ~目指せモン娘マスター~ 作:トマトルテ
「お手柄であります! あなたのその正義の心に、本官……感服ッ! いたしました!!」
警帽に手を当て、大きめの胸を張りながらビシッと敬礼をする、黒い犬のお巡りさん。
もとい、婦警の
「見ず知らずの人を、モン娘との絆で助ける……これぞまさしく、モン娘マスターのあるべき姿であります! 素晴らしい! 本当に素晴らしい!」
「わ、私は悪い人が居たから、捕まえただけで……」
黒いショートカットの髪に生えた、尖った耳をピクピクと動かし、黒い瞳を涙でにじませる、ミコト。
だが、アオイの方はミコトのあまりの感激ぶりに、ちょっと引いている。
「謙遜する必要はありません! ブラックカラー団は、モン娘を支配し、道具として扱い、売りさばく悪党……モン娘にとっての脅威! この体に流れる
血の半分。
その言葉に、ココがミコトの黒い肌と黒い耳に目をやる。
人間とは思えない。だが、通常のイヌ娘よりも毛は濃くない。
(もしかして……ハーフ? でも、いきなり聞くのも失礼か)
恐らくは人間とモン娘のハーフだと思うが、初対面で聞くのは失礼かなと自重する、ココ。
「半分? あ、もしかして、ミコトさんはハーフなんで──」
「お口チャァアアック!!」
そして、何も考えずに暢気に聞こうとするアオイの口を肉球で塞ぐ。
「むぐッ!?」
「すいません、マスターはバカなだけなんです。耳とか尻尾を見て、疑問に思っただけなんです」
愛想笑いを浮かべながら、アオイの頭をもう片方の手で小突く、ココ。
悪気が無いからと言って、アイデンティティの問題を軽々しく触れるべきではないのだ。
一応は野生に居たのに、なぜココの方が社会性に富んでいるのだろうか?
「構いません。皆が思うことでしょうから、ですが、本官はハーフではありません」
「え? じゃあ、モン娘ですか?」
「いえ、ハーフではなく──」
ミコトは何かを思い出すように、明るく笑い大きく声を張りあげる。
「──ダブルであります!」
ダブル。
その宣言に、ココは驚いた顔をしてアオイの口につけていた、肉球を離す。
「ダブル? それって、ダブルチーズバーガーとかのダブル?」
「その通りであります! 人間とモン娘で2倍! 嫉妬されることが多くて、困ってしまいます!」
そう冗談を言って、笑ってみせる、ミコト。
何かを吹っ切ったような笑い方だ。
「確かに……耳も尻尾もふわふわで、気持ちよさそう……」
「よければ、耳を触ってみますか?」
「本当!? じゃあ、失礼します」
ミコトは身長がかなり高いため、アオイでは届かないので、しゃがみこむ。
そして、撫でられやすいように帽子を外す。
「では、どうぞ!」
「それじゃあ……うわぁ、ふわふわしてる!」
「自慢の耳でありますから!」
キャッキャッと笑いながら、ミコトの耳を撫でる、アオイ。
「………ボクにも耳があるんですけど?」
面白くなさそうに、鼻を鳴らす、ココ。
「え? ココちゃんも撫でさせてくれるの?」
「い、いや! そうは言って…! ……ますけど」
プイとそっぽを向く、ココ。
だが、その耳は相手が撫でやすいようにペタッと下ろされていた。
「ハッハッハ! 美しい友情でありますな! では、本官はお邪魔にならないように、アオイ殿が捕まえた者達を連れていきますので、これで。しばらくは、調査でダイチシティに残りますので、機会があればまたお会いしましょう。それでは!」
ミコトは、お邪魔虫はさっさと退散するべきとばかりに、気を使ってそそくさと消えていく。
「あ、行っちゃった……」
「何と言うか……前向きな人でしたね」
アオイとココは、その後ろ姿を見つめながら耳を撫でる。
「それから、マスター。知らない人に対して、いきなり耳を撫でたいとかは言わないように。セクハラになりますよ?」
「そ、そうなの?」
「はい。ですので、撫でたい時は……ボ、ボクに言ってください」
頬を赤らめて、独占欲を発揮する、ココ。
そんな様子に、アオイは目をパチクリとさせて、ニッコリと笑う。
「ココちゃんは可愛いね~」
「ッ! だ、黙らないと、もう撫でさせてあげませんよ!」
「ふふ、ごめんね?」
そうして、2人の穏やかな時間は続いていくのだった。
「改めて、助けてくださって本当にありがとうございます…!」
「おかげで、大切な家族が連れていかれずに済みました。何とお礼をしたらいいか……」
「い、いいですよ。人として当然のことをしただけですから……ね、ココちゃん?」
「ボクは警察を呼ぼうとしてましたから、マスターじゃなかったら助けられなかったと思いますよ? まあ、警察の方も、呼べばすぐに来てくれそうな方でしたが」
ブラックカラー団から救出したヒツジ娘。
そんな彼女の自宅で、彼女のマスターから土下座せんばかりの例を受け取る、アオイ。
ミコトにブラックカラー団の下っ端を引き渡した後に、お礼を言いたいと言っていると、ゴウから呼ばれたのだ。
「そうだぜ、嬢ちゃん? 大人としては、危ないことすんなって言わないといけねぇが……1人のマスターとしては、よく悪党をぶちのめしたと言わせてもらうぜ!」
「わ、わ! ゴ、ゴウさんまで……そんなに頭を撫でないでください」
「あ、ボクは遠慮しておきます」
よくやったと、アオイの頭を豪快に撫でるジムリーダーのゴウ。
ヒツジ娘がいなくなったという騒ぎを聞きつけて、捜査に出た所で、アオイがブラックカラー団を倒したという話を、ミコトから聞いたのだ。
因みに、ココの方はゴウに撫でられるのは嫌なのか、サラッと回避している。
「流石は、ユウマが認める天才だな。うちのゴーレム娘を初見で突破出来るやつは、中々いないんだぜ?」
「へ? ユウマさんが?」
褒められたことよりも、その前の名前が気になり、アオイが大きな目をパチクリとさせる。
「おう。お前のことを天才って言ってたぜ。まあ、才能があるのはさっき言った通りだ。自分達の不利も指示で乗り越えるのは、誰にでも出来ることじゃねぇ」
ゴウの誉め言葉はジムリーダーという立場として、実に的確なものだった。
一度戦うだけで、その子の素質などを見抜く。
まさに、職業柄と言っていいだろう。
「で、でも、私達はユウマさんの前で、バトルしたことないよね…?」
「はい。あるとしたら、森で会った時にボクが前に出たぐらいですけど」
しかし、ユウマは違う。
アオイ達がバトルをしている姿を見たことが無いのに、才能があると見抜いたのだ。
その事実に、アオイとココは首を傾げるしかない。
「まあ、あいつは昔からどういう訳か、人を見る目があるからな……。街で見かけたガキを連れてきて、次のジムリーダー候補とか言ったら、本当にジムリーダーになったり。何の変哲もない男を指差して怪しいって言ったら、ブラックカラーの連中だったりな。未来でも見えてんのかって精度だぜ?」
「エ、エスパー…?」
遠い目をしながら、若かりし頃のユウマの謎の行動を振り返る、ゴウ。
まあ、エスパー染みた行動は全て、原作知識によるものなのだが。
原作キャラの名前と顔を覚えておけば、有望株や敵が分かるのだから便利なものだ。
「まあ、流石にチャンピオンになってからは、誰構わずに言うのは、抑えてるみたいだがな。ここまで言うのは、俺も久しぶりに聞いたぜ」
「何でですか? 便利じゃないですか」
「そりゃあ、お前………チャンピオンっていう社会的に影響力のある奴に、悪人って言われたら冤罪でも社会的に不味いだろ? 人を見る目があるって言っても、絶対じゃねぇんだしよ」
「……言われてみるとそうですね」
ゴウの言葉に、ココは少し寒気を感じてしまう。
誰もが知っていて、人気のあるチャンピオンが、あいつは悪人だと言ったらどうなるか?
原作知識で補強されているとはいえ、
足を洗ったかもしれないし、未来に悪人になるだけで今は善良な市民かもしれない。
それを、名指しして気を付けろと言ってしまえば、社会は証拠などなくとも私刑に処してしまうだろう。
酷ければ、それが理由で、原作のような闇落ちをしてしまうかもしれないのだ。
立場が、ユウマの行動を慎重なものに変えさせたのは言うまでもない。
これもまた、ユウマが簡単にチャンピオンを辞めることが出来ない理由である。
「昔から、未来を見ているみてぇなガキんちょだったが……今は、ちゃんと現在を見れる大人になったからな」
「チャンピオンさんに、そんな過去が……」
「ま、今も若い奴の才能を見抜くのは上手いままだ。気張る必要はねぇが、自信を持つのはいいことだぜ? 何せ、最強のチャンピオンのお墨付きだ」
そう言って、ガハハと大きな口で笑う、ゴウ。
カラッとした大地のような性格が良く分かる。
「おっと、話が脱線しちまったな。とにかく、今回のことは本当に助かった。ダイチシティを代表して礼を言わせてもらうぜ」
「あの……お礼と言ってはなんですが、このモン娘リングをどうぞ。ジム巡りをしているなら、これから仲間も増えていくでしょうから、持っていて困るものではないでしょうから」
頭を大きく下げる、ゴウ。
まだ契約の結ばれていない、新品のモン娘リングを差し出す、ヒツジ娘。
「えっと……お礼とかは別に……」
「頂いておきましょう、マスター。かさばるものでもないですし、それに無償では相手も気が病みます」
「そ、そうなのかな? じゃあ、その……ありがとうございます!」
ギュッと指輪を握りしめて、笑顔を返す、アオイ。
その横では、ココも満足そうな顔をしている。
なんだかんだ言って。自分のマスターが認められたことが嬉しいのだ。
まあ、言葉に出すことは滅多にないのだが。
「嬢ちゃん、まだモン娘はココの嬢ちゃんだけか?」
「はい」
「だったら、ついでにタカイ山で新しい仲間を探したらどうだ?」
「タカイ山?」
疑問符を浮かべるアオイに対して、ゴウは町から見える一際高い山を指差す。
「おう。あそこの山には地属性のモン娘が数多く生息してるからな。次はイズミシティに行くんだろ?」
「はい、そのつもりです」
「まあ、その前に探検と称して、町のあちこちを連れ回されましたけど」
素直に頷く、アオイを小突きながらココが呆れたような顔をする。
今回は、結果的に人助けになったが、いつも付き合わされる身からすれば、たまったものではない。
「ガハハ! だったら、いいプレゼントになりそうだな。イズミシティのジムは水属性だ。地属性は水属性に相性がいいからな」
ゴウはだったら、遊べる場所を紹介してやると、豪快に笑う。
「嬢ちゃんの指示能力なら、うちでのバトルみたいに相性差も跳ね返せるだろうが、それでも選択肢があるとないとじゃ大違いだぜ。タカイ山で遊ぶついでに、新しい仲間でも募集してきな」
「あ、そっかぁ……ココちゃんが強いから気にしてなかったけど、ココちゃんって一応火属性だもんね」
「現状だと、全くもって火が使えませんけどね。弱点だけある状態です……嫌になりますよ、ホント」
属性の相性を説明されて、アオイとココは確かにと頷く。
ココの火属性は、風と闇には強いが、地と水には弱いのだ。
のっけから、ハードモードである。
因みに、属性の相性表は下のようになる。
属性| 有利属性| 不利属性 |
────────────────
地属性| 水・火 | 風・闇 |
────────────────
水属性| 火・光 | 地・風 |
────────────────
火属性| 風・闇 | 水・地 |
────────────────
風属性| 地・水 | 光・火 |
────────────────
光属性| 闇・風 | 闇・水 |
────────────────
闇属性| 光・地 | 火・光 |
────────────────
「一応聞いとくが、属性の相性は分かるか?」
「はい。えーと……地は水と火に強い。水は火と光に強い。火は風と闇に強い。風は地と水に強い。光は闇と風に強い。闇は光と地に強い……ですよね?」
「正解だ。よく勉強してるな」
「えへへ、普通のお勉強はそんなに得意じゃないけど、モン娘バトルのことは得意なんです」
地は水を吸い込み、火を消し止める。
水は火を打ち消し、光を反射して歪ませる。
火は風で燃え広がり、闇を照らす。
風は地の上を駆け抜け、水を巻き上げる。
光は闇を晴らし、風を置き去りにする。
闇は光を吸収し、地を飲み込む。
これが属性ごとの相性になる。
もちろん、出力が上がれば水を蒸発させる火も出てくるのだが。
「バトルっていうのは、相性だけで決まるもんじゃねぇが、知ると知らないじゃ天と地の差だ。仲間が見つからなくても、属性の特徴を掴むだけでも役に立つぜ?」
だから、タカイ山に登ってみたらどうだと、ゴウが親切心から告げる。
ゴウもまた人を導く存在。
アオイという才能のダイヤモンドを、磨いてみたくなったのだ。
「よし…! ついでだし、新しいお友達を探しに行ってみよっか! ココちゃんもそれでいい?」
「別に構いませんよ。出来れば、マスターの暴走を止めるストッパー役が居れば、ボクも楽を出来るんですが」
2人に特に断る理由はない。
それを確認したゴウは、ジャンバーのポケットから簡単な書類を取り出す。
「決まりだな。入山許可証は……登山道の入り口に、係の人間がいる。そいつに、俺のサインを書いたこいつを見せれば入れるぜ。じゃあ、良い仲間が見つかるといいな」
こうして、アオイとココは新たな仲間を求めて、タカイ山へと向かうのだった。
「カッカッカ! 随分と精力的に動き回っておるそうじゃのう? ユウマ君」
「………お久しぶりです、サカイさん。わざわざ、こんな所まで来てくださるとは……そちらこそ、ジム経営の方は順調ですか?」
講演会も終わり、一息をついていた俺の下に、豊かな髭を蓄えた老いた男性が尋ねて来る。
闇属性、ヨルノジムのジムリーダー、
またの姿を──
「カッカッカッ! もちろんだとも、君への挑戦権を得ようとする、血気盛んなマスターが今月も何人も押し寄せて来たわい! まあ、権利を得ることが出来たのは、一握りじゃがのう」
──ブラックカラー団のボスだ。
「それはよかった。政治に経済と、サカイさんは顔が広いですから……忙しくて、ジムが疎かになっていないかと心配していました」
「若造が、自分のことを棚に上げて、言うようになったのう。心配ご無用。まだまだ若い者には負けんわい!」
俺の皮肉にも全く動じずに、豪快に笑って見せる、サカイ。
とてもではないが、老人には見えないエネルギーだ。
まあ、実際に見た目通りの老人ではないのだが。
「相変わらず、お歳に見合わない力強さで何よりです。若さの秘訣でもあるんですか?」
「毎日、人を食っておるからのう、カッカッカッ!」
てめえが食ってるのは、モン娘を売り捌いて得た暴利だろうが。
そう言ってやりたいのを、グッと堪える。
「それで……今日は何の御用で?」
「いやいや、仕事で来たのだが近くで、ユウマ君が講演会を行っていると聞いて、冷やかしに来ようと思ってな」
「それはよかった。どうでしたか? 私の『モン娘は家族』だという話は。年寄りの冷や水程度で、冷める熱意ではなかったと思いますが」
冷たい舌戦を繰り広げるが、今の俺に出来るのはそこまで。
「非常に勉強になったわい。これもまた、
俺にあるのは、こいつがブラックカラーのボスだという原作知識だけ。
証拠がないのだ。
巧妙に自分の足がつかないように、部下だけをしっぽ切りして逃げる。
警察を抱き込んで、証拠をもみ消させる。
原作知識にあるアジトも、一定の場所に作らずにすぐに動かすため、見つけづらい。
「サカイさんはモン娘の移動や居住に関する、法案にも一枚噛んでいるとか……」
「おお、知っておったか? モン娘の
(移動の自由は言い換えれば、密輸の自由だろう…! 一般的には正しい法案を作って、それを陰で悪用する……食えない爺だな、本当に)
そもそも、表の顔がデカいので俺以外は誰も疑わない。
疑っても、むしろ被害者面でこんなことは望んでいなかったと、嘘泣きすらする。
そのせいで、俺の権力だけでは強硬的な調査が出来ずに、冷戦状態が続いているのだ。
「ええ、その言葉には賛同しますよ。それで……私の講演会はどうでしたか?」
「うむ。今回は飛び入り参加になってしまったが、周りを見れば講演会に参加しているのは、ほとんどが若い者……いやはや、モン娘が家族とは昔とはずいぶんと常識が変わって来たのう」
「そう言ってもらえると、私も講演会を開いたかいがあったというものです」
サカイの目が細くなる。
笑顔のまま、探るような視線をこちらに向けた。
俺も、笑顔で細めた瞳の奥で睨み返す。
「じゃが……世の中はそう単純ではない。人と居るモン娘はともかく、野生のモン娘は危険な存在。しっかりと
「……一理ありますね」
「君のように『家族』などと甘いことを言っていると、いつか痛い目を見る者が出るやもしれんぞ?」
喧嘩を売っているのか。
それとも、純粋な忠告なのか。
それは分からないが、相手が本気なことだけはその目で分かる。
「……サカイさん」
「なんじゃ?」
俺は笑顔を保ったまま、静かに、しかしはっきりと告げる。
「あなたの意見も一理あると思います。モン娘は危険な力を持った存在……それは間違いありません。ですが、心を通じ合わせることのできる存在なのは、あなたも理解しているはずだ。だから、私はお互いが共存できる世界を諦めたくない……あなたも、
一瞬、サカイの笑顔が凍りつく。
好々爺の仮面が剥がれて、歴戦の猛者の顔が現れる。
「……ほう。若造が、随分と偉そうに」
「偉いですよ、チャンピオンですから」
空気が重くなる。
控室の温度が、急に下がったように感じた。
サカイはゆっくりと立ち上がり、杖を突きながら俺に近づいてくる。
「ユウマ君……君は確かに強い。じゃが、この世界は強さだけで回っているわけではない。大切な“家族”を守るためには、強さ以外も必要……ワシならそれを与えてやることも出来るのじゃが」
そして、俺の耳元で小さく囁く。
こちら側につけ。
そうでなければ、
「私も、もう大人です。与えられるのではなく、与える側に回ったつもりです。強さより大切な芽は、今まさに蒔いている所です」
「カッカッカッ! 楽しみじゃのう、未来の若人が育つ時が。この目で見るのが楽しみじゃわい」
サカイは満足げに笑い、ゆっくりと後ろに下がった。
老人とは思えない、力強さを込めた足取りだ。
「では、また会おう、ユウマ君。……次は面白い土産を持ってくるつもりじゃ」
そう言い残して、サカイは控室から出て行った。
ドアが閉まった後、俺は深く息を吐く。
(……来たな、本格的に。これも原作が開始した影響か? 今までの俺からの牽制を無視して動くつもりか)
ブラックカラー団の動きが、ついに表面化し始めた。
アオイがジム巡りを進めるたびに、奴らとの接触は増えていく。
その理由を俺はさっする。
(
モンスター娘を超えた存在。
神の再来と呼ばれる──ゴッド娘が。
(アオイ……お前が強くなるまで、俺が表舞台で奴らを抑え続ける)
そして、願う。
全てを解決するための、ラストピースへと。
(だから、頼む……俺の代わりに、ブラックカラー団を思う存分ぶちのめしてくれ!)
チャンピオンの激務と立場で、動き辛い俺の代わりに戦ってくれと。
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