仮面ライダージオウ Re:Starting Life in Another World   作:吉野家

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初めて執筆する気まぐれ見切り発車です。


第1話 未来の王

風の音で目が覚めた。

 

木々が揺れている。

 

鳥の鳴き声が聞こえる。

 

見上げれば青空だった。

 

知らない空だ。

 

少なくとも日本ではない。

 

「……」

 

常磐ソウゴはゆっくりと身体を起こした。

 

森の中だった。

 

見たことのない木々。

 

見たことのない景色。

 

そして見覚えのない場所。

 

夢ではない。

 

そんなことはすぐに分かった。

 

ソウゴはまず腰へ手を伸ばす。

 

時空ドライバー。

 

ある。

 

ライドウォッチ。

 

ある。

 

少し安心した。

 

何も失っていない。

 

それだけで十分だった。

 

「異世界かな」

 

呟く。

 

意外と落ち着いていた。

 

未来の魔王。

 

歴史の改変。

 

世界の再創造。

 

そんなものまで経験した後だ。

 

知らない森で目覚めたくらいでは、もうあまり驚かない。

 

ただ。

 

一つだけ気になることがあった。

 

カチリ。

 

胸の奥で何かが引っ掛かった。

 

時計の針が僅かにずれたような感覚。

 

「……?」

 

振り返る。

 

誰もいない。

 

森の中には風の音しかなかった。

 

気のせいかもしれない。

 

そう思ったが、その違和感は妙に記憶に残った。

 

ソウゴは立ち上がる。

 

まず確認しなければならないことがある。

 

この世界で、自分の力は使えるのか。

 

幸い周囲には誰もいない。

 

試すなら今だ。

 

ソウゴは目を閉じる。

 

最初に思い浮かべたのは、一つの未来だった。

 

オーマジオウ。

 

全てのライダーの力を統べる王。

 

かつて恐れた未来。

 

そして最後には受け入れた未来。

 

意識を向けた瞬間だった。

 

世界が軋んだ。

 

風が止まる。

 

森全体が息を呑んだような感覚。

 

空気そのものが悲鳴を上げた気がした。

 

ソウゴは即座に意識を切る。

 

「ダメだ」

 

直感だった。

 

変身はできる。

 

おそらく。

 

だが、してはいけない。

 

それは自分のためじゃない。

 

世界のためだ。

 

この世界はオーマジオウを受け入れられない。

 

そんな確信だけが残った。

 

「じゃあ……」

 

次に思い浮かべたのはグランドジオウだった。

 

黄金の王。

 

平成ライダー達の力を束ねる姿。

 

今度は世界は壊れない。

 

だが。

 

風が騒いだ。

 

森がざわつく。

 

木々が揺れる。

 

歓迎されていない。

 

そんな感覚があった。

 

ソウゴはすぐに意識を切る。

 

「これもまだ早いか」

 

使えない訳ではない。

 

だが今は違う。

 

そんな気がした。

 

最後にジオウⅡを思い浮かべる。

 

未来を掴む力。

 

すると風が吹いた。

 

葉が揺れる。

 

森が僅かにざわめく。

 

グランドほどではない。

 

だが何も起きない訳でもない。

 

世界がこちらを見ているような感覚。

 

「ギリギリかな」

 

使える。

 

けれど歓迎もされていない。

 

そんな立ち位置だった。

 

ソウゴは小さく息を吐く。

 

とりあえず方針は決まった。

 

今は無理をしない。

 

それでいい。

 

その時だった。

 

ふとポケットを探る。

 

そして少しだけ苦笑した。

 

「やっぱり無いか」

 

トリニティウォッチ。

 

そこにあると思った訳じゃない。

 

けれど少しだけ期待していた。

 

ゲイツ。

 

ウォズ。

 

あの力は三人で掴んだ力だ。

 

一人では完成しない。

 

当然だと分かっている。

 

それでも少しだけ寂しかった。

 

脳裏に一人の男の顔が浮かぶ。

 

いつも大袈裟で。

 

いつも騒がしくて。

 

そして誰よりも自分を信じていた男。

 

『祝え!』

 

そんな声が聞こえた気がした。

 

もちろん気のせいだ。

 

この世界にウォズはいない。

 

ソウゴは苦笑する。

 

「元気にしてるかな」

 

返事はない。

 

風だけが木々を揺らしていた。

 

やがて森を抜ける。

 

しばらく歩くと街道へ出た。

 

馬車が走っている。

 

見たことのない服。

 

見たことのない文字。

 

異世界。

 

その可能性はどんどん高くなっていく。

 

ソウゴは人の流れについて歩き始めた。

 

数時間後。

 

巨大な城壁が見えてくる。

 

王都だった。

 

多くの人々が行き交い、市場は活気に満ちている。

 

未来の街とは違う。

 

だが人が生きていることは同じだった。

 

少しだけ安心する。

 

その時だった。

 

カチリ。

 

また違和感が鳴る。

 

今度は森の時より強かった。

 

時計の針が逆回転したような。

 

そんな感覚。

 

ソウゴは立ち止まる。

 

何かがおかしい。

 

ほんの少しだけ。

 

この世界の時間は、自分の知る時間と何かが違う。

 

理由は分からない。

 

だが確かに感じる。

 

その時。

 

「待ってくれ!」

 

大きな声が響いた。

 

人混みの向こう。

 

黒髪の少年が走っている。

 

その先には銀髪の少女。

 

さらにその後ろには、どう見ても柄の悪い男達。

 

ソウゴは状況を見て、小さく息を吐いた。

 

「大変そうだな」

 

迷う理由はなかった。

 

困っている人がいる。

 

それだけで十分だ。

 

未来の王は、人を見捨てない。

 

ソウゴは人混みを抜け、騒ぎの中心へ向かって走り出した。

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