仮面ライダージオウ Re:Starting Life in Another World   作:吉野家

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第2話 銀髪の少女

王都の喧騒を抜ける。

 

人混みの向こうから聞こえる怒鳴り声に導かれるように、ソウゴは路地裏へ足を踏み入れた。

 

そこでは一人の少女が三人の男に囲まれていた。

 

銀髪。

 

紫紺の瞳。

 

年齢は自分と同じくらいだろうか。

 

そして、その少女を庇うように立ちはだかる黒髪の少年。

 

「待て待て待て!」

 

少年は両手を広げていた。

 

どうやら説得するつもりらしい。

 

「話し合いで解決しようぜ!」

 

男達は顔を見合わせる。

 

「誰だテメェ」

 

「知らねぇな」

 

「俺も知らねぇ」

 

少年は一瞬だけ固まった。

 

「いや、俺も知らないけど!」

 

何を言っているんだろう。

 

ソウゴは少しだけ面白いと思った。

 

だが男達は笑っていない。

 

大柄な男が一歩前へ出る。

 

「うるせぇんだよ!」

 

拳が振り上げられた。

 

黒髪の少年の顔色が変わる。

 

避けられない。

 

そう思った瞬間だった。

 

男の拳が止まる。

 

「……あ?」

 

男が間の抜けた声を漏らした。

 

拳を掴まれていた。

 

いつの間にか割って入っていたソウゴに。

 

「暴力はダメだよ」

 

穏やかな声だった。

 

怒っている訳でもない。

 

責めている訳でもない。

 

ただ当たり前のことを言っただけ。

 

そんな口調だった。

 

だが男は腕を引けない。

 

まるで鉄に掴まれているみたいだった。

 

「なんだテメェ!」

 

男が腕を振り払う。

 

ソウゴは素直に手を離した。

 

黒髪の少年が目を丸くしている。

 

銀髪の少女も少し驚いていた。

 

「まだやるの?」

 

ソウゴは男達を見る。

 

その言葉に男達の苛立ちはさらに増したらしい。

 

「ぶっ飛ばせ!」

 

一人が叫ぶ。

 

短剣が抜かれる。

 

棍棒が振り上げられる。

 

どうやら本当に話し合う気はないようだった。

 

黒髪の少年が青ざめる。

 

「武器持ってんじゃねぇか!」

 

今さら気付いたらしい。

 

ソウゴは小さく息を吐いた。

 

そして男達が動く。

 

短剣が迫る。

 

だが当たらない。

 

ソウゴは半歩だけ身体をずらした。

 

短剣は空を切る。

 

勢い余った男はそのまま前へ。

 

その先には棍棒を振り下ろした男がいた。

 

「うおっ!?」

 

「ぎゃっ!?」

 

二人がぶつかる。

 

黒髪の少年が固まった。

 

「え?」

 

ソウゴは特に何もしていない。

 

避けただけだ。

 

今度は大柄な男が殴り掛かってくる。

 

拳。

 

蹴り。

 

乱暴な動き。

 

読みやすい。

 

ソウゴは一歩下がる。

 

男の拳は空振り。

 

さらに半歩。

 

今度は仲間にぶつかる。

 

三人は自分達だけで転びそうになっていた。

 

「な、なんなんだよコイツ!」

 

男達の顔から余裕が消えていく。

 

その様子を見ながら、ソウゴは少しだけ違和感を覚えた。

 

見える。

 

相手が次に何をするか。

 

森でも感じた感覚。

 

王都へ入る前にも感じた感覚。

 

まるで未来の断片が見えているみたいだった。

 

ジオウⅡほど鮮明ではない。

 

だが確かに何かが見えている。

 

「この世界のせいかな」

 

小さく呟く。

 

当然誰にも聞こえない。

 

男達は再び突っ込んでくる。

 

ソウゴは避ける。

 

また避ける。

 

そして避ける。

 

その結果。

 

三人が勝手にぶつかる。

 

転ぶ。

 

怒鳴る。

 

最後には互いを責め始めていた。

 

「テメェが邪魔なんだよ!」

 

「お前だろ!」

 

「俺じゃねぇ!」

 

黒髪の少年がぽかんとしている。

 

銀髪の少女も呆然としていた。

 

やがて大柄な男が舌打ちする。

 

「チッ!」

 

どうやら心が折れたらしい。

 

「覚えてろ!」

 

三人はそう捨て台詞を残し、路地裏の向こうへ消えていった。

 

静寂が戻る。

 

しばらく誰も喋らなかった。

 

最初に口を開いたのは黒髪の少年だった。

 

「いや」

 

一拍置く。

 

「なんなんだよ今の!?」

 

ソウゴは首を傾げた。

 

「避けただけだけど」

 

「避けただけでああなるか!」

 

勢いよくツッコミが飛ぶ。

 

その声に銀髪の少女が吹き出した。

 

慌てて口元を押さえる。

 

だが笑いは止まらないらしい。

 

「ふふっ……」

 

「笑うなよ!」

 

「ご、ごめんなさい」

 

そう言いながらも少し楽しそうだった。

 

ソウゴはそんな二人を見ながら思う。

 

どうやら、この世界に来て最初に出会ったのは変な人達らしい。

 

でも。

 

悪い気はしなかった。

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