仮面ライダージオウ Re:Starting Life in Another World   作:吉野家

31 / 31
第31話 帰る場所

 

盗品蔵の外へ出ると。

 

夜風が頬を撫でた。

 

王都の喧騒も。

 

この時間になれば随分静かだ。

 

「じゃあな」

 

フェルトが振り返る。

 

まず見たのはロム爺だった。

 

言いたいことは山ほどある。

 

だが。

 

結局。

 

何も出てこない。

 

「……行ってくる」

 

ロム爺は少しだけ目を細めた。

 

「おう」

 

それだけだった。

 

それだけで十分だった。

 

フェルトもそれ以上は言わない。

 

次に。

 

スバルを見る。

 

「借りは返したからな」

 

スバルが首を傾げる。

 

「借り?」

 

「助けてもらっただろ」

 

「お前も助けてくれたじゃん」

 

「そうか?」

 

「そうだよ」

 

フェルトは少しだけ考えた。

 

そして。

 

鼻を鳴らす。

 

「ならチャラだな」

 

「おう」

 

スバルが笑う。

 

フェルトも少しだけ笑った。

 

ほんの少しだけ。

 

そして。

 

最後に。

 

エミリアを見る。

 

「それ」

 

エミリアが首を傾げる。

 

「ん?」

 

フェルトはエミリアの手の中の徽章を顎で示した。

 

「今度は無くすなよ」

 

にししっ。

 

悪戯っぽい笑み。

 

エミリアは一瞬ぽかんとした。

 

そして。

 

思わず吹き出した。

 

「言うじゃない」

 

「事実だろ?」

 

「否定できないわね」

 

苦笑しながら。

 

エミリアは徽章を握り締める。

 

「今度は無くさない」

 

「ならいい」

 

満足そうに頷く。

 

そして。

 

フェルトはソウゴへ振り返った。

 

「通りすがりの王様」

 

「ん?」

 

「その変な肩書き忘れんなよ」

 

沈黙。

 

「ぷっ」

 

スバルが吹き出した。

 

「おい!」

 

フェルトが睨む。

 

「いや無理だろ!」

 

スバルが腹を抱える。

 

「通りすがりの王様って何だよ!」

 

「悪くないと思うけど」

 

ソウゴは真面目だった。

 

「乗るな!!」

 

スバルのツッコミが夜道に響く。

 

笑い声が広がる。

 

フェルトは少しだけ口元を緩めた。

 

「じゃあな」

 

それだけ言って。

 

今度こそ歩き出す。

 

ラインハルトも続く。

 

二人の背中が。

 

少しずつ夜の街へ溶けていく。

 

やがて見えなくなった。

 

静寂。

 

「さて」

 

ロム爺が口を開く。

 

「お前さん達はどうする」

 

エミリアは少し考える。

 

そして。

 

ふとスバルを見た。

 

「そういえば」

 

「ん?」

 

「あなた今日泊まる場所あるの?」

 

スバルが固まった。

 

ない。

 

宿もない。

 

金もない。

 

そもそも。

 

異世界に来てから野宿しかしていない。

 

「……ない」

 

「即答ね」

 

エミリアが苦笑する。

 

今度はソウゴを見る。

 

「ソウゴは?」

 

ソウゴも少し考える。

 

そして。

 

「ない」

 

即答だった。

 

「お前もかよ!」

 

スバルが思わず叫ぶ。

 

「そうみたい」

 

ソウゴは首を傾げた。

 

ロム爺が呆れたように鼻を鳴らす。

 

「二人揃ってか」

 

「仕方ないだろ!」

 

「仕方ないね」

 

スバルとソウゴの温度差が酷い。

 

エミリアは少しだけ笑った。

 

そして。

 

決めたように頷く。

 

「だったら」

 

二人を見る。

 

「来る?」

 

「へ?」

 

スバルが固まる。

 

「私の屋敷」

 

エミリアは少しだけ照れ臭そうに笑った。

 

「お礼もしたいし」

 

「今日は色々あったし」

 

「部屋なら空いてると思うから」

 

一瞬。

 

スバルの思考が止まった。

 

そして。

 

ゆっくり理解する。

 

屋敷。

 

エミリアの屋敷。

 

泊まれる。

 

「行く!!」

 

即答だった。

 

食い気味だった。

 

エミリアが少しだけ驚く。

 

「そ、そう」

 

「行く!」

 

「二回言わなくても分かったわ」

 

ロム爺が吹き出した。

 

ソウゴも少し考える。

 

帰る場所はない。

 

断る理由もない。

 

「じゃあ」

 

静かに頷く。

 

「お言葉に甘えようかな」

 

エミリアはほっとしたように笑った。

 

「決まりね」

 

長い夜だった。

 

だが。

 

ようやく終わる。

 

そう思っていた。

 

誰もまだ知らない。

 

その屋敷で待つ騒がしい日々を。

 

そして。

 

これから始まる物語の本当の幕開けを。

 




一旦ここで区切らせてもらいます。この2日でストック全部全力放出したので
続きを考えたりする時間を貰います。ロスワールの口調ムズいし…
もし気になっていただけるのでしたら気長に待っていただければそのうち続きを投下してると思いますので、ふと思い出した頃にでも見に来てくださると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

型月世界で雷の夢のライダー(作者:ALMS913)(原作:Fate/)

投稿しているほうに行き詰まったので書いてみました▼1発ネタ▼感想をだれか俺にくださーい!!!▼正直に言っちゃうと俺Fateにわかなので ▼二次創作から魅力に取りつかれた感じなのでストーリーはある程度分かるんですけど▼細かなとこまではわからないんです ▼だからstaynight編は時間かかると思います


総合評価:373/評価:7.81/短編:8話/更新日時:2026年06月21日(日) 14:54 小説情報

守護の騎士が至る道(作者:匿名希望)(原作:ゼノブレイド2)

ゼノブレイド2にラキアを主人公ポジで登場させてみた…というだけの話です。投稿主の好きなもの×好きなものを合わせて自己満足でやってるだけなので細かいことは言いっこなしでよろしくお願いします。


総合評価:453/評価:8.82/連載:9話/更新日時:2026年03月29日(日) 23:00 小説情報

特別特撮ヲタク 禪院直哉(作者:特撮ヲタク)(原作:呪術廻戦)

直哉が甚爾クンじゃなくて仮面ライダーに脳を灼かれた場合の話。▼「内緒やで?ぶっちゃけダサいと思ってんねん、男が女子供に手を上げるの」


総合評価:412/評価:8.71/連載:1話/更新日時:2026年03月20日(金) 13:42 小説情報

転生先はストマック家でした(作者:白豆男爵)(原作:仮面ライダー)

主人公が転生したのは仮面ライダーガヴの世界。▼しかも転生先はストマック家の本来存在しない三男,ディル・ストマックであった。▼彼の存在はガヴの世界にどう影響を及ぼすのか...▼注)仮面ライダーガヴの本編視聴推奨です。▼追記(6/5):特別編追加に伴い、レジェンドとディケイドのタグを追加しました。


総合評価:490/評価:8.46/連載:11話/更新日時:2026年06月05日(金) 14:39 小説情報

呪術の世界に迷い込んだ、パラディ島の悪魔(作者:ブァッファイ小五郎)(原作:呪術廻戦)

エレン・イェーガーが呪術廻戦の世界に迷い込んじゃう!?▼ひょんなことから始まる、最高の物語!!


総合評価:479/評価:7.71/連載:12話/更新日時:2026年05月10日(日) 09:10 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>