仮面ライダージオウ Re:Starting Life in Another World   作:吉野家

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第6話 夕暮れの追跡

「見つけた」

ソウゴの呟きに、スバルとエミリアが同時に振り返った。

「え?」

「何を?」

ソウゴは屋根の上を見る。

もう誰もいない。

夕日に照らされた瓦屋根だけが並んでいた。

それでも。

確信だけは残っていた。

「たぶん」

「探してる人」

スバルが顔をしかめる。

「また勘か?」

「うん」

「便利だなお前の勘」

あまり褒めているようには聞こえなかった。

エミリアは少し考え込む。

「その人が持ってたの?」

「分からない」

ソウゴは正直に答えた。

「でも」

言葉を探す。

断片的な映像だった。

はっきり見えた訳じゃない。

それでも。

「持ってた気がする」

パックが尻尾を揺らした。

「今は他に手掛かりも無いしね」

「行ってみようか」

エミリアも頷く。

「そうね」

「お願い、案内してくれる?」

ソウゴは再び屋根を見上げた。

「こっち」

三人と一匹は貧民街の奥へ進み始めた。

細い路地を抜ける。

曲がり角を曲がる。

さらに奥へ。

だが。

見つからない。

「いねぇな」

スバルが肩を落とす。

夕日はさらに傾いていた。

空は赤く染まり始めている。

「見間違いだったとか?」

「それはないと思う」

ソウゴは首を振った。

確かに見た。

小柄な影。

金色の髪。

そして何かを抱えていた。

その時だった。

「おい」

低い声が聞こえた。

全員が振り返る。

路地の壁際に一人の男が立っていた。

痩せた男だった。

服は汚れている。

顔色も良くない。

貧民街では珍しくもない。

どこにでもいそうな男だった。

だが。

男の視線がエミリアへ向いた瞬間。

その表情が僅かに歪む。

「……ハーフエルフか」

小さな呟き。

嫌悪。

恐怖。

警戒。

そんな感情が一瞬だけ浮かんだ。

エミリアの表情は変わらない。

慣れているのだろう。

こういう反応には。

男はすぐに視線を逸らした。

「別に絡みたいわけじゃねぇ」

ソウゴは小さく首を傾げた。

今の反応は何だったんだろう。

エミリアは何もしていない。

少なくともソウゴが見ている限りでは。

それなのに。

男は最初から嫌っているような目を向けた。

理由は分からない。

ただ。

あまり気分の良いものではなかった。

「なら話しかけんなよ」

スバルが即座に返した。

男は鼻で笑う。

「金になるなら話は別だ」

そして。

「探し物してんだろ」

エミリアの表情が変わる。

「知ってるの?」

男は答えない。

代わりに指で輪を作った。

金のサインだった。

「情報はタダじゃねぇ」

スバルが頭を抱える。

「出たよ!」

男は肩を竦める。

「こっちも生活してんだ」

その言葉には妙な説得力があった。

エミリアは少し考えた後、小さな銀貨を取り出した。

男の目の色が変わる。

「これで?」

「十分だ」

男は銀貨を受け取った。

そして声を潜める。

「金髪のガキだろ」

空気が変わる。

「最近見た」

スバルが身を乗り出す。

「どこだ!?」

男は路地のさらに奥を指差した。

「盗品を扱ってる場所だ」

「盗品蔵?」

男は頷く。

「盗まれた物が流れ着く場所だ」

「貧民街じゃ有名だぜ」

エミリアは小さく息を吐いた。

「やっぱり……」

「知ってるのか?」

スバルが聞く。

「噂だけは」

エミリアが答える。

「盗品を集めている場所があるって聞いたことがあるの」

パックも頷いた。

「ボクも噂程度にはね」

「行ったことはないけど」

スバルは腕を組む。

「怪しさ満点じゃねぇか」

「盗品を扱ってるんだから当然だろ」

男は呆れたように返した。

その通りだった。

ソウゴは黙って話を聞いていた。

胸の奥で時計が鳴る。

カチリ。

さっき見た金髪の少女。

盗品蔵。

探し物。

バラバラだったものが少しずつ繋がっていく。

そんな感覚があった。

「ありがとう」

エミリアが頭を下げる。

男は少しだけ驚いた顔をした。

こうして礼を言われるとは思っていなかったのだろう。

「……変な奴だな」

小さく呟く。

男は気まずそうに視線を逸らした。

そして。

「行くなら急げ」

ぶっきらぼうに言った。

「日が沈むぞ」

空は既に赤く染まり始めている。

エミリアは頷いた。

「行きましょう」

スバルも拳を握る。

「おう!」

パックはエミリアの肩へ移動した。

三人と一匹は再び歩き出す。

路地の奥へ。

夕暮れの貧民街のさらに奥へ。

胸の奥で時計が鳴る。

カチリ。

今度は少しだけ大きく。

まるで。

運命が待つ場所へ近付いていることを知らせるように。

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