仮面ライダージオウ Re:Starting Life in Another World   作:吉野家

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第8話 金髪の少女

 

カツン。

 

小さな足音が路地に響く。

 

夕日に照らされた細い道。

 

その先から現れたのは、一人の少女だった。

 

金色の髪。

 

小柄な体。

 

動きやすそうな服装。

 

年齢はスバル達より少し下くらいだろうか。

 

少女は歩きながらこちらを見る。

 

そして。

 

固まった。

 

「……は?」

 

第一声はそれだった。

 

視線がエミリアに向く。

 

次にスバル。

 

そしてソウゴ。

 

最後に盗品蔵の扉。

 

少女の顔がみるみる険しくなった。

 

「ジジイ!」

 

少女が怒鳴る。

 

「また厄介事持ち込んでんのか!?」

 

建物の中から怒鳴り返す声。

 

「知らんわそんなもん!」

 

「知らんわけあるか!」

 

随分と仲が良さそうだった。

 

少なくとも初対面ではない。

 

スバルは少女を見ていた。

 

エミリアも。

 

ソウゴも。

 

そして。

 

少女もまた三人を見ている。

 

特に。

 

エミリアを。

 

その視線だけが妙に鋭かった。

 

「お前ら」

 

少女が言う。

 

「何の用だ?」

 

スバルが口を開こうとする。

 

だが。

 

その前にエミリアが一歩前へ出た。

 

「探し物をしているの」

 

少女の目が細くなる。

 

「へぇ」

 

「それで?」

 

「返してほしいものがあるの」

 

空気が変わった。

 

ほんの少しだけ。

 

ソウゴはそれに気付く。

 

少女の表情は変わらない。

 

けれど。

 

肩が僅かに強張った。

 

「知らねぇな」

 

即答だった。

 

速すぎるくらいに。

 

スバルが眉をひそめる。

 

「いや絶対知ってるだろ」

 

「知らねぇって言ってんだろ」

 

少女は睨み返した。

 

火花が散りそうだった。

 

「スバル」

 

エミリアが止める。

 

スバルは不満そうだったが口を閉じる。

 

少女は鼻を鳴らした。

 

「用が無いなら帰れ」

 

そう言って扉へ向かう。

 

慣れた手つきだった。

 

そして。

 

コン。

 

コンコン。

 

コン。

 

独特なリズムで扉を叩く。

 

建物の奥から声が返る。

 

「大鼠に毒」

 

少女は即座に答えた。

 

「白鯨に釣り針」

 

「我らが尊きドラゴン様に」

 

「クソッタレ」

 

ガチャリ。

 

鍵が開く音。

 

スバルが目を丸くした。

 

「あるじゃねぇか合言葉!」

 

「だから言っただろうが!」

 

中から怒鳴り声が飛ぶ。

 

少女は呆れた顔をした。

 

「知らねぇ奴が来る方がおかしいんだよ」

 

正論だった。

 

スバルは何も言い返せない。

 

少女は扉へ手を掛ける。

 

そのまま入ろうとして――

 

止まった。

 

エミリアが見ていたからだ。

 

真っ直ぐに。

 

逃がさないように。

 

少女は舌打ちする。

 

「……チッ」

 

一瞬だった。

 

だが。

 

ソウゴは見た。

 

少女の腰の辺り。

 

布の隙間。

 

紫色の光。

 

ほんの少しだけ覗いたそれ。

 

カチリ。

 

胸の奥で時計が鳴る。

 

屋根の上。

 

金髪の少女。

 

探し物。

 

そして。

 

あの光。

 

断片が繋がる。

 

「持ってる」

 

ソウゴが呟いた。

 

少女の肩が跳ねた。

 

エミリアも振り返る。

 

「え?」

 

ソウゴは少女を見る。

 

「探してるもの」

 

沈黙。

 

少女は数秒固まった。

 

そして。

 

盛大に顔をしかめる。

 

「……なんなんだよお前」

 

それは今日一番の本音だった。

 

建物の中から大きなため息が聞こえる。

 

「フェルト」

 

老人の声だった。

 

「とりあえず入れ」

 

フェルトは頭を抱えた。

 

逃げるべきか。

 

誤魔化すべきか。

 

今からでも走るべきか。

 

そんな顔だった。

 

だが。

 

もう遅い。

 

エミリアは確信している。

 

スバルも気付いた。

 

ソウゴは静かにフェルトを見ていた。

 

フェルトは観念したように肩を落とす。

 

そして。

 

ガチャリ。

 

重い鍵が外れる音が響く。

 

古びた扉が。

 

ゆっくり開いた。

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