ウマ娘プリティーダービー -LEGEND OF TRIZEL- 作:カズノリ
非公式レースを終えて、大人のウマ達に纏い付かれたのを何とか振りほどいたウマ娘の子供––リンクノエポナ––は家に帰るために大人用の肩掛けバッグを肩に掛けながら無人駅まで戻ってきていた。
「ちっ」
ものすごい不機嫌そうに。
別に先程のレースでウマ娘達に纏い付かれたのを気にしている。というわけではない。
単純に探し者が居なかったから、である。
それだけがリンクノエポナを不機嫌にさせる。
「本当にこの時代にいるのかよ?
もし間違っていたら、あの神め。ぜってぇに許さねえ。」
ブツブツと、つぶやきながら電車を待つ。
まだ幼い(現在ななさいのおんなのこ)自分はその分自由に動くことが出来ない。
必ず家に帰らないといけないし、何かあれば両親に連絡をしなければならない。
全く、
不自由だぜ。
と思っているところだが、そんな物は当たり前だし、寧ろ7歳の子供が一人で電車に乗って遠くまでいき、非公式とはいえレースにまで出ている時点でキミの両親はかなり自由にしているんだぞ!と言いたい人は沢山いるだろう。
ちなみにこの子は、自分が小さい子供だから子供料金だし、金を無駄に使わなくて良いなとも考えているので、子供料金が使えなくなったらどんな風に思うのか。
少し、楽しみである。
2時間程かけて、自宅に帰宅した。
電車内での描写?
んなもん、寝てたに決まってらぁ!
近くにいたおっさんが携帯を取り出し、寝ているこの子に向けた瞬間、まるでG1レース中の殺気を放つウマ娘に睨まれて、スゴスゴと離れていったのはまぁ、仕方がないことだ。
本当に良かったな! おっさん!
この子をもし、撮っていたら。
一瞬で目を覚ましたリンクノエポナによってボコられるのは間違いない。
なにせ、自分のテリトリーに触られたりするのが、超絶大っ嫌いなのだ。
しかも子供とはいえウマ娘なので、その一撃は強烈だぞ!
ちなみに、殺気を出してリンクノエポナを守ったウマ娘の女性は、そっとリンクノエポナの隣に起きるまで座っていた事をリンクノエポナは全く知らない。
起きたら隣にウマ娘の女性がいて、にっこりと笑みを浮かべられた。という感想だけだ。
「ただいまーー」
「あら、お帰り、エポナ」
「母さん、ただいま。これ、お土産な」
「あらあら、ありがとう!ここまで行ったのねー。取り敢えずお風呂に入りなさい」
「はーい」
そう言ってでかい肩掛けバッグからお土産を取り出し母親に渡した。
母親は嬉しそうに受け取りお風呂へ促す。
リンクノエポナはお風呂へ行くのを確認すると母親の表情が変わっていき先程リンクノエポナに見せていた笑顔が消え、変わりに心配の色が浮かび上がる。
それはそうだ。いくらウマ娘とはいえ遠くへ行くにしても幼すぎる。
けれど、それを止めることは、出来ない。
「ここまで、行ったのね」
2年前から探し続けている娘の姿は言葉では止まらないだろうし。下手に止めれば家出をするかもしれない。
せめて、お金を渡したい所だが、それは止められてしまった。それも娘に、リンクノエポナに。
彼女の探し物は、自分自身で探したいようで、そのための資金も自分で稼ぐと言われてしまった。
「非公式レースなんて、なくなればいいのに」
ぶつかり合いも有り、怪我は日常茶飯事。
守られるのは妬みや嫉妬のみ。
つまりはプライバシーのみが守られ、復讐からの闇討ちだけがないのだ。
最もそれは大人のウマ娘達であって、子供であるリンクノエポナは目立つ。
レースでバレなくても、会場から出ればバレる可能性が大いにある。
母親は、娘が無事に帰ってくる度にほっと安堵するのだ。
怪我をせずに戻ってきたんだと。
母親自身、娘の探し物がなんなのか見当もつかない。どこにあるのかも分からない。
けれど、母親は夫と決めたのだ。
彼女の好きなようにすると。
だから、信じて待つ。
彼女の探し物が見つかるように。
「ふぅー。母さん、上がったぜー」
「もう、ちゃんと頭を拭きなさい、風邪引くわよ」
「めんどい」
けれど、この時間はとても嬉しい。
娘のために出来ることがあるのだから。
「明日は月曜日だけど、宿題はやった?」
「行きの電車の中でやった」
「電車の中でやるなんて、酔ったりしない?」
「最近は酔わなくなったから、大丈夫」
「そう、なら良かったわ。まだ子供なんだから無理をしたら駄目よ?」
「わかってる。母さん達の約束は守るって」
約束。
それはリンクノエポナと両親の間で決められたリンクノエポナが自由にするためのものであり、リンクノエポナを繋ぐ繋がりだ。
条件付きにする事でリンクノエポナは自由に非公式レースや電車等に乗って遠くまで行くことができる。
そして、条件を付けることで両親は安堵出来るのだ。
「学校はどう?」
「んー、暇だなー」
母親は頭を拭きながら娘に尋ねるもどうやら友達は居ないようだ。
少しがっかりするも、しかし2年前の呆然と学校へ行き。呆然と帰ってくる姿を思い出せば、今はまだいい方なのかもしれない。
「エポナ、」
「ん?」
「・・・いえ、何でもないわ。
さ、ご飯にしましょうか。お父さん、今日は遅くなるって連絡があったから先に食べちゃいましょう」
「あー、父さん遅いんだ。ん!了解」
聞けない。
一体、何を探しているの?なんて。この子が目の前から、いなくなるのではないか?と考えれば聞けない。
聞こうとした時に、とても苦しそうに、悲しそうにしていたら姿を思い出せば、聞くことなんて出来ない。
大丈夫、この子は自分の領域に入りさえしなければ、こうやって話をしてくれる。
それに約束したのだから。
言いたくなったら、言う事。
それが守られている限り、大丈夫だ。
「母さん、また洗濯物入れとくね」
「えぇ。今日も頑張ったわね」
「ん。でも、今日は負けるかと思った」
「そうなの?」
珍しい。
いや、普通は当たり前だろう。
子供が大人達に混ざりレースする。
普通は子供が負けるのは当たり前だ。
しかし、エポナは、リンクノエポナは普通ではない。
大人顔負け、いや、クラシック三冠ウマ娘の称号を獲得した現役ウマ娘と言われても仕方がない程に強い。
自分がG3位しか勝つ事が出来なかったことを考えれば、その強さは想像出来る。
と言っても自分より強いとしか、わからないが。
「そーそー、まぁまた同じレースで出会っても、アタイが勝つけどな!」
「うふふふ、エポナは強いからね、大丈夫ね」
「おう」
この後、母親は娘から携帯電話を受け取り、中を確認した時。
現役時代に有名だった三冠ウマ娘の名前や、元ライバルの名前もあって驚いたのは母親しか知らない。
取り敢えず初日はここまで。
久々に書いたのでおかしなところとかあるかもしれません。
少しずつ、出来るところまで頑張りたいですね。