ウチ、ただの行商人やで? 〜異世界転移した関西弁女子はチートスキルに物申したい〜 作:霧島 高
みんな久しぶりやな。
え? なんのことやて?
そりゃ決まってるやろ。あれからずいぶんと時が経ってもうたからや。肛門に矢がぐさり、とかいうことわざがあるやろ? 矢には返しってのがあってな、抜くのに時間がかかるねん。
きっとその間にいろんなことがあったはずや。
例えばそうやな。間違いのう虎さんチームが4回ぐらいリーグ優勝しとるで。
せやけどもしかしたら、クライマックスシリーズで大ちょんぼして日本シリーズには出られてへん可能性もあるで。たとえばな、あと1アウト取れば初戦から続く悪夢の4連敗を防げたっちゅうのに、ノーボール2ストライクからど真ん中へ投げてしもうて、そのせいで逆転負けを喫してまうとかな。ほんでもってさらにリーグ優勝の立役者である三冠王がポスティングでメジャーリーグへと行ってしもて、大幅戦力ダウンとかいう大変なことになっとるかもしれん。
一応お断りしとくけどな、まるで知っとるかのようやけどあくまでぜんぶまるっきりすべてウチの妄想やからな。向こうの世界の現実では、そんなあほみたいなことにはきっとおそらく絶対なっとらんはずやからな。せやから日本シリーズにちゃーんと出て、そんでそっから日本一にもなっとるはずやねん。知らんけど。
つまり何が言いたいんかいうたら、もしウチが向こうの世界に残っとったら今頃は花の女子大生、いわゆるJDってやつになっとったはずやねん。え? 言い方が古いって? じゃあ今はこいつをいったいなんていったらええん? ジョダイとかか? ライトセーバーでも振り回すんか?
……。
なんて思ったら大間違いやで。
あんな、よう考えてみいや。
ウチの素晴らしい学力をもってしたらな、どないしたら大学なんぞに入れる思うねん。もし入れたとしてもやな、そんなアホみたいな投資はするだけ無駄や。どうせやるんやったらウチの得意な金勘定の専門学校にしとくわ。入れてもらえたかどうかは不明やけどな。
まあ考えても無駄やな。どのみちこっちの異世界にそんなもんあらへんで。
そもそもすでにウチは立派に働いとるわけやからな。
「ねーたん、あれ、なんてよむの?」
「ん、どれのことや?」
「あの、ながーいのがついてるやつ」
「ん? ああ、あれな。ホーンラビットや。文字読まんでも、絵ぇ見たらウチでもわかんで。また毛玉集めの依頼が出とるんやな」
ちゅうわけで本日は、冒険者ギルドの依頼掲示板を冷やかしにきとるで。
あ、勘違いしたらあかん。君ら、たぶん久しぶり過ぎてもう忘れてるやろけど、ウチは冒険者活動なんてしとらんで。
「ねーたん、あっちはなーに?」
「ん~? あれは……なんやっけ……」
そんでもってベビーシッターでもあらへんからな。
ん? 隣にいるんは誰やって?
この子はエリク君や。もはやウチとさほど背丈が変わらんようになってきとる四歳児な。おそるべき異世界人の成長力やな。
へ? 弟かって?
いやちゃうで。そりゃまあ一つ屋根の下でずっと過ごしとるから、血の繋がらへん義理の弟みたいなもんではあるけどな。つまりはオムツしとる頃からの付き合いってことやな。
念のためいうとくけど、ウチがオムツしとったわけとちゃうで? なんせこっちの世界来てからほぼずっとノーパンやからな。シュミーズっちゅうのはそういう下着や。まあ向こうの世界でもたいていノーパンで過ごしとったけどな。
「ねーたん、おしえてー」
「ちょっと待ってや。思い出すで。ええと、パンツ泥棒はアサルトボアや。そんならパンツ泥棒やないほうのちっちゃいイノシシは……何て名前やったかな?」
「あのね、タックルボアだよ、ミリンちゃん」
「あ! ねーね!」
エリク君と仲良く手ぇ繋ぎながら頭をひねっとったら、エミリちゃんがやってきたで。みんなはちゃんと覚えとる思うけど、ウチの居候先であるエドガーはんの長女で、ようするにエリク君のねーちゃんな。
「エミリちゃん、おおきに。せやけど仕事はええんか?」
「大丈夫だよ。朝のラッシュは終わったからね」
確かに周り見たら、ギルドの中に冒険者がほとんどおらんようになっとるな。
「しっかし、もうすっかりベテランさんやなあ」
「あのね、まだ3か月しか経ってないよ?」
さて、もう気付いたやろか。
せや。エミリちゃんは、ものすっごうでっかい乳をしとる。かつてここにおった毛玉ねーちゃんを越える大きさや。ウノーミの街におったスイカップねーちゃんに勝るとも劣らへん。ちなみにその二人は円満退職したで。意味は分かるやろ? 数々の冒険者の夢を打ち砕いたわけや。
「ねーね、すごい!」
そんでもって巨乳っちゅうことは、当然冒険者ギルドの受付嬢になっとるで。つまりここ一帯やと、もはやエミリちゃんに勝てるもんなんて誰もおらへんってことな。
「えへへっ、ありがと。ミリンちゃんも、エリク君のお世話任せちゃってごめんね」
「かまわへんで。せっかくエドガーはんが行商から帰って来たとこなんやし、今日ぐらいパウラさんと水入らずにしたらんとな」
「もう、ミリンちゃん! まるで大人みたいなこと言っちゃうんだから!」
「いや、大人やで? さすがにもう知っとるやろ?」
さて、この異世界での職業事情について、まあだいたい察しとるやろけど解説しとくな。
簡単な話や。別に何も決まりはあらへん。
それなりに大きいなって、ほんで職が見つかったらもう働くで。
せやけど大体の目安は12歳からや。冒険者になれるんがそこからやねん。せやし1月なったら大勢登録しに来よるで。理由は前に言うたやろ。この世界の年齢は数え年方式な。ほんで今はもう4月な。
つまりエミリちゃんはこの1月から冒険者ギルドの受付嬢として働いとるっちゅうわけやな。もう充分胸が成長しとったからな。これからまだ成長するかどうかはしらんで。
そういや、幼馴染こうやんの「ギルドの受付嬢の選考基準は胸の大きさ」っちゅう格言に従うて今まで適当に考えとったけど、これってやっぱりギルマスの趣味なんやろか?
「たぶん違うよ、ミリンちゃん?」
「なんでウチの考えとることがわかるん?」
「心の声、漏れてるよ?」
「……ほんまか。こりゃ気ぃ付けなあかんな。せやけどいつも気ぃ付けてるからもう無駄かもしれんな。それはそうと、なんでちゃうってわかるん?」
「えっと、それは、だってねえ。ふふっ」
「……? まあええけど」
相変わらずイケオジなギルマスのヴィンセントはんもな、そうはいうても男なんやしなあ。男ってのはいくつになっても甘えんぼで、でっかいおっぱい好きのどうしょうもない生き物やしなあ。
けど、よう考えたらヴィンセントはんておいくつなんやろ?
ハリウッドのイケメン俳優フォードさんに激似のヴィンセントはんって、見た目は四十歳ぐらいなんよなあ。出会うてからまったく見た目は変わってへんけど、あれぐらいの歳やとそんなん普通やしなあ。いうても、そろそろ五十歳とかなんやろか。
ってことはやで。万が一にもエミリちゃんといい感じになってしもたら、ものすっごい年の差ってことやん。こりゃもうアダルトチームとヤングチームに分かれて、くんずほぐれつなクイズで対戦せなあかんなってまうで。
ところでウチはどっちのチームなん?
「それはありえないから、安心してね」
「あれ? また心の声漏れてたか? まあ、せやな」
いくらなんでもそりゃ犯罪ってもんや。チョメチョメについては向こうの世界やと13歳未満はダメ絶対で、15歳と17歳やったらええけど、16歳と18歳やったらぶっぶーやねんて。
まあ異世界やしそんなん関係あらへん。
「ねーたん、あれはなに?」
「ん、えっと、あれは……」
という感じにその日の午前は過ぎていくで。
なおエリク君はエミリちゃんを上の姉、ウチのことを下の姉やと思っとる。下ネタの姉ではないで。ともかくエミリちゃんは12歳、そしてその妹であるウチは20歳や。
そんでもって、もうウチはきっぱりと諦めたで。
ハタチになったいうのにやな、ずっと前から一切なんも成長しとらんねん。
そんで来年にはエリク君にも背ぇ抜かされるやろ。さすがに胸は抜かされへん。おんなじサイズや。むこうは男の子やしな。
つまりこれからずっと、ちいこいままや。
これから残りの人生をな、無い胸張って寂しく生きてくしかないねん。
え?
頭はどうなんやって?
そんなんな。
想像にお任せすんで。
さて次の日や。
朝にエッサの街を離れて昼に領都のウノーミまでやってきたで。特に何も起こらんかったわ。まあ魔物避けの設置されとる街道歩いとっただけやのに何かあったとしたら、よっぽどウチの運が悪いってことやからな。行商やっとってそんな問題が起きたことなんて、これまでの異世界人生で一度たりともあらへんからな。
ん? どしたんや君。ポッポの糞攻撃を頭に食らったみたいな顔しとるけど?
ああ! そういうことかいな。
なんでウノーミに来たんか、不思議に思っとるんやな。
そんなんな、仕事に決まっとるやんか。ほら、昨日ウサギ狩りの依頼やらなんやらギルドの掲示板で見たやろ?
せやから、いつも戦う
ほらな? しっかり行商人として仕事しとるやろ?
「ねーちゃん、とりあえず生な! あっ、セクハラちゃうで? 生ビールのことやでっ!」
「もう、キミ、ダメだよ。そんな小さいころからお酒なんて飲んじゃダメ。そんなことしてたらね、将来は私のお父さんみたいに飲んだくれの大馬鹿亭主になって、お母さんから叩きだされてそのまま裏路地で迷子になっちゃうんだからね!」
「いや、知らんがな」
「だから、キミにはビールなんて出せません。そもそも生ってどういうこと?
「なるほど、やっぱり
「だーかーらー! 嘘つかないの!」
「嘘ちゃうで。ほんでもってウチはこの宿の常連やし、なんやったらウチぐらいの背丈しとったちいちゃい頃のあんたのことも知っとるで? なんせおかみさんに頼まれて一緒に遊んだこともあるんやからな」
「……え? 嘘でしょ? あれ、でも、確かにそんなことがあったような……」
「そういや思い出したわ。そんとき
「ちょ、ちょっと待って! お、思い出した、思い出したから! それ以上は口
「わかったんやったらええねん。ともかくな、
「は、はーい」
はあ、まったく。給仕のねーちゃんに酒頼んだらまたこれや。みんなウチのことを子ども扱いしすぎとちゃうか?
「あはは~、小さいと大変ですよね~。昔はわたしも身長が低かったので~、同じようによく間違われました~」
「せやなあ、ソフィアさんはええなあ。なんせ背
さて本日の酒場のテーブル席を囲んどるんは、ぼっちなウチだけみたいな寂しいことではあらへんで。
ポーション屋さんでおなじみ、エルフのソフィアさんがおるで。前にも言うたけど、背の高さは日本人女性ぐらいで、この異世界では小さい方な。
そんでもって昔ながらのちっぱいさんや。デカパイマイスターこうやんの触手は一切反応せーへんってことな。
ん? 触手? こうやんに触手なんてついてへんし、なんか間違っとるような気もすんな。でも間違ってへん気もする。「エルフいうたら触手にからめとられてなんぼや!」って言うとったもんな。
あっ、待って。貧乳なエルフさんやと、なんの見せ場にもならへんやん。ちゅうことはやっぱり間違っとるんかな?
「ですねっ。私もまだ細かったときはよく間違われました」
「せやなあ、ハンナさんはたいへん羨ましいことに、出るとこでとるしなあ」
そんでもってもう一人おるんは、鍛冶屋のドワーフ娘ことハンナさんな。背はなんとウチと同じぐらいなんやけど、ずんぐりむっくりやねん。巨乳マニアこうやんが、思わず飛びつきそうなぐらいには胸があるで。ただし立派なお髭は生えてへん。なんでもあれは男ドワーフにしかないらしいわ。
けどな、立派で色が濃くて太くて長い髭しとるからってな、モテるわけとちゃうらしい。男の思うイケてるってのと、女の思うかっちょいいは別モンやってことや、よう覚えとき。
つまり「こいつを見てみい、どう思う?」「うわっ、でかすぎや。こんなん入らへんわ……」ってやつな?
庭で育てた大玉スイカの話やで。冷蔵庫にも入らへん上に大味で不味かったりすんねん。
「どうぞ……ビール3杯お持ちしました……」
なんでかしらんけど意気消
「ほな、はじめんで~。長寿と繁栄を祝って乾杯や~!」
コンッ、コンッ、コンッ。
まあジョッキが木でできとるからな。金属バットでホームラン打った時みたいな綺麗な音はでーへんわな。ションベン我慢しながらトイレの開かずの扉を激しくノックしてるときみたいな音や。
そういや長寿と繁栄いうたら、あの中指と薬指だけひっつけずに手を開いて掲げるポーズって、どうやってもでけへんよな? カラオケで歌っとるときみたいに小指がぴーんってなるねんな。
なんのことかわからんやて? 実はウチもよーわからんねん。こうやんがそれがお決まりのポーズやって言うとっただけやし。「すたあ」と「LEC」がなんちゃらって。にしきのさんと資格スクールになんや関係しとるんかな?
「でも大丈夫ですっ。ミリンさんはこれから大きくなりますから」
「そうです~、大丈夫です~、これから大きくなっちゃいますから~」
「ん、二人とも、そりゃどういうことや? ウチはもう成長限界なんや思とって、だいぶ前から諦めとるんやけど?」
「えっ? だって、ミリンさんは」
「え~? だって~、ミリンさんは~」
「エルフですからっ」「ドワーフですからね~」
「……へ?」
「えっ?」
「え~?」
……。
え、ちょっと待って?
どういうことなん?
「ミリンさんはドワーフですよ~。ぷは~」
「ミリンさんはエルフですっ。ぷは~」
あっ! さっそく酒場名物の酔っ払い同士の喧嘩みたいなんはじまったで。こりゃ楽しみやな。
そんで、むむむ、って感じで二人が睨み合っとるわ。
「だって~、ミリンさんはこれ以上背が大きくならないんですよ~。ぷは~」
「だって、ミリンさんはこれ以上胸が大きくならないんですっ。ぷは~」
……。
しくしく。
「なあ、二人とも、もうやめてんか? これ以上ウチのために争わんでくれるか? もうウチのライフはゼロやで?」
なんやこう、ウチが人生で一度も使わへんはずの名ゼリフを今ここでもったいなく披露してしもうた気がすんな。
「それで~、結局~」
「どっちが正解なんですかっ?」
おっと矛先が変わってしもて、二人から同時にぐいっと迫られてしもたな。これは困ったな~。これはつまり、どっちか選ばんとこの先には進めへんってことやな~。
でっかいお胸のドワーフさんとちっちゃいお胸のエルフさんかあ。新居に連れ込むのはどっちがええかなあ。やっぱり両方とも――。
「いや、どっちもおうてへんで。ウチはエルフでも、ドワーフでもあらへん。ただのヒューマンやねん」
「そんなわけ~」
「ありませんっ」
「いや、実際にステータス見たらそう書いとるし……」
「わたしたちには~」
「わかるんですっ」
「どうでもええけど、なんで二人はそんな息ぴったりなん?」
「匂いがぷんぷんです~。ぷは~」
「ものすごく匂いますっ。ぷは~」
「うわ、酒くっさ! 二人のほうが臭いわ!」
「ミリンさんからはね~」
「私たちと同じくっ」
「長命種の~」
「匂いがしますっ!」
「ええい、そりゃ長命種やのうて養命酒の匂いや! ほんま適当なこというてからに、この酔っ払いどもめ。もうええわ、こうなってもたらウチも目一杯飲んだるわ! ぷは~っ!」
「あはは~!」
「あははっ!」
「わっはっは!」
……。
「なーんて~、冗談ですよ~。ミリンさんをドワーフだと思ってたのはホントですけど~。ドワーフってね~、みんな同じまーるい顔だから区別つかないんです~」
「エルフも区別つきませんよっ。みんな同じ長い顔ですからね。あっ、私もミリンさんをエルフだって思っていたのは本当ですからっ」
これはあれやな。要するに関西人から見た関東人の顔みたいなもんやな。
え? 外国人とちゃうんやし区別付くやろって? そうやったかな? みんなかぼちゃに見えるけどな。そのほうが面接で緊張せーへんで済むでってセンセが言ってたから、普段からいつも実践してるねん。偉いやろ?
「でも~、それだと~。ミリンさんってあと百年も生きられないんですか~?」
「ええっ!? せっかく仲良くなったのに、悲しいです。なのでもっと生きてくださいよっ!」
「いや、無茶いわんといてくれるか」
そんなわけでな。
真っ昼間から開催中のドキドキ異世界異種族混合女子会選手権やけど、まだまだ始まったばかりなんやで。
「あ、そういえば~、ミリンさん~。ちょっと聞いて良いですか~?」
「ん? なんや?」
「最近ポーションがよく売れてるんですよ~。何か聞いてませんか~?」
「あ~、それな」
みんなもな、このことを不覚にも疑問に思てしもたことが、おそらく生涯でいっぺんぐらいあるやろ。
せや。どうして異世界なマンガやらゲームやと、酒場行ったら情報が集まるんやろかって?
けどなウチはその理由を、なんと知っとるねん。
だってそんなんな、現実世界とおんなじやもんな。
縦縞チームの情報集めようおもたらどこいったらええか考えてみ? そりゃ居酒屋行くんが一番って決まってるやん。なんでかしらんけど誰も知らん裏話がぎょうさん集まってくんで。嘘みたいな話やけど、ホンマやで?
ちなみにな、おかんのやっとったたこ焼き屋でも可能やったで。こりゃもう当然のことやけど、ビールにウィスキー、焼酎にホッピーと各種色々揃えとったからな。ん? なんで両足のっけてぴょんぴょん跳ねて遊ぶおもちゃがおいてるんやって? そりゃホッピングや。
まさかホッピーしらんのか? まあそうかもしれんな。説明しとくと、ホッピーは酒とちゃうねん。焼酎をこいつで割って飲んだらな、やっすいビールみたいな味になるねんで。ちょうど今みんなで飲んどるビールみたいな味やな。
え? あっちでは未成年やったはずやのに、なんでそんなん知ってるんかやて?
そんなもん言えるかいな。乙女の秘密や。
まあしゃーないな。今回だけ特別やで。
ジュースをホッピーで割って大人の味を楽しんでただけな。どんな味なんかいわれてもとても説明できひんから、自分らでホッピー買うてきて試してみるんやな。
「そいつはな、最近モンスター食材の調達依頼が増えとるねんな。そいつが原因やで」
「へ~、そうなんですね~。そういえば~、このまえポーション買いにきた冒険者さんも~、森の奥の湖に行くって言ってました~」
「街から離れた場所で怪我したり毒や麻痺でも食ろうたりしたら、そりゃもう大変やねん。せやしその場で使える各種ポーションがとっても大事やねんな。ほんでウチも仕入れに来たんやで」
「どうしてそんな依頼が急に増えたんでしょうね~。今の時期はグリーンワームもいっぱいいますから~、食材には困らないはずなんですけど~」
「そりゃウチもしらんなあ。ハンナさんはなんや知らんか?」
「……うへ?」
……。
あ、あれ? なんかさっきから喋らへんおもたら、ハンナさんの様子がおかしいで?
「えっとぉ。んん? このまえぇ、領主さんからぁ、おかしな依頼があったんですよぉ」
机の上に顔のっけて横向きながら、とろんとした目つきでなんや喋りはじめたで。こいつは完全に、お口が滑らかな酔っ払いやな。なんやしらんけど、めっぽうエロい感じに仕上がっとるで。
「とってもぉ、おっきな鉄の板をぉ、ぼっこぼっこにしてほしいなんてぇ。あはっ、なんですかねぇ。思いっきり殴っちゃえばぁ、いいんですかねぇ? あいつみたいにぃ、ぼろ雑巾のふにゃふにゃにしちゃえばぁ、いいんですかねぇ?」
……え?
「えっと~、ハンナちゃんはね~、一度結婚で失敗してるんです~。昔の旦那さんが最低なクズ野郎だったんです~」
いやまってなにそれ、どういうことなん?
ちゅうか、今更やけど二人とも何歳なん? 確かだいぶ前にソフィアさんも、これまで何人もの男エルフを篭絡しては捨ててきたとかいうてたはずやで。あれ? そこまで過激なことは言うてなかった気もすんな。
「聞きたいですかぁ? あのくそちん〇ドワーフがぁ、ヒューマンの若い女の子に付きまとって問題になってぇ、ドワーフの国に強制送還された話ぃ」
念押しするけど、今は真っ昼間やからな?
え? なんでそんな時間から、ハンナさんのどろどろでわくわくの昔話やっとるんかやて?
そりゃもう、今が夜やとしたら大問題やからや。
なんせこの酒場兼宿屋に泊まっとるウチはともかく、この二人は家まで帰れへんなってまうやろ? これ異世界の常識な?
あ! あんな、夜なったら治安が悪うなって、二人が放送できひん感じの大変な目におうてまうとか想像しとるかもしれんけど、そういうわけやないねん。
単純に真っ暗になってまうからや。道頓堀でおなじみのネオンサインみたいなキラキラしたもんはな、いくらここが領都やいうても残念やけどあらへんねん。
「あれはぁ、ドワーフの国からぁ、私たちがやってきてすぐのことでしたぁ――」
さて、次の日の朝や。
ウチはさっさと起きて、昨日の昼に行われた大宴会の跡地までやってきて朝ごはん食べたで。もちろんあの後夜ごはんも頂いたし、ウチはいくらでも食べられるねん。
そんでもって朝ごはんついでにトイレでどっちも出してきて、部屋戻ってきてエッサの街へ帰るための身支度中や。
ちなみにな、昨日酔いつぶれて寝てしもたハンナさんは、ソフィアさんが担ぎ上げてお持ち帰りしてったで。
にしてもなあ、かなり重そうなハンナさんを簡単に持ち上げるとか、ソフィアさんってえらい力持ちやねんな。それにハンナさんもな、元旦那のドワーフをけちょんけちょんにしたとか言うてたし、こりゃもうこの街であの2人には逆らわへんほうがええな。
「そういうたら、ハンナさんってドワーフやのに酒はそんな強ないねんな。逆にソフィアさんはめっちゃ強いねんな。せやし、こういうのにあんまり種族は関係ないんかな」
一応いうとくけど、ウチはいくら飲んでも普段通りや。まあ普段から酔っ払ってるようなもんやし、違いがわからんだけかもしれへんけど。二日酔いも全くせーへんで。
ただしこれが不死チートの無駄遣いなんか、元々の体質なんかはようわからん。なんせ向こうの世界で酒なんて飲んだことあらへんからな。
甘酒は飲んだことあんで。けどあれは酒とちゃうからなあ。ほら、ようラブコメマンガで甘酒飲んで「えへへっ、酔っ払っちゃった」とかわけわからんこと言いながら男の子を押し倒すシーンあるけど、あれはもちろんおなごの演技やからな? もちろんそのまま甘んじて受け入れんとあかんで?
「ほんなら、今日はもう用事もあらへんし、さっさとエッサに帰ったろ――」
なんて心の中で呟きながら、宿を出た時やった。
ぶひひーん!
「おっふ」
危ないやんか。あと一歩でよそさんの実りのあらへん恋路を邪魔してまうとこやったで。不死チートがあるから死なへんけどな。
いや、ちゅうことは一歩踏み出して思いっきり蹴飛ばされて派手に吹っ飛んで、ほんですぐ立ち上がって「今日はこのくらいにしといたろ」って言うべきやったやろか?
「まったく歩行者優先や。さっさと免許返納すべきやで」
まあ馬車に運転免許なんてあらへんやろけどな。
けどほんま、どこのどいつやねん。どっかでみたことある模様の描かれとる馬車が、ウチの進路妨害して目の前に止まりよったわ。
「まあええわ。回り込んで向こうへ――」
シュタッ!
おっと、バッタの改造人間さんみたいに見事な着地決めて、御者台におった男性のうちの一人が飛び降りてきたで。なかなかええ感じのチュニックを着とるほうの人や。もう一人おる手綱握っとる人は、ウチとおんなじ感じの庶民用チュニックやな。
お正月の番組でおなじみの歌手のカムイなんとかさんでなくともな、この二人の格付けの差はわかってまうで。もし並んでなかったらウチにはさっぱりわからんかったやろけどな。
「行商人のミリンさんとお見受けします。それでは早速ご同行願います」
「へ? なんやて? ウチなんもしてへんで。バールのようなもんはお持ちやないで。それに未成年ちゃうし、酒もたばこもおっけーや」
これまで小学生や思われて顔見知りのおまわりさんに声かけられたことはなんべんもあるけど、さすがに保護までされたことはあらへんで。危ないし送ったるわ言われて家までいっしょについてきてもろただけや。
「さあ、どうぞ」
有無言わさへん感じにさっさと馬車の扉をあけられて、お子様仕様の階段踏み台までささっと用意されてしもたな。
「いや、まったく行きとうないけど」
「さあ」
「いや、そんなぐいぐい押さんといて?」
「さあ、さあ」
「いや、うん。あんな、もうちょいウチの話を……」
ひょいっ! ぽいっ! ばたん!
……。
いうとくけどな、ウチは快う承諾して自ら乗り込んだんやで?
決して踏み台があっても全く届かんくて、ワキの下に手ぇ突っ込まれて持ち上げられて、ほんでそのまま馬車に放り込まれたんとはちゃうで?
「こりゃまずいな。こいつはまさしく未成年ラスクってやつやな。うまく舌がまわらんくておいしいカリカリの洋菓子になってもたけどな。そういやウチってハタチの大人やった気がすんな。ちゅうことはもしかしてこいつは、ゆかいつうかい怪物くんってやつか」
さてここで問題や。
この馬車に描かれとる針葉樹みたいなマークさんのこと、誰ぞしっとるやろか? ちなみに知らんやつは間違いのうもぐりやからな? けど以前に説明したことなんてあらへんで。なんせ一般常識やからな。異世界転移前に予習しとくんやで?
そんなら答え合わせな。さすがにな、5年もこのあたりで過ごしとるウチやったら、こんなん知っとって当たり前やねん。なんせ、そこらのちっちゃな子どもでもだいたい知っとることやからな。
「とりあえず座っとこ。よっこらせ」
しっかしこうしとるとずいぶん前のことを思い出してまうなあ。あんときはもうちょいしょぼい馬車やったけどな。こっちの豪華な馬車は乗っとるだけでそわそわしてもて、このままやとほんのちょっとちびってまいそうやな。
よう考えたらあんときってウチの隣にヴィンセントはんがおったねんな。それに強制おめかしの刑にも処されてたねんな。それはそれで落ち着かへんかった気もすんで。なんぞ強制イベントらしきもんもあった気ぃするけど、思い出せへんわ。
はあ。一人やとなんや心細いなあ。
「セリン侯爵様は、ウチみたいなんにいったいなんの用やろかいなあ」
ちゅうわけで、馬車は貴族様がお住まいの西地区へとお進みあそばしよるで。
そんで思ってた通り、前に来たことある屋敷まで連れてこられたら、ちょっとした小部屋に案内されたで。
そんでもってここまでウチを連れてきた執事さんに付きまとわれたまんま、しゃあなしで大人しゅう椅子に腰かけて足ぶらぶらさせとったときや。
「そろそろ昼寝でもしてええかなあ。けど、これ今日中に帰れるんやろか。午前様とかさすがに嫌やで。終電には間に合わせたいなあ」
独り言をほんのちょっとばかり呟いてたときのことな。
ババンッ!
「おーほっほっほ! よく来たわね! 待ちくたびれましたわ!」
勢いよう扉を開けて、フリルいっぱいの可愛いべべ着たウチと同じぐらいの背丈の女の子が、広げた扇子を高々と掲げて揺らしながら入ってきたで。なんやろか、あの扇子のヘビのようにのたうっとる動き見とったら、平成の初期な感じがしてくんで。
「いや、そうやない。ここで待っとったんはウチやねんけど」
とりあえず礼儀正しくせなあかんやろし、椅子から降りやな……おっと足届かへんな。確かに座るとき一生懸命よじ登ったわ。なんでこんな高いんやろな? 大人用やろ、これ。幼女にはつらいで。あれ? ウチ、大人……。
「せーの……あっ、おおきに、すんまへん」
しゃあないし、ジャンプ一番飛び降りようとしたら、執事さんにそっと持ち上げられて降ろされたで。
「さぁ、あなたには積もる話がいくらでもありますわ! それはそうと、セバスチャンは部屋の外に出ていなさい」
「承知いたしました、お嬢様。それから何度も申しますが、私はセバスチャンという名ではございません」
「もちろん知っているわ! そんなことはどうでもいいから、早く出ていきなさい」
なんやろ、コントでも見せられとるんやろか。えっと、点数はどこに打ち込んだらええんかな。それかどっかに手書きのフリップみたいなんあるんかな。
うーん? 適当に90点って書いとけばええかな。他の仕込みの審査員がなんとかしよるやろ。
とかなんとか考えてたら扉から執事さんが出ていってしもて、超可愛いモノホン幼女と超ブサイクなニセモン幼女の二人が取り残されてしもたで。
「あのう、そんで、ウチみたいなしょっぼい行商人に、いったいなんのようですやろか」
とりあえず揉み揉みしといたらええかな。あ、勘違いしたらあかんで。両手を自分のおっきなお胸にあてて「だっだーん、ぼよよん、ぼよよん!」ってしとるんとはちゃうで。「だっちゅーの」ってな感じで前かがみになって両手を合わせて揉み揉みしとるだけな。
え? そんな勘違いなんてせーへんわ、このド無乳娘が、やて?
さよか。なるほどなあ。つまり久しぶりにみりんのボトル、君のケツ穴に突っ込んで欲しいんやな? 実はお待ちかねやったんやろ?
「あら、まだわからないの? わたしよ、わ・た・し!」
「いや、そんなオレオレ詐欺みたいなん言われましても……。ちゃんと覚えてまっせ。たしか、ウルスラ様ですやろ?」
たぶん、せやったはずや。4年前にこの屋敷で出会うたブロンドキラキラの1歳児や。それがまあずいぶん大きいなって。おもわず仏壇に手ぇ合わせとうなってまうな。さすがにローカルすぎるかもしれん。おとんの実家に帰った時、そんなCMばっかり流れとったねんな。
「はぁぁぁぁ」
あ、なんかクソでか溜息つかれてもたで。まあ慣れっこや。ガッコのセンセがウチの前でようやっとったわ。小テスト返されるときとかにな。右上あたりに縦長のまるが赤色で書かれてたし、まるってことはつまり合格って意味やのになんでやろな?
「あのね、
……え?
嘘やろ……。
「な、な、ななな。なんやってーーっ!」
まさか……。
まさか!
「ショーコって……誰やっけ?」
ずこーっ!
「ちょっと! あなたねえ……」
いやあ、まるで大阪の人みたいにずっこけて、ほんまええ反応しとるなあ。感動やで。
「いや、ショーコなんて人、ウチの知り合いにはおらんわけやし、そう言われましても……。だいたいおたく、ウルスラ様ですやろ?」
ほんまにな。ショーコってウルスラ様のミドルネームなんかな?
しっかしなんか香辛料みたいな名前やな。みりんとコショーで二人合わせて食卓シスターズみたいな名前になりそうやで。
「はぁぁぁぁ! ああ、でもあなたはそういう子だったわ。誰のせいでこんな子に育っちゃったのかしら?」
なんやろ、同じ背丈で同じような胸の幼女やのに、向こうの方がずいぶん大人のような感じやな。なるほど、これが身分の差ってやつやな。
「まあいいわ! ほら、ショーコといえばショーコよ。つ・ま・り!」
スーパー戦隊モノでおなじみの中川家のしょこたんさんかな。けど車掌さんのモノマネはせーへんで。
「あなたの母親よ!」
……。
「え゙っ……? あ゙っっ……!! お゙っっっ!?」
しもた!
エッチなマンガみたいな声が出てもたで。
お茶の間の皆さん、ご無事やろか?
「あんな、おかん。いや、自分よりちいこい子におかんいうんは、めっちゃ変なんやけどな……」
「大丈夫よ。あなたも同じぐらい小さいわ」
「うるさいわ」
「いえ、むしろあなたのほうが……ちらっ」
「なあ、おかん。どこチラ見して言うたんや? それ自分の娘にしてええことちゃうやろ?」
異世界マンガに慣れ親しんどる君らにはもう詳細な説明なんて一切要らんやろけどな、一応言うとくで。
こっから先は、新タイトル「ウチのおかんやけど、貴族のご令嬢に転生しとったわ」でお送りすんで。もしくは「通常ツッコミが全体ツッコミで二連続ツッコミのおかんってひどいやんな?」でもええわ。
嘘やで? 本気にせんといてや? 今更主人公がブレたりしたら「思ってた展開と違って興醒めです」みたいな心抉る感想がついてまうやろ。そんなん聞いてしもた心の弱いみりんちゃんが、角のついてないウサギみたいにそこらへんで野垂れ死んでしもたらどうすんねんな。
なお不死チートな。
「……まあええわ。ほんで、どうしても一つ聞きたいことがあんねん」
「ええ、言ってみなさい。なにかしら?」
ウチはな、さっきからめっちゃ気になることがあるねん。
ほら、みんなかてどうしても気になってるやろ?
「おかん、なんで関西弁とちゃうん?」
え? そんなんどうでもええって?
なんでやねん。
そのせいでな、おかんがおかんやと全然気付けへんかったんやから、めっちゃ重要やんか。あと虎さんの応援もできんようなってまうやんか。
「ええ、確かに大事ね。でもねえ、喋ろうと思ったらなぜか全部こっちの言葉になってしまうのよ。ほら、わたしが死ぬ少し前だけど一緒に見たアニメがあったでしょ? あれみたいにね」
「ああ、あれのことかいな。公務員のオタクおじさんが、娘のやっとった乙女ゲームの中の悪役令嬢に転生してまうやつな。なるほどなあ、つまりおかんは悪役令嬢転生おばは――」
「みりん?」
「へ? 一児の母なんやし、別にもう――」
「み・り・ん?」
「アッハイ」
うーん、おかんとの感動の再会のせいか、積もり積もった大事な話がいくらでも弾んでまうなあ。このままやとお泊りコースになってしまいかねへんで。
え? そんな話なんていつしたんやって?
してへんかったかな?
「でもね、そんなどうでもいいことより、あなたに大事な話があるわ!」
「おかんが転生してウルスラ様になっとったことって、その程度で済ましてええんか?」
「そんなの今更どうしようもないんだからいいのよ。あなたの胸と同じでね!」
「……いや、さすがにひどないか? 確かにまっ平らなまま、もう大きくなったりはせーへんけどもや」
「ともかく!」
バシン!
おかん、もといウルスラ様が扇子を勢いよう閉じてええ音響かせながら、それをウチに突き付けたで。こらもしかして、あっこから毒針でも飛び出すんかな?
ばっちこいや! そんなもんウチには効かへんで!
「あなたに依頼があるわっ!」
「依頼、やて?」
「ええ、依頼よ!」
「いや、ウチは冒険者やないんやけど」
正確には冒険者やけど、そっちは廃業寸前やねん。
「そんなの知ってるわ! 行商人のあなたに依頼よ!」
バサッ!
天に掲げられた扇子が、勢いよう開いたで。このまま踊り出しそうやな。
「みりん!」
「ごくり」
ウチは息を飲んだふりをしたで。
「この国の各地を周って……いろんな小麦粉を集めてきなさいっ!」
おかんが踊りながらくるりと一周したわ。
「……なあ、おかん、まさか思うけど、やるつもりなんか? 貴族の特権つこうてまで、やるつもりなんか?」
「あたりまえだのクラッカーよ! 目指せ異世界たこ焼き屋! おーほっほっほ!」
腰に手を当てて、扇子は口の前や。ほんで顎をくいっと挙げて、これぞまさしく高笑いやな。
残念やけどいまはまだ幼女やから、まだまだ完璧ではないけどな。
「……タコなんておるんかなあ」
「似たようなもので構わないのよ!」
「適当やなあ」
「チョコレート入れたみりんに言われたくないわ!」
まあしゃあない。おかんには逆らえへんしな。
しかも貴族様やしな、もひとつ逆らえへんもんな。
「それにしても、小麦なあ」
確か、小麦って暖かいところで育てとるんやんなあ。
となるとやなあ。つまりこれは、ついに王都まで行かなあかんっちゅうことやなあ……。
あ~。
「メンドくさ――」
「何か言ったかしら?」
「なんでもないで」
さあ、ついにウチが半強制的に自ら王都へと旅立ってまう!
命からがら辿り着いた王都では、はたしていったいどんな試練がみりんちゃんを待ち受けとるんか!
本当の
これはよーするに、先生の次回作にご期待くださいってことやな。
……嘘やで? たぶんやけど、このまま普通に続くで。
ああ、せやけど、残念やなあ。
イケオジヴィンセントはんとはこれでお別れやなあ。そのほか色んな人含めて、旅立つ前にご挨拶しとかなあかんなあ。
とりあえず、さっさとエッサの街に戻んで! このままここおったら夜になってまうからな!
「あら? 今夜は寝かさないわよ?」
「……へ?」
えっと……こっから先は、もしかして未成年の方にはお見せできひん展開に……。
「覚悟しなさい、みりん。あなたにお説教がたくさんあるわ」
……ウチ、なんもわるいことしてへんで?