「傀儡」と「あなた」 作:サンドローネ、実装おめでとう
…では素晴らしい提案をしましょう、貴方もサンドローネ様推しになりませんか?
見ればわかります、貴方はここを開いた。つまり少なからずサンドローネ様に興味がありますね?
そのツンデレ好き、機械系少女好き、敵組織所属好き、CVによる破壊力、等々etc…、実に良く練り上げられています
サンドローネ様推しになりましょう。そうすればお茶会でキャラ同士の触れ合いを楽しみつつデイリー報酬で追加でお茶を受け取り、新システムの星電導反応や極星フィールドで気持ちよくなれますよ
サンドローネ様推しにならないのなら、コロンビームを放ちます
(猗窩座インストール済マシナリー)
───そういえば、スネージナヤってあんまり娯楽ないよねぇ
研究室。
いつものように器具を用いて機械の整備や山積みの書類仕事に追われている主人の傍らで、手元の備品の修理を一旦止めて、「あなた」は突然顔を上げながら独り言のように呟き出す。
「……急に何よ、暇があるならさっさと手を動かしなさい」
突然の独り言にもまるで当然のように、一切書類仕事の手を止めず、視線も書類に向けたまま呆れ口調で、サンドローネがそう吐き捨てる。
───えー、でも事実じゃん?
「…まあ、それはそうね。で?だから何よ」
別に、スネージナヤは完全なディストピアというような極端に尖ったものなどではない。
しかし、厳冬計画を始めファデュイの他国で行ってきた事などが国内に影響し、国全体で節約や重苦しい空気が常態化している現状、どうしても娯楽という文化は二の次になりがちだった。
そして「あなた」は立場に合わず、時折出張という形で他国の賑わいを直に見て肌で感じてきたからこそ、余計にこの国の物足りなさを実感してしまうのだ。
───いやね?作業の合間とか会議みたいな手を暇にしちゃう時間の時に何か軽く遊べるものがあったら、嬉しいかなーって思ってね
「ふーん…」
少し興味を持ったのか、これまで話していても動いていたサンドローネの書類仕事の手がピタッと明確に止まったのを、「あなた」は見逃さなかった。
───サンドローネはどう思う?なんかそういう時に手を暇にしないもの、欲しくない?
「……まあ、そのくらいならあってもいいんじゃないかしら?」
───! おっけー!わかったありがとう!
質問への返答が返ってきた瞬間、「あなた」は満面の笑みで返事をし、次の瞬間には先程までとは比べ物にならない速度で仕事を終わらせだす。
急な「あなた」のやる気の変化にサンドローネは少し疑問が湧くが、まあどうせくだらないことでも考えたのだろう、とあたりをつけるとすぐサンドローネも目の前の仕事に戻った。
───それじゃ、一足先に失礼します!お疲れ様です!
「…へ!?ちょっと、「あなた」仕事は!?」
───そこのテーブルの端にまとめましたー!確認お願いしまーす!
「あ、そう…いやいやちょっと!?………って、もう行っちゃった。何かやけに早すぎないかしら…?」
「もう……何なのよ、ちょっとくらい話してくれても……、……うそ、本当に終わってる…!?」
その後、数時間もしないうちに「あなた」は爆速で今日の分の仕事を終わらせ、話す時間も惜しいとばかりに目にもとまらぬ速さで退勤し、それにサンドローネは本当に終わらせていたことに驚愕しつつも、退勤際に「あなた」と話すことができず少ししょんぼりしていたのだった。
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「全く、昨日は何だったのかしら……?」
翌朝。
昨日の不満を零しながらサンドローネがプロンニアと共に研究室へ着くと、テーブルの中央にポツンとある見慣れない箱が置かれていた。
その蓋の隙間からは、何か物の一部らしきカラフルなものが僅かにはみ出ているのがわかった。
気になったサンドローネがプロンニアの手からトントンと優雅に降り、自身の手で箱を開けた。
「あら…?」
いくつか手に取ると、そこには研究室で使用する器具や市販の道具のどれにも当てはまらない、全く新しい見た目の物ばかりが置いてあった。
様々な色が不規則に付いている、カチカチと手動で回る正六面体のキューブ型。
複数の金属のパーツがシンプルに見えてかなり高度に絡み合っている構造物。
軽く触れるだけでも非常に柔らかい感触とわかる、強く握るとグニャッと変形する奇妙な弾力のボール。
他にも沢山の多種多様な道具があり、どれも一見すると子どもの玩具のようだが、しかし妙に緻密な計算の元で作られているという事が天才技師である彼女には直感でわかった。
「私、こんなの発注したかしら…」
───お、良かった!おはようございます!
「はいはい、おはよう。…それで?これは何か説明してくれるわよね?」
───ええ、もちろん!
主人からの問いに元気よく答えると、「あなた」は種明かしと言わんばかりに笑顔で道具一つ一つを手に取りながら懇切丁寧に説明しだすのだった。
──────。──────────!
───っていう感じの道具で、これで手の暇を埋めるだけじゃなくてストレス緩和などにも使えますね!
ひとしきり熱弁を振るい終え、「あなた」は満足げに息をつきながら主人に顔を向ける。
しかし、返ってきたのは張り詰めたような沈黙とどこか強張っているサンドローネの表情のみだった。
「………」
───あ、あれ…お気に召しません、でしたか…?
「…なんでもないわ。それで?」
───あ、はい…。そ、それで!これらをサンドローネにあげたいなって…!
ほら、以前会議に出席した際に手元が暇で…って言っていたのを思い出して作ってみたんです!
…ど、どうです?
説明に熱が入りすぎたあまり、「あなた」は目の前の主人の様子にまで気が回っていなかった。
…だが実際のところ、サンドローネが黙り込んでいたのは決して不機嫌だからではなかった。
彼女は「あなた」の説明をしっかり聞き漏らさぬようにしつつも、それ以上に「あなた」が自身のために夜な夜なこれらを作ってくれた、という嬉しさに思考モジュールの大半を占有され、人間で言う完全な上の空状態に陥っていただけだったのだ。
「…はあ、馬鹿じゃないの?全く…そんな事をする暇があるのなら、さっさと今日の仕事に取り掛かりなさい」
───ええっ!?そんなぁ!
「ほら、早くする!書類はプロンニアから受け取りなさい」
───は、はい…
しかし悲しいかな。彼女はそんな内面を見せたくないがために、いつも以上にツンケンとした態度で一蹴してしまったのだ。
当然そんな内面を察することもできない「あなた」は、自身の作品が主人に気に入られなかったと思いまるで某探偵電気鼠の如くしわくちゃ顔になり、そのまましょんぼりとしながらテーブルの端へ道具の箱を除け、仕事の書類を受け取るためにプロンニアのもとへ向かうのだった…。
「…………」
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その日の夜。「傀儡」の自室にて。
サンドローネは、あれから「あなた」が退勤したタイミングを見て研究室から道具が入っている箱だけを持ち帰っていた。
あれだけ表立って一蹴してしまった手前、素直になりづらいというのが彼女の心境だったのだ。
帰る時は普通そうに見えていたし、実は「あなた」はいつもの事だとそんなに気にしていないのかもしれない…とは思いつつも、朝の自身のきつい態度を思い出してしまった彼女は、少し胸を痛めながらも目の前の箱を開ける。
最初に手を伸ばしたのは、柔らかい手触りのボールだった。
「あ、これ…ふふっ、なかなか気持ちいいわね…」
むにむに、ぎゅっ、と不気味なほど変形しつつもしかし立派な弾力を握ったり揉んだりして手のひらで確かめ、朝のトゲトゲとした気分が不思議と融けていくのを感じた。
次にカラフルな正六面体のキューブ型パズルを手に取り、指先でひねってみた。
サクッと吸い付くようにそして
「…?音が、しない…?」
そこで彼女はハッと気づく。
以前、自分が会議から研究室に戻った際に、彼女は「あなた」に対して会議中退屈だったという話をしたこと。
司会や話している者以外は静まり返る会議の場でカチカチと鳴るパズルなんてものを弄れば、当然問題になる。
だから「あなた」は、内部の嚙み合わせを極限まで研磨し、回転音を完全に消した特製品を自分のために作ってくれたのだ、と。
「…バカ。本当に、余計なところで器用なんだから……」
言葉とは裏腹に、彼女は嬉しそうに頬を緩めパズルを大事そうに抱えながら自身のベッドに丸くなったのだった。
最初にレビューを伝えるためだから、などという建前すら綺麗さっぱり消え去り、その表情はまるで長年求めていた玩具を買い与えられた子どものように美しかった。
「ふふっ…♪私の…、私だけの……」
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「────というわけで、本計画はこれより────」
ファデュイ執行官のとある会議の場にて。
サンドローネも「傀儡」として白銀の大礼服で身を包み出席するこの会議の場では、決められた者や発言を許可された者だけが口を開くことを許されている。
そんな私語厳禁の場でありいつもこの後には何かしらの皮肉が飛び交う場でもあるため、相変わらずだと思いつつも彼女はしっかりとプロンニアに議事録作成を忘れず行わせる。
自身でも行えなくはないし実際何度かそうしてはいたが、今の彼女にはそんな事よりも
「何しているの?サンドローネ」
「ひゃっ…!あのね、いちいち驚かせるのはやめなさいっていつも言っているでしょ…ッ!」
突然耳元で喋られ驚くサンドローネと、それをした張本人「少女」──コロンビーナ──。
彼女は声をかけたのも束の間、普段なら声を掛けられる前に何かしらで避けていたはずのサンドローネが気づきもしなかったことを疑問に感じていた。
「珍しいね、私に気付かないなんて」
「……議事録を取っていたら、そうなるでしょう?」
「嘘。その時のサンドローネは、いつも喋っている人を見ている」
「……よく見ているのね」
自身の行動を予想以上に知られていた事に驚きつつも、今日のコロンビーナの鋭さに内心焦りも感じていた。
ひとまず小声で話すことは忘れずにしつつ、なんとかしてこの場を切り抜けようと画策する。
「ねえ、さっき隠していたのは何?」
一瞬、血の気が引く感覚が彼女の中でする。
できる事ならこれを知られたくない。
そう思っている時ほど、物事は上手く運ばないものだと痛感する。
「あら、どうかしたの?コロンビーナにサンドローネ?」
「ふむ、珍しくサンドローネが落ち着かない様子だと思ったが…何かあったのかな?」
気付くと目の前のコロンビーナだけでなく、先程まで会議の方に耳を傾けていたはずの「淑女」シニョーラことロザリンと「召使」アルレッキーノがこちらに視線を向けて話しかけていた。
更に言うと何やら向こうが騒がしいせいか、会議中であるにも関わらず普通の声量で話していた。
「…ああ、会議のことかな?それなら、ほら」
「…?」
自身の表情や内面を読み取られたのか、まるでそうであるように察したアルレッキーノは会議の場の方へ視線を向ける。
すると、そこでは会議の内容に「博士」が口を挟んだことがきっかけでそれに「富者」が便乗し、更に「散兵」が突っかかりそれを「雄鶏」が止めようとして「隊長」が駆り出され、「公子」が戦闘の気配を感じて首を突っ込みに行くという、有り体に言えばもみくちゃ状態になっていた。
「あれでは今日の会議は進まないだろう、と思ってね。珍しく
「そういう事よ。それよりも私も気になるわ、普段真面目な貴女が今日は何にご執心なのかしら?ってね」
「うん、私も知りたいな。…ダメ?」
会議の席を男性陣がめちゃくちゃにした事が幸か不幸か影響し、まるで尋問のような形となってしまったサンドローネ。
好奇の目を向けるコロンビーナとロザリン、そして少し後方で男性陣に呆れつつも聞き耳を立てているアルレッキーノという構図の中で、サンドローネは完全に隠蔽するというのは不可能と判断しつつ、可能な限り足掻くことにした。
「…はあ、ただの暇潰しの道具よ。私の助手が作ってくれたの」
「そうなんだ。それって、前のお茶会でよく話してた子のことだよね?」
「へえ?いいわねそれ、今度連れてきてちょうだいよ!貴女の助手ってことは腕もとても良いだろうし、ちょっとお話してみたいわ」
「ふむ、なるほど…。君が最近ご機嫌なことが多いのもその助手くんの影響、ということか」
「は、はあっ!?そんなの関係ないでしょ!あとお茶会には連れてかないわよ!私だけの助手だもの!!……ハッ!?」
「…サンドローネ、だいたん?」
「ふふっ、いいものが見れちゃったわね」
「ああ。…無論、ここだけの秘密だがな」
「~~~~ッッ!!!忘れなさい!!!」
最終的に執行官の男性陣が総倒れして「隊長」カピターノが回収している中、リンゴのように顔を真っ赤にしたサンドローネの全力の叫び声が会議室に響き渡っていたのだった。
「あなた」→うーん、サンドローネには不評だったなぁ…。
せや!一般販売すれば色んな人のためになるかも!
「傀儡」→ちょっと!?
「少女」→……興味湧いてきた