観測者は青春の物語を見届ける   作:ユーザーA

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機械仕掛けのパヴァーヌ編 第二章 アロナ VS 彩禍マダラ

 

シッテムの箱。

 

 

電子の海。

 

 

先生だけが入れる場所。

 

 

そして。

 

 

アロナの住処。

 

 

 

その日。

 

 

アロナは真剣だった。

 

 

とても真剣だった。

 

 

 

机。

 

 

資料。

 

 

モニター。

 

 

大量のウィンドウ。

 

 

 

「絶対におかしいです!」

 

 

 

叫ぶ。

 

 

 

彩禍マダラ。

 

 

 

その名前が表示されている。

 

 

 

表示されているのに。

 

 

何も表示されていない。

 

 

 

意味が分からない。

 

 

 

アロナは頭を抱えた。

 

 

 

「なんですかこれ!」

 

 

 

「怖いです!」

 

 

 

「気になります!」

 

 

 

「調べます!」

 

 

 

決意。

 

 

 

検索開始。

 

 

 

【彩禍マダラ】

 

 

検索。

 

 

 

結果。

 

 

 

該当なし。

 

 

 

「知ってました!」

 

 

 

アロナは叫ぶ。

 

 

 

次。

 

 

 

【所属】

 

 

検索。

 

 

 

該当なし。

 

 

 

「ですよね!」

 

 

 

【出生記録】

 

 

 

該当なし。

 

 

 

「ですよねぇ!」

 

 

 

【学籍】

 

 

 

該当なし。

 

 

 

【年齢】

 

 

 

不明。

 

 

 

【種族】

 

 

 

取得失敗。

 

 

 

【存在分類】

 

 

 

ERROR

 

 

 

「なんでですか!?」

 

 

 

アロナが机を叩く。

 

 

 

本当に分からない。

 

 

 

普通なら。

 

 

どんな人間でも。

 

 

何かは出る。

 

 

 

少しは。

 

 

何かは。

 

 

 

だが。

 

 

彩禍マダラ。

 

 

 

何も出ない。

 

 

 

存在しているのに。

 

 

存在していない。

 

 

 

矛盾。

 

 

 

完全な矛盾。

 

 

 

「なら!」

 

 

 

アロナは立ち上がる。

 

 

 

「直接観測です!」

 

 

 

 

数秒後。

 

 

 

ミレニアム。

 

 

ゲーム開発部。

 

 

 

先生。

 

 

ユズ。

 

 

モモイ。

 

 

ミドリ。

 

 

アリス。

 

 

 

そして。

 

 

遊びに来ていたユメ。

 

 

マダラ。

 

 

 

平和だった。

 

 

 

本当に平和だった。

 

 

 

アリスがゲームを見せている。

 

 

 

「勇者様!」

 

 

 

「違う。」

 

 

 

「勇者様!」

 

 

 

「違う。」

 

 

 

「勇者様!」

 

 

 

「違う。」

 

 

 

三回目だった。

 

 

 

ユメが笑っている。

 

 

 

その時。

 

 

マダラがふと視線を上げる。

 

 

 

誰も気付かない。

 

 

 

だが。

 

 

マダラだけは気付く。

 

 

 

シッテムの箱。

 

 

 

電子の向こう側。

 

 

 

小さな観測者。

 

 

 

アロナ。

 

 

 

必死に見ている。

 

 

 

「……」

 

 

 

マダラは少し考える。

 

 

 

そして。

 

 

空中へ向かって言った。

 

 

 

「そんなに見るな。」

 

 

 

全員が固まる。

 

 

 

「え?」

 

 

 

ユズ。

 

 

 

「誰と話してるんですか?」

 

 

 

モモイ。

 

 

 

「怖っ。」

 

 

 

ミドリ。

 

 

 

「ホラー?」

 

 

 

アリス。

 

 

 

「幽霊イベントですか!?」

 

 

 

ユメだけが苦笑する。

 

 

 

「あー。」

 

 

 

「気付かれたんだ。」

 

 

 

 

シッテムの箱。

 

 

 

アロナが飛び上がる。

 

 

 

「ぎゃあああああ!?」

 

 

 

椅子から落ちた。

 

 

 

「なんでですか!?」

 

 

 

「なんで分かったんですか!?」

 

 

 

「見えてるんですか!?」

 

 

 

完全にパニック。

 

 

 

そして。

 

 

その瞬間。

 

 

 

初めてだった。

 

 

 

アロナの目の前に。

 

 

 

マダラが現れたのは。

 

 

 

「え?」

 

 

 

アロナが固まる。

 

 

 

シッテムの箱。

 

 

 

本来なら。

 

 

先生以外は入れない。

 

 

 

絶対に。

 

 

入れない。

 

 

 

だが。

 

 

彩禍マダラはそこにいた。

 

 

 

何の前触れもなく。

 

 

 

当然のように。

 

 

 

「こんにちは。」

 

 

 

アロナが硬直する。

 

 

 

「え?」

 

 

 

「こんにちは。」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「挨拶だ。」

 

 

 

「えぇ!?」

 

 

 

混乱。

 

 

 

完全に混乱。

 

 

 

アロナの処理能力が追いつかない。

 

 

 

「なんでいるんですか!?」

 

 

 

「来た。」

 

 

 

「なんで来れたんですか!?」

 

 

 

「来れた。」

 

 

 

「答えになってません!」

 

 

 

マダラは少し考える。

 

 

 

そして。

 

 

珍しく。

 

 

分かりやすく答えた。

 

 

 

「お前達の仕組みを知っているからだ。」

 

 

 

アロナが固まる。

 

 

 

シッテムの箱。

 

 

 

アロナ。

 

 

 

その正体。

 

 

 

全部。

 

 

知っている。

 

 

 

「え。」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「えぇ?」

 

 

 

完全停止。

 

 

 

CPU使用率100%。

 

 

 

処理不能。

 

 

 

マダラは少しだけ笑った。

 

 

 

本当に少しだけ。

 

 

 

「安心しろ。」

 

 

 

「何をですか!?」

 

 

 

「敵ではない。」

 

 

 

アロナは少し黙る。

 

 

 

そして。

 

 

恐る恐る聞く。

 

 

 

「本当に?」

 

 

 

「本当だ。」

 

 

 

即答。

 

 

 

迷いなし。

 

 

 

だから。

 

 

アロナは少しだけ安心する。

 

 

 

だが。

 

 

次の瞬間。

 

 

思い出した。

 

 

 

「待ってください!」

 

 

 

「なんだ。」

 

 

 

「私!」

 

 

 

「本気で解析したんですよ!?」

 

 

 

「そうか。」

 

 

 

「全部失敗しました!」

 

 

 

「そうだろうな。」

 

 

 

即答。

 

 

 

アロナが机を叩く。

 

 

 

「なんでですかー!!」

 

 

 

シッテムの箱に響く悲鳴。

 

 

 

マダラは静かに答えた。

 

 

 

「私は解析されるように出来ていない。」

 

 

 

「そんな人います!?」

 

 

 

「いる。」

 

 

 

「目の前にいました!」

 

 

 

ユメがいたら笑っていた。

 

 

 

確実に。

 

 

 

マダラは少しだけ空を見る。

 

 

 

そして。

 

 

小さく言った。

 

 

 

「だが。」

 

 

 

アロナが首を傾げる。

 

 

 

「お前は面白い。」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「だから嫌いではない。」

 

 

 

アロナが固まる。

 

 

 

数秒。

 

 

 

そして。

 

 

顔を赤くした。

 

 

 

「なっ。」

 

 

 

「ななな。」

 

 

 

「なんですか急にー!!」

 

 

 

 

その日。

 

 

アロナは理解した。

 

 

 

彩禍マダラ。

 

 

 

理解不能。

 

 

 

解析不能。

 

 

 

定義不能。

 

 

 

観測不能。

 

 

 

だが。

 

 

 

悪い人ではない。

 

 

 

それだけは。

 

 

確かだった。

 

 

 

そして。

 

 

パヴァーヌの物語は。

 

 

さらに深く。

 

 

電子の少女達の運命へと進んでいく。

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