観測者は青春の物語を見届ける   作:ユーザーA

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機械仕掛けのパヴァーヌ編 第三章 アリスとケイ、そして観測者

 

夜。

 

 

ミレニアム。

 

 

ゲーム開発部部室。

 

 

明かりは落ちている。

 

 

誰もいない。

 

 

本来なら。

 

 

 

だが。

 

 

そこには一人だけいた。

 

 

 

天童アリス。

 

 

 

机に向かい。

 

 

ゲームを遊んでいる。

 

 

 

「レベルアップです!」

 

 

 

楽しそうだった。

 

 

 

本当に。

 

 

 

しかし。

 

 

その奥底。

 

 

誰にも見えない場所。

 

 

電子の深層。

 

 

 

そこでは。

 

 

別の存在が目を覚ましていた。

 

 

 

ケイ。

 

 

 

アリスの内部に眠る存在。

 

 

 

観測。

 

 

解析。

 

 

記録。

 

 

 

ケイは静かに思考していた。

 

 

 

先生。

 

 

認識済み。

 

 

 

ゲーム開発部。

 

 

認識済み。

 

 

 

ミレニアム。

 

 

認識済み。

 

 

 

脅威判定。

 

 

完了。

 

 

 

そして。

 

 

最後の項目。

 

 

 

彩禍マダラ。

 

 

 

沈黙。

 

 

 

解析開始。

 

 

 

失敗。

 

 

 

再解析。

 

 

 

失敗。

 

 

 

再々解析。

 

 

 

失敗。

 

 

 

ケイが初めて停止した。

 

 

 

理解不能。

 

 

 

あり得ない。

 

 

 

ケイの処理能力なら。

 

 

人間程度は瞬時に理解できる。

 

 

 

神秘ですら。

 

 

分析可能。

 

 

 

だが。

 

 

彩禍マダラ。

 

 

 

理解不能。

 

 

 

観測不能。

 

 

 

分類不能。

 

 

 

危険。

 

 

 

その判定だけが残った。

 

 

 

その瞬間。

 

 

 

「起きているな。」

 

 

 

声。

 

 

 

ケイの処理が停止する。

 

 

 

あり得ない。

 

 

 

今の発言は。

 

 

アリスに向けられていない。

 

 

 

自分に向けられている。

 

 

 

ケイへ。

 

 

 

直接。

 

 

 

アリスが振り返る。

 

 

 

「勇者様!」

 

 

 

そこにいた。

 

 

 

彩禍マダラ。

 

 

 

そしてユメ。

 

 

 

夜の部室。

 

 

 

いつの間にか。

 

 

当然のように。

 

 

立っていた。

 

 

 

「こんばんは。」

 

 

 

ユメが手を振る。

 

 

 

「こんばんはです!」

 

 

 

アリスも手を振る。

 

 

 

平和だった。

 

 

 

だが。

 

 

ケイは違う。

 

 

 

警戒。

 

 

 

最大警戒。

 

 

 

観測不能存在接近。

 

 

 

危険。

 

 

 

危険。

 

 

 

危険。

 

 

 

「ケイ。」

 

 

 

マダラが言う。

 

 

 

完全停止。

 

 

 

アリスが首を傾げる。

 

 

 

「ケイ?」

 

 

 

「うん?」

 

 

 

「誰ですか?」

 

 

 

ユメも少し驚く。

 

 

 

マダラはアリスを見る。

 

 

 

そして。

 

 

静かに言った。

 

 

 

「お前の中にいる。」

 

 

 

アリスが固まる。

 

 

 

「私の中ですか!?」

 

 

 

「そうだ。」

 

 

 

「スライムですか!?」

 

 

 

「違う。」

 

 

 

「妖精ですか!?」

 

 

 

「違う。」

 

 

 

「隠しボスですか!?」

 

 

 

「少し近い。」

 

 

 

ユメが吹き出した。

 

 

 

「ちょっと近いんだ。」

 

 

 

 

その時。

 

 

初めて。

 

 

ケイが応答した。

 

 

 

【何者だ】

 

 

 

機械音声。

 

 

 

無機質。

 

 

 

冷たい声。

 

 

 

アリスが飛び上がる。

 

 

 

「しゃべりました!?」

 

 

 

ユメも驚く。

 

 

 

「本当にいた。」

 

 

 

マダラだけは平然としていた。

 

 

 

【回答を要求】

 

 

 

【何者だ】

 

 

 

マダラは少し考える。

 

 

 

そして。

 

 

答えた。

 

 

 

「観測者。」

 

 

 

【意味不明】

 

 

 

即答だった。

 

 

 

ユメが笑う。

 

 

 

「正しい反応だと思う。」

 

 

 

【危険判定】

 

 

 

【脅威判定】

 

 

 

【理解不能】

 

 

 

【観測不能】

 

 

 

【排除優先対象】

 

 

 

その瞬間。

 

 

空気が変わった。

 

 

 

アリスは気付かない。

 

 

 

ユメは少しだけ目を細める。

 

 

 

そして。

 

 

マダラは。

 

 

笑った。

 

 

 

本当に珍しく。

 

 

 

少しだけ。

 

 

 

「そうか。」

 

 

 

【何がおかしい】

 

 

 

「お前は賢い。」

 

 

 

ケイが停止する。

 

 

 

予想外。

 

 

 

完全に予想外。

 

 

 

「危険だと判断したのは正しい。」

 

 

 

【……】

 

 

 

「だが。」

 

 

 

静かな声。

 

 

 

「安心しろ。」

 

 

 

【?】

 

 

 

「私はアリスを壊さない。」

 

 

 

沈黙。

 

 

 

長い沈黙。

 

 

 

そして。

 

 

ケイは初めて理解する。

 

 

 

この存在は。

 

 

 

敵ではない。

 

 

 

しかし。

 

 

味方でもない。

 

 

 

もっと別の何か。

 

 

 

観測者。

 

 

 

ただ見ている存在。

 

 

 

【理解不能】

 

 

 

最後にそう結論付けた。

 

 

 

マダラは頷く。

 

 

 

「それでいい。」

 

 

 

ユメが苦笑する。

 

 

 

「理解される気ないよね。」

 

 

 

「ない。」

 

 

 

即答。

 

 

 

 

アリスは途中から何も分かっていなかった。

 

 

 

「つまり!」

 

 

 

元気よく立ち上がる。

 

 

 

「ケイさんも勇者パーティーです!」

 

 

 

沈黙。

 

 

 

ユメが吹き出す。

 

 

 

マダラが少しだけ目を閉じる。

 

 

 

ケイの処理が止まる。

 

 

 

数秒後。

 

 

【違う】

 

 

 

即答だった。

 

 

 

その日。

 

 

アリス。

 

 

ケイ。

 

 

そして観測者。

 

 

 

三者は初めて出会った。

 

 

 

そしてケイは知る。

 

 

 

彩禍マダラだけは。

 

 

自分でも理解できないことを。

 

 

 

その事実が。

 

 

後に訪れる選択の時。

 

 

ほんの少しだけ。

 

 

意味を持つことになる。

 

 

 

パヴァーヌの物語は。

 

 

さらに深く。

 

 

電子の少女達の運命へ進んでいく。

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