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夜。
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エデン条約編も終盤。
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先生は戦っていた。
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生徒達も戦っていた。
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それぞれの信念を賭けて。
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それぞれの選択を賭けて。
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そして。
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誰も知らない場所で。
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また一つの対話が行われていた。
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廃墟の屋上。
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月明かり。
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静かな夜。
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黒服。
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彩禍マダラ。
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二人だけ。
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「順調ですね。」
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黒服が言う。
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「そうか。」
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「先生も。」
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「生徒達も。」
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「皆、自分で選んでいる。」
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マダラは空を見る。
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「そうだ。」
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短い返事。
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黒服は少し笑う。
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「貴方の好きな展開ですね。」
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「そうだな。」
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選択。
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それこそが。
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マダラが最も価値を見出しているもの。
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だから介入しない。
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だから答えを与えない。
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だから未来を教えない。
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全ては。
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選ぶため。
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そのはずだった。
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黒服は静かに言う。
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「ですが。」
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沈黙。
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「貴方には一つだけ例外がある。」
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夜風が吹く。
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マダラは何も言わない。
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しかし否定もしない。
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だから黒服は続ける。
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「クチナシ・ユメ。」
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その名前。
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唯一の例外。
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唯一の運命改変。
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唯一の介入。
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「そうだ。」
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マダラは認める。
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隠すつもりもない。
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黒服は少しだけ楽しそうに笑う。
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そして。
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ずっと考えていた問いを投げる。
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「もし。」
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静かな声。
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「もしユメではなく。」
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「先生だったなら。」
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マダラの瞳が僅かに動く。
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「貴方は救ったのですか?」
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静寂。
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風が止まる。
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月だけが見ている。
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長い沈黙。
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黒服は待つ。
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急がない。
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この問いには。
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簡単な答えなど無い。
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やがて。
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マダラは答えた。
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「救わない。」
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即答だった。
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黒服の目が細くなる。
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予想していた。
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だが。
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実際に聞くと重い。
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「何故です?」
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「先生だからだ。」
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短い答え。
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だが。
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黒服には理解できない。
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「それは理由になりますか?」
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「なる。」
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マダラは空を見る。
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遥か遠く。
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誰にも見えない未来を見るように。
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「先生は選ぶ者だ。」
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「ええ。」
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「救われる者ではない。」
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黒服は黙る。
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「先生は何度も失う。」
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「何度も苦しむ。」
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「何度も後悔する。」
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「何度も間違える。」
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静かな声。
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未来を知る者の声。
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「だが。」
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「それでも進む。」
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「だから先生なんだ。」
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黒服は理解する。
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マダラは先生を特別視している。
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だが。
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それは愛情ではない。
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敬意だ。
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観測者として。
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選択し続ける者への敬意。
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「なるほど。」
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黒服は小さく頷く。
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「では。」
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「先生が死ぬ未来があったとしても?」
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「介入しない。」
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迷いがない。
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一切。
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「先生自身が選んだなら。」
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「私は止めない。」
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残酷なほど。
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徹底している。
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だからこそ。
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ユメだけが異常だった。
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黒服は静かに言う。
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「ますます分からない。」
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マダラは少し笑った。
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「何がだ。」
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「何故ユメだったのか。」
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それこそ。
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最大の謎。
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先生ではない。
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ミカでもない。
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ホシノでもない。
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セイアでもない。
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ナギサでもない。
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何千何万の人間がいたはずだ。
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それなのに。
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何故ユメだったのか。
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黒服には分からない。
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マダラはしばらく黙る。
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そして。
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珍しく。
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本当に珍しく。
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少し困ったように笑った。
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「分からない。」
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黒服が固まる。
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「……は?」
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「分からない。」
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繰り返す。
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「理由は無い。」
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「理屈も無い。」
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「説明もできない。」
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「ただ。」
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そこで言葉が止まる。
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そして。
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静かに続ける。
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「救いたかった。」
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その一言。
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黒服は目を閉じる。
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ああ。
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やはりそうか。
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結局。
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それなのか。
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色彩と同格の存在。
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永遠の観測者。
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世界の外側の存在。
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そんなものですら。
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最後に動かしたのは。
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理論ではなく。
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感情だった。
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「愚かですね。」
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黒服が笑う。
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心から。
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「そうかもしれない。」
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マダラも否定しない。
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「ですが。」
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黒服は空を見る。
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「少し安心しました。」
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「何故だ。」
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「貴方も同じだった。」
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「同じ?」
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「ええ。」
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黒服は笑う。
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「結局。」
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「人を動かすのは感情だ。」
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「神秘でも。」
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「恐怖でも。」
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「理論でもない。」
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「感情だ。」
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静かな夜。
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誰もいない世界。
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そこで。
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観測者と探究者は。
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同じ空を見上げる。
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やがて。
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黒服は立ち上がった。
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「行くのか。」
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「ええ。」
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「忙しいので。」
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「そうか。」
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最後に。
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黒服は振り返る。
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そして。
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小さく笑った。
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「彩禍マダラ。」
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「なんだ。」
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「先生は救わない。」
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「そうだ。」
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「ユメは救った。」
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「そうだ。」
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「ならば。」
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黒服の笑みが深くなる。
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「次の例外は現れるのでしょうか。」
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沈黙。
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マダラは少し考えた。
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そして。
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空を見上げる。
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月。
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星。
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そして。
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遥か遠く。
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家で待つ少女。
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「現れない。」
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優しい声だった。
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「私の例外は。」
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「最初で最後だ。」
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黒服は笑う。
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本当に満足そうに。
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そして去っていった。
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一人残されたマダラは。
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しばらく空を見上げる。
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やがて。
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小さく呟いた。
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「……帰るか。」
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観測者ではなく。
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ただ。
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帰る場所を持つ一人の少女として。
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夜の中へ歩き出した。