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色彩は近付いていた。
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確実に。
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静かに。
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逃れられない終焉として。
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キヴォトス全域が不安に包まれている。
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先生も休む暇は無かった。
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シャーレ。
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深夜。
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机の上には大量の資料。
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報告書。
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観測データ。
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異常現象記録。
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先生は一人だった。
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「……」
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疲れている。
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だが。
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止まれない。
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守るべきものがある。
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救うべき生徒達がいる。
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その時だった。
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コンコン。
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扉を叩く音。
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こんな時間に。
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先生が顔を上げる。
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「どうぞ。」
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扉が開く。
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現れたのは。
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彩禍マダラ。
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そして。
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クチナシ・ユメ。
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先生は少し驚く。
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「珍しいね。」
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「そうか。」
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マダラはいつも通り。
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ユメは軽く手を振る。
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「こんばんは。」
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「こんばんは。」
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静かな空気。
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だが。
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先生は気付いていた。
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ずっと前から。
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違和感に。
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最初は。
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変わった万事屋だと思った。
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少し不思議な少女。
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その程度だった。
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だが。
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知れば知るほど。
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おかしい。
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知っている。
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知り過ぎている。
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先生のことを。
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世界のことを。
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未来のことを。
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そして。
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何より。
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恐れていない。
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色彩を。
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終焉を。
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全てを。
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まるで。
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もっと大きな何かを見てきたように。
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先生は静かに聞く。
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「マダラ。」
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「なんだ。」
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「君は何者なんだ?」
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沈黙。
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ユメが少しだけ先生を見る。
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ついに聞いたか。
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そんな顔だった。
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マダラは少し考える。
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そして。
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答えない。
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「重要か。」
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逆に問う。
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先生は少し考える。
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そして。
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首を横に振った。
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「いや。」
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本当にそうだった。
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正体は気になる。
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だが。
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本質ではない。
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マダラが何者であれ。
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今まで見てきたものは変わらない。
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その答えに。
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マダラは少しだけ笑った。
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本当に少しだけ。
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「そうか。」
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そして。
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窓の外を見る。
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夜空。
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遥か遠く。
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迫り来る終わり。
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色彩。
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「先生。」
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珍しく。
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マダラの方から話を始めた。
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先生も表情を引き締める。
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ユメも黙る。
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空気が変わった。
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「一つ聞く。」
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静かな声。
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「もし。」
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風が吹く。
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夜が揺れる。
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「全てを失うとしても。」
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先生は黙る。
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マダラは続ける。
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「それでも。」
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「お前は選ぶのか。」
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静寂。
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部屋が静まる。
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それは。
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ただの質問ではなかった。
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試している。
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観測している。
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先生を。
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その本質を。
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先生は考える。
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色彩。
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生徒達。
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アロナ。
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プラナ。
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仲間達。
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失う。
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全部。
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本当に全部。
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その可能性はある。
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むしろ高い。
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だが。
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それでも。
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先生は答えた。
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「選ぶよ。」
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即答だった。
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迷わない。
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一切。
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マダラは黙る。
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先生は続ける。
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「結果は分からない。」
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「失敗するかもしれない。」
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「間違えるかもしれない。」
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「誰も救えないかもしれない。」
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静かな声。
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だが。
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強い声。
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「それでも。」
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「選ばない理由にはならない。」
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沈黙。
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長い沈黙。
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やがて。
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マダラは目を閉じた。
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そして。
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ほんの少しだけ。
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笑った。
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ユメですら滅多に見ない笑み。
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優しい笑み。
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どこか。
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安心したような笑み。
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「そうか。」
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それだけ。
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それだけだった。
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だが。
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先生には分かった。
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今。
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何かを認められた。
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そんな気がした。
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ユメが苦笑する。
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「満足した?」
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「ああ。」
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即答。
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先生は首を傾げる。
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意味が分からない。
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だが。
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ユメには分かる。
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長い時間。
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永遠にも近い時間。
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見続けてきた観測者が。
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今。
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少しだけ安心したのだ。
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帰り際。
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扉の前。
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先生が呼び止める。
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「マダラ。」
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「なんだ。」
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「君は。」
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少し迷って。
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そして聞く。
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「色彩を知っているんだね。」
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沈黙。
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ユメが少し目を閉じる。
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先生は見逃さない。
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やはり。
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何かある。
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マダラは扉へ手を掛ける。
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そして。
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振り返らずに言った。
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「知っている。」
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先生の瞳が揺れる。
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「どれくらい?」
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数秒。
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静寂。
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そして。
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返ってきた答え。
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「お前より。」
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「ずっと前から。」
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扉が閉じる。
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先生は動けなかった。
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ユメとマダラの姿が消える。
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残されたのは。
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疑問。
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違和感。
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そして。
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確信。
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彩禍マダラは。
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ただの万事屋ではない。
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おそらく。
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色彩と同じ場所を見ている。
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あるいは。
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それ以上の場所を。
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そして。
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誰にも辿り着けない家へ帰る途中。
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ユメが笑った。
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「珍しいね。」
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「何がだ。」
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「先生のこと。」
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マダラは少し考える。
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そして。
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夜空を見る。
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迫る終焉。
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それでも進む人々。
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そして。
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選び続ける一人の先生。
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「そうだな。」
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小さな声。
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「少しだけ。」
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「期待しているのかもしれない。」
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それは。
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永遠の観測者が。
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初めて零した本音だった。
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そして。
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最終決戦の時は。
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もう目前まで迫っていた。