観測者は青春の物語を見届ける   作:ユーザーA

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最終編 ― あまねく奇跡の始発点 第五章 色彩降臨

 

空が割れた。

 

 

それは比喩ではない。

 

 

本当に。

 

 

空が割れた。

 

 

 

キヴォトス全域。

 

 

誰もが空を見上げていた。

 

 

 

生徒達。

 

 

先生達。

 

 

連邦生徒会。

 

 

ゲマトリア。

 

 

全ての存在が。

 

 

 

異常を理解した。

 

 

 

来た。

 

 

 

ついに。

 

 

 

色彩。

 

 

 

終焉。

 

 

 

世界の終わり。

 

 

 

空を覆う異様な光。

 

 

 

現実そのものが軋む。

 

 

 

神秘が震える。

 

 

 

恐怖が揺らぐ。

 

 

 

世界が悲鳴を上げる。

 

 

 

そして。

 

 

先生は立っていた。

 

 

 

シャーレ。

 

 

 

窓の向こう。

 

 

 

迫り来る終わりを見る。

 

 

 

恐怖はあった。

 

 

 

不安もあった。

 

 

 

だが。

 

 

逃げない。

 

 

 

生徒達がいる。

 

 

 

守るべきものがある。

 

 

 

だから。

 

 

進む。

 

 

 

その頃。

 

 

シッテムの箱。

 

 

 

アロナは震えていた。

 

 

 

「来ました……」

 

 

 

声が小さい。

 

 

 

いつもの元気が無い。

 

 

 

プラナも黙っている。

 

 

 

理解している。

 

 

 

相手が何なのか。

 

 

 

どれほど恐ろしいのか。

 

 

 

それでも。

 

 

逃げられない。

 

 

 

先生と共に立つ。

 

 

 

それが二人の選択だった。

 

 

 

 

そして。

 

 

ゲマトリア。

 

 

 

黒服は空を見上げていた。

 

 

 

仮面越しでも分かる。

 

 

 

興奮している。

 

 

 

恐怖している。

 

 

 

歓喜している。

 

 

 

色彩。

 

 

 

彼が追い続けた存在。

 

 

 

答え。

 

 

 

終焉。

 

 

 

到達点。

 

 

 

「ついに。」

 

 

 

小さく呟く。

 

 

 

だが。

 

 

その時。

 

 

 

背後から声がした。

 

 

 

「騒がしいな。」

 

 

 

黒服は振り返らない。

 

 

 

分かっている。

 

 

 

誰か。

 

 

 

彩禍マダラ。

 

 

 

「来ましたね。」

 

 

 

「ああ。」

 

 

 

二人は並んで空を見る。

 

 

 

色彩。

 

 

 

終焉。

 

 

 

世界の敵。

 

 

 

そして。

 

 

観測対象。

 

 

 

しばらく沈黙。

 

 

 

やがて。

 

 

黒服が問う。

 

 

 

「介入しないのですか。」

 

 

 

静かな問い。

 

 

 

何故なら。

 

 

マダラなら終わらせられる。

 

 

 

色彩を。

 

 

 

簡単に。

 

 

 

少なくとも。

 

 

黒服はそう考えていた。

 

 

 

だが。

 

 

返ってきた答えは。

 

 

 

「しない。」

 

 

 

即答。

 

 

 

迷い無し。

 

 

 

「何故です。」

 

 

 

「先生がいる。」

 

 

 

黒服は苦笑する。

 

 

 

予想通りだった。

 

 

 

本当に。

 

 

 

どこまでも。

 

 

 

変わらない。

 

 

 

「先生が負けても?」

 

 

 

「選んだなら。」

 

 

 

「世界が滅んでも?」

 

 

 

沈黙。

 

 

 

数秒。

 

 

 

そして。

 

 

「それも選択だ。」

 

 

 

黒服は黙る。

 

 

 

残酷だった。

 

 

 

あまりにも。

 

 

 

だが。

 

 

同時に。

 

 

美しくもあった。

 

 

 

観測者。

 

 

 

最後まで。

 

 

 

観測者。

 

 

 

それが彩禍マダラ。

 

 

 

 

誰にも辿り着けない家。

 

 

 

ユメも空を見ていた。

 

 

 

不安そうに。

 

 

 

珍しく。

 

 

本当に珍しく。

 

 

 

「大丈夫かな。」

 

 

 

誰のことか。

 

 

聞かなくても分かる。

 

 

 

先生。

 

 

 

アロナ。

 

 

 

プラナ。

 

 

 

生徒達。

 

 

 

みんな。

 

 

 

マダラは隣に立つ。

 

 

 

そして。

 

 

静かに答える。

 

 

 

「分からない。」

 

 

 

ユメが少し驚く。

 

 

 

「珍しい。」

 

 

 

「そうか。」

 

 

 

「大丈夫って言わないんだ。」

 

 

 

「分からないからな。」

 

 

 

嘘は言わない。

 

 

 

未来を知っていても。

 

 

 

結果は知っていても。

 

 

 

選択の価値だけは。

 

 

 

最後まで分からない。

 

 

 

だから。

 

 

観測する。

 

 

 

見届ける。

 

 

 

それがマダラ。

 

 

 

ユメは少しだけ笑った。

 

 

 

「でも。」

 

 

 

「?」

 

 

 

「期待してるんでしょ。」

 

 

 

沈黙。

 

 

 

マダラは答えない。

 

 

 

だが。

 

 

ユメには分かった。

 

 

 

長い付き合いだ。

 

 

 

誰よりも。

 

 

 

知っている。

 

 

 

この観測者が。

 

 

 

今。

 

 

ほんの少しだけ。

 

 

 

先生を信じていることを。

 

 

 

 

その頃。

 

 

色彩は世界を見ていた。

 

 

 

先生。

 

 

 

アロナ。

 

 

 

プラナ。

 

 

 

生徒達。

 

 

 

全てを。

 

 

 

そして。

 

 

もう一つ。

 

 

 

彩禍マダラ。

 

 

 

世界の外側。

 

 

 

観測者。

 

 

 

理解不能存在。

 

 

 

色彩は認識する。

 

 

 

マダラは動かない。

 

 

 

介入しない。

 

 

 

戦わない。

 

 

 

止めない。

 

 

 

ただ見ている。

 

 

 

その事実を。

 

 

 

そして。

 

 

色彩は初めて。

 

 

 

疑問を持つ。

 

 

 

何故。

 

 

 

何故そこまでして。

 

 

 

選択に価値を見出す。

 

 

 

理解できない。

 

 

 

だが。

 

 

興味深い。

 

 

 

色彩と観測者。

 

 

 

終焉と永遠。

 

 

 

二つの超越存在は。

 

 

同じ世界を見ていた。

 

 

 

そして。

 

 

運命の時は近付く。

 

 

 

先生が選ぶ。

 

 

 

生徒達が選ぶ。

 

 

 

アロナが選ぶ。

 

 

 

プラナが選ぶ。

 

 

 

全てが。

 

 

 

奇跡へ向かって。

 

 

 

静かに動き始めていた。

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