やぁ!僕はただの喋るお花さ! 作:防御率三割
もしも………生きる意志のないものに神秘を入れたらどうなる?
私はそんな好奇心に駆られました。
いつものことです。単に興味が出ただけ。
人の髪や爪が伸びたり、魚が呼吸をする時に水を吸うのと同じ様に。これが、研究者としての性というものでしょう。
早速、私はある被検体を用意しました。
あの暁のホルスの同級生である生徒。
あの生徒会長が砂漠で川を渡った後、あの2人は世界が終わったかの様な顔をしていましてね。
暁のホルスをこの実験に使うのは惜しい。なので、私はもう一方の生徒を使うことにしました。
どうやら、暁のホルスと喧嘩をしてしまったようで、光を失っていた目は更にひどいものとなっていました。
そこで、私は一つ提案をしました。ええ、貴方が断れないような提案を一つ。
それは、「アビドス高等学校の借金を半分肩代わりする代わりに、私に貴方の所有権を完全に渡す」というもの。
言いやすくすると、借金を肩代わりする代わりにモルモットになって欲しいということです。
彼は二つ返事でそれを了承しました。
人というものは、自暴自棄になってしまうとこのような提案にものってしまうものなのかと、認識することができた瞬間でしたね。
その後、私は彼の神秘を実験室にて抽出し、それを花に注入しました。
最初は何も変化が無く、コレは失敗かと思いました。
ですが、しばらく経った後、花の形が歪みはじめました。
それはまるで苦しむように形を歪め、最終的には金色の花を咲かせ、大きい花になりました。
すると、その花に顔が出たのです。
私はその様にすさまじい興味深さを感じました。
その花は辺りを見渡していました。そして、私を見るなり、こう話しかけました。
「ハロー?ここはどこかな?」
彼……いや、それの様子を見るに彼としての記憶は無くなっているのでしょう。
そして、口調も彼が私に対して使っていたものでは無く、いつもホシノさんに使っていたような陽気なものに変わっていました。
「ここは実験室ですよ。」
「実験室…?何でそんなとこにボクがいるのかな?」
「おや、覚えていらっしゃらないのですか……」
「おっと、自己紹介がまだだったね!ボクの名前は……」
そこからそれの様子は変わりはじめました。
「……ボク、の名前は………」
「………………ボク、の………」
「おかしい」
「おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい」
それは自分がいた地面から蔦を生やし、暴れました。
それが落ち着いた後、これ以上暴れられるのも嫌なので私が名前をつけることにしました。
それの名前は「フラウィー」
どうやら、それも気に入ったらしく、ご満悦な様子でした。
それからというもの、それは私に対して懐いたような感じになりました。
どうやら、それは地面があれば移動ができるようで様々な場所に行っていました。
実験でコレが生まれるのは想定外でしたが、コレもまた研究の醍醐味と言えるものでしょう。
「………」
私は、誰もいない生徒会室でただ1人で虚空を見つめていた。
ユメ先輩と彼が居なくなってから何日経ったかわからない。
何をやる気にもなれず、ただ賞金首を狩って学校の借金返済に充てる。
食事は必要最低限はとっていたが、食欲も湧かず、ただ胃に流し込んでいるようなものだった。
私は、何のためにこの学校を守っているのだろうか?
誰もいないこの学校を守って何になるのだろうか?
ユメ先輩がいなくなった後、彼にも当たり、彼もいなくなってしまった。
全部私がやったんだ。
全部、全部、私が。
「う………おえ………」
自己嫌悪のあまり内容物が出てきた。
だが、何も入れてないため、出てきたのは胃液と少しだけあるドロドロになったカロリーバーだ。
何故吐く?何故気持ち悪いと感じる?2人はもっと辛かっただろ?
「……ひぐっ………ごめんなさい………」
私は誰もいない生徒会室で嗚咽を漏らしていた。
曇らせはじめてっす。
ホシノは……曇らせるのに向きすぎている。
神秘を抽出された彼は……どうなったんでしょうね?(すっとぼけ)
次は彼とホシノとユメ先輩がまだいた時のことでも書きましょうかね。