夜食に薔薇の毒はいかが? 作:キャンディマン
目覚めたゴンがイルミに食って掛かったりしつつもハンター試験は終了。
ゴンはクラピカ、レオリオと共にキルアを追いククルーマウンテンに向かうらしい。イルミが場所を教えた。そこで住む世界が違うと分からせるつもりらしい。
「住んでる世界は一緒さ。世界の見方が違うだけでな」
そしてキルアはゾルディック家で習った見方に嫌気が差している。
「ところでイルミ、腕は大丈夫かい♣」
「ああ、これね。うん、折れてるね」
「…………♥」
鍛えられたゾルディック家の大人の腕をへし折る握力にヒソカは笑みを深めた。まあオーラで防御すれば折られることはなかったのだが。
「面白い素材だ。ヒソカが見守りたいって気持ちがよく分かる」
「だろ♥」
だからこそイルミからすれば危険人物なんだが、とゴンを見るとヒソカが睨む。
「ゴンは僕の獲物だ♠ 手出ししたらただじゃおかないよ♣」
「わかってるよ。短い付き合いだけどヒソカの好みは把握してる。で、ヒソカ、君はこれからどうするんだ?」
「じっと待つよ♦ 果実が美味しく実るまでね♥」
ゾクゾクと興奮しているヒソカにイルミとクレオは相変わらずキモいやつ、と思った。
「ところでお前仕事関係でハンター資格欲しがったんだよな? それ何時終わる」
「依頼の話? 君が他人に依頼するような仕事を腕折れたままするのもね」
「ちょっと死体操るだけの仕事だが、利き腕なら3千万で直してやるよ。今直ぐにな」
「顔写真でいい?」
「腕出しな」
まずはオーラを放出し潰れた筋肉、破れた血管、砕けた骨の欠片を把握。次に操作で漏れ出た血液、リンパ液などを戻し腫れを引かせ、砕けた骨の欠片をパズルの様に組み合わせる。
最後に念による強化で回復力を強化。
「おお、大した腕だね」
「念の師が師でな。必然、最初に覚えた念は回復系。つっても基礎と応用だが」
「基礎と言ってもそれを
「一々頭使うまでもないだろ?」
ナチュラルに天才。それがクレオ。
「うわっ、なんで急に興奮してるの君」
「スイッチが分からん」
「ところで俺への依頼は死体を操るってことらしいけど、殺しまで俺がやるの?」
「ああ、彼奴は俺が殺す…………死体に文字書かせた場合生前と同じ筆跡か?」
「筆跡揃えたいなら生かしたまま操らないと」
「じゃあ殺すのはその後だな」
すごく物騒な話をしてるなぁ、と傍に控えていたポンズは思った。心臓を繋いで蘇生したり、折れた腕を治したり、話を聞く限り死体を操ったり………それら不可思議な力が彼等の強さの一つなのだろう。
「うちの治療要員の念使いより余程上だ。これで本業じゃないんだね」
「念といえば、お前の弟………」
使えないようだった。使用人にすら使い手がいるのにゾルディック家の教育方針はどうなっているのか少し気になる。
「子供の発想で念を作らせるほど危険なことってないからね。カルトみたいに素直な性格なら問題ないけど」
次期当主だからこそ慎重に、確実に育てる方針らしい。
「因みにクレオは何時から覚えていたんだい?」
「オーラ自体は生まれた時から使えてたぞ。事情が事情で外に出せなくなってたが」
そこで天空闘技場に向かい、師に出会った。
まあ厳密に四大行を行えるようになったのがその辺りで、念使いという意味でならやはり生まれた時からでいいのかもしれないが。
それもまたクレオの強さの秘訣の一つだが、生まれた時から念を使えるからといって強いとは限らないのはとある国で証明されている。
「じゃ、俺は早速ライセンス使って仕事あるから。依頼は改めて連絡してね」
「ああ。行くぞ、ポンズ」
「うん………あ、はい!」
イルミからゾルディック家のイルミに直接依頼出来るコードを受け取り別れ、正式に弟子となったポンズを連れ歩く。
「待って!!」
と、ゴンが話しかけてきた。
「キルアの家………ククルーマウンテンって何処にあるの?」
「………何故それを俺に聞く?」
「だってキルアのお兄さんの友達なんでしょ?」
「え?」
「え?」
「まあパドキア共和国は俺の住処の近くだし、途中までなら案内してやるが」
「家知ってるんだ。やっぱり友達」
「違う。そもそも観光地だ」
暗殺者ではなく殺し屋なので目立つことに躊躇いがない。殺しという人の命に価値をつける職業にて稼いだ莫大な金で手に入れた広大な私有地。毎年多くの賞金稼ぎが向かっては帰らない。今やゾルディック家は顔写真だけで一億の値がつく。因みにクレオは顔写真の他に本人証明書付きの毛髪も受け取った。オークションに出せば三億は行くと予想している。
「なあ、あんた………ボドロを生き返らせたアレ、どうやったんだ」
「念」
「ネン?」
「詳しく教えてやる義理はない。危険だしな………まあ簡単に言うと、俺やイルミ、ヒソカが強いのも、会長が長生きの化け物なのも、ボドロを生き返らせたのも、全部念があったおかげ」
強さと聞きクラピカが、ボドロの名を聞きレオリオが目の色を帰る。
「俺にも教えてくれ!」
「私に教えてほしい!」
「弟子になるならいいぞ。と言ってもゴンの案内終わったら直ぐ帰るが」
一応立場ある人間だし。
「………そうか。なら、悪い。忘れてくれ」
と、レオリオ。クラピカも少し迷い、出した答えはレオリオと同じ。
「俺達はこれからダチ助けに向かうんだ。誰かを治せる力は、そりゃ大したもんだけどよ。その為に今ダチを見捨てるのは違う」
「…………………そうか」
飛行船で数日。それなりに仲も深まった。
「後はあの電車に乗ってきゃククルーマウンテン近くの駅に着く。1日一本観光バスが出てるからそれに乗りな」
「うん。ありがとう、クレオさん」
「世話になった」
「受験終わったら、改めて連絡すると思うぜ」
「そうか」
ゴン達と別れ電車に乗り込む。
かなり発展した都会。その路地裏に向かうクレオと後に続くポンズ。
「んじゃポンズ、今から俺のことは独蜘蛛と呼べ」
金属製のフルフェイスマスクを被るクレオ。心なしか覗いている肌の黒みが増した。
「俺はこれからハンター試験落ちたって嘘つくから、お前もそれに合わせろ」
「なんでわざわざ」
「俺がハンター試験失敗すれば、俺が弱くなったわけでも自分が強くなった訳でもねえのにチャンスを感じる馬鹿が現れるからな」
そもそもクレオはマフィアにも正体を隠しているのだ。イルミの様に変装もせず挑んだのは、落ちた何百人の中に独蜘蛛が紛れていたことにするため。
「お前も変装しときな。これから定期的に念能力者の襲撃が起こる」
「その念を知らないんだけど」
「なら簡単だ」
と、一匹のエメラルド色の蜂がポンズの首筋に突き刺さる。
「っ!?」
「今からお前を操作して念を習得させる。念には六系統あって俺は放出系。念を離して操る事が得意だ」
「わ、私に………なに、を……」
「操作系との併用。俺のオーラの一部をお前に流し込んで、お前を操る。もう見えてるだろ?」
首が勝手に下に向き己の手を見るポンズ。湯気のようなものが体の周囲に揺らめいていた。
「今漏れ出てるのは俺がお前に注いだオーラ。精孔をこじ開けたから今後は注がなくてもお前のオーラが出る」
体に入った熱と思えば抜けていくような感覚。
「こ、これ………大丈夫なの?」
「まあそのままオーラを操れないと暫く動けないほど疲労するし、最悪死ぬ。生命力だからな、それ」
「じゃあどうするのよ」
「依然そのオーラは俺のだ。お前はただ流れに集中してろ」
ただただ流れ出るだけのオーラがポンズの周りに留まる。ポンズは言われた通りその感覚に意識を集中させる。
「これが基礎の『
「い、いきなり過ぎない」
「これ念能力が目覚めてない相手にしか使えないからな」
必然、一人の人間に対して一度だけという制約が必ず付く。故に強力。
ポンズの身体は勝手に動き片腕を目の前に持ってくる。オーラが消えた。
「それが『
ポンズの右手にオーラが溜まる。途轍もないエネルギーを感じる。クレオは角材を拾い上げポンズに振り下ろす。
ポンズの体が勝手に動き角材を殴りつけた。痛みはなく、角材は弾け飛んだ。
「一先ずここまで使えりゃ俺達3人を除いて同期の中じゃ一番リード。ま、ボーナスステージはここまでだが」
首筋の蜂が消え体の中の異物感が消える。だがオーラはまだ流れている。
「後はそれを留めろ。今度は自力でな」
「2週間か。センスねえな」
精孔が開き2週間。疲労による気絶と体力回復後の覚醒を繰り返し漸く纏を習得したポンズ。
現在は独蜘蛛に与えられた屋敷。使用
「じゃあ次の修行だ」
「はい………」
何やるんだろう。きついのじゃないといいな、と思うポンズ。
「樹海に放り捨てるから、生きて戻ってこい」
「…………………」