夜食に薔薇の毒はいかが?   作:キャンディマン

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系統と休息

 ところ代わって天空闘技場。

 

「ポンズさんは操作系なんすね。自分と同じっす!」

 

 なんやかんや同期だけありあの後もキルアやゴンと過ごす時間が増えたポンズ。キルアやゴンの師となったウイングも、優しい人だった。

 

 今は水見式と呼ばれる、葉を浮かせた水に手を添え練を行い己の系統を調べていた。ポンズは既にやっていたがみたいという子供たちの視線につい………。

 

 葉がクルクルと回っていた。

 

「レツは?」

「私は………ええっと………」

 

 ゴンの視線に負けレツも水見式を行う。コップの中に色付きのガラス玉がコロコロと浮かぶ。

 

「レツは具現化系か………」

「…………いえ、水かさが増えていません。これは、具現化したのではなく水が変わった? レツさんは特質系ですね」

「はい………兄さんと同じです」

「兄妹で特質系とは珍しい」

 

 特質系は希少だ。兄妹揃ってなど少なくともウイングは聞いたことがない。

 

「…………なんか、ドールの目みたい」

「レツ、人形師だもんね」

 

 グラスの中のガラス玉を取り出すと光を浴びてキラキラと輝く。

 

「クレオ兄さんの目もすごく綺麗だよ」

 

 因みに、クレオ兄さんと兄さんは別人である。

 

「ああ、確かにキラキラしてたよね」

「星状硝子体症っていうんだって。クレオ兄さんの目は碧だから、カッティングされたペリドットみたい」

「ペリ………?」

「宝石だよ。人形の目を作る時、宝石を使ったりするの」

 

 その場合値段が張るが、それでもよく注文が来る。レツは人形師としてかなり稼いでいるのだ。

 

「…………クレオ、別に優秀な弟子いるじゃない」

 

 と、どこか拗ねたように言うポンズ。レツの実力は高く、ハンターとなれば一つ星(シングル)も十分に目指せそうだ。

 

「う〜ん。ハンターの資格は、そのうち取るつもりだけどそれはハンターとして上を目指すためじゃないしなぁ。私、クレオ兄さんのところで人形師やれたらそれでいいし。ただ、クレオ兄さんの周りはただでさえ物騒で、私も色々あるから」

「色々?」

「えっと…………幻影旅団って、知ってる?」

 

 ゴンとキルアはクラピカを思い出しながら頷きまさかの名前にポンズは目を見開きウイングは逆に目を細めズシは首を傾げた。

 

「私の兄さん、元々そこの一員。私、犯罪者の身内なの………だから、狙われるだろうって」

 

 勿論()()()()()()()()()

 色々知られたらそれが狙われる理由になる。知られなくとも、犯罪者の身内というだけで一部の正義に酔う馬鹿に狙われる可能性がある、とクレオは言っていた。

 

 後見目もいい。ゴンとキルアでさえ寝起きのレツを見て思わず息を呑んだことがある。

 

「家族がどんな人でも、レツはレツだよ」

「そーそー。俺なんて家族全員殺し屋だぜ?」

「ゴン、キルア………」

 

 二人の言葉にレツはありがと、と微笑む。

 

「けどなるほどなぁ、レツの強さはクレオが少なくとも自分から離れても大丈夫って判断したわけだ」

「まあ、そうじゃなくても天空闘技場を襲撃しようなんて考える人はあまりいないだろうし」

 

 仮にも野蛮人達の聖地。凡百なハンターなどよりも強者の集うこの塔を襲撃するならば最低限一つ星(シングル)ハンタークラスの実力は必要だろう。その上で上位フロアマスターともなれば相応の実力者が揃っている。

 

「クレオも昔、此処にいたんだよね。やっぱりその頃から強かったのかな」

「私は入れ違いで会ったことがありませんが、実は兄弟弟子らしいんですよ」

「そうなの!?」

「師範曰く、幼少期から相当な実力を持っていたそうですよ。例えば系統……皆さんに伝えたように得意系統があり相関図の頂点から離れるほど適性が下がります」

 

 ゴンの場合強化系なので放出と変化が強化系の80%程の習得率を持つことになる。勿論、強化系の中でも放出よりや変化よりもあるが。

 

「勿論念能力者本人の肉体的強さ、オーラ量によって強さに差が出ます。強化系のゴン君と殴り合える具現化系や操作系もいることでしょう。早い話、強化系レベル100と戦える変化系になるにはレベル125になればいい、みたいに。師範曰く彼はそのタイプ」

 

 無論念能力者は自分の一つの系統を鍛えて他の系統がおざなりになることもある。少し前ヒソカに殺されたカストロという強化系がいい例だ。

 

「ちなみに私は放出系よりの操作系。この帽子もクレオとの合作」

 

 ピン、とキャスケットを指で弾くポンズ。帽子の隙間から、明らかに異様な数の蜂が現れる。

 

「中が念空間になってるの」

 

クレオが『そこまでデカいとバカみたいだし狙われやすいしバカみたいだからもうちょいコンパクトにするぞ』と共に制作。バカみたいと2度も言われた。まあ、念能力を知る前からあんな帽子を被ってる者がいたら何かあると疑うのが普通だし、反論はできなかったが。

 

「? 別に普通だけど」

 

 裏返した帽子を見て首を傾げるキルア。

 

「あ、でもなんか………文字? 模様? ウイングさんの誓いの糸に似たような模様あったよね」

「神字ですね。念能力を補強する力があるんですよ。しかし、それだけにしては強固なプロテクト。外から見ることができないなんて…………ああ、逆ですね。『自分の認めたものだけ出し入れ可能』ではなく『指定したもの以外出し入れ出来ない』ですか」

「………………ええ」

 

 追加で新しく何かを入れる事は不可能。代わりに蜂の巣と蜂、蜂の餌のみを見た目以上に入れることが可能。それがポンズの現在の帽子だ。元の帽子よりも収納性能は上だ。

 

「ドラえ◯んのポケットは無理ってことか」

「可能な念能力者もいるかもだけど、私には無理」

「無制限に何でも入るポケットは難しいですよ。似たような能力を作ることなら可能ですが」

 

 念は奥が深いな、とキルアとゴンは感心した。

 

「クレオの系統はなんだろ?」

「まあ、強化系とかじゃねえの。すごい動けてたし」

「えー、でもポンズさんの帽子を作るには放出系じゃないの?」

「放出系だけど操作系をよく鍛えてるって聞いたかな」

「自分と同じっすか!?」

 

 すごく強いという相手が自分と同じ系統を鍛えていると聞き嬉しそうなズシ。

 

「無論、修行しないことには追いつけませんよ」

「お、押忍!」

 

 結論。強くなりたいなら系統が何だったかなど気にするよりまず鍛えろ。

 

「師範の教育方針は得意系統以外も鍛える、ですからね。その上でクレオさんは系統適性を無視した才能が高かったそうです。並のその系統の使い手を極めた基礎で圧倒する程度には」

「…………………」

「そして、ゴン君が相手するヒソカは、その並を超えた相手です」

 

 ちなみに天空闘技場にヒソカも来ていた。ゴンやキルアを狙っているらしい。ポンズを見て美味しそうに育ったね、とも言っていた。

 

「今年のハンター試験、俺結構運が良かったのかも」

 

 ヒソカだけでなくクレオやイルミ………強力にして凶悪な念能力者が複数も来ていたのだ。ポンズは運良くクレオを師に出来たが下手をすれば死んでいた可能性もある。

 

 

 

 

「ぶえっくし!」

「風邪? うつさないでよね」

「風邪にかかるのか? 繊細だなゾルディック」

「や、別にそこらのウイルスなんて問題ないけど君体内にウイルス育ててそうだし」

「育ててるか」

 

 まあ流星街から出る際に持ち出した細菌兵器を師から離れた後、あえて己を感染させたりしていたが。ゾルディック家が毒に耐性があるようにクレオの免疫機能は進化しているので並の殺人ウイルスでは殺せない。

 

「だいたい病気なんて飯食ってりゃ治るんだよ」

 

 と、本日四枚目のステーキを食うクレオ。場所は変わらず十老頭の別荘。共通の趣味の友人に手紙も出させたのでもう生かす必要もなくなった十老頭の死体が入った冷凍庫に入ってた肉だ。クレオもイルミも気にしない。

 

「取り敢えず十老頭は生かすように見せる時以外は俺、自由にしてていいんだよね」

「ああ。ゾルディック家の長男ともなれば依頼もあるだろうからな。俺は此奴等殺してくるけど、お前のターゲットいる?」

 

 と、十老頭の屋敷で手に入れた『古いお友達』の資料を広げるクレオ。イルミのターゲットがいるなら無視して他のを殺しに行けるのだが。

 

「いないね。うまく隠していただけはあるよ」

「そうか」

「追加料金で殺してくるよ?」

「そっちは割安にならねえんだろ?」

「当たり前じゃん。意味もなく安くするなんて、俺と君が友達みたいじゃないか」

「…………………母親通せば安くなるか?」

 

 向こうはクレオをイルミの友人だと認識しているし。でも友人でも何でもないが知り合いの母に友情利用するケチ臭い男と思われるのもなんか嫌なので普通に依頼することにした。金は十老頭の金庫から。

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