シンザンの最終産駒   作:シンザンの信者

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調べても調べても当時の情報が殆ど出てこないのでレースの日にちとか馬のことや騎手さんは合ってるの?と思いながら書いている日々です(調べれば調べる程検索の結果が変わるから、何でだ?)
レース実況って書くの難しいなぁと思う毎日です
お気に入り登録や評価も皆さんありがとうございます、本当に
相変わらず頭の中の文章をちゃんと書けているか不安ですが、誤字や脱字があったら教えてくれると助かります
5/12:時代背景に会わないところがあったので、一部文章を削除しました
8/2:誤字報告がありましたので、一部訂正しました
ありがとうございます


主戦騎手とデビュー戦

オグリシンザンが笠松に入厩する半年程前、中央競馬に所属していた一人の騎手が笠松に訪れていた

 

 

(ここが笠松競馬か‥‥落ち目の騎手が再出発するにはもってこいの場所やな)

 

 

騎手の名は栗川伸一、五冠馬シンザンや二冠馬コダマを手掛けた名伯楽、竹田文吾を祖父にそしてその二頭の主戦騎手を務めた栗川勝を父にもつ男である

 

 

何故、この男が笠松に居るかと言うと、実は最近中央競馬での勝ち星に中々恵まれず世間からのプレッシャーもあって少し勝てる場所で競馬をしようと思い、つい最近地方競馬の試験を受けて合格したからである

 

 

まぁつまり、彼は中央競馬から地方競馬に逃げたのである

 

 

しかし中央競馬と地方競馬では実力にそこそこ差があり、中央で落ち目の騎手であった彼も地方ではそこそこ上位の成績は残していた

 

 

そんな風に笠松で騎手をしている内にだんだん彼はこう思うようになっていた

 

 

偉大な祖父や父の様に中央で華々しい結果が出せなくとも、騎手として生きていけるならここで騎手を続けても良いじゃないか‥‥と

 

 

中央競馬の免許を返上して地方競馬へ移籍し、再度中央競馬の免許を取得して中央へ戻る場合、最短であれば1年未満で戻ることも可能ではあるため、その気になれば中央に戻れるのだが今の彼にはその気は薄まりつつあった

 

 

そんな時である、たまたま通りかかった墨正夫厩舎にて、調教師である墨が大変そうに厩舎の掃除をしているのを見かけた彼は墨に声をかけた

 

 

「大変そうやな、手伝いまっせ墨先生」

 

 

「助かるよ栗川、しかしあっち(中央)からこっち(笠松)に来てから調子は良いみたいだな

先週のレースもまた勝ったみたいじゃないか」

 

 

「中央より笠松の方が馬を走らせやすいからかも知れません、ひょっとすると自分は芝を走らせるより砂を走らせる方が得意なのかも知れませんわ」

 

 

「安東に勝てたからって天狗になるなよ、栗川」

 

 

そんな他愛ない世間話をしながら二人はせっせと厩舎の掃除をする

 

 

一人でするよりもずっと早く掃除が終わったので、墨は礼にと事務室に栗川を招き、冷たい缶コーヒーを渡す

 

 

「酒じゃないが掃除の礼だ、飲むだろ?」

 

 

「礼のために手伝った訳やないのに、御馳走さんです」

 

 

受け取ったコーヒーを飲み、一息ついてから栗川は話を繰り出す

 

 

「美味いなぁ‥‥そう言えば墨さん、この前に能力試験で良い結果出してた馬居たじゃないですか、確か墨さんの厩舎に所属してましたよね

掃除を手伝った代わりにちょっと見せて貰えたりしませんかね?」

 

 

「ひょっとして栗川、お前馬目当てで掃除を手伝ったのか?」

 

 

「そんな訳無いですよ、墨先生一人で掃除してたから大変そうやな~って思って手伝ったのは本当ですよ

て、一息ついたらいい馬が墨先生の所入ってたなって思い出しただけで

一目で良いですから、お願いしますよ先生」

 

 

「まだ主戦も決まってないし見せるだけなら良いか、ついて来い」

 

 

栗川からの熱意に負けた墨は、事務室から出て馬房に案内する

 

 

「この鹿毛の馬がそうだ、見たからもう良いだろう?」

 

 

「えぇ‥‥しかし見ただけでもええ馬やと分かるわ

墨先生、この馬の持ち主って誰ですか?」

 

 

「小久里さんだが、そんな事聞いてどうするんだ」

 

 

「この馬がレースで走る時は是非乗せてくださいってこれから直談判しに行きます

勿論墨先生にも」

 

 

騎手が特定の馬に騎乗する条件は、原則として馬主からの希望や了解を得た上で、最終的に調教師が騎手本人または騎乗依頼仲介者に依頼を行うことで決定されるのが一般的である

 

 

「ですから墨先生、お願いします

僕をこの馬の、主戦騎手にさせてください」

 

 

栗川はその場で墨に馬の主戦にして貰えるよう、頭を下げて頼み込んだ

 

 

それから数週間、馬の主戦が決まらないまま毎日の様に栗川からのお願いに根負けした墨は後日、オーナーである小久里に馬の主戦に栗川をを薦めるのであった

 

 

「言っておくが栗川、この馬は君の父が乗っていたシンザン号最後の産駒だからな」

 

 

栗川はその言葉を聞いてピクッと固まった、何しろ父の乗っていたシンザンは戦後初の三冠馬であり、シンザンに乗る父に憧れて自分も騎手を目指すようになったあこがれの馬であるからだ

 

 

そして新馬戦を二週間後に控えたその日、栗川は(オグリシンザン)の主戦騎手となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私がここ(笠松)に来て能力試験を終えてから数ヶ月、デビューの日が決まったらしい

 

 

育成牧場や笠松での訓練で他の馬と走った事は何度かあるが、実際のレースは少し緊張するな

 

 

二週間程前から背中に良く乗るようになった人間を背に、走る練習を重ねているとあっという間にデビューの日になってしまった

 

 

練習では私のサボり癖を見抜いた人間から手を抜こうとすると、毎回肩に鞭を当てに来るので、前程はサボれなくなっていた

 

 

私が緊張しているのを見抜いたのか?背に乗る栗川は私に語りかける

 

 

「大丈夫やオグリ、初レースだが何時も通り走ればお前は負けへん、安心せぇ」

 

 

緊張をほぐしてくれてありがとうな栗川、しかし初めてお前を背に乗せた時から思っていたが、お前少し痩せた方がいいぞ

 

 

背中に重りを乗せた状態で更に栗川に乗られると結構辛いのだ、幸い私は足腰が偉く頑丈なので問題はないが、他の馬にはこの重さは辛いと思う

 

 

そう思ってレース場のゲートに向かう

 

 

このレースは12頭でのレースで私は12番なので一番外側のゲートに入る

 

 

小中をしながら墨とゲートが開くのを待ち、ゲートが開いたと同時に脚を出す

 

 

『スタートしました。まず全頭綺麗なスマートとなりました、先頭から7番ベッスルエースと2番マツカゼシショーが逃げの体勢、続きまして12番オグリシンザン先頭から二馬身程、そこからタカモリブルーシークレットと続きます』

 

 

最初の200mの直線の間で前から三番目の位置をキープし、逃げで走る先頭のベッスルエースと二番手のマツカゼシショーを何時でも抜ける様、身体を沈み込ませていつでもトップスピードに入れるよう姿勢を整える

 

 

(ええか、お前の武器は最終場面での末脚や、最期の直線で先頭を差せる位置に居れば良い

それまでじっと我慢やぞ)

 

 

『第四コーナーを回って直線、以前先頭はベッスルエース、そしてマツカゼシショーとなります、そして外からなにか飛んできた、オグリシンザンが飛んできたぞ、最終の直線で後方の二頭を突き放し前の二頭を追い抜く、四頭はそのまま前に届かずオグリシンザンがゴールイン

一着オグリシンザン二着ベッスルエース、三着はマツカゼシショー、四着タカモリ、五着プルーシークレットとなります』

 

 

三番手をキープしながら第三、第四コーナーを回り最期の直線に入る

栗川の鞭を合図に私はどんどんペースを上げてスピードを上げた他馬を大外からすっと抜き去る

ゴール板の少し手前で気が抜けてペースを落としかけたが、気が抜けそうになった私に気がついた栗川からとっさに鞭が入り、あらためて気を引き締めて走る

最終的に二番手と一馬身程差を着けて私はゴール板を一着で駆け抜けた

 

 

「お疲れさん、初レースにしては上出来や

強いて言うなら最終場面で気が抜けてスピードが落ちることが問題やけどな」

 

 

新馬戦も終わり、ウイニングランをしていると鞍上の栗川から問題点を指摘される

勝つことは出来たが、色々と問題点も見つかるレースとなったのであった

 

 

1990年 笠松競馬 5/13日

新馬戦 ダート800m 晴/良

 

 

1 12 オグリシンザン 牡2 栗川伸一 50.2秒

 

 

2 7 ベッスルエース 牡2 安東勝己 1

 

 

3 2 マツカゼシショー 牡2 ? 1 1/2

 

 

4 5 タカモリ 牡2 ? 3

 

 

5 6 ブルーシークレット 牡2 ? 1/2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳でデビュー戦の三話でした
主戦騎手の栗川伸一さんはモデルの方が確かこの頃体重の増加とかで戦績不調と書いてあったので、史実改変で中央から笠松に来て貰いました
まぁ、ご都合主義ってことで勘弁してください
レース状況を書くのは大変だと思いました
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