東方scp財団幻想録 彼の99回目   作:妖ヶ夢

2 / 10
初投稿頑張ります。


1章 妖魔大戦編『 表』
1話 現世:戦術神学部門


9月6日 22:30 SCP財団日本支部 サイト-■■密室の監視カメラが捉えたのは、透明な隔壁越しに対峙する二人の男の姿だ。片方の男は、手元の不可解な紙面を凝視している。

 

アイテム番号: SCP-1887

 

オブジェクトクラス: Pending

 

特別収容プロトコル:発見直後のため、確立された収容プロトコルは存在していません。現在、事案の全貌解明および隔離措置が最優先で進行中である。

 

説明:SCP-1887(呼称:幻想郷)は、SCP-1887-1(呼称:博霊大結界)によって外界から隔離された未知の領域を指す。内部は異常なほどヒューム値が低く、高山病などの疾患が理論上存在しなと思われる。領域内には妖精、妖怪、吸血鬼、亡霊などの実在が確認されており、神や竜といった高位存在の介入も示唆されている。また、一部の住人は「弾幕」と呼ばれる奇跡論類似の超常技術を行使する。なお、当該地域の文明レベルは日本の江戸時代中期に酷似している。

 

補遺1:発見者・神楽木信一郎へのインタビュー記録サイト

 

管理官: 「インタビューを始めます。幻想郷の発見に至った経緯と、なぜ発見から1週間も通報が遅れたのか説明してください。」

 

神楽木: 「私は山中で自給自足の生活をしていました。8月28日、目覚めるとそこは幻想郷でした。博霊神社で幻想郷と言う世界の詳細を知った直後、[この言葉スキマ送りにされました]。気づけば元の世界に戻っており、なぜか幻想郷の記憶が1週間完全に抜け落ちていたんです。いや、忘れさせられていたのかもしれません。その後、[この発言はスキマ送りにされました]を思い出し、警察に通報しました」

 

サイト管理官: 「幻想郷に関わる人物について覚えている限り教えてください」

 

神楽木: 「えっ! あ、そうだ……」

(被験者は突然硬直し、目を激しく痙攣させている)

 

サイト管理官: 「どうしましたか?」

 

神楽木: 「すみません……所で、インタビューはいつ始まるんですか?」(インタビュー終了)

 

記録映像を解析した結果、該当箇所の音声が「この言葉はスキマ送りにされました」へと強制的に改変されていることが判明した。さらに、特定の質問に対して被験者の直近の記憶が消去されていることから、何者か(あるいは何らかのミーム的実体)による情報改変および収容妨害を受けている可能性があります。

 

_____________________________________________

 

「はぁ……」財団Aクラス職員、高柳昇は、手元の報告書を叩きつけ、一段と深い溜息をついた。そこに記載されていたのは「SCP-1887」。あまりにもふざけた内容に、深夜の執務室で彼の頭痛は激化する一方だった。

 

「なぜ溜息をつく?」デスクの向かい側に座る大柄な男が、低い声で問いかける。高柳は呆れ果てた声を絞り出した。

 

「夜中に急に呼び出され、こんなめちゃくちゃな報告書を読まされれば、誰でも溜息くらいつきます。しかも、ここに私が行く事になるのでしょう? セキュリティクリアランスレベル4で財団の数少ないAクラス職員の私がです。いかなる時も怪異に直接接触してはならないという規律はどこへ行ったのですか!こんなこと僕も言いたくないですが、 普通はDクラス職員を使い捨てる案件でしょう!」

 

捲し立てる高柳を、男はどこ吹く風と受け流し、冷酷な事実を告げた。

 

「任務は2年間、現地に滞在しての情報収集。そして、財団と幻想郷が同盟を結べるように交渉を進めてもらう」

 

行き先は、異常存在が跋扈する隔離空間――「幻想郷」。

 

高柳は必死に思考を巡らせ、反論を試みる

 

「……分かりました。ですが、この報告書を見る限り、内部には奇跡論や現実改変の如き術式を操る怪異が多数存在します。おまけに内部のヒューム値は著しく低い。現実性が希薄な異常空間しかもそこには怪異が沢山いる生身の人間が2年も滞在出来ると思っているのですか?生存確率は絶望的です。吸血鬼や妖怪どもと、まともに交渉などできるわけがない!」

 

しかし、男は無慈悲に言葉を遮る。

 

「だが、これはO5と倫理委員会が満場一致で下した決定だ。やむを得ん」

 

「……分かっていますよ。任務は引き受けます。元から僕に拒否権などない」

 

高柳はガックリと肩を落とした。男は口元を歪め、冷たく言い放つ。

 

「聡いな。もし任務を拒めば、お前は今頃、機動部隊によって『終了』されていただろうからな」その言葉に高柳は身震いし、背筋に冷たい戦慄が走った。だが、迫る恐怖を振り払うように、彼は声を上げた。「……今回の任務の支給品は何ですか。」男は、哀れな獲物を見るような、面白い物を見るような目で言った。「デザートイーグル、グロック17、煙幕。そして――『反ミームネズミ』から作った特製防具と」

 

その瞬間高柳が言葉を遮る

 

「 反ミームネズミの防具……? 通常の装備ではなく?――」

 

怪訝に思った瞬間、天井から白煙が噴き出した。

 

「まさか、これは……」

 

「ようやく寝たか。それでは、幸運を祈る」

 

意識を失い倒れ込む高柳。ガスが満ちる部屋に、足音を殺した機動部隊が侵入し、彼の身体を無造作に抱え上げる。こうしてAクラス職員・高柳昇は、理不尽な財団の命により、未知なる幻想郷へと強制的に行かされるのだった。

 

 

_____________________________________________

 

 

――その1時間前、暗い会議室に集うO5評議会は、一人の男の処遇について議論を交わしていた。

 

O5-7:「なぜ高柳をあの『幻想郷』に送ったのですか? 偵察なら代わりの利くDクラス職員で十分だったはずです。」

 

O5-11:「こちらにも諸事情がある。満場一致で私たちが決めたことだ変更は今さらできん。報告書には記載していないが、あの特異空間には並行世界から流入した見確認のSCP既知のscpが潜んでいる。全SCPの特性を脳内に網羅している高柳だからこそ、生きて遂行できる任務なのだよ」

 

O5-7:「それは理解できますが、リスクが高すぎます。あそこまで優秀な人材は見たことがないですから。」

 

O5-11:「それはわかるだか、あそこへ凡百のDクラスを送っても、死体すら戻らない確率が100%に限りなく近い。その点、高柳は戦闘に特化している。Keterクラスの異常存在は例外としてたとえ妖怪や吸血鬼が相手だろうと、1対1の局面で遅れを取ることは万に一つもないだろう。高柳を信じろ。」

 

O5-7:「……分かりました。ですが、もし彼を失ったらあなたが責任を取ってください。あれでいて彼は『戦術神学部門』のトップであり、『財団神拳』の唯一の継承者なのですから。」




           出典

著者: sakagami
タイトル: INTRODUCTION OF 財団神拳URL: http://scp-jp.wikidot.com/sakagami006-portal-of-foundation-shinken
作成年: 2016

Author: Kwana
Title: SCP-710-JP-J - 財団神拳
Source: http://scp-jp.wikidot.com/scp-710-jp-j
作成年: 2014

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。