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ジェラルド「はい、という事で始まりました!財団一部部署で大人気の企画、『深夜の収容所から愛を込めて!』。今夜のパーソナリティを務めますのは、ただいま地獄の12連勤真っ只中、目元に消えないクマを携えたジェラルド博士です!いやあ、最初に言っておくけど、このチャンネルはクリアランスレベルが『3』以上の職員じゃないと見られない秘密のコーナーとなっているよ! レベル2以下のそこの君は、今すぐブラウザを閉じて事務仕事に戻るんだ。いいね?まぁいないとはおもうけど。さあ、そんな深夜のテンションでお送りする今回の放送だけど、とんでもないスペシャルゲストをお呼びしています。現在、驚異の23連勤中!今日の深夜に文字通り業務の隙を突いて脱走……ゲホン、抜け出して来てくれた、明日からなんと三日間の有給を控えている平山博士だよ!」
平山「……どうも、平山だ。おいジェラルド、手短に頼む。俺は明日からの三連休、一秒でも長く泥のように眠ってキャンプを楽しむ事を決めてるんだ。あまり長引かせるなら、そのマイクごとスタジオを凍らせるからな。」
ジェラルド「ははは!相変わらずスタジオに入った瞬間からマイペースというか、不敵というか……。23連勤明けとは思えないほど眼光が鋭くて安心したよ。でも、マイクの器物破損だけは勘弁してね、始末書を書く体力がもう残ってないんだ。 じゃあ早速、平山博士をよく知らないリスナーのために、僕からいくつか質問をぶつけていこうと思うよ!準備はいいかい?」
平山「ああ、何でも聞いてくれ」
ジェラルド「よし、まずは最初の質問。財団の戦闘部隊やエージェントの間でも都市伝説みたいに噂されてるんだけど、平山博士って『とてつもなく強い』って有名じゃない?なんでも、あの財団最凶の戦闘狂、SCP-076-2……通称『アベル』をぶち倒したことがあるって本当かい?」
平山「ああ、その話か。事実だよ。ただ、世間じゃなぜか俺がタイマンで倒したことになってるみたいだが、それは違うな。あれは昔起きた、あの『大規模収容違反インシデント』の真っ最中での出来事だ。当時、まだエージェント時代だった友達である高柳と一緒に、二人で連携してぶちのめしたんだよ」
ジェラルド「へえー!あの歴史的な大規模収容違反インシデントの最中に、高柳博士と一緒にアベルと戦ったんだ!」
平山「そうだ。周囲の施設が次々と崩壊して、文字通り地獄絵図と化していた戦場さ。そんな絶望的な状況で、あいつが最前線に立ってデコイになり、アベルの苛烈な猛攻を死に物狂いでいなしながら、戦術的な死角を作り出してくれた。その完璧なタイミングに合わせて、俺の得意分野である『氷の奇跡論』を叩き込んで、アベルの足場ごと半径数十メートルを徹底的に凍らせて動きを止めてやったんだ。で、あいつが完全に身動きが取れなくなったところを、俺が愛用の『薙刀』で首ごとブチ抜いてやった。大層な二つ名が付いている割には、力任せで隙が多くて拍子抜けしたよ。まぁ、あの極限状態の中で、高柳が完璧なアシストをしてくれたからこそだけどな」
ジェラルド「お前はコンドラキか!!あの最悪の大規模収容違反インシデントの中で、アベルを相手に『隙が多くて拍子抜け』なんて言ってのけるのは、君か、あるいはあの悪名高きおっさんくらいのものだよ!氷の奇跡論で凍らせてからの薙刀ってのもエグいけど、あの戦場でアベルの猛攻をいなして囮になった高柳博士も凄まじいね……。
……でもさ、平山博士。君は研究職でありながら、どうしてそこまで容赦のない戦闘スタイルを確立んだい?やっぱり、そのアベルとも交戦した、あのインシデントがきっかけなのかい?」
平山「……そうだな。あの財団最悪と言われた大規模収容違反インシデントだ。」
ジェラルド「平山博士は、あの地獄のような戦場から生還した、数少ない生存者のひとりだよね。」
平山「そうだ。あの時は本当に酷い有様だった。アベルの撃破には成功したものの、全体の被害はあまりにも大きすぎた。俺と高柳の昔の友人も、あのインシデントの時に死亡した。昨日まで笑い合っていた仲間が、化け物どもに無残に引き裂かれていく。当時の俺は、ただそれを見ていることしかできなかったんだ。……だがな、ジェラルド。俺はその過去に縛られて、未だに泣いているような物じゃないんでね。 自分を見失う?そんな暇、財団で働いてたら無いだろ。過去を悔やんで立ち止まったところで、死んだ仲間たちが生き返るわけじゃない。だったら俺は、前を向いて、次に現れる脅威をこの手で確実に叩き潰すだけさ。俺が圧倒的に強ければ、これ以上誰も死なない。至極単純で、建設的な思考だろ?」
ジェラルド「かっこよすぎる……!目の前で大切な友人たちを失う悲劇を経験してもなお、自分を完全に見失わずにポジティブであり続けられるその心の強さ、本当に尊敬するよ。12連勤ごときで『もう駄目だー!』とか叫んでた自分が恥ずかしくなってきたよ。 そんな強くて前向きな平山博士だけど、あの地獄を共に生き残った高柳博士のことは、やっぱり今でも大切な存在なんだね。彼とはどういう関係なのかな?」
平山「高柳か? ……あいつはただの物好きさ。俺がどれだけ冷たくあしらっても、懲りずにヘラヘラしながら付きまとってくる。まあ、あの地獄から生還して、今の俺にとって友達と言えるのは高柳しかいないのは事実だけどな。 ……まあ、あいつも口を開けばろくなことを言わないから、表面上はいつもからかってバカにしてるけどな。」
ジェラルド「素晴らしい友情……と言いたいところだけど、バカってにしてるって! 高柳博士といえば、あの大規模収容違反をエージェントとして生き残り、今やあの泣く子も黙る財団の超エリート部署、『戦術神学部門』の部門長じゃないか!神格存在を相手に立ち回る、とんでもない天才だよ!?」
平山「肩書きだけは立派だよな。中身はただの、おおらかで締まりのない男さ。まあ、あいつは今、どこぞの『空間異常』の調査任務とやらに駆り出されていて、この放送どころじゃないはずだ。あのバカの頭じゃ、異常空間の迷路に迷い込んで、今頃シクシク泣きべそをかいてるのがオチだろうさ。」
ジェラルド「口調は辛辣だけど、あの地獄のインシデントでアベルを一緒に倒した相棒なだけあって、めちゃくちゃ深い信頼で結ばれているのが伝わってくるよ!さあ、ここでリスナーからお便りが届いているから紹介しよう。ええと、ラジオネーム……『りんごの種』さんから質問だよ!なになに?『平山博士、いつもそちらの実験でりんごの種を出してしまってすまない。それはそれとして質問なんだが、現在進行形で詰んでいる俺に、その地獄のような連勤からスマートに抜け出す方法を教えてくれ!!』だってさ!変わったラジオネームだね、りんごの種さん!」
平山「……相変わらず分かりやすい奴だな。おいジェラルド、その『りんごの種』の正体はキングだよ」
ジェラルド「えっ、キング博士!? 通りであらゆるオブジェクトからリンゴの種を出してしまうあのキング博士か!本名じゃなくてラジオネームで送ってきてたんだね!」
平山「あいつのせいで俺のオフィスがリンゴの種まみれになった件は追々シバくとして、連勤から抜け出す方法、か。 そんなもん、答えは一つだ。『自分の仕事が終わっていなくても、有給の申請書を上層部に叩きつけて、定時になった瞬間、立ち塞がる警備員を全員凍らせて正面突破する』。これ以外にないな」
ジェラルド「力技すぎるよ!! 完全に収容違反のムーブじゃないか! 普通の職員が真似したら即座にDクラス落ちだよ!?」
平山「冗談だよ。要は『これ以上俺を働かせたら、何が起きるか分からんぞ』という無言の威圧を日頃から示しておくことさ。現に俺はそうやって今回の三日間の有給を勝ち取った。」
ジェラルド「平山博士だから通じる脅迫だよそれ……さて、そんなラジオネーム『りんごの種』さん……もといキング博士から、もう一個リーク(?)が届いているよ。 『平山博士が財団内で一番ブチギレた瞬間について。アベルの時ではなく、つい5日前の話だ。平山博士が俺とオフィスで物騒な雑談(笑)しながら、朝のくつろぎのコーヒータイムを楽しんでいた時のこと。突然、ジェラルド博士が部屋に入ってきて、ただそこにあったキャスター付きの椅子に座った。その瞬間、なぜかオフィスが一個丸々大爆発して粉砕された件について、被害者として詳しく語ってほしい』……え、ちょっと待って、これって……」
平山「そうだ、ジェラルド。俺の目の前に座ってるお前のことだ」
ジェラルド「えっ!? ぼ、僕!?いや、あの、確かに5日前、平山博士のオフィスを訪ねた記憶はあるけど……キャ、キャスター付きの椅子に座っただけで大爆発なんて、そんな物理法則を無視したこと起きるわけがハハハ……」
平山「起きるんだよ、お前の場合はな。忘れもしない5日前の朝だ。俺が17連勤を超えたあたりの貴重な休息として、キングと話ながら至福のコーヒーを味わっていた時だ。お前が部屋に入ってきて、色々話した後、ヘラヘラ笑いながらキャスター付きの椅子に腰掛けただろ。 その瞬間、椅子のキャスターからなぜか火花が散ったかと思ったら、ニトログリセリンでも詰まってたかのような大爆発を起こして、俺のオフィスを部屋ごと一個丸々粉砕しやがった。お前が黒焦げになりながら瓦礫から這い出てきた瞬間、その首を薙刀で撥ね飛ばして、永久氷結のオブジェにしてやろうかと本気で考えたよ。」
ジェラルド「あ, あの時は本当にすまなかったと思っているよ! ほら、僕の運転技術だけじゃなくて、実は乗り物全般……というか、車輪が付いているもの全てを大爆発・大破させる呪い(?)にかかってるみたいで!まさかオフィスの椅子に付いてる小さなキャスターですら大爆発するなんて、僕だって思わなかったんだ、本当に!」
平山「車輪付きなら椅子でも爆発するとか、どんな歩く災害だお前は。おかげで俺のお気に入りのコーヒーカップは粉々、淹れたてのコーヒーは台無し、お前、今ここでその頭を絶対零度で凍らせてやろうか?」
ジェラルド「ヒエッ……!!ご、ごめんなさい!リスナーの皆さん、スタジオの温度が急激にマイナスまで下がってきました!機材が凍る!僕の体も凍る!!……コホン!さ、さあ気を取り直して、最後の質問にいってみよう!リスナーの皆さんお待ちかね、23連勤を生き抜いた平山博士の、気になる明日からの『有給休暇の過ごし方』について教えてもらえるかい?」
平山「ああ、休暇の予定か。俺はこれから、あのグラッシーいやグラスと一緒に、アメリカへキャンプに行くことになってる。」
ジェラルド「ええっ!?あのいつもニコニコしてて優しいグラス博士かい!?それはまた、ずいぶんと意外な組み合わせというか、お国柄も性格も全然違う二人がキャンプなんて……!」
平山「意外でも何でもないだろ。グラッシーは俺の性格をよく理解してくれてるし、何よりあいつと一緒に大自然の中で過ごす時間は、財団のドロドロした泥沼から一番遠いところにある。 あいつが笑顔で淹れてくれる美味いコーヒーを飲みながら、アメリカの満天の星空の下で、テントを張って焚き火を囲むんだ。5日前にお前のせいで爆破された朝のコーヒーの恨みを、アメリカの大自然でしっかり癒やしてくるさ。」
ジェラルド「うわあ、めちゃくちゃオシャレで最高の休暇じゃないか!グラス博士が淹れるコーヒー、絶対に美味しいよね。」
平山「……よし、喋るだけ喋ったし、俺はこれからグラッシーと合流して空港に向かう。今、収容違反の対応に追われてる奴も、実験のレポートが承認されなくて頭を抱えてる奴も、死なない程度に前を向いて働け。生きてさえいれば、最高な休暇が待ってるからな。じゃあな、ジェラルド。お前は今すぐその椅子から降りろ。お疲れ。」
ジェラルド「ありがとうございました!ゲストは明日からグラス博士とアメリカキャンプへ旅立つ平山博士でした!それではリスナーの皆さん、次の仕事が来るまで、おやすみなさい!まぁ財団職員の睡眠時間は一日3時間だけどね」
コンドラキ博士の人事ファイル
著者:Dr.Kondraki
URL:https://scp-wiki.wikidot.com/forum/t-98754/dr-kondraki-s-personnel-file
作成年:2008
(SCP-408 SCP-515-ARCもコンドラキ博士の作品の為割愛)
ジェラルド博士の人事ファイル
著者: Dr Gerald
URL:http://scp-jp.wikidot.com/dr-gerald-s-personnel-file
作成年2009年
キング博士の人事ファイル
著者:Roget
URL:http://scp-jp.wikidot.com/long-live-the-king
作成年:2013
タイトル: SCP-666-J - ジェラルド博士の運転スキル
著者: FPST
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-666-j
作成年:2009年
タイトル: Dr Glass' Personnel File
作者: Pair Of Ducks
ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/dr-glass-personnel-file
ライセンス: CC BY-SA 3.0