くのいち彼女がストーカーしてくる   作:最強の新聞配達人

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くのいち彼女と野球勝負

体育の授業中、俺は戌井さんの視線を感じながら友人とキャッチボールをしていた。

ちなみに戌井さんはクラスのおとなしめな子とキャッチボールをしている。

……戌井さん…いくら野球に興味ないからって、そんなつまらなさそうな顔をしちゃダメだよ……一緒にキャッチボールをしてる子が自分とキャッチボールをすることがつまらないって勘違いして傷ついちゃうよ…

 

「おーい!お前ら集まれー!試合するからチーム分けするぞー!」

体育教師の号令により、クラス全員集合する。

チーム分けか~できれば野球部が多い方のチームがいいなぁ~

「出席番号の奇数と偶数でチームを組め」

俺の出席番号は15番…ちなみに戌井さんの出席番号は2番なのでチームは別々だ。

俺は自分のチームのメンバーを確認する……野球部が4人もいる!対して相手チームにはたった2人しかいない。

戌井さんのいる相手チームには悪いけどこの試合、余裕で勝てるね!

 

「プレイボール!!」

前半の攻撃は戌井さんのいる相手チーム!……ちなみに俺は外野を守っている…本当は補欠が良かったんだけどな~女子が全員補欠に入っちゃったから男子は全員スタメンになっちゃった。

そんな事を思っていると野球部ピッチャーが3アウトを取っていた。

さすが野球部!これだったら外野の俺はいらないんじゃない?

 

攻守が入れ替わり、次は俺達のチームが攻撃をする。

ピッチャーはなんと、戌井さんだった!…しかし戌井さんはやる気のない顔をして適当に投げている。

その結果、野球部にパコパコ打たれ戌井さんのチームメンバーから非難の目で見られている。

うーん…野球の試合的には嬉しいんだけど……このままじゃ戌井さん…チームメンバーから容赦ない批判を浴びるかもしれない……

「おーい!春風!次、お前の番だぞ!」

「うん、分かった」

俺はとりあえずバットを持ってバッターボックスに立つ。

このまま俺は戌井さんの適当に投げたボールを打ってしまっていいのだろうか?……きっとこのまま打ってしまったら戌井さんはチームメンバーから容赦ない批判を浴びせられる…どうしよう……チームを取るか…戌井さんを取るか……

「春風!かっとばせ!!」

後ろからチームメンバーの声援を受ける。

「………………」

……ごめん、みんな…俺はやっぱり戌井さんが嫌われるところなんて見たくないよ!

「俺……」

俺は大きく息を吸って大きい独り言を校庭に響かせる。

「俺!興味がないことにも全力でやる女の子が好きなんだよね!!」

校庭にいる全員の視線が俺に集まる……

「なにいってんの?春風…」

キャッチャーが校庭にいる全員が疑問に思っているであろう事を代弁して俺に聞いてくる。

うるさいな!こうでもしないと戌井さんはやる気を出さないんだよ!

ふと、戌井さんの方を見てみると戌井さんの目は闘志の炎に燃えていた。

良かった…これで心置きなく試合ができるね!

 

戌井さんは大きく振りかぶってボールを投げ……た…

……戌井さんの手元からボールが離れた瞬間に後ろのキャッチャーミットからバァァァン!という破裂音のような音が校庭に響きわたったのだ…

しばらく静寂な空気に包まれたあと……

「ス、ストライク……」

体育教師が驚きを隠せない様子でストライク宣言をする。

……これ…野球だよね?なんで野球ボールで戦車による威嚇射撃みたいなことされてるの?…俺……

そんな事を思っていると戌井さんが2球目……いや、2発目を発射しようとしていた。

「春風!バットを振れ!!」

チームメンバーの一人が俺に指示をしてくる。

分かってるって!バットを振らなきゃボールに当たらないもんな!

俺はバットを構えなおして戌井さんの豪速球に備える。

……だが、戌井さんの投げた弾丸のようなボールは俺の顔面をかすめていった…自分の顔から血の気が引いていくのが分かる……

「ボール!」

……どうやら、戌井さんの投げるボールはとんでもないスピードだが…コントロールが出来ていないようだ……

……もし、あのボールが俺の頭に当たったら俺…死ぬんじゃ………

 

俺が死の恐怖に怯えている事など気にしていないのか、戌井さんは3発目を発射する準備をしている。

「春風!バットを振れ!!」

「無理だよォォ!!」

「バットを振らなきゃ当たらないだろう!!」

「そんな事言ったって……ヒィィ!」

「ボール!」

戌井さんは無慈悲にも3発目を発射してきた。

……もうやだ…帰りたい……

戌井さんが4発目を発射しようとしたとき……

キーンコーンカーンコーン…という救いの鐘が鳴った。

 

「鐘が鳴ったな!今日の授業はこれまで!片付けをしてから教室に帰れよ!」

そう言って体育教師はいつものように校舎に向かって行った。

ふと、戌井さんのいるマウンドを見ると戌井さんはたくさんのクラスメートに囲まれていた。

「戌井さん凄かったね!大活躍だよ!」

「戌井さん良かったら今度うちの部活に遊びに来なよ!」

「えぇー!うちのテニス部弱小じゃん!それよりもうちのバドミントン部に来てよ!戌井さん肩ものすごく強いし絶対強くなれるから!!」

「ダメダメ!戌井さんはバスケットボール部に来るんだから!」

戌井さんはたくさんの人に囲まれて部活の勧誘をされていたがまんざらでもない顔をして少し微笑んでいた。

良かったね!戌井さん!

 

「春風!お前おもしろいやつだな!」

「急に好きな女の子のタイプを叫んだり……戌井さんの豪速球にビビってヒィィ!とか言ったり!」

「うるさいな!お前らだって戌井さんのボールを間近で見ればそうなるよ!」

一方、俺も何人かの男子に囲まれて、新しい友情を育んでていた。

「……なぁ、もう授業終わったしバッターボックスから出ていいんだぞ?」

「……う、うん…」

……そして、足の震えが酷くいまだにバッターボックスから出られないでいた…

 

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