くのいち彼女がストーカーしてくる   作:最強の新聞配達人

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くのいち彼女と夕飯を作ろう

授業中、俺は今日の夕飯を自炊しようか考えていた。

……いままではカップラーメンだったけど…最近、戌井さんが味噌汁を作ってくれるようになってからカップラーメンが不味く感じて食べられなくなっちゃったんだよね。

…とはいえ自分一人では料理が出来ないので料理がうまくて教えてくれる人が必要だ。

やっぱりあの人に頼るしかないかな?

俺は放課後戌井さんに家で料理を教えてもらえるよう、頼むことにした。

「戌井さん…ちょっとお願いがあるんだけど……」

授業中なのでこそっと戌井さんに話しかける。

「…………なに?」

「今日俺の家で一緒にご飯作ってくれない?」

「えっ!?」

戌井さんは驚いたからか、授業中なのに大きい声を出してしまった。

「戌井、どうかしたか?」

「…………いえ」

戌井さんの顔はまるで熟したトマトみたいに真っ赤だ 。

「そうか……それじゃ次のページにいくぞ」

先生は何事もなかったかのように授業を再開する。

 

「戌井さん…今、返事しなくてもいいから考えてもらってもいいかな?」

だが、戌井さんは少し考えると…

「…………一緒にご飯作るくらいなら別にいいけど…」

別に今返事をしてくれなくても良かったのに…まぁ、でもこれで料理を教えてもらえることだし!今日から自炊生活デビューだ!

俺は少しワクワクしながら放課後を待つことにした。

 

放課後、俺は戌井さんと二人で自分の家に向かう。

ちなみに戌井さんは、屋根の上ではなく路上を歩く俺の少し後ろを歩いている。

…そういえば戌井さんって料理何が作れるんだろう?

「戌井さんって料理何が作れるの?」

「……和料理」

「サバの味噌煮とか作れる?」

「…………作れる」

「今日、サバの味噌煮と味噌汁を教えてよ」

「…………分かった」

そんな会話をしていると俺の家が見えてきた。

「あれが俺の家だよ」

まぁ、戌井さんは毎日俺の家の前に居るからどれが俺の家か教える必要はないと思うけど……

俺は自分の家の鍵を開けて戌井さんを家の中に招き入れる。

「そんなに大きい家じゃないけど、どうぞ入って!」

「…………お邪魔します」

戌井さんは顔を赤くしてもじもじしながら入ってきた。

毎朝、味噌汁を作りに入ってきてるのにすごく緊張してるな…

「まぁ、そんなに緊張しないで料理を教えてもらうだけだから」

そう、料理を教えてもらう……あれ?…そういえば材料ってあったけ?

そう思った俺は急いで冷蔵庫を開けて中を確認する。

……冷蔵庫の中は…戌井さんが毎朝作ってくれている味噌汁の材料だけが入っていた……

俺はすぐに自分の財布の中身を確認する。

……せっかく戌井さんが料理を教えに来てくれてるし…これから先ずっと使っていけるスキルが手に入るならこれくらい安いか…

「戌井さんごめん!」

「…………なに?」

「材料を切らしてて……買ってくるからちょっと家で待っててもらっていいかな?」

「……いいけど」

「ごめんね!じゃあ行ってきます!」

そう言うと俺は玄関を飛び出し近くのスーパーに向かう。

 

スーパーに着くと俺はスマホでサバの味噌煮の材料を調べて買い物かごの中に入れていく。

…米はまだ家にあるし……味噌汁の材料は冷蔵庫の中にあったし…サバの味噌煮の材料だけでいいかな……

俺は買い物かごを腕にぶら下げながらレジに向かい、会計を済ませて家に帰った。

 

「ただいま」

家に帰り着き俺は材料の入ったレジ袋を持ってリビングに向かう。

だが、そこに戌井さんの姿はなかった。

……あれ?戌井さんがいない…もしかして帰っちゃった?

そう思っているとなにやら二階で物音がする事に気が付いた。

もしかして二階かな?でも、二階には物置と俺の部屋しかないよ?…………俺の部屋……

まさかと思いながら俺は二階にある自分の部屋に向かった。

 

自分の部屋の前にたどり着いた俺はそっ…と扉を開け中の様子を見る。

……部屋の中ではベッドの上で戌井さんが俺の枕に顔をうずめて匂いを嗅いでいた…

俺は扉を静かに閉めて一階のリビングに降りていく。

…自分の子がエッチな本を見てる瞬間を見た親の気持ちって、きっとこんな気持ちなんだろうな……

そっとしておいてあげよう……

リビングに着いた俺は戌井さんが降りてくるまで米を炊いたりピーラーで野菜の皮を剥いたりと、自分で出来る範囲で夕飯の準備をする事にした。

 

しばらくするといつものクールな顔で戌井さんが二階から降りてきた。

「……………帰ってたの?」

「さ、さっき帰って来たばかりだよ!それよりも戌井さん準備出来たから料理教えて!」

「…………じゃあ味噌汁から…」

「………まず具材を切って」

「うん、分かった」

俺は包丁を振り上げ人参にめがけて一気に振り下ろす。

……だが、人参は包丁を華麗に避けてまな板の上を転がっている。

…ふっ……人参のくせにやるじゃないか……でも、次は避けられないぞ?

俺は人参を左手で押さえると再び包丁を振り上げる…

「……なにしてるの!?」

鍋を見ていた戌井さんが驚いた様子で俺に聞いてくる。

なにって……見たら分かるでしょ?

「人参を切ってるんだよ」

「…………包丁は叩いて切るんじゃなくて…引いて切るの」

「えっ?そうなの?」

俺はさっそく振り上げた包丁を人参に構えて引いて切る。

「おぉ!切れてる!」

「…………危ないから猫の手」

猫の手?一体戌井さんはなにを言っているんだろう?

「猫の手ってなに?」

「………はぁ…ごめんなさい…左手を丸くして」

あぁ…猫の手みたいに手を丸くするから猫の手って言うのか……ところで、なんで戌井さんため息ついた後に俺に謝ってきたの?

俺は具材を全部切り終えると鍋の中に具材を入れる。

「…………後は私がやるから鹿野くんはサバを捌いて」

「うん、分かった」

捌くってどうするんだろう?さっきと同じように切っていけばいいのかな?

俺はサバを野菜と同じように切っていく。

「!?……鹿野くんはやっぱり私がやることを見て覚えて」

「えっ!?……分かった」

……なんか納得いかないけど…戌井さんが言うならしょうがない……

実は観察力には自信がある…見ただけで完璧とまでは言えないけどある程度は真似が出来る。

俺は戌井さんの料理している動作を一個一個見て覚えていく。

 

「…………後は盛りつけだけだから手伝って」

「うん」

俺は見栄えするように綺麗に盛りつけていく。

盛りつけだって料理の一環だから!

「出来た!これでいい?」

「……うん」

「よし、それじゃ台の上まで持っていこうか」

「…………そうね」

俺と戌井さんはサバの味噌煮と味噌汁、そして俺の炊いたご飯を台の上まで運んで椅子に座る。

「いただきます」

「…………いただきます」

俺はサバの味噌煮を箸で食べやすいように切り分けて口の中に運ぶ。

「おいしい!」

「そ、そう……」

戌井さんは顔を赤くしながら嬉しそうな顔をしている。

「戌井さんと一緒にご飯作ってすごく勉強になったよ!」

「…そ、そんなことより…早く食べないと冷めるから……」

戌井さんは顔を真っ赤にして料理に視線を戻す。

今日は料理を教えてくれてありがとう戌井さん!

また俺に料理を教えてね!

……もし、また俺の家で料理を教えてくれるってなったら今度は二階に上がられないようにしなきゃ…

 

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