名探偵ピカチュウの事件簿 -高名な仲介人-   作:じょうぶなメガネ

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序文

 僕の名はティム・グッドマン。

 名探偵じゃない、探偵……見習いだ。

 

 僕は、1年ほど前、人とポケモンが暮らす街、ライムシティにやってきて、現在はライム大学に通っている。

 

 ライムシティは”人とポケモンの共生”を掲げている街だ。

 ポケモンと共に暮らすことは至るところでしているだろうが、ライムシティの特徴として、モンスターボールにポケモンを入れることなく、そのままポケモンを外に出して、一緒に生活している。あと、ポケモンバトルもやらない。来てみて驚いたけれど、ポケモンとの生き方について、全く考え方が違って、初めは驚きの連続だった。

 

 この街に着いて、僕は、初めにベイカー探偵事務所を訪ねることにした。父が属していた探偵事務所だ。

 

 僕がこの街に来た理由は事件を追っているうちに行方不明になった父を探すためだ。事件の捜査のために潜入した、とある研究所から車で逃げ出した際、襲撃にあってから行方不明みたいだ。

 でも、僕は今でも父は生きていると信じている。この街には、僕の知らない真実がきっとあるはずだ。

 

 父とは離れ離れなままだけど、出会いもあった。

 

 父・ハリー・グッドマンのパートナー、ピカチュウとの出会いだ。

 

 ピカチュウは変わったやつで、茶色の鹿打ち帽をかぶって、暇さえあればコーヒーを飲んでいる。

 コーヒーに関しては本当に目がない。「家にいないな」と思ったら、勝手に家を出て、ハイハットカフェのカウンターでコーヒーを飲んでいる。

「ピカチュウってコーヒー飲んで大丈夫なの?」と初めの内は思っていたが、コーヒーが飲めない時間が長くなるとソワソワし出すため、最近、コーヒーを切らさない方が健康なのかも、と思うようになった。

 

 でも、そんなことより、もっと変わっていることがある。

 僕にはピカチュウが言っている言葉がなぜかわかるのだ。

 他の人には「ピカ、ピカピカピカ?」としか聞こえない言葉が、なぜか「ティム、なにしてるんだ?」に聞こえる。

ピカチュウはようやく話し相手ができたことが嬉しいのか、人目気にせずしょっちゅう話しかけてくるから、僕としてはいつも困っている。

 

 そして、何より、父譲りの推理力。

 父がいなくなってからしばらくの間は、野生のポケモンの問題を解決してあげていたらしい。少しお腹が弛んでいてゴロゴロしてばっか、わざも何も使えない、おじさんくさいピカチュウには最高の推理力がある。

 

 卓越した洞察を見せるピカチュウと、なぜか話せる僕は、ひょんなことから、父の行方を一緒に探ることになった。

 残された手がかりからポケモンを凶暴にする薬の存在を導き出し、結果、僕たちはライムシティを揺るがす”R事件”を解決する結果となった。

 ピカチュウの頭脳は、ライムシティ中のポケモンを救ったことになる。

僕一人じゃそんなことできなかった。ピカチュウがいてこそだ。

 

 この事件は新聞やテレビで取り上げられ、僕たちは少しだけ有名になった。

 先日、聞いたところによると、ピカチュウを題材にした映画を作る話まで出ているらしい。

 僕たちの元へは、そんな経緯で、次から次に依頼が舞い込むようになり、日々事件に追われる毎日だ。

 こうもあわただしくしていると、事件のことを忘れてしまうので、僕は今日からレポートを書くことに決めた。特に、誰かに見せるとか考えていない。

 ただ、もし、いつか父が見つかった時には渡そうかな、と思っている。

 

 ピカチュウはただの探偵じゃない。名探偵なのだ。

 

 その活躍っぷりを知ったら、きっと誇らしい気持ちになるだろうと思っている。

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