【悲報】ヒフミさん普通じゃなかったwww   作:車検のコダック

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襲撃と反撃

 

【先生視点】

 

 その日、対策委員会の部室は静まり返っていた。

 

 長机の上に置かれた、洋型の封筒に入った一通の手紙と真新しい『退部届』。

 差出人は、『小鳥遊ホシノ』。

 

(”……止められなかった”)

 

 その光景を前に、先生は無意識のうちに拳を握りしめていた。

 

 事の始まりは昨夜、ホシノが隠し持っていたという退部届について問い詰めたところから始まる。

 彼女はポツリポツリと、その発端について語りだした。

 

 そこで明かされた、先日遭遇したカイザーPMC理事とは別の、『黒服』を名乗る男の存在。

 ホシノはその黒服から、二年ほど前からとある提案を受けていたらしい。

 

 その提案とは『アビドスを退学し、我々の企業に所属すること。そうすればアビドスの借金を半分負担する』というもの。

 

 黒服は「決して拒めない提案」と口にしたそうだが、後輩を大切にしているホシノからすればまさに、天から垂れてきた蜘蛛の糸のようなものであったことだろう。

 

 だが、断る理由になっているのもまた、後輩たちの存在であった。

 ホシノは、アビドスの皆がいるからと断り続けていたのだ。

 

 『――でも、それ以外に方法があるとも考えられないんだよねぇ』

 

 その後、そう呟くように放ったホシノの表情には諦観が見て取れた。

 

 だから。

 

『”私が、何とかするから!どんな手段を使ってでも、絶対に!!”』

 

 そう、声を掛けたのだ。

 

 ――しかし翌日。

 先生は自身の力不足を痛感させられることとなった。

 

 あの時放った言葉は、彼女を繋ぎ止めるには足りなかったのだ。

 

「バカ……っ!なんで一人で、勝手に……っ!」

 

 手紙を読んだセリカが、大粒の涙をボロボロとこぼす。

 アヤネは両手で顔を覆って嗚咽を漏らし、ノノミは信じられないものを見るような目で手紙を見つめて固まっていた。

 シロコは無表情を貫いていたが、その犬耳は垂れ下がっており、呆然とした様子を見せている。

 

(”もっと、力があれば……”)

 

 大人としての自分の甘さを呪う。

 

 だが。

 打ちひしがれている時間すら、アビドスには与えられない。

 

 ――ズドォォォォォォンッ!!!と。

 

 突如として、アビドス校舎全体を揺るがすほどの凄まじい爆発音が轟く。

 

「きゃあっ!?」

 

「な、何事ですか!?」

 

 窓ガラスが振動で震え、天井からは埃が落ちてくる。

 

 落ち込んでいた部室の空気は、一瞬にして硝煙の漂う戦場へと変化した。

 

”アヤネ、今の爆発は!?”

 

(”これ以上不甲斐ない結果を残すわけにはいかない”)

 

 先生は意識を切り替え、アヤネに指示を出す。

 

 アヤネはハッとして涙を拭い、弾かれたように通信端末と監視モニターの確認を始めた。

 

「は、はい!周辺の状況を……。えっ、これは――!?」

 

 映し出された映像を見たアヤネが驚きの声を上げる。

 それに慌てて画面に詰め寄ると、そこには信じられない光景が広がっていた。

 

 アビドス自治区を埋め尽くさんばかりの、装甲車両の群れ。

 空を覆う重武装の戦闘ヘリコプター。

 そして、無機質な足音を響かせ統率の取れた動きで校舎へと進軍してくる、無数の戦闘用オートマタたち。

 

「カイザー、PMC……!?」

 

 シロコが威嚇するように名前を口にする。

 先日明らかとなった、アビドス廃校対策委員会を取り巻く陰謀の黒幕。

 

 彼らはヘルメット団のようなゴロツキの集まりではない。

 

 それは本物の、正規の軍事企業による紛れもない『武力侵攻』だった。

 

 その物量は尋常ではなく、先鋒の部隊はすでにアビドスの校舎敷地内にまで侵入しているようだった。

 

「警報システムが作動していません!おそらくすでに破壊され……っ、もう侵入されています!!」

 

”まずは校内の敵を倒すよ!!”

 

 先生の号令とともに、シロコ、セリカ、ノノミが一気に廊下へと飛び出す。

 

 悲しみに暮れている暇はない。

 今この瞬間、ホシノが自己犠牲を払ってまで守ろうとしたこの学校が、悪意ある大人たちによって蹂躙されようとしているのだから。

 

 廊下にはすでに、PMCの兵士たちがアサルトライフルを構えて待ち構えていた。

 

「邪魔よ、どきなさいっ!」

 

 セリカの怒りに任せた銃撃が兵士の装甲を撃ち抜く。

 ノノミのミニガンが凄まじい弾幕を張り、シロコのドローンミサイルが正確に敵兵の頭を破壊した。

 

 先生の戦闘指揮もあり、少数精鋭の対策委員会は校舎内に侵入した先遣隊を瞬く間に蹴散らし、砂埃の舞う屋外――正面の中庭へと飛び出した。

 

 しかし、そこで彼らの足は完全に止まることになった。

 

「……これは、いくらなんでも……!」

 

 ノノミがミニガンを下ろし、絶望的な声を漏らす。

 

 校門の向こう側。

 そこには先ほどモニターで見た以上の、圧倒的な数の暴力が待ち構えていた。

 

 見える範囲でも、200は超えているか。

 当然戦車はこちらに砲塔を向けているし、上空にはヘリが対空している。

 

 そして、その圧倒的な軍勢の最前列。

 護衛の兵士たちに守られながら、恰幅の良いスーツ姿のオートマタ――カイザーPMC理事が、傲慢さを隠さない笑みを浮かべて立っていた。

 

「素晴らしい抵抗だ、アビドスの生徒諸君。だが、無駄な足掻きはそこまでにしてもらおう」

 

 拡声器を通した理事の声が、砂塵とともにこちらに届く。

 

「小鳥遊ホシノというアビドス最後の生徒会役員を失った今、君たちに抵抗する権利はない。大人しく我々に校舎を明け渡せ。

 

 ここは、『カイザーの学校』になるのだからな!」

 

「っ!ふざけないでよっ!」

 

 セリカが一歩前に進み出た。

 

「ここは私たちの学校よ!こんな暴力で解決するようなこと、許されるわけない!!」

 

「はっ、許す許さんなぞ、なんの関係もないのだ。なぜなら、この周辺はカイザーのもの。軍事行動しようと、連邦生徒会は何も文句を付けられん。

 そして、学園が学園として存続するためには生徒会が必要だ。

 貴様らの中に、生徒会の役員がいるのかね?」

 

 そう言い放ち、理事は鼻で笑った。

 

 状況ははっきり言って絶望的だ。

 

 カイザーの発言の真偽がどうあれ、ここまで強気な行動をした以上は正当性があると踏んでのことなのだろう。

 そして、キヴォトスに日が来て浅い先生ではそれに対する反論ができない。

 

 かといって、抵抗しようにも戦力差は歴然だ。

 

 シロコやノノミ、セリカがどれだけ優秀でも、弾薬には限りがある。

 いくらアヤネが支援しようと、先生の指揮があろうとも、人数差は覆らないのだから。

 

「というか、たかが五人相手にこの数連れてくるなんて、過剰じゃないの!?」

 

 セリカが、皮肉交じりに理事に投げかけた。

 

 すると、理事は少しだけ表情を引き締め肩をすくめて言った。

 

「……ああ、まぁ、そうだな。別に話すことでもないのだが……。冥土の土産に教えてやろう」

 

 理事は、忌々しそうに空を睨みつけた。

 

「……『ゲーテ』だ」

 

「……え?」

 

 セリカが怪訝な声を上げる。

 

 そのセリフを聞いた瞬間、先生の背筋に冷たいものが流れるような感覚が走った。

 

(”『ゲーテ』!ブラックマーケットを支配しているという、あの……!?”)

 

「我々カイザーは前から奴らに目を付けられていてな……。いつ何かしらの理由を以って、事業に横やりを入れられるかわからんのだ」

 

 理事の言葉には、これまでの傲慢さからは想像できないほどの『恐怖』が滲んでいた。

 

 これだけの軍事力を、ホシノが退部したという理由を得てすぐに動員できるような存在が恐れる『ゲーテ』とは。

『ファウスト』とは、何者なのだろうか。

 

(”ヒフミは……。いや、今は前のことに集中しないと”)

 

「我々がこれだけの軍備を投入したのは、君たちを制圧するためではない。進軍前、あるいは進軍中。ゲーテの連中が襲撃してくる事態を想定し、奴らと戦闘が勃発する可能性を考慮した結果だ」

 

 まぁ結果としては杞憂だったがね、と理事は鼻を鳴らした。

 

 先生はギリ、と奥歯を噛み締めた。

 

 カイザーは我々を警戒したわけではなく、他勢力を警戒していたのだ。

 それはつまり、アビドスにはゲーテと戦闘をしたあとでも勝てる、と判断されたと言い換えてもいい。

 

 そしてなにより悔しいのは、その戦術眼は正しいだろうということだ。

 

「……。そんな……」

 

「……」

 

「ぐ、ぅぅ……」

 

『ここまで、なんですか……?』

 

 ノノミが。

 シロコが。

 セリカが。

 アヤネが。

 

 この状況に絶望を覚えていた。

 

(”どうにか、しないと……!なにか手が――”)

 

「さて、無駄話は終わりだ。小鳥遊ホシノはもういない。ここは我々カイザーの土地。ゲーテの横槍も気にする必要は――」

 

 理事が右手を高く挙げ、全軍に突撃のサインを出そうとする。

 

 もはや、これまでか。

 

 誰もがそう思った、その時だった。

 

「――あんたたち、諦めてるんじゃないわよ!!」

 

 凜として芯の通った、聞き覚えのある少女の叫び声が、戦場に響き渡った。

 

 突然の声に、理事の動きが止まる。

 

 先生たちが思わず声の方向に目を向けると、そこには強烈な逆光を背負って立つ四人の少女たちのシルエットがあった。

 

 深紅のロングコートを風に翻し、不敵な笑みを浮かべる角の生えた少女。

 いつぞやの襲撃犯。

『便利屋68』の社長――陸八魔アル。

 

 彼女の隣には、ムツキ、カヨコ、ハルカの姿も見える。

 

 先日の銀行強盗後に遭遇した際の、限界化していた姿とは似ても似つかぬ凛々しさ。

 

「なんで、あんたたちが……!?」

 

 セリカが呆然と呟く。

 だが、驚くのはそれだけではなかった。

 

 便利屋68の四人の背後から、統一された武装に身を固めた『傭兵』と思しき者たちが姿を現す。

 

「フフッ……困っているようね!……まさか、ファウスト様の関係者であるあなたたちが、弱音なんて吐いてないわよね?」

 

 アルが高らかに宣言し、スナイパーライフルを構える。

 

 その信じられない光景に、カイザーPMCの理事は目をひん剥いて驚愕した。

 

「なぜゲヘナの『便利屋』がここにいる!?いや、そこじゃない!後ろのそいつらは――!!」

 

 だが、理事はすぐに頭を振り、憎々しげに顔を歪めた。

 

「いや、いい!元よりその予定だったのだ!!全軍行動を開始せよ!!」

 

 理事の怒号とともに、静止していたPMCの軍勢が統一された動作で動き始める。

 

”っ!まだ終わってない!ここを突破して、ホシノを連れ戻すよ!

 

『「「「了解!」」」』

 

 先生の激励に、シロコたちが力強く応えた。

 

 まだ、希望はある。

 

”戦闘開始!!”

 

 




フラグ立てたからさぁ理事ちゃん……。

てかオールシリアスで酸素が足りないよ!


原作と大差ない出来事は大体カットするつもりなんだけど、今回くらいの少し遡る程度のダイジェストでいいのか、それとも前回からの出来事は一応全部書いた方がいいのか。
アンケート取った方がいいのかしら?

追記
アンケート設置しました!

原作のキャラの掛け合いというのは、
ムツキ「ぶっ殺すしかないよね!」
みたいなやつです。
ここ原作と変える必要ないし、なら要らないか!って……。

質問文とか、分かりにくかったらごめんなさい

原作の出来事はどれだけ描写した方がいいですか?

  • 1.描写しなくていい
  • 2.直前の出来事程度でいい
  • 3.全部ダイジェストで入れてほしい
  • 4.1+原作のキャラの掛け合いは欲しい
  • 5.2+原作のキャラの掛け合いは欲しい
  • 6.3+原作のキャラの掛け合いも欲しい
  • 7.どれでもいい(閲覧用)
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