堕天使になったので魔界行ったりなんやかんやします 作:Revak
翌日。
ルシフェルは上機嫌にエストと共に学園に向かっていた。
エストは学園の制服を着て。ルシフェルは普段通りのコートを着ている。
上機嫌の理由は二つ。
数百年ぶりのまともな飯と、風呂だ。
魔界には風呂という概念が薄い。
悪魔は不老不死の存在なので老廃物が出ない。そのために戦って血で汚れたり砂埃が付くなどで体を洗う事はあるが、日ごろから風呂に入るという事がない。
というか身綺麗にしたければ
ただ温泉はあるのでルシフェルは数十年周期で温泉に浸かっていた。
だがシャンプーやリンスなどは無いので体も髪もまともに洗えない。
そんな日々が数百年続いていたのでまともに体を洗えたことに感動しているのだ。
寮から出てルシフェルとエストの二人は学園に向かう。
他の者とすれ違うが、ルシフェル以外の従者を見る事はあまりない。
召喚された従者は本来の世界に居たままで用事があるときだけ現世に緊急召喚できるのだ。
ただサラやミヒャエルのように縮小化させた状態で連れている者も居る。
学園内に入り一階の教室に入る。
教室には決まった席順が無いので好き勝手座れる。エストとルシフェルは並んで座った。
少し待つと生徒全員揃う。
生徒の中にはルシフェルを見て怯えた表情をする者も居る。先日の恐怖を覚えているのだ。
だが実害を出したわけじゃないので生徒たちは怯えながらもルシフェルから離れた席に座る。
そうして待っていると教師のロイスがやってくる。
「……皆揃っているようだな。一応出席を取るぞ。ウーリク」
「はい!」
「アモンド」
「はい」
そうして名が呼ばれて行き、エストも呼ばれる。
「よろしい。では今日の授業を始める。まずは魔法の属性についてだ」
ロイスはそういうと黒板に書いて行く。
「魔法には大きく分けて七つの属性がある。木、火、土、金、水、月、日だ。そこから更に細分化されるが今は置いておこう」
大きく分けて、と言ったように実際はもっと多い。
例えば月属性には闇属性と負属性が入っているし、木属性には樹木属性と雷属性が入っている。
ルシフェルは火属性の使い手になる。
「そして魔法の発動に大事なのは残酷なことを言うが才能だ。才能がモノを言う」
ファンタジーものでよく魔法はイメージなどというがこの世界では違う。
イメージできてようがなかろうが、この世界では才能があるなら出来るし無いなら何やっても出来ない。
「魔法の現象は通常の物理現象とは異なる。普通の炎は水の中では消えるが
普通の炎には酸素などが居るが、魔法の炎のそんなものはない。
あくまで炎と似た現象を起こすだけの超常現象なので酸素があろうがなかろうが水の中だろうが燃えてしまうのである。
「さて、属性に話を戻すが──」
その後も授業は続いて行った。
■
昼。
ルシフェルとエストは食堂に来ていた。
食堂は学生なら無料で使えるので人が多い。
となると当然、完全な人型である見たことない人物であるルシフェルに注目が集まる。
エストは気づくがルシフェルは気づくことも気にすることもなくカウンターに進もうとする。
「おい、そこの女、なんでお前みたいなのがここにいる?」
そして当然上級生がルシフェルに声をかける。
ルシフェルの存在はまだ周知されていない。
だからこそ制服を着ていない小娘が居る事に疑問を抱かれる。
「なんでって、僕こいつ……エストの使い魔みたいな状態だからいるだけだけど」
ルシフェルのその言葉に声をかけた上級生──五年生の男、名をアルベルト・フォン・ブッシュは眉を潜めた。
金髪碧眼の男で体は最低限の筋肉が付いている。
「人間が使い魔……? そんなわけないだろ」
アルベルトはそう怒りを滲ませた声で言った。
「ほら、これ証拠」
ルシフェルはそう右手に刻まれたサーヴァントの証を見せた。
「……これは……だがただの人間が──」
ルシフェルはアルベルトの右ほおをかする様に熱線を放った。
遠くにある壁に穴が空く。
「うざいなぁ、殺すよ」
ルシフェルはそう苛つきを込めた声で言った。
「お、俺に傷をつけるなんて、野蛮人め!」
アルベルトは怯え後ずさりしながら叫んだ。
「お、おいルシフェル、人を殺すのは駄目だ!」
慌ててエストが止めに入る。
「先に煽ったのはあいつだからいいでしょ。煽っていいのは殺される覚悟のある奴だけだってね」
「ここは人間の世界だから、そんな蛮族の常識を持ってこないでくれ!」
エストが懇願するように叫んだ。
「こいつ、解らせてやる! こい、
アルベルトが右手を掲げると炎と共に精霊が出現する。
燃え盛る溶岩が人の女性の形をとった存在だ。顔はのっぺらぼうのようにないし耳もない。
背中には燃え盛る炎による翼がある。
レベル十の精霊系モンスターだ。
「邪魔」
ルシフェルは切断の光線で炎の精霊を縦に斬り裂いた。
炎の精霊は死体となり、光の粒子となって消えていく。
精霊系モンスターは魔法効果の付いた攻撃でのみ干渉出来る。
精霊系のモンスターは復活することが出来るが、それは悪魔や天使のような自我が持続するような復活ではない。
蘇ったとしてもそれは同一種族なだけの別個体になるのだ。
故に、アルベルトは生涯の相棒である精霊を失った。
「え……?」
己の相棒が瞬く間に殺されたことが理解できず放心する。
「ちょ、おま!」
エストは精霊を殺したことに対し焦る。
「これ以上邪魔するならお前の頭貫けど」
ルシフェルの冷たい殺気の籠った台詞と視線によってアルベルトは現実に引き戻される。
そしてそのまま情けない声を上げながら走って去っていった。
「さ、ご飯食べよ」
ルシフェルは先ほどの事を露ほども気にせずカウンターに進み食事をとりに行った。
ルシフェルの相手するのは骨が折れそうだ、とエストは胃に痛みを感じつつあった。
■
一週間後。
ルシフェルは左程問題を起こさず学園で授業を受け続けた。
前世ぶりの学園生活に心躍りつつルシフェルは楽しんでいた。
だが教師側は気が気でなかった。
ルシフェルの方が圧倒的に強者であるため止める手段というのがないのだ。強すぎる力は恐怖を生む。
そうした一週間後の朝のホームルームで。ロイスが口を開く。
「魔法祭が迫っている。これから生徒諸君には魔法祭に向けて準備をしてもらう」
「せんせー魔法祭って何ー?」
ルシフェルが間抜けな声で問いかけた。
それに対しエストは若干ありがたく思った。自分も魔法祭なんて知らないので。
「魔法祭とは名の通り魔法の祭典だ。三つの競技が行われる。
一つは的当て。動く的などを遠距離攻撃の魔法で攻撃して破壊する。
二つ目は団体戦。二チームに別れて棒倒しを行う。勿論魔法の行使もサーヴァントを使うのもありだ。殺しは無しだがな。
三つめは個人戦。トーナメント形式で戦ってもらう。あぁ、神官に来てもらおうから多少の怪我は気にしなくていい。欠損は流石に困るが」
(魔法祭……さすがファンタジー世界だ)
ルシフェルは大きなイベントを前に年甲斐もなくワクワクしていた。
「ではホームルームを終わる。次に──」
■
放課後。
授業が終わり生徒たちが帰り支度をし始めるころ。
エストはルシフェルに話しかけた。
「ルシフェル、相談したいことがある」
「ん、何?」
「特訓がしたい。俺を強くしてくれないか?」
その願いにルシフェルは面食らった。
大方自分の力を当てにして何もしないだろうと思っていたからだ。
だからこそ自分でやろうとする気概を見せたエストに対しルシフェルは好感度を上げた。
「じゃあ、早速校庭で訓練でもしようか」
「おう、やろう」
そうした帰り支度を終えた二人は校庭に出る。
校庭では何人かの生徒たちが訓練をしていた。
魔法を使ったり、サーヴァントと訓練などをしている。
「じゃあ、実戦形式でやっていこうか」
「実戦……力の差がありすぎてすぐ負けそうだが」
「戦うのは僕じゃないよ。僕が創造する天使だね」
「そんなこと出来るの?」
「出来るよ。まぁ僕より弱い奴しか創造出来ないし、出現できる時間も二時間までだけどね」
「充分凄いと思うが……」
「まぁ、とにかく始めようか」
ルシフェルがそういうと手をかざす。
虚空から
外見はどこか機械的な形で白く顔は四角い天使だ。
天使の証として背中から白い天使の翼が生え、頭上には白い輪が浮いている。
「じゃあ、模擬戦すたーと」
ルシフェルがそういうと
命じられたままに襲い、殺さないように指示は出しておく。
ルシフェルに回復魔法なんてものは使えないので致命傷なども与えないように命令を出しておくのを忘れないで置く。
「いきなりかよ!」
エストはそう叫びつつ魔法で攻撃する。
使うのは
絶対命中の特性を持つこの魔法は
だが一発の魔法の矢では倒すには至らず別の魔法も使う。
「
使ったのは雷撃を放つ魔法だ。
と言っても微弱な電撃に過ぎず威力は
それでも
「じゃ、この調子で行くぞー」
「え、ちょま!」
この後めちゃくちゃ訓練した。