堕天使になったので魔界行ったりなんやかんやします 作:Revak
六月初頭。魔法祭当日。
魔法祭は六日に分けて行われる。
各年別れて行われるので六日も居るのだ。初日が一年、次の日が二年、と言った感じだ。
魔法学園は広いが流石に六年生全員が同時に行事を行えるほどの広さは持っていない。
開催順は的当て、団体戦、そして最後にトーナメントだ。
ルシフェルとエストは控室に居た。
控室にはクラスメイト達が居る。
サラにミヒャエルも杖を拭きながら待機している。
余談だがルシフェルも杖を持った方が魔法の威力があるがたまに剣を使う為杖は持っていない。
そうして待っていると呼ばれ、全員外に出る。
外は学園のグラウンドだ。
だが
観客席には主に学生の親などの親族が座っており、中には青田買いしようとする冒険者や貴族も少ないながらいる。
そうして中央らへんに各々好きな位置に着く。
魔法のスピーカーが空中をふわふわと移動しながら声が出てくる。
『では今これより、魔法祭を開催いたします──』
声は校長のグランツの物だ。
そうして開催の挨拶が終わり、次に的当てが始まる。
学校から浮遊する的が飛んでくる。
球体上の
的は四種類ある。
動かない一ポイント。少しだけ動く三ポイント。そこそこの速さで動く五ポイント。上下左右結構な速度で動き続ける十ポイントだ。
「では、スタート!」
そうして的当てが始まる。
ルシフェルは熱線の魔法で十ポイントを狙って壊していく。
偏差撃ちぐらいできなければ百レベルの戦いについていける訳がない。
エストも魔法で壊していくがそのペースはルシフェルより圧倒的に遅い。
というかルシフェルが速すぎる。
無詠唱化することで魔法を即座に発動しているのだ。詠唱の手間が無い分出が速い。
勿論
時間は三十分。たっぷりとある。
エストが周りを見ればサーヴァントたちに的を壊させている。
サラはサラマンダーを飛行させ的を破壊させまくっている。
他にも精霊や飛行できる魔獣が的を壊している。
そして三十分が過ぎ──
「タイムアップ! さぁ、順位はどうだ?!」
校長が興奮しながら叫び、空中にウィンドウが出る。
上から順にエスト、サラ、マルクス、カスドール、ミヒャエルだ。
「一位エスト! 彼に拍手を!」
グランツがそう叫ぶと観客席から拍手が起こる。
人数が少ないが、それでも二桁の人間からの拍手にエストは照れ笑いする。
ルシフェルはそれを見て今ここで拍手してる人間全員殺したらどんな顔するかなと思ったが辞めておいた。大人なので。
そうして三十分の清掃ののち、団体戦の棒倒しが行われる。
その間に生徒たちは魔力回復のポーションで減った魔力を回復させておく。
棒倒しは十六人のクラスメイトが二チーム、八人ずつ別れて行われる。
Aチームにはエスト、ミヒャエルが居り敵チームにはサラが居る。
棒を守るのはミヒャエルとミヒャエルのサーヴァントのアース・エレメンタルだ。
アース・エレメンタルは岩でできた人型で両腕は丸太のように太く、下半身は一つの巨大な岩になっている。
顔は岩に切れ込みで顔が創られている。
「では団体戦、スタート!」
その合図と共に試合が始まる。
ルシフェルは今回棒を守る側だ。攻めに転じれば一瞬で終わってしまうのでそれを危惧したエストが守衛側に回したのだ。
エストは自分の力で敵を倒したいと思っており、ルシフェルの力は極力借りないつもりだ。
エストは魔法を唱える。
「
放つのは炎の泥だ。
燃え盛る泥で一定時間燃え続ける為設置型の罠としても使える。
誰かに当たることはなく地面に落ち、泥が燃え続ける。
その泥を避けて動こうとしたところをエストは
雷撃で動けなくなったところを他の生徒が追い打ちをかける。
乱戦になっていく。中距離での魔法の打ち合いだ。
ルシフェルはそれを見ていいぞー、もっとやれーと笑う。
雑魚が醜く戦う様は見ていて面白いと悪魔らしく笑っている。
そうした乱戦を突き抜けてエストは敵チームの棒の元まで行く。
だが当然棒を守るのが二名居り、魔法で攻撃してくる。
エストは気合で走り避け、棒に向かって魔法を放つ。
「
不可視の衝撃波が迸る。
棒の上部に命中し、棒が倒れた。
「勝者、Aチーム!」
歓声がわっと上がるのだった。
■
一時間の休憩を挟んで、トーナメントが始まった。
第一試合はエスト対ミヒャエルだ。
校庭に円がしかれ、その中でエストとルシフェル、そしてミヒャエルが対峙する。
「では第一試合、始め!」
試合が始まった。
事前にルシフェルの行動は決められている。
ミヒャエルがアース・エレメンタルを前衛に盾として使おうとするのを見てルシフェルが魔法を行使する。
「
使ったのは拘束系の魔法だ。
魔法の紐が生成されアース・エレメンタルの全身を縛った。
これでアース・エレメンタルは行動不能になる。
「
エストが魔法を放つ。
「
対しミヒャエルも魔力の弾丸を放つ。
エストは回避しようと動くが回避先を予測され攻撃を喰らう。
二発の魔法の矢がミヒャエルに命中するも大したダメージには成らなかった。
「そちらの堕天使の力は使わないのか?」
ミヒャエルがそう問いかけた。
「……まだ、俺には相応しくないから、今だけは俺の力で勝つ!」
そうエストは叫んだ。
エストがルシフェルを召喚できた理由はいまだわかっていない。
基本召喚魔法は術者より強い存在を召喚、使役出来ない。
だがその法則に真っ向から喧嘩を売っているのが
これは術者よりある程度上の存在を召喚することを可能にする。ただ可能にするのは娼館だけで使役はまた別だ。
だからこそルシフェルという大悪魔の召喚が成り立っている。
だが、エストはそれを自分の力とは思わなかった。
ルシフェルという強力な他人の力であって自分の力ではない、と。
だからエストはルシフェルに相手のサーヴァントの足止めを頼み自分と相手のタイマンに持ち込ませたのだ。
エストはミヒャエルに挑み──ー
■ すみません続き思いつかないのでばっさりカットします
「なんてこともあったよねぇ」
五十年後。
ルシフェルはある豪華な家の寝室で、ベッドに腰掛けながら老人に話しかけていた。
「懐かしいな……もう、殆ど忘れてしまっているよ……」
そう老人──エストは返した。
「もうすぐ死ぬね、君」
ルシフェルはそうエストに告げた。
「そうだな……この人生、君を召喚してから、楽しかった……」
あれから色々とあった。
魔法祭のトーナメントで優勝したり、学園卒業後冒険者として旅に出たり。
そして人類未踏の第六環魔法の使い手になり、王宮魔術師となった。
だがそれでも人の寿命からは逃れられない。
人が寿命を克服するには異形種になるしかない。そしてその手段をルシフェルもエストも持っていない。
「俺との旅は……楽しかったか……?」
「まぁ、そこそこかな。魔界で虐殺するよりは楽しかったよ」
ルシフェルはそう軽く返す。
「そうか……それは……よかった」
そうしてエストは息を引き取り──ルシフェルは魔界に送還された。
魔界の空にルシフェルは浮かぶ。
赤茶色い大地に黄昏時のように薄暗い空。
負の瘴気が充満し生者は要るだけで死に至る世界。
約五十年以上ぶりの魔界にルシフェルは帰ってきた。
「……」
ルシフェルは一人の人間と長く一緒に居たことはない。
例外は今生の家族ぐらいだろう。前世の家族はすぐに一家離散した。
だからこそ、数十年の時を共に過ごしたことでルシフェルの内面にも変化が訪れていた。
ルシフェルは近くの街まで飛んで行く。
その上空で掌を向け魔法を放つ。
「
ルシフェルの右手から無数のレーザーが放たれた。
光線が着弾すると大爆発が起こる。
家など一瞬で爆破で消し飛んであまりある大爆発だ。それが光線が着弾した数だけ起こる。
「アハハハハハハ!」
ルシフェルは笑いながら魔法を更に放つ。
弾幕化した無数の魔法が街を襲い地形をも変えていく。
悪魔たちも抵抗の為飛んで行こうとするが無数の弾幕を前に体を消し飛ばされ死ぬだけだった。
そして五分ほど魔法を放ち続けて街が跡形もなくなくなったところでルシフェルは満足し、別の街を襲う為に飛んで行った。