堕天使になったので魔界行ったりなんやかんやします 作:Revak
第13話
二百年後。
ルシフェルはある森を歩いていた。
森という割にはうっそうとしておらず、木々がある程度集まっているだけだ。
人の手が入ってないのに呈されているかのように森の木々はバランスを取っている。
森には主に魔獣系のモンスターが出現する。
魔狼やギガント・バジリスク、ジャイアントフロッグなどが出る。それら以外では狂ったトレントなどが出る。
魔界の森は危険であり、獰猛なモンスターの住処だ。だから悪魔たちも森には住まいを作らず荒野に作る。
その森をルシフェルは歩く。翼は邪魔なので消しておく。
森を進むのには理由がある。この森、名をガ・ロブの森という。
ガ・ロブにはある酔狂な悪魔が住んでいるという。
それは
悪魔は戦士系の種族だが、魔法にも優れた素質を持つ。
そのために魔界の約半分の悪魔は
故に誰でも魔法を発動できる
後は単純に研究なんてめんどくせぇ! 暴力で片をつけようぜ! という悪魔が多いので研究はあまりされない。
そのために魔法を研究して新しい魔法を開発したりするのは変わり者と扱われる。レベルアップで勝手に習得できる魔法しか使わない者が多い。
ルシフェルはそんな変わり者の悪魔に用があって来たのだ。
だが歩いても歩いても目に映るのは木々ばかり。最初の内はモンスターが襲ってきたが十体ほど熱線で殺してから出てこなくなった。
「どっこにあっるかなー」
ルシフェルは気長に頭の後ろで手を組みながら歩く。
(こうして歩いてると、エストを思い出すな……)
二百年経ってもルシフェルはエストの事を忘れていない。いや、千年経っても忘れる事はないだろう。
エストとはよく冒険者としてこういった森の調査に出ていた。
現世の森にはゴブリンやオーガなどの亜人種が住まい、それらが時々人里に出て被害を出すことがあった。
ルシフェルが暫く歩いてると違和感を感じた。
「ん?」
何とも言えない感覚だ。ある種のデジャブ感とでもいうべきものを感じ取った。
「
放ったのは解除魔法だ。
あらゆる魔法を解除させる魔法だ。術者のレベルに応じて解除できる魔法のランクも変わる。
解除魔法によってこの森に張られていた結界が破られた。
結界が破られ、変えられていた認識が元に戻る。
そこには木々がない広場があった。そして奥には地下への階段があり、その階段の左右には石像が二つ立っている。
ルシフェルが一歩前に進むと二体の悪魔を象った石像が動き出した。
「ゴーレムか」
ゴーレムとは広義で言えば
術者と材料によってレベルが変わる存在であり、元が物体なので疲労も病も無縁な存在だ。
ただ装備を使う事や魔法を行使する事は出来ない存在であるし制作にコストもかかる為一山いくらの雑兵になりやすい。
ルシフェルは熱線を二発ずつ石像に入れる事で破壊した。
じゃあ地下に入るか、というところで転移魔法が発動した。
ルシフェルの前に一人の悪魔が姿を現した。
頭の左右には黄金色の山羊の角が生えている悪魔だ。背には蝙蝠の翼が、臀部には先端がハートマークの尻尾が生えている。
白衣を着た男の悪魔であった。体は病気を疑うほどにやせ細っている。肋骨が浮き出るほどだ。
髪は黒いがぼさぼさであり、顔つきはどこかやさぐれた感じをしている。
「お前、ルシフェル、だな。こんな森に何の用だ?」
そう悪魔──名をロベルトはルシフェルを睨みながら問いかけた。
ルシフェルの存在は有名だ。知らない者はもぐりと言っていいだろう。
「この森に魔法を研究してる変わり者の悪魔が居るって聞いてね。頼みたいことがあるから来たんだ」
頼みたい事、という言葉にロベルトは眉を潜めた。
「なんだ、それは」
「
ルシフェルには弱点が幾つかある。
例えば状態異常系の魔法や
毒などにも脆弱性を持つ。ルシフェルは強者だが絶対強者ではない。
「……なるほど、俺のところに来るわけだ。だがタダでやる訳にはいかんな」
ロベルトの元には多数のそういった耐性系のアイテムがある。
それは自身を強化するための物であって他者に分け与える物ではない。
「ん-、対価として人間の世界の道具とかどう?」
「何? ……そうか、数十年姿を現していなかった間、現世に居たのだな」
「そうだよー、ある少年に召喚されてね……人間の世界、興味ない?」
ルシフェルはニヤリと笑みを見せた。
「いいだろう、それを対価に作ってやる」
ついてこい、とロベルトはルシフェルを連れて地下へと進んでいった。
地下への階段を降りていく。
ルシフェルは現世でこういう迷宮攻略したな、と少し懐かしく思いながら降りていく。
数分で地下の奥に辿り着き、壁が出てくる。
ロベルトが壁に触れる事で壁が上へ収納さえていく。生体認証だ。
中はまた通路だ。
その通路を少し歩くと右側の壁に扉がある。ロベルトが開けて二人は中に入っていく。
「おお、本格的だ」
中はまさしく研究所と言った場所だ。
結構な広さを持つ空間でテーブルが複数あり、テーブルの上には何かしらの道具が散乱している。
「
ロベルトは道具作成の魔法を唱えた。
ふかふかのソファが二つ作られ、二人は向かい合うように座る。
間にテーブルも作られた。
「それで、まずは対価を貰おうか」
アイテムを渡した後だと持ち逃げされかねないので先に対価を貰うことにした。
「ん、
ルシフェルが魔法を唱えると異空間からアイテムが幾つか出てくる。
現世の
武器と防具に
「これは素晴らしい!」
ロベルトは興奮しながら受け取り全て
「では、対価を渡そう。どんなアイテムが欲しい?」
「まず欲しいのは指輪だね。時間停止対策と、毒と、疾病、窃盗、探知対策のが欲しい」
第八環魔法に時間停止の魔法がある為、ルシフェルは時間対策が居ると考えた。
実際現世で迷宮を潜っていた際あるトレントが時間停止をしてきたので厄介だった。
ただ時間停止中は相手に干渉できないため出来る事は限られるが。
悪魔には毒も疾病も効く。ただ普通の人間よりは高い耐性を持つが無効化や完全耐性には及ばない。
だからそれらの対策もいるとルシフェルは思ったのだ。
「よくばりだな。だがいいだろう。一週間もあれば作ってやれる」
「おっけー、次は……便利系のが欲しいな。持ち運びできる家とか」
「持ち運びできる家か……似たようなのならある。調整して渡そう」
「さんきゅー」
「他にもこちらで使えそうなのをピックアップして渡そう。一週間もあれば用意できるから一週間後にまた来てくれ」
「わかった、一週間後ね。それじゃあねー」
ルシフェルはそういうとソファから立ち上がり、手をひらひらと降りながら研究室から出て行った。
■
一週間後。
「これが指輪か」
ルシフェルはロベルトの研究室で貰った指輪を装備していた。
全ての指輪には小粒だが宝石が付いている。
「いいね」
右手と左手の中指と人差し指、右手の薬指にはめる事で耐性を得た。
「あと、これら便利系のアイテムだ」
ロベルトが異空間から
「これが持ち運びできる家、名付けて可搬の館。これが一定範囲の相手に回復効果をもたらす箱、この鏡は情報系魔法のついた鏡。これが──」
そうしてルシフェルは幾つかの