堕天使になったので魔界行ったりなんやかんやします 作:Revak
バァル・ゼブルは幾つかの魔法を無詠唱化させ即座に放つ。
炎の槍、炎の拳、炎の大剣などの魔法だ。
バァル・ゼブルのクラス構成は炎系特化のエレメンタリストだ。
エレメンタリストは一系統の属性に特化することでその属性の魔法の威力を上げ、消費魔力を軽減することが出来る。
代わりに特化した属性以外では消費魔力が増えたり最悪魔法を唱えることも出来なくなるという欠点があるが、魔法の威力だけを考えるならばエレメンタリストは最高位だ。
ティカもそれをわかっているので回避する。
「<中位アンデッド創造><下位アンデッド創造>」
ティカはここで必ず殺すと決意しアンデッド創造の
<中位アンデッド創造>はレベル五十九までのアンデッドを十二体。<下位アンデッド創造>は二十四レベルまでのアンデッドを二十四体まで創造できる
ティカはその最大数分アンデッドを創造した。
中位アンデッドは
ナイトリッチは豪華なローブを纏った眼孔に青い炎が灯っているスケルトン型アンデッドでナイトロードもまた黒いスケルトン型のアンデッドで黒曜石の剣と盾を持っている。
残る下位アンデッドは全てハイレイスだ。
非実体、アストラル体のアンデッドで白い魂の姿をしているアンデッドだ。
触れた相手の精神を犯し狂わせる能力を持つが高レベル相手にはまず通じない。だが物理的干渉も出来るので邪魔ぐらいは出来るだろうという判断の元創造した。
それらすべて当然
だがこれらのアンデッドは野良アンデッドではなくティカが創造、支配下に置いている物だ。
故にティカの職業
炎上ダメージで死ぬのは当分後になるだろう。
ティカは後ろに下がりバフ魔法を唱え自己強化に移ろうとした。
それを阻止せんとバァル・ゼブルは王酌を構えるもナイトロードが突撃してくる。
「
溶岩の壁が出現しナイトロード達の行く手を阻んだ。
ナイトロードたちは左右に別れ移動し避けて移動するが、右側では
三対一という本来なら圧倒的不利だがここは超常渦巻く異世界にして魔界。レベル差補正もありナイトロード達が倒されるのも時間の問題だろう。
だから問題は三対一となったバァル・ゼブルの方だ。
バァル・ゼブルは幾つかの魔法を唱え放つ。
炎のハンマーによってナイトロード達は吹っ飛ばされ距離を取らされ別けさせられる。
更にそこに追撃の魔法が飛んで行く。
このまま止めを──と思ったら別のアンデッドたちが壁役となり防いだ。
「チッ、そうだったな」
創造系の
これが召喚魔法などで召喚された存在は召喚、創造が出来ないという仕様がある。
召喚されたアンデッドは数を優先したのかワイトという二十レベル程度の雑魚アンデッドだ。
だが魔法の殆どは
故にナイトロード達に魔法効果が届くことはなく召喚されたワイト達だけが死んだ。
そして所詮は召喚された存在なので再度魔法で召喚が可能。ナイトリッチたちが再度魔法を唱えワイトを一人六体ずつ召喚した。
「ならば──」
バァル・ゼブルは己の種族的
高位の悪魔は下位の悪魔の創造能力を持つ。
ポイント割り振りのような形での創造だ。最大ポイント百の内それを消費することで下位から上位の悪魔を創造出来るようなものだ。実際のポイントはもっと多いだろう。
上位を一体創造するか、下位を多数創造するかは使用者の自由だ。
バァル・ゼブルが創造したのは一体の強力な悪魔。名をマーズだ。
外見は鉄が錆びたような赤い色をしている。岩が人型になったように見え、背中には燃え盛る悪魔の翼を持っている。
顔は悪人顔の強面の岩男だ。
見た目はゴリゴリの戦士系だがその実能力系統は魔法使い系である。
「やれ」
バァル・ゼブルが命じるとマーズは空に飛びあがる。
そして高位の悪魔が持つ種族的
この
使ったのは第十環魔法の
巨大な──直径五百メートルの巨大な隕石が時速六十キロで降ってくる。
「
続いでバァル・ゼブルが転移阻害の魔法を唱える。これで転移で逃げる事は出来なくなった。
更にバァル・ゼブルは王酌に魔法を唱える。
「
唱えたのは杖などを武器化する魔法だ。
バァル・ゼブルは王酌の下の方を持ち、上部に炎で出来た斧が生成される。
そのまま地を這うように飛行。ティカに急接近する。
「
接近を許しはしないとティカは壁の魔法を唱えた。
バァル・ゼブルの新路上に無数の人骨で出来た壁が産み出された。縦横五メートルはあるだろう。
「邪魔だ──
大爆発を起こす魔法で壁を攻撃する。
だがティカは死霊系に特化している。
しかしバァル・ゼブルが突撃し斧を振るう事で破壊し、そのままティカに接近した。
「近接戦が望み? させるものですか!」
バァル・ゼブルの斧と
「
ティカが雷魔法を唱えた。
空からバァル・ゼブルに向かって本物の雷以上の威力の雷が降る。
ただの自然の雷程度喰らってもバァル・ゼブルには多少のダメージしかないが、
更に一瞬動きが止まり、その隙を見逃す
レベル、ステータス上ではバァル・ゼブルの方が多少上だが、その程度の差を覆せるほどの経験の差がティカにはある。
そして──隕石が着弾した。
バァル・ゼブルにも当然熱波が来るが、炎系の悪魔になった影響で炎には耐性を得ている為多少のダメージで済む。
ダメージレースではティカの方が圧倒的に上だろう。
創造されたアンデッドもほとんどが隕石の着弾の余波で消えていく。
そうして熱波が終わり、クレーターが生成された後。
バァル・ゼブルは一瞬目を凝らした。視界内に居たはずのティカが居なかったのだ。
どこへ、という思考を走らせた一瞬の隙をティカは見逃さない。
背後に回っていたティカは大剣アストラでバァル・ゼブルの心臓を貫いた。
「がっ……!」
即座にバァル・ゼブルは王酌の斧を背後に振るうがその時には既にティカはいない。
「やってくれたな……!」
悪魔にとって心臓の破壊は大ダメージだ。だが死には至らない。
生物の法則で動いていない悪魔はたとえ頭を潰されようが心臓を破壊されようがHPが大幅に減るだけで、死亡には至らないのだ。
「しぶといわね……」
ティカがアストラを構えながら呟いた。
「まだ、負けるわけにはいかないからな」
バァル・ゼブルはそう強がりを見せた。
「ふん……
ティカが召喚魔法を唱えた。
その隙を突こうとバァル・ゼブルが炎の槍の魔法を唱えたが間に
だがこれで再度HPがゼロになり消失する。
召喚魔法によりアンデッドが召喚される。
出て来たのは無数の人骨が五メートルほどの人型の巨体を成しているアンデッドだ。
頭部は無く、代わりに腹部分に黒い頭蓋骨が付いている。
名をライヒェというアンデッドでレベル七十の強力なアンデッドである。
ステータスは見た目通り戦士系である。強力なアタッカーだ。
「オオオオオ!」
ライヒェが叫びながら突撃する。
それを止めんと
ライヒェと
同レベルの戦いだが、アンデッドは火と聖属性に弱い。時間はかかるが
だからバァル・ゼブルの役目は
「行くぞ──リリース!」
バァル・ゼブルはルシフェル直伝の切り札を切った。
無数の炎系魔法が放たれる。
「チッ!」
舌打ちと共にティカは飛行魔法を唱え回避行動に移る。
リリースで放った魔法は後から軌道を変える事は出来ない。
だがそれでもあらかじめ相手の動きを予測し放つ位置を固定する事は出来る。
見事にティカを追い詰め──ティカの胸に炎の槍が突き刺さった。
「ガハッ……!」
大ダメージだ。恐らくは心臓を潰された。
悪魔なので死にはしないが、それでも大ダメージ……致命傷に近いのは間違いない。
バァル・ゼブルはゆっくりとティカに近づく。
「俺の勝ちだ、ティカ」
にっと、少年のような勝気な笑みをバァル・ゼブルは見せた。
「そうね、殺しなさい」
ティカが諦めたように言う。
「いや、殺さないが」
「……なら辱める気? それなら自爆でもするけど」
ティカは自分の容姿が優れていることを自認している。
悪魔の容姿は千差万別だが、それでも人間基準の美的価値観を持つ。
「犯しもしないわ。ただ、仲間になってほしいだけだ」
「……それ、本気で言ってたのね」
「あぁ、本気だ。俺はこの魔界を統一して見せる」
ティカはバァル・ゼブルがキラキラと輝く目で言う事に気圧された。
何千年と生きる大悪魔が千年も生きてない悪魔相手に気圧されたのだ。
はぁ、とティカは大きなため息を吐いた。
「わかったわ。じゃあ、私も仲間になってあげる。だから──退屈させないでよね、魔王様」
こうしてティカを仲間にするのだった。