堕天使になったので魔界行ったりなんやかんやします 作:Revak
「ルシフェル~♡ただいま~♡」
夜。ルシフェルは女に抱き着かれていた。
女の名はヴァヴ。ルシフェルの母親だ。
銀髪碧眼の女で頭上には白い輪が浮いている。
見てくれは非常によく美女と言えるだろう容姿に豊満な胸に細い腰にでかいケツを持っている。
研究者のように白衣を着ている。
「おかえり、母さん」
ママと呼ぶのは恥ずかしいので母さん呼びである。
抱き着かれてほおずりされるのが少し気恥ずかしい。
「またレベル上がってるわね。偉いわ~」
ヴァヴはそうルシフェルをたかいたかいする。
ルシフェルは恥ずかしそうに頬を赤くした。
ルシフェルは両親に自身が転生者だと明かしている。
これはルシフェルの良心が自分の娘が得体のしれない化け物なのを隠されているのはかわいそうだ、と思ったからだ。
だが以外にもサタンとヴァヴは受け入れた。
理由は勿論ある。
幾つかの情報系魔法を使い、ルシフェルの中身、太一の魂が宿ったのが本来腹の中で魂が宿る瞬間だったこと。
つまり太一は本来宿る魂を乗っ取ったなどではなくそのまま本来宿るのが太一だったのだ。
だからサタンもヴァヴもルシフェルを受け入れたのだ。
「それじゃあ、今日もごちそう作るわ~」
ヴァヴがそう笑顔で言う。
そこに待ったをかける者がいた。
「母さん、ごちそうは前も作っただろう? 作りすぎはよくないよ」
そう言うのや優しそうな青年だ。
黒い髪に赤い瞳の男で身長は高く二百センチもある。
ガタイもよく鍛え上げた筋肉を持っている。
頭から山羊の角が一対生えている。
ルシフェルの父親のサタンだ。
「え~」
サタンの言葉にヴァヴは嫌そうな顔をする。
「え~、じゃない。ルシフェルの為にもならないだろう?」
そうサタンは諭し、普通の晩御飯を作った。
これが、平和なルシフェルの家庭だった。
百年が過ぎた。
ルシフェルは天界にある闘技場でガブリエルと対峙していた。
闘技場もまた白く、闘技場の砂も白い。
ルシフェルは百年で成長した。
身長は百五十二センチになり、背も伸びた。
左目が隠れるような銀髪に碧眼。胸は小さい、Cカップ程度だろう。
同じように白いトーガを着ているのは様になっている。
背中からは白い天使の翼が生えている。
「それじゃあ、行くよ」
ルシフェルが宣言することでガブリエルも構えた。
ガブリエルは虚空から剣を出した。
聖銀で出来た剣だ。鍔に紫色のクリスタルがついている。
『いっちゃえガブちゃん!』
聖剣から男の声がした。
聖剣の正体はガブリエルが守護するセフィロト、イェソドだ。
名をシャダイという男だ。
「はいはい、行くよ」
ガブリエルは軽く返し翼を広げ飛翔した。
ルシフェルもそれに合わせ翼を広げ空を飛んだ。
ルシフェルは
放つのは第八環魔法の
ルシフェルの今のレベルは百。ガブリエルを上回っている。
それだけならば一方的な戦いになりそうだが、ガブリエルが守護するセフィロト、イェソドの化身のシャダイがそれを許さない。
シャダイの種族は精神生命体。憑依することで他者を乗っ取る、あるいは他者の能力を強化する。
今のガブリエルはステータスが1.5倍されておりルシフェルよりステータス上では上だ。
ただレベル差によるダメージ軽減などは適応されるのでそれらを加味するとルシフェルが若干不利程度になる。
ガブリエルは迫りくる熱線の内二つを斬り裂くも残る二つは体に受ける。
ルシフェルは距離を取る様に飛びながら
ルシフェルの今のレベルは百。そのうち種族レベルが三十でクラスレベルが七十になる。
大抵の職業を極める場合レベル七十が限界値となる。
例えば剣士ならば剣系統の職業や
種族レベルの無い人間種ならば残る三十レベルを他の職業に振ったり同系統の戦士系職業を収める事で更に剣士としての技能を上げることが可能になる。
天使などの異形種や亜人種は種族レベルをどうしても取らないといけないので他のクラスを収めたり超越者級になることは出来ない。
その代わり亜人種や異形種はステータスの上昇値が人間種と比べて非常に高い。
単純なステータスだけを評価するならば異形種の方が上なのだ。
と言っても出来る事や便利性で言ったら人間種の方が上になったりするが。
ルシフェルの七十レベルはエレメンタリスト(光)になっている。
エレメンタリストとは一属性にのみ特化することで消費魔力を軽減し威力を上昇させるクラスの事だ。
ルシフェルが放つ
だからルシフェルは馬鹿みたいに
ルシフェルは両手から、目から、
ガブリエルはそのすべてを防御、回避する事は出来ない。半分ほど受けてしまう。
体が貫かれてダメージを受け、痛みを感じるがガブリエルは戦士だ。だから耐えれる。
ガブリエルが少しずつ距離を詰めシャダイの剣の射程に近づく。
ルシフェルは
この魔法は異空間に物資をしまうことが出来る魔法で容量は魔力量に依存する。
物の出し入れの度に唱える必要がある為毎回魔力を消費するがだいたいアイテムボックスのようなものだ。
取り出したのは銀色に輝く蛇腹剣だ。
三角の形をした刃が十六個ほど重なることで剣となり、鍔には黒い目がついている。
ルシフェルの愛剣名をアインソフという。
能力は強力なノックバック効果。
蛇腹剣なのでリーチが非常に長く中~遠距離の相手に攻撃できる。
ただ
剣としての機能より距離を取るためのノックバック用手段としての側面が強い。
ルシフェルがアインソフを振るう。
ガブリエルは喰らったらそのまま吹き飛ばされるので回避する。
その回避先をルシフェルは読み魔法を放つ。
放つのは
相手の体を貫通し
ルシフェルはレベル百なので百割る五で二十体分敵を貫通できる。
この魔法はガブリエルに当たり腹に穴が開いた。
「なんのその!」
ガブリエルはダメージを受けても気にせず突撃する。
ルシフェルはアインソフの攻撃にのみ頼らず魔法で攻撃していく。
剣と魔法の攻撃の両方を器用に攻撃していく。
この六十年で鍛えた戦闘手法だ。
レベル事態は割と早く百レベルになったのでそこからは戦闘経験と戦闘手法を鍛えるしかない。
この世界にステータスを永遠に上げるドーピングアイテムなんてものは無いので同レベルの戦いは装備と純粋な戦闘技能の問題しかない。
ルシフェルは第十環魔法を四重化した上範囲を強化して発動する。
「
発動した魔法は設置型の魔法で設置することで一定範囲に近づいた相手に熱線を放つ魔法だ。
この魔法をこの闘技場内に四つ設置することでどこに行ってもガブリエルは熱線に襲われる。
「
次に放ったのは光の矢の弾幕を放つ魔法だ。
百を超える光の矢がガブリエルに向かって放たれる。
「ふん!」
ガブリエルはシャダイの
紫色の球体上のシールドにガブリエルは包まれる。
光の矢がガブリエルを襲うもそのほとんどがシールドによって防がれる。
だが最後の方でシールドが割れ数発ガブリエルに向かう。
「なんのその!」
ガブリエルはシャダイを振るう事で魔法を斬り裂きガードする。
ガブリエルならこれぐらいできるだろうと思っていたルシフェルは詰めの一手を放つ。
「
放ったのは第十環魔法。
極太の──それこそ直径五メートルほどの光線がガブリエルに向かって突き進んだ。
「うぉい?!」
ガブリエルは驚きつつシャダイで斬り裂こうとする。
半分ほどは斬れたが残る半分は切れず体に受けて奥へと押し込まれ、闘技場の壁にぶつかった。
「やったか?!」
ルシフェルは思わず叫んだ。
煙が晴れた後、そこには多少傷を負っただけのガブリエルが居た。
闘技場の壁は壊れてない。概念的に不壊なので壊れることが無いのだ。
「ちっ死んでないのか」
ルシフェルとガブリエルは結構な距離が離れているがお互いに聴覚は鋭いので会話は可能だ。
「いやひどくない? 死んでも蘇れるとは言え死んでないのかって」
「蘇れるならいいだろ。じゃ続き行くぞ」
こうしてルシフェルとガブリエルは戦闘を続け──最終的にルシフェルがガブリエルの首を跳ね飛ばしたことでルシフェルの勝利となった。
■
千年の時が過ぎた。
ルシフェルは天界の図書館で本を読んでいた。
テーブル席に座り歴史書を読んでいく。
(……飽きた)
だが既に一度読んだ本であり、二度目となると内容がわかって面白くない。
ルシフェルの体の記憶力は非常に良い方で一度覚えたことはよほどのことが無い限り忘れない特性を持っている。
「やぁ、ルシフェル」
つまらなさそうに本を読んでいるルシフェルに声をかける者がいた。
「……なんだ、ラグエルか。何の用?」
声をかけたのは女の天使だ。
身長は百六十センチ程度。銀髪碧眼の容姿に整った顔をしている。
背中には勿論天使の羽がある。
「ここ最近の君はずいぶんと退屈そうだと思ってね」
ラグエルはそう微笑んだ。
「まぁ、確かに退屈だよ。やることもないし」
ルシフェルは他の天使と違い仕事についていない。
千年経っても奇跡の子をどういう扱いにするのか揉めており、特定の仕事につかせる訳にはいかないとなっている。
だからルシフェルは仕事もせず毎日図書館に行っては本を読んだりそこらの天使と模擬戦をして暇を潰している。
まぁ他の天使もほとんど仕事してないが。
「そんな君にあることを提案しに来たんだ」
ラグエルが微笑みながら言った。
それに対しルシフェルはなんか怪しいなと思う。
だが神が管理するこの天界で詐欺行為など働けるわけないので聞いてみることにする。
「あることってなんだよ」
「ルシフェル、君──堕天に興味ないかい?」
堕天。
天界から追放される事だ。
天使がラグエルの裁定の元行われる事であり、堕天した者は魔界に送られるという。
「堕天って、いや無理だろ、歴史上誰も堕天したことがない」
だが天使たちは基本神に忠実なるシモベだ。神に反逆するという思考其の物がない。
だから堕天使なんて者はいない。
「堕天すれば魔界に行って、毎日楽しいことが出来るよ、例えば自由に空を飛んだり、虐殺したりね」
「虐殺ねぇ……それって楽しいのか?」
「楽しいよ。自分の力を自分の思うがままに振るえる。天界じゃできない事だ」
そうラグエルは微笑む。
「ふぅん。そっか、堕天か……けど僕の一存じゃ決められないな。母さんにでも聞いてみるよ」
その言葉にラグエルは焦りだした。
「いやいや、何でもかんでも親に聞くのは駄目だ。それぐらい自分で考えろって怒られるだろ?」
「堕天するのはよっぽどの事だから聞いた方が良いと思うけど」
「断られたらどうするんだい? また退屈な日々に戻るのかい?」
「そりゃ戻るしかないでしょ。退屈なだけで平和な日々だし」
ルシフェルは今の生活に不満がある。
だがそれでも現状を力で変えてやろうというほどの気概はない。
漫画もないしラノベもない、アニメなんてないしラジオすらないし新聞はないので回覧板しかないこの世界に飽きている。
だが知識チートできるほどの知識は持ってないし、気概もない為日々を退屈に過ごすしかなかった。
「取りあえず一緒に母さんの元まで行こうか」
ルシフェルは椅子から降りるとラグエルの手を引いて天界の天宮に向かった。
天宮はこの天界一の建物だ。
ドイツの宮殿が一番形としては近いだろうが、すべてが白で出来ている。
天宮に入ると下位の天使たちとすれ違う。
天使たちの容姿は
背中から天使の翼が生えているのを覗けば髪の色も瞳の色も様々だ。
最上位の天使は銀髪碧眼で統一されているので最上位以外は意外と何でもありだ。
ただ黒色と紫色の髪と瞳を持つ者はいない。
天宮の最奥、執務室にノックする。
すると「どうぞー」と返事が来たので開ける。
執務室は広い。
奥の椅子にはヴァヴが座っていた。
「あらルシフェル、どうしたの?」
ヴァヴは椅子から立ち上がりルシフェルの元まで歩くとルシフェルに抱き着いた。
「辞めてよ、母さん」
ルシフェルがそう言うとヴァヴは名残惜しそうに抱き着くのを辞めた。
「それで話なんだけど、堕天しようと思うんだ」
ルシフェルがそう言うとヴァヴは驚いた顔をした。
だが次の瞬間には真剣な表情を浮かべた。
「堕天するって本当? 覚悟はあるの?」
ヴァヴはそう真剣な声色で問いかけた。
それに対しルシフェルも真剣な声と表情で対応する。
「本気だよ。いつまでも天界で親のすねかじるよりは魔界にでも行って一人暮らしした方がいいでしょ?」
ルシフェルはそう言った。
「……私だけじゃ判断できないわ。サタンにも話を通すから、ついてきて。勿論ラグエルも」
連れてこられているラグエルは引きつった笑みを見せながら「はい」と答えた。
そうして三人で天宮を歩く。
着いた先は玉座の間だ。
玉座の間は白いが天井だけは黒かった。
奥の白い水晶で出来た玉座にはサタンが座っていた。
「うん? 母さんにルシフェル、どうしたんだ?」
サタンはそう優しそうな声で問いかけた。
「サタン、ルシフェルが……堕天したいって」
その言葉にサタンは神妙な顔をした。
「……本気で言ってるのか、ルシフェル」
サタンが強い目で睨んだ。
ルシフェルはそれを意にしない。
サタンのレベルは百、ルシフェルと同格だ。
だがサタンは装備品と持っている神器の力でルシフェルより強いが。
この世界の特殊な道具は
下から順に下級、中級、上級、秘宝級、聖遺物級、伝説級、神器となる。
神器は人の手では作れず神が創った物になる。
ルシフェルのアインソフや普段着は伝説級の
「本気だよ、父さん。このまま天界で無駄飯ぐらいするよりは魔界にでも行って一人暮らしして自立する方がいいでしょ」
ルシフェルは今の生活に飽きている。
だからしたこともない一人暮らしを出来るだろうと気楽に考えてしまっている。
「本気なのか?」
サタンは
効果は己のレベル半分以下の相手を行動不能にするという物だ。
精神系に分類されるため精神操作に対して対策を積んでいる相手には格下にも通じないという微妙な
だが、威圧感だけは本物だ。
例えレベル上は無効化出来るレベルだとしてもこの威圧感を跳ね除けれるのはただものではないだろう。
「本気だよ」
その威圧をものともせずルシフェルは言った。
その言葉にサタンは眼を点にした。
瞬きののち、サタンは諦めたようにため息を吐いた。
「わかった。いいだろう。ただし、条件がある」
「何?」
「元気に暮らすことだ。そして、たまにはここに帰ってこい。ここはお前の家なんだから」
「……わかったよ、父さん」