堕天使になったので魔界行ったりなんやかんやします   作:Revak

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第5話

 

「それはなに?」

 

 ルシフェルは興味津々に問いかけた。

 

「あぁ。ここから東に行ったところに山があるんだが、その山に悪魔竜が住んでいる。そいつの皮や鱗は最高の素材になるぜ」

「竜か、確かに素材としては最高だ」

 

 竜だって後天的に悪魔になれる。

 そして竜の素材は最高の物だ。肉はバフ用食材として最高だし、血はポーションの材料になる。眼球も舌も何もかも捨てるところがない材料だ。

 魔界には悪魔や魔獣しか住んでいない。

 だが現世で悪魔になった後死亡すると魔界で復活するので居ても不思議ではない。

 

「そしてうちの魔術師と鍛冶師なら竜の素材を使って防具を作れる。悪い話じゃないだろ」

 

 アインベルは乗って来たな、と笑みを浮かべた。

 

「対価は?」

 

 ルシフェルがそう問いかけるとそう来るとは思ってなかったのか少し表情を固めながらアインベルは言った。

 

「暫く……百年の間うちの用心棒にでもなってくれればいい。それが対価だ」

「ん、いいよ。わかった。それで取引成立だ」

 

 やった、とアインベルは内心ガッツポーズをした。

 

「それじゃあ場所教えてよ」

「あっちの方角だ」

 

 アインベルは指先を東に向けた。

 

「おっけー、じゃあ殺してくるから、また後で」

 

 そう言うとルシフェルは<魔闘転生>(ウォーリア・リバース)を解除し東に向かって飛んで行った。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

「あれだな」

 

 東の奥に悪魔竜の住まうデモンザンはあった。

 禿山であり木々もぺんぺん草も生えていない山だ。

 その山の頂上に悪魔竜、名をブラントが居る。

 

「でっか」

 

 ルシフェルが思わず声が漏れるぐらいにはブラントはでかかった。

 

 全長約二百メートル。

 黒い鱗に覆われた蜥蜴の姿。

 背中には悪魔の翼と竜の翼が一対ずつ生えている。

 頭部には黄金の山羊の角が二対生えている。

 

 竜種は探知能力の優れる。

 ブラントは空に浮かぶルシフェルの方を見た。

 

 口に紫色の炎をため──放った。竜の代表的な攻撃手段であるドラゴンブレスだ。

 

 ルシフェルはブレスを空を飛ぶことで回避する。

 

「お返しだ」

 

 ルシフェルは<魔法の光線>(マジック・レーザー)を放つ。

 直径五メートルを超える紫色のレーザーが放たれる。

 

 ブラントは回避せず腕で防御しながら突撃してきた。

 

 腕が焼けただれダメージを負うも、行動には問題ない。

 

 そのままブラントはルシフェルに殴り掛かるもルシフェルは横に飛ぶ事で回避した。

 

 そのまま熱線を放ち、ブラントの体に穴をあける。

 

「悪魔風情が!」

 

 ブラントがそう叫んだ。

 

「あ、喋れるんだ」

 

 ルシフェルは喋れるとは思わず素で驚いた。

 

 ブラントはルシフェルの前まで飛翔すると両手を合わせダブルスレッジハンマーを放つ。

 ルシフェルはそれをギリギリのところで回避し熱線を放ち攻撃する。

 

 更に<小空間>(ポケットスペース)からアインソフを取り出し攻撃する。

 

 ブラントの体に多少傷が付きノックバックで後ろに飛んで行く。

 追撃とばかりに切断の光線体に向かって放ち袈裟斬りの傷がブラントに着いた。

 

「許さん!」

 

 ブラントは怒り叫び、ブレスを放つ。

 

「あたらないよーだ」

 

 ルシフェルはそう笑いながら飛び回避する。

 

(レベル七十後半から八十ってとこかな。大した敵じゃないな)

 

 ルシフェルはそう判断する。

 このままいけば勝つのは自分だ、とルシフェルは笑みを浮かべながら魔法を放った。

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 十分後。

 ルシフェルはブラントの頭を光線で貫き殺し、死体を<小空間>(ポケットスペース)にしまった。

 

 そのあとルシフェルはヘルに戻る。

 先ほどと同じように空を飛んで行くと「そこの者、止まれ!」と声をかけられた。

 一瞬殺そうとしたが用があるので殺したら駄目だと思い直す。

 

 声をかけたのは男の悪魔で

 

「何?」

「その容姿、ルシフェル……殿だな。領主が貴女を見かけたら城に案内するよう言われている。私についてきてくれ」

「ふぅん。わかった」

 

 ルシフェルは大人しく男に着いて行く。

 

 黒い結晶で出来た城の庭に降りる。

 男の案内で城の中に入る。

 こういう城に入るのは天界の時以来なので何げ興奮しながら城の中を進む。

 

 城の奥へと進んでいき、大きな門を開けて部屋の中に入る。

 

 そこは巨大な空間だ。

 壁には本がぎっしりと詰まっており、幾つかあるテーブルには魔法道具(マジックアイテム)が散乱している。

 

「グリプスさん! 例の女が来ましたよ!」

 

 男がそう叫ぶと本棚の上の方に居た女がこっちを見た。

 

 白衣を着た女だ。左目にモノクルを付けている。

 白髪赤目の女で肌は白い。アルビノだろうか。

 こめかみからは黒い結晶の角が一本天を貫いている。

 

 その女は椅子に座ったまま椅子事ルシフェルの方へ飛んでくる。

 

(あの椅子魔法道具(マジックアイテム)か? 変なの作るな)

 

 椅子をよく見ればクッションなどがついており座りごごちは良さそうである。

 

「よくきたねぇ、ルシフェル君! あのくそったれな悪魔竜倒してくれたのかい?!」

「……そうだけど、まずお前なに?」

「ああ、自己紹介がまだだったね。このヘルの宮廷魔術師にして魔法研究者のグリプスだよ。よろしく、堕天使君」

「ふぅん。そうなんだ」

 

 ルシフェルは興味なさそうに返事をした。

 

「つれないねぇ……まぁいいや。倒した悪魔竜はどこに? 置いて来たのかい?」

「いやポケットスペースに入れてある。ここに出そうか」

「いいね、ぜひそうしてくれ! ……あぁ、君はボスを呼んできてくれ」

「畏まりました」

 

 男の悪魔はアインベルを呼ぶために去っていった。

 

「こっちだよ」

 

 ルシフェルはグリプスに着いて行く。

 着いて行った先も広い場所であり、ブラントの死体を出しても問題ないだろう。

 

「じゃあ出すね。<小空間>(ポケットスペース)

 

 ルシフェルが魔法を唱えると虚空から巨大な竜の死体が出現する。

 全長二百メートルを超える竜の死体だ。

 この城は魔法で空間を拡張しているので外見以上の広さを持つ。そのためにグラントの死体が入った。

 

「おぉ、素晴らしい! これだけあれば魔法の研究がはかどるよぉ!」

 

 うひゃひゃひゃとグリプスは笑った。

 

「僕はこいつの死体で装備作りたいだけだから、僕の装備品以外は好きにしていいよ」

 

 ルシフェルはそう言うとグリプスは「助かるよぉ!」と叫んだ。

 

「おー、もう殺してきたのか、流石だな」

 

 そこにアインベルが来た。

 

「誰、お前」

 

 ルシフェルは来た男を見て首を傾げた。

 

「この形態だと会うのは初めてか、俺だ、アインベルだ」

 

 そこに居たのは毛皮の腰みのを付けた男だ。

 顔つきはワイルド系だが髭は生えてない。黒髪黒目の男だ。

 上半身裸でもある。

 足首から先が獣のそれであり、手も獣の物に近い。

 

 一部の悪魔は形態変化の能力を有する。

 形態変化にはメリットがある。

 一部形態でデメリットを負う代わりに他の形態でステータス上昇を得るなどだ。

 アインベルは普段の姿だと城で暮らしにくいので第一形態の人型と第二形態の獣型に別れている。

 

「あぁ、形態変化持ちか。これなんだけど、僕としてはコートと手袋と靴が欲しいんだよね」

「そうか、残りはどうする?」

「売却ってことでお金頂戴」

「わかった。相応の対価を渡そう」

「それじゃ早速作ってね、その間僕この街で遊ぶから」

「あぁ、ただ殺しすぎるのは辞めてくれよ」

「気を付けまーす」

 

 

 

 

 ■

 

 一週間が経った。

 その間ルシフェルは適当にヘルの街で暮らしていた。

 適当な悪魔を殺して家を手にし、そこらの酒場や喧嘩好きと殴りあったりして日々を過ごした。時には遠出して村を焼いたりもした。

 

 そうしたある日城の使いに呼び出され、ルシフェルは城の研究室に向かった。

 

「やっはろー」

 

 ルシフェルが研究室に入るとグリプスが「よく来てくれたね!」と感謝の声を上げて歓迎した。

 

「それじゃあ装備欲しいんだけど」

「あぁ、これが貴女の装備品だ!」

 

 そう言ってグリプスは机の上に置いてある装備一式を見せた。

 

「良いの揃ってるねぇ」

 

 そこにあったのはフードがないコートと鱗の靴、指先が開いた手袋の三つの装備だ。

 コートはベルト付きであり、ポケットが内に四つ外の左右に二つ付いている。

 靴は黒く光る革靴に近い作りの靴だ。

 手袋は黒く鱗で装飾が付いたカッコいい手袋だ。中二病患者が付けてそうである。

 

 ルシフェルはそれらを<小空間>(ポケットスペース)にしまうと魔法を唱える。

 

<早着替え>(クイックチェンジ)

 

 唱えたのは第一環魔法で一瞬で着替えることを可能にする魔法だ。

 

 これまでの白いトーガからルシフェルは黒いコートを着た姿に変わる。

 

「うん、いいね」

 

 ついでに鑑定魔法で装備の効果も見る。

 能力は呪文詠唱者(スペル・キャスター)や戦士としての能力の上昇能力はなく、単に防具としての能力の強化だ。

 ただ靴には移動速度強化のエンチャントが付いている。

 元の素材が良かったのか装備のランクは伝説級相応になっている。

 

「おー、来たのかルシフェル」

 

 そこにアインベルが来た。

 

「アインベル、これいいね、ありがと。じゃあ約束通り百年君の用心棒になってあげるよ」

 

 ルシフェルはそう笑みを浮かべた。

 

「そりゃいいな。早速頼みたいことがある。俺についてきてくれ」

 

 そうアインベルはニッと笑みを浮かべた。

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