堕天使になったので魔界行ったりなんやかんやします   作:Revak

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第8話

 

 空中でルシフェルとレヴィアが衝突する。

 バフ込みではルシフェルはレヴィアに近接ステータスでは負け、押し負ける。

 ルシフェルはあえて後ろに大きく飛ぶ事で回避する。

 

「死ねい!」

 

 レヴィアの背中の人型たちが魔法を詠唱する。

 

 <追尾する炎>(トラッキングフレイム)<炎花葬>(フレイムフラワー・フューネラル)<真雷>(トゥルーライトニング)<風神の刃>(ウィンドゴッド・ブレイバー)<魔力光線>(マジック・レイ)

 

 魔力のレーザー砲、炎の弾幕、雷などがルシフェルを襲う。

 ルシフェルはそれら魔法の弾幕を優雅に飛ぶ事で回避する。

 回避した先で魔法が家屋などに着弾し破壊されるが両者気にしない。

 

「あっははははは!」

 

 ルシフェルがレヴィアの上に移動しそこから魔法の熱線の弾幕を展開する。

 レヴィアは防御魔法を展開し、防御しようとするがそのすべてを防ぎきれない。

 その巨体に受け、体に穴が幾つも空く。

 

「ルシフェルゥゥゥイゥゥゥウ!」

 

 レヴィアは怒り口に魔力を貯める。

 ルシフェルがわざと地上の方へ移動する。

 これ幸いとばかりにレヴィアはルシフェルに向かって口から魔力のレーザー砲を放った。

 

 極太の黒い光線が放たれる。

 直径五十メートルを超える光線だ。

 地上をかすり抉り飛ばしながら真っすぐと飛んで行き、この星の重力圏の外へ飛んで行った。

 

 ルシフェルは当然そんな攻撃受けるわけがなく回避した。

 

「あはははは、お前の国自分で壊してやーんの!」

「ウルサイ! 貴様ヲ殺シタ後作り直せばいい話だ!」

 

 レヴィアはそう怒り<天候操作>(ウェザー・コントロール)を唱えた。

 森司祭(ドルイド)系の魔法だ。天候を自在に操ることが可能になる魔法である。

 操作した天候は雷雨。雷の雨が降り注ぐ。

 

 流石のルシフェルも無数に降り注ぐ雷すべてを回避することは出来ない。時折雷が直撃する。

 魔法で起こした雷なので普通にルシフェルにもダメージが入るが、微々たる物だ。

 

 二人の戦いは佳境に入っていく。

 お互いに高速で移動を繰り返しながら戦っていき、その戦闘の余波は帝国全体に広がっていく。

 

 ルシフェルが街をレーザーで爆破し、レヴィアが家々を念動力の魔法で持ち上げルシフェルにぶつけ、範囲攻撃の魔法の余波で村や町が消しとんでいく。

 レベル八十を超えるという事は単独で人類壊滅ぐらいなら余裕とは言わずとも出来るという事だ。

 

 この事態に対し帝国もただ見ている訳ではない。

 冒険者や騎士団が悪魔を止めようと動くが──まぁ余波で普通に死んだ。

 現代のレベルは低い。英雄級が三十レベル程度なので八十レベルという五十も差がある相手に何かできるわけがないのである。

 

 二人の戦いは続いて行き──ルシフェルがもてあそぶことで一時間ほど経った。

 そうするとお互いに体が薄くなってくる。

 

「クソ、貴様が無理にこちらに来るから……!」

 

 原因はルシフェルが無理矢理に現世に来たことだ。

 それにより召喚用の魔法道具(マジックアイテム)が限界を迎えたのだ。むしろ一時間も持ったことをたたえてもいいだろう。

 

 この一時間で帝国は滅んだ。

 残ったのはわずかな街と村々ぐらいで八割型街や村は消し飛ぶなり半壊なりした。

 皇帝も死に、残ったのは宮廷魔術師ぐらいでそれも死にかけだ。

 

「やーいやーい」

 

 ルシフェルはレヴィアのやりたかったことを妨害出来て満足なので一足先に魔界に送還された。

 

 

 魔界のレヴィアの城に戻ったルシフェルは速足で飛んで行った。

 レヴィアを殺したらまたつまらんと思いはるか遠くへ逃げていくのだった。

 

 

 

 

 

 ■

 

 五百年後。

 ルシフェルはある街の酒場で飲んでいた。

 

 街の名はニヴルヘイムと言い、魔公の支配する街の一つだ。

 

 この街は変わった特徴を持つ。

 家々が全て溶けない氷で出来ているのだ。

 透明度は低いのでプライバシーはちゃんと守られている。

 雪が降る街、ニブルヘイムだ。

 

 悪魔に毒は効くので酔わない程度にルシフェルは嗜む。

 因みに炭酸系のビールは飲まない、というか飲めない。舌がうぇとなるのだ。

 

 そうして飲んでいると酒場に大柄な悪魔が入ってくる。

 それを見て酒場の雰囲気が一変する。

 

 悪魔たちの反応の殆どはなんでここに、と言う物だった。

 

「そこの者、少しいいだろうか」

 

 その悪魔──魔公の一人グレッチャーはルシフェルに話しかけた。

 

「ん、何」

 

 ルシフェルはくるりと振り返りグレッチャーを見る。

 

 身長は三メートルという長身にもほどがある体躯。

 腕が脇の下にもう一対生えており四本腕になっている。

 コバルトブルーの青白いカブトムシの外骨格に似た装甲を持っている。

 指は四本だが太くがっしりとしている。

 顔は人間と蟷螂を悪夢のように融合させたような歪な顔。目が四つある。

 全体的に虫と鎧武者をくっつけたようなイメージの存在だ。

 

 名をグレッチャー、魔公の中でも最強と呼ばれる大悪魔だ。

 

「私と戦ってくれないだろうか。報酬は望むものを出そう」

「やだ。今そういう気分じゃない」

「そうか──なら手荒に行かせてもらおう」

 

 そういうとグレッチャーは四つの手に武器を構えた。

 そのすべては日本刀、刀だ。

 様々な魔法効果を持つ魔法道具(マジックアイテム)の刀を持つ。

 

 右上の手には氷の刀を。左上の手には炎の刀を。右下には雷の刀を。左下には闇の刀を持っている。

 

「<不動王斬>」

 

 グレッチャーは特殊能力(スキル)込みで斬撃を放った。

 ルシフェルはそれを椅子を蹴っ飛ばしながら横に飛ぶ事で回避する。

 

 魔公最強の名は伊達ではない。

 斬撃の余波がはるか遠くまで届き街の外まで深い亀裂が生まれた。

 

 ルシフェルはこりゃたまらんと店の天井をぶち壊しながら空へと移動する。

 

 それに対しグレッチャーも悪魔の種族特殊能力(スキル)で飛行しルシフェルの元へ移動する。

 

 

 魔公グレッチャーは戦士だ。

 戦いこそ至上とする思考であり、同格、格上との戦いを楽しむ狂戦士である。

 だからこそこの魔界に突如現れた強大な悪魔ルシフェルについては興味津々だった。

 しかしながらグレッチャーはニブルヘイムの領主でもあるので自分からルシフェルを探しに行く事は出来ない。

 そこに突如ルシフェルの方から己の支配地に来てくれたのだ。我慢も出来なくなるという物。

 

「<飛刃断>」

 

 グレッチャーは空に飛びながら飛ぶ斬撃の特殊能力(スキル)を発動する。

<飛刃断>は最上位の飛ぶ斬撃の特殊能力(スキル)だ。威力射程共に高い。

 

 青白い飛ぶ斬撃がルシフェルに向かって飛ぶもルシフェルは華麗に飛ぶ事で回避する。

 ルシフェルは舌打ちしながら熱線の魔法を放つ。

 

「むん!」

 

 グレッチャーは<魔素干渉>の特殊能力(スキル)を刀に込める。

 この特殊能力(スキル)は魔法に干渉し打ち払ったり斬り裂くことを可能にする特殊能力(スキル)だ。

 それにより飛んでくる熱線の八割を切り裂くことに成功する。

 

「うわ、めんど」

 

 ルシフェルはそう呟きつつ<小空間>(ポケットスペース)を唱えアインソフを取り出す。

 そのまま蛇腹剣としてリーチを伸ばしつつ攻撃する。

 その攻撃をグレッチャーは刀四本でガードする。

 だがガードしたところで攻撃を受けた事には変わりない。アインソフの能力のノックバックが発生する。

 

 後ろに飛んで行くグレッチャーに向かいルシフェルは熱線や切断の光線を放つ。

 それに対しグレッチャーは<魔素干渉>で致命に至る物を取捨選択し迎撃しつつ飛行しルシフェルへ接近しつつ<飛刃断>を放つ。

 ルシフェルはめんどくさそうに飛ぶ事で全て回避する。

 

<魔力光線>(マジック・レイ)

 

 魔力のレーザー砲をルシフェルは放った。

 

 流石のグレッチャーでも全てを斬り裂くことは出来ない。回避しようとするが相手はレーザーな上、グレッチャーは飛行特化という訳でもない。

 体の四割ほどに着弾し傷を負う。

 魔界の負の瘴気で徐々に治るとはいえ痛手だ。

 

 グレッチャーは<瞬歩>の特殊能力(スキル)でルシフェルに接近する。

<瞬歩>は相手との距離を一瞬で詰める特殊能力(スキル)だ。一定の範囲内なら一瞬で移動できる。

 

 ルシフェルは回避しきれずコートを斬られ体に傷が出来る。

 だが薄皮一枚切れた程度で出血も大してしない。

 

 ルシフェルはアインソフで攻撃するもグレッチャーは回避する。

 高速でルシフェルは飛翔する。

 

 本気のルシフェルの飛行に着いて行けるものは今はこの魔界に居ない。

 

 一瞬で距離を取ったかと思えばルシフェルは魔法の射程距離限界から熱戦の魔法を放つ。

 グレッチャーも<魔素干渉>で切り払いつつ接近しようとするもルシフェルは後方に飛び距離を維持しつつ攻撃する。

 

 呪文詠唱者(スペル・キャスター)の厄介なところだ。遠距離攻撃手段に長けている為近接特化の戦士職とは相性が悪い。

 まぁその分距離を詰められたら何もできずに死ぬのが大半の呪文詠唱者(スペル・キャスター)だが。

 

 何発かの熱線を受けた後、グレッチャーは覚悟を決める。

 

 自己強化の特殊能力(スキル)を行使する。

 グレッチャーのレベルは八十五。特殊能力(スキル)は同時に十七個まで発動できる。

 

 特殊能力(スキル)<肉体向上>ステータスをレベルプラス一分上昇させる。

<肉体超向上>プラス二レベル分のステータス強化。<真・肉体向上>プラス三レベル分の強化。<神・肉体超向上>レベルプラス四分の強化。

 合計して十レベル分の強化になる。今のグレッチャーはレベル九十五相応のステータスを手にした。

 勿論あくまで上がるのはステータスだけなのでレベル差の補正は無くならない。俄然不利なままである。

 

 更に悪魔の種族特殊能力(スキル)で一時的に飛行能力を強化し高速で飛ぶ。マッハ二は出している。

 

 ルシフェルは飛んでくるグレッチャーに向かって魔法で迎撃を試みる。

 無数の魔法がグレッチャーを襲う。

 体に穴が空き、左足は切断された。

 

 だがそれでもグレッチャーはルシフェルに接近する。

 

 グレッチャーは四つの刀でルシフェルに斬りかかる。

 だがルシフェルもアインソフで迎撃する。

 

 ルシフェルの剣の技術は高い。

 純剣士であるガブリエルから習った神の剣術だ。一流のそれである。

 

 だが相手は一流以上、言うならば超一流だ。

 さらに言えば相手は四つの武器を持っている。攻撃数が多い。

 無論ただ持っているだけでは意味はないだろう。だがグレッチャーは四つの刀を完璧に使いこなしていた。

 

 ルシフェルの体が斬られていく。

 

「クソが!」

 

 ルシフェルは範囲攻撃の魔法をあまり持っていない。

 自爆覚悟の範囲攻撃なんて出来ないのだ。

 

 ならば、とルシフェルは無詠唱化した転移魔法で距離を取る。

 それを読んでいたグレッチャーは転移先を予測しそこに<飛刃断>を四つ放つ。

 ルシフェルは斬撃を一発は防ぐも残る三つを受け体に傷を受ける。

 

「本気で叩き潰してやる」

 

 ルシフェルは天使創造の特殊能力(スキル)を使った。

 残る枠全てを消費して召喚するのはレベル八十の熾天使(セラフィム)だ。

 

 六つの天使の翼に角ばった胴体。剣と一体化している手足。

 頭は人間のようだが目が無数についている。

 

 熾天使(セラフィム)は両手の剣を持ってグレッチャーに襲い掛かる。

 熾天使(セラフィム)も<肉体向上>系の特殊能力(スキル)を使いステータスを上げる。

 これでステータス差は五レベル分程度。

 

 ルシフェルは後ろに移動しつつバフ魔法を唱え自己強化していく。

 

<呪文詠唱者の祝福>(ザ・スペルキャスター・ブレッシング)<無限の壁>(インフィニティ・ウォール)──」

 

 第八環以上のバフ魔法を唱え終えるとルシフェルは熾天使(セラフィム)<貫通光線>(ペネトレーション・レイ)でグレッチャーを攻撃する。

 グレッチャーは回避できず受け、腹に風穴が空く。

 

「むぅん!」

 

 グレッチャーは特殊能力(スキル)を行使し全力で熾天使(セラフィム)を攻撃する。

 天使と悪魔、相性は最悪だ。まだ熾天使(セラフィム)のHPは六割も残っている。

 

 ルシフェルはグレッチャーの周囲を飛び回りながら熱線の魔法で攻撃していく。今度は熾天使(セラフィム)を射線上に入れないように気を付けながら。

 

 ルシフェルはグレッチャーを翻弄する。

 グレッチャーは熾天使(セラフィム)から距離を取ろうとしても熾天使(セラフィム)も<瞬歩>の特殊能力(スキル)でそれを許さない。

 ならばと熾天使(セラフィム)を倒すことに集中しようとしてもルシフェルが魔法を飛ばしグレッチャーを削っていく。

 

 そうした戦いは五分ほど続き、最終的にグレッチャーの頭部がルシフェルの熱線で貫かれることでグレッチャーは死亡したのだった。

 

 

「なんだったんだあいつ……」

 

 ルシフェルは急に襲ってきたグレッチャーに対し疑問を抱きながら熾天使(セラフィム)を送還し、まぁいいかと別の街へむかって飛んで行った。

 

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