周りが曇っているTS強化兵士ですけど   作:【@ω@】

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曇らせ展開を入れていくぞッ ヒュヒュッ


彼女たちは幼馴染らしいんですけど

 九十九課長がエレベーターをハッキングすると、地下への駐車場へ行けるようになった。

 どうやらここから入れるみたいだね。

 

 地下駐車場には先日使ったバイクがある。もしかしてこの中に……。

 カキィン! ……あ、出てきた単分子式振動妖刀(ムラマサブレード)。

 これで一応の戦闘準備は整ったね。

 

 しかし地下駐車場にスケルトンが出てきている。

 それとなく課長に聞いてみよう。

 

「あれ、スケルトンだよね」

『ああ、先日の商店街を襲った犯人も関わっているようだな』

「どうしてそう思うの?」

『レベル3以上の異能者……つまり異影体(アブノーマリティ)を使役できる者は極めて稀だからだ』

「ふぅん………」

 

 しかし先日の商店街の件を考えると、なにがしたいのかさっぱりわからない。

 もっとも商店街の調査資料なんて僕は貰ってないんだけど。

 

「ちなみに僕のレベルは?」

『キミはレベル1だ。レベル2になれば、異影体(アブノーマリティ)を装備として扱える』

「へぇ?」

 

 それはなんだか便利そうだ。

 ともあれ、あれを倒しながら先に進むしか無いかな。

 試しに貰った拳銃で赤い球体を撃ってみる。

 

 ガギンッ。うわっ硬い!!

 

『スケルトンですら核はとてつもなく硬い。単分子式振動妖刀(ムラマサブレード)でなければ破壊することは容易ではないぞ』

「それを早く言ってよ」

 

 ……などと話していると、複数のスケルトンが向かってきた。

 即座に僕は居合の体勢を取り、加速して刀身を引き抜く!!

 

 おお!? 斬撃が複数に分裂した!!

 僕の時間掌握(ドミネーション)が妙な働きをしたんだろうけど。

 へぇ、便利だな。めちゃくちゃ集中して抜刀。覚えておこう。

 

 ともあれ、分身した斬撃は複数のスケルトンの核を破壊した。

 すぐさまスケルトンたちは消滅する。このまま上に向かおう!!

 

 降りてくるスケルトンたちを倒しながら、階段を登る。

 しばらくすると一階のエントランスに出た。

 

「あっ」

 

 ちょうどパワードスーツを着た警備兵が、斬り殺されているところだった。

 斬り殺したのは、ピチピチのタイツみたいなスーツを着ている青髪ポニーテールの少女。

 顔の上半分は、サイバーな仮面をつけていて伺いしれない。

 

 僕はとっさに刀を構えた。おそらく……異能者だ!!

 

「…………トキタ? トキタではありませんか!?」

「え?」

 

 しかし、サムライ風の少女はこちらを見るなり、微笑んで両手を広げてきた。

 なんだろう、TS転生する前の知り合いかなにかなのかな。

 僕がきょとんと小首を傾げると、九十九課長が【`・△・´】という顔になった。

 

『おそらく地下エリア時代の知り合いではないかね? もっともキミに記憶など残っているはずもなかろうが……』

「人格がほぼ無かったって言ってたね」

『ああ、完膚無きまで破壊したからな』

 

 …………僕の転生前の人格、哀れな…………。

 しかし僕が人格を塗りつぶしたと考えるのもイヤなので、それはそれで助かるかもしれない。

 

「トキタ……中央自治会に洗脳されているのですね!?」

「洗脳っていうか人格が違うっていうか」

「しかし心配することはありません。教主様が治療してくれるでしょう!!」

「あの娘のほうが洗脳されてそうだけど……」

 

 僕は課長にひそひそと話す。課長は困ったように眉をひそめた。

 

『とりあえず話して情報を引き出そう』

「そのほうが良いね。えと、キミ。教主様ってのは誰なんだい?」

「貴方のお父様ではありませんか!?」

 

 えっ、僕よくわからないテロ教団の娘ってこと!?

 もしかして人格が変わる前って相当やばい人だったんじゃ……。

 サムライガールは拳を握りしめ、腰の刀を引き抜いた。

 

「……まぁいい。四肢を切り落としてでも連れ帰ります」

「愛が重いなぁ。ヤンデレだなぁ」

 

 僕、TS転生するまえにこの娘になにかしたのかな……。

 しかし記憶を索引しても、まるで覚えがない。やはり完全に消去されてしまったようだ。

 などとぼーっと考えていると、僕の胸元に赤い光の線が伸びてきた。

 

 ええと、あのサムライガールから伸びているみたいだね。

 

『気をつけろ。来るぞ!!』

 

 次の瞬間、目にも止まらぬ高速移動で僕の前まで飛んできたサムライガール。

 僕はとっさに相手の速度を落とし、自分の速度を上げて対応する。

 しかし刀を振り抜いたと思ったら、サムライガールは天井に飛んでいた。

 

『あのレーザーの先に転移しているみたいだぞ!!』

「ああ、もうっ」

 

 転移であるのならば、時間を遅くしても関係ないってことか。

 まずいな、僕の異能はあまり連発できない。二重で今使ったから……。

 

 そのことを相手も承知なのか、すぐに僕の背後へと転移してきた。

 振り返りざまに刀を振り抜くけれど、また僕の背後へと飛ぶ。

 だけれども僕は無理やり加速して、くるりと回転しそのまま刀をぶつけた。

 

「なっ――!?」

 

 キィイイイイイイイイン、とチェンソーがぶつかり合うような火花がお互いの刀から出ている。

 ぐぅ……頭が痛い……けれど、抑制剤がすぐさま注入されるので問題ない。

 

「貴様らっ……トキタを薬漬けにしているのか!?」

『風聞が悪いな。国がギリギリ認可しているやばめの薬だぞ。合法だ』

「貴様ぁっ……!!」

 

 すぐさま、サムライガールが後ろに飛ぶ。

 縦横無尽だなぁ。このまま相手していたらこっちが薬漬けになって死んじゃいそうだ。

 抑制剤が効いているうちに………一気に加速して攻める!!

 

 ガギィン、ガギィン、ガギィイイン、と鍔迫りあうたび火花が散る。

 よし、どうやら向こうの異能にもインターバルがあるみたいだ!!

 

 しかしそれが終わったみたい。

 今度はエントランスの向こうにあるカウンターの奥へと入っていった。

 逃げたのかな……?

 

 うわっ、レーダーが乱反射しているかのようにエントランス中に出た!!

 しかも僕に何本も刺さってる!! こ、これはやばいかも……!!

 

 ドンッ、と床を蹴る音がしたかと思うと――。

 サムライガールが縦横無尽に転移しながら、僕に斬り掛かってきた。

 

 防いでも、また別の方向から斬り掛かってくる。加速していればなんとか対処できるけれど……。

 ぐぅうう……また頭が痛くなってきた………!!

 

 ハッ、地下駐車場で使った技を今こそ使うべきなんじゃないか!?

 僕は刀を鞘に納め、再びサムライガールが転移してくるのを待つ。

 

「なにをしている!! 死にたいのですか!?」

「キミこそ、死にたくないなら逃げたほうが良いね」

 

 再び、乱反射転移を行ってきた!! 僕はそれに合わせて、刀を振り抜く。

 複数の斬撃が飛び散り、そのうちの一本がサムライガールの片足を切り飛ばした。

 

「がぁあああああああああああああ!?」

 

 そのまま倒れるサムライガール……まぁ、足の一本ぐらい吹き飛んでも治療できるでしょ。

 何にせよ、これで無力化出来た。もうかなり頭痛いけれど。抑制剤二本目だ。

 

「ふぅ、なんとか倒したけれど……」

『ああ、よくやった』

 

「くすくすくす、無様な姿ね、南雲」

「…………!?」

 

 次の瞬間、巨大な異影体(アブノーマリティ)が二階から降りてきた。

 その肩には傘を刺したゴスロリ赤髪ツインテの少女が乗っている。

 おそらく異影体(アブノーマリティ)を……制御しているのはこの娘だ。

 

「誰だい、キミは」

「あら、トキタじゃない。とっ捕まったと聞いたけど洗脳でもされたの?」

 

 そう言って巨大な異影体(アブノーマリティ)が、サムライガールを背負う。

 吹き飛んだ足もちゃっかり回収したようだ。

 

「こいつは回収していくわ。アンタみたいに洗脳されちゃあかなわないし」

「えと、キミたち、名前は?」

「私は夜々。こいつは南雲。貴方の友達だったのよ? 一応は」

 

 サムライガールのほうが南雲。ゴスロリツインテ少女が夜々、か。

 覚えておこう、うん。しかし、それでも……。

 

「……逃がすと思うかい?」

「さぁ? 貴方こそ捕まえられるのかしら」

 

 そう言うと、ツインテ少女と異影体(アブノーマリティ)は幻影のように消えていった。

 これもまた異能なのだろうか……。

 

 ともあれ、近隣に今度こそ人の気配がなくなってしまった。

 

『ミミ子、抑制剤が限界だ。しばらく物陰で休め』

「でもカズが殺されてるかもだよ?」

『奴は結構強い。気にしなくて良い』

 

 と言われたので、柱の物陰に隠れてへたり込む。

 流石に連戦はキツそうだったし、逃げられて良かったのかな……?

 

「あいつらは……」

『さてね。地下エリアの人間だろう。キミと面識があったようだが』

「…………僕はどっちの味方をすべきかな?」

『キミにインストールされている人格に従うと良い』

 

 …………たしかに僕の平凡なサラリーマンの人格は、こんなテロ行為を行う連中は間違っていると考えている。少なくともこのエントランス内にすら多くの死体が転がっている現状だ。

 

 しかし、そんな死体を見ても、僕は何とも思わなかった。

 ああ、死体が転がっているなぁ……という程度だ。

 

 無感情、というより感情も抑制されているみたいだね、これ。

 ヘッドギアの影響なのかな。

 

「南雲と夜々か。夜々ちゃんって子がレベル3なのかな?」

『おそらくその可能性が高いな。本体が撤退したということは、目的を達成したのだろう』

「目的……なんだと思う?」

『ふぅむ……』

 

 課長が【?-?】という顔になって、ピロピロ言い出す。

 何かを索引しているようだ。

 

『まずいな。研究室にあった重要機材が運び出されている』

「それはどうまずいの?」

『上手く使えばこの都市ごと吹き飛ばすことが出来る』

「まずそ~~」

 

 となると、連中の目的は復興の邪魔……なのかなぁ。

 しかし何のために? 教団っぽかったし、悪い教えが関係しているのかな。

 

 などと考えていると、ドンドンと眠くなってきた。

 うつらうつらと、まぶたを閉じて意識を失いそうだ。

 まずいな。こんなところで寝たらどうなるか……。

 

『異能の使いすぎだ。今は寝ておけ。もし敵が近づいてきたら起こす』

「ありがとう……」

 

 そう言われて、僕はそのままぐっすり眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 ――――夢を見た。

 

 南雲と呼ばれていた少女と、廃墟みたいな地下街を走り回る夢だ。

 夜々、という少女もいる。

 どうやら僕たちは幼馴染みたいで……何をするにも一緒だったみたいだ。

 

「私、大きくなったらトキタと結婚します」

 

 それは難しいんじゃないかな、と笑いながらも南雲ちゃんとベタベタしている。

 百合? 百合なのか? 悪い気はしないけれど……。

 

「ふふ、じゃあ私が二人を娶ってあげるわ」

 

 なんて言いながら夜々ちゃんも僕たちの肩に手を回す。

 何をするにも仲良しこよし。どうやらそれが僕たちみたいだった。

 

 しかし、そんなを夢を見ても――。

 

 

 

 

 

 

 僕には何の感慨もわかなかった。

 

 

 

 

 

「泣いてるの? トキタ」

「大丈夫ですか?」

 

 夢の中の二人が僕を心配する。

 しかし僕はなんでもない、と言って、二人を抱きしめ返した。

 

 

『――――――ザザザ――――不適応なノイズを確認――――――』

 

『削除しておけ』

 

『――――――――ザザザザザ――――――不可能です――――ロックされています――――』

 

『チィ、まったくカズはろくでもないデータを持ってきたな』

 

『それともこの子の意思が強いのか……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………………まぁいい』

 

 

 

 

 




■■■今現在公開可能な情報■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【南雲】
青髪ポニーテルのサムライガール。
レーザーポインターを照射した方向に転移する異能を持つ。
どうやらミミ子と因縁があるらしいが……?

【夜々】
ゴスロリツインテ赤髪ちゃん。
巨大な異影体(アブノーマリティ)を操っていた。
どうやらミミ子と因縁があるらしいが……?

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

拙者、大切な友達が事情あって殺し合いする展開大好きサムライ。
義によって助太刀いたす。
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