とある次元の錬金術師   作:nor_phesor

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さーいしゅーかーい


第十二話

ーーーー数日後 病院

「目が覚めたかな?」

「ううん、じぇ、ジェルソ?」

「それは、誰なのかな?」

 

 辺りを確認。声の主を見つけアルは場所を理解した。軋みをあげる身体を動かそうとするが制止される。

 首だけ動かし冥土帰しをみる。

 

「それにしても、無茶したね? なんせ、君があの姉妹に担ぎ込まれたとき、意識はない。血は足りない。腕もない。なんて状態だったからね?」

「すいません」

 

 アルは両手を動かす。そして、左腕がないことを認識させられる。

 

「命に別状はないよ? どんな鍛え方してたかわからないけど。ただ、腕の方は、どうも再生しなくてね?」

「いや、腕は再生しないでしょ」

「ここは、学園都市。奇跡以外ならなんでもあるさ? ただ、君の身体が拒否するかのように治療を受け入れなくてね?」

「はぁ……なんとも無茶苦茶な世界ですね」

 

 アルは苦笑う。

 

「でだ、こんなのを準備したよ?」

 

 そういうと、金属ケースを出す。そして、それを開ける。鈍色をしたアルの欠損部位。

 

「義手だよ? 皮膚の色を合わせる暇がなかったからね? 鋼の義手(オートメイル)ってところかな?」

「ははは、ニーサンみたいだ」

 

 兄を思い出して笑う。そして、今兄がどこにいるのか、急に気になった。

 

「早速着けるかね?」

「お願いします!」

「さて、その前に…… 入ってきたまえ?」

「アル!」

 

 扉が開き、御坂姉妹が姿を見せる。

 

「やぁ、二人とも」

「アル! 心配したんだから!」

 

 そういいながら、笑顔を見せる美琴。対照的にミサカは入口付近に、泣きそうな顔でとどまっている。

 

「ミサカ達のために申し訳ありません、とミサカはなくなった左腕を見つつ頭を下げます」

 

 そのことか、とひとりごちるアル。おろおろする美琴。

 

「前に失った時は自分の過ちだった。でも今回は、他人の為に失ったんだ。後悔なんかしてないよ」

「はい、とミサカは返事します」

 

 それを見て冥土帰しは二人を促す。

 

「さ、とりあえず、また出て行ってもらっていいかな? この義手を着けるからね?」

「え、もう……」

 

 アルは、さびしそうな美琴に微笑む。

 

「美琴、この前教えてもらったクレープ美味しかったよ。今度一緒に行こうか」

「え?」

「ミサカも一緒にさ」

「はい! と、ミサカは即答します」

 

 冥土帰しは、微笑むアルの横に立つと二人の少女に対する。

 

「約束はできたね? さ、じゃあ、その続きはまた今度でいいかな?」

「じゃあ、約束だからね。破ったら承知しないんだから」

「では、また、とミサカはドアに手を掛けつつ挨拶します」

 

 その二人に対して、アルはクツクツと笑う。と、出て行った二人と入れ替わりに数人の白衣を着た男が三人。三人ともに、屈強という二文字を与えるのにピッタリだ。

 三人は、テキパキと何かの準備を進めていく。

 

「さて、さっきの義手をつけるんだけど……」

「なんでこんなに人がたくさん必要なんですか? しかも、こんながっしりとした男性が三人も……」

 

 冥土帰しはそれに応えるよりも早く三人に合図をする。三人は、左右肩部、腰部をそれぞれ押さえる。

 

「少し、本当に少しだけビリッとするが我慢するんだよ?」

 

 そういうことか。とアルは呟く。

 

「兄さん、そうとう嫌がってたけどまさか僕もするとはなぁ……」

「十数えたら付けるからね?」

 

 冥土帰しのカウントが、七の辺りでアルの叫び声が院内を駆け巡った。

 

ーーーー

「やぁ、病室が偶然にも隣でね」

「なんだァ? 無様に負けた相手を笑いに来たンですかァ?」

 

 アルは、今だにベッドに横になったままの一方通行に話しかける。白いベッドの上に白い男が寝ている光景。なぜかわからないが、アルは少し面白くなった。

 一方通行は、そのわずかに歪んだ顔をちらと見た後でプイと窓の外に顔を向ける。

 

「いや、本当に、近くを通っただけなんだけど。それに君を倒したのは『ミサカ達』だよ」

 

 アルはニヤリと笑う。不愉快そうに一方通行は舌を打つ。

 

「テメェのせいで計画はおじゃンだ」

「だろうね」

「オリジナルに聞いた。計画自体が破綻してたって。俺ァ踊らされてたンか?」

 

 一方通行は吐き出すようにアルを向く。アルは、手近にあったパイプチェアを右腕と左脚で器用に準備する。

 

「わかんない。けど、恐らく計画の直接の実行者達は本気だったと思うよ」

「どういうことなンだ? その後ろに誰かいるってことか?」

 

 鋭くなる一方通行の目。アルはその目付きの悪さが誰かに似ていると思った。

 

「そんな気がする、って程度に僕は怪しいと思ってるよ。自信はないけどね」

 

 そこで一区切り付けると優しく微笑む。イタズラの後、自分と兄は母に何と叱られていたのかを思い出していた。

 

「それとは別に助けたかったんだ。あの姉妹と君を」

「俺を助けるだァ?」

「あぁ、随分と憑き物が落ちた顔をしてるよ。これからどうする?」

 

 一方通行は顔を逸らす。

 

「うるせェ。テメェのせいでなンもかンも終わっちまったァ。何していいのか……」

 

 この少年は道標が必要だったのだ。傷つける以外の手段で、自分の能力を活かす方法があるべきであったのだ。自分達と同じ道を辿ってしまったのだとアルは思った。

 

「君は悪人じゃない。でも善人では、もうない。もしこの街の誰もが君を裁けないとしても、罪は消えない。罪人と墓守しながらできることなんて少ないよ。探すのは簡単さ」

「てめェ、結構残酷だな」

 

 一方通行は軽く笑うとまた外を向いてしまった。

 

ーーーークレープ屋さん

「これと、あれと、これも!!」

「佐天さん、その味、後で少し下さいね」

「あはは、涙子はたくさん食べるね」

「そりゃ、アルさんのおごりって聞いたらたくさん食べなきゃって!! あとこれも!」

「へ??」

「私サイフ持ってきてないからね」

「蛙顔のお医者様からお小遣いもらってるのは調べがついてますの。あ、私はお姉様と同じものを」

「小遣いって…… あれは、一応研究手伝ってるからなんだけどなぁ…… あれ? ……サイフが……ない! 落とした!?」

「あ、おじさん、こっちのもちょうだい!」

「探しといた方がいいわ。後で大量に妹達も来るから」

「ふ、ふ、ふ、不幸だぁぁぁぁ!」




最終回でした。
また何かおもいついたら書けるといいな!
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