ーーーーファミレス
「私は御坂美琴。あなた、名前は?」
「アルフォンス・エルリック。アルと呼ばれてます」
少女の前にアルが座る。アルは、少女よりもテーブルの材質の方の興味があるのだが、さすがに失礼だと思い直す。
少女は、通りかかった店員に声をかける。後からくると、確約を得た所で、アルに向き直る。
「アル、でいいのかしら? 御坂と名乗った子とはどんな?」
「ミサカの事? 僕はあそこで偶然知り合っただけだよ」
「本当に?」
「本当です」
少女の視線に汗かきながら返事する。沈黙。疑惑と困惑の視線が交差する。と、アルにとってはちょうど良いタイミングで店員が注文を取りにきた。
美琴は決めていたのか、間を置かずメニューを差しながら注文する。
「あんたは? 何頼むの?」
「いやぁ、実はお金持ってなくて」
アルは、ポケットをさぐる。コインは入っているが、全てシン国のものだ。多分使えないだろう。
「おごってあげるわよ。連れてきたのは、私だし。何食べたい?」
少女がメニューを差し出す。
「ありがとう、美琴!! お腹空いててたまらなかったんだ!!」
そういうと、アルはサンドウィッチとミルクを注文する。
「み、み、み、み、みこと!?」
「どうしたの?」
美琴と呼ばれた少女は、飲んでいた水が気管に入ったのか咳き込む。
「きゅ、急に名前で呼ぶんじゃないわよ!」
自身の、そのいつか急成長を夢見る胸を叩きながらの反論。
「た、例えば、御坂さんとか、御坂ちゃんとか」
「美琴ちゃん?」
アルは、クエスチョンマーク大量に浮かべながら聞き返す。男性に名前で呼ばれる経験の少ない美琴は顔を赤らめる。
「そういう事じゃなくて」
「だって今からミサカの話するのに、君も御坂って呼んだら訳わからないじゃないか」
美琴の反論の意味はアルにはわからない。
ーーーーファミレス前
「見て下さい! 御坂さんが金髪の人とご飯食べてます!!」
ファミレスの窓ガラスに顔をすりつける少女が三人。そのうち、頭に花を生けた少女、初春が隣のロングの少女の肩を叩く。
「うわっ! 金瞳! しかも、かっこいい!」
肩を叩かれた少女、涙子は、さらに横に並ぶ少女に声をかける。
「お姉さまぁ、わたくしというものがありながらぁぁぁ!!」
声をかけられた少女は、さながらドラムの様に窓ガラスに顔面を叩きつけながら涙を流す。
「白井さん、落ち着くんですの、じゃない。落ち着いて」
涙子が、黒子を止めようとするが止まらない。
「落ち着ける訳ありませんの! 行きますわよ、二人とも!!」
そういうと、少女三人はーーそのうち一人は瞬間的にーー消えた。
ーーーーファミレス
「お姉さま!! この類人猿は何者ですの!!」
「何であんたがいるのよ!」
「もしかして、類人猿って僕のこと? っていうか、今、君はどこから出てきたの?」
突然アルの目の前に少女が表れる。ツッコミが追いつかない。
それを尻目に佐天と初春はアルの隣に座る。
「すいません。この人、御坂さんに近づく全ての男性が原人以下に見えるらしくて」
「で、実際どうなんですか? 彼氏さんですか?」
「そ、そんな訳ないじゃない! こ、こんな金髪ウニ頭なんて!!」
美琴に抱きつく少女。頭部に花を生やした少女。あくまでマイペースを貫く少女。
「そんな事より、とりあえずこの子どうやってきたの?」
アルがクエスチョンマークを使い切ろうとしたその時だった。
爆発音、後悲鳴。
アルは、瞬時に立ち上がると入口に走り出していた。
「な、なにごと?」
「事件ですの!」
それに続くように黒子がその場から消えた。