とある次元の錬金術師   作:nor_phesor

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ここから、科学ってより仮学になってきます。もう、本当に頭弱いんですいません。


第九話

「アル、こっちよ」

 

 コンテナの影から、美琴は小さく呼ぶ。

 

「ミサカは?」

「千切れた脚からの血が止まらないの」

 

 美琴の隣に横たわるミサカ。右脚を失ったミサカ。痛みからか粘ついた汗を全身にかいている。

 

「くっ、ミサカの事は構いません。お姉様、アル、逃げて下さい。と、ミサカは痛みに耐えて…… って、アルは私の足を持って何をするんですか? と、ミサカは」

「美琴、少し離れて!!」

 

 アルはいつの間にか手にしていたミサカの脚を持ち、そばに立つと両手を合わせる。光と音、錬成反応。

 

「足が、くっついた…… と、ミサカは絶句します」

「練丹術で、足と骨の組織を強引にくっつけた。でも、一時しのぎだから……」

 

 アルは響き渡る破壊音に冷や汗をかく。

 

「どこにいるンですかァ!!!」

「あれをどうにかしなきゃ」

 

 外連味を帯びた笑顔を浮かべるアルは、バレないように声の主を覗き込む。

 

「出てこないンですかァ? なら燻り出してやンよ。コンテナの中身がちょうど小麦粉みてェだしなァ」

 

 一方通行は、コンテナの壁を剥ぎ取る。白い粉が溢れる。

 

「本当に小麦粉なのかしら……」

 

 美琴の引きつった顔でいう。

 

「密室じゃねェがよォ、こンだけありゃ問題ねェだろうなァ」

 

 コンテナを破壊し、もうもうとした白煙を背景に歩きまわる一方通行。さらに能力を使い撹拌する。

 その姿にアルは眉をひそめる。しかし、その意図に気がつく。

 

「まさか!」

 

 一方通行はニヤリと笑う。どんなことがあろうと、彼には自信があった。核ミサイルが眼前で爆発したとしても、自身に何の影響もないと。

 一方通行は、一切能力を使わなかった。石を拾い上げ振り上げる。そして、重力に任せて振り下ろす。コンテナを擦るように。

 

「二人とも、伏せて!」

 

 粉塵爆発。

 

「げほっ。少し粉塵多過ぎたかァ? でも、見つけたぜェ!!」

 

 一方通行は、三人に向かって笑む。口だけを卑しく引き上げる笑み。目は一切笑っていない。独特の笑み。

 

「二人とも逃げろ!!」

 

 アルは指示する。アルは右手に、二人は反対に逃げだす。

 

「まてや、三下ァァ!」

 

 二人を一切合切無視。一方通行は、アル目掛けて走り出す。しかし、爆発による瓦礫はアルに味方し、なかなか追いつけない。

 

『まだ、これ使えてる??』

 

 移動、相手の位置を確認。安全ーー短期間であろうがーーを確認すると、アルは、短く答える。

 

「どうしたの?」

『妹を連れてこのまま逃げるわ! これでこの計画は失敗のはず! 全部終わったの。だからアルも逃げて!』

 

 アルは、一方通行の位置を確認しながら返答。

 

「そうだね、でも、僕にはやる事が残ってる」

『やることって……』

 

 一拍おいて、アルは答える。

 

「第一位をぶっ飛ばす」

 

 その回答に、隣で聞いていたのか、ミサカが反論する。

 

『無理です。触れられれば、手足を引きちぎられ血液を逆流させられて殺されます。先手を打っても自動反射でやはり殺されます。遠くにいても礫で殺されます。アルが第一位をぶっ飛ばすなど絶対にあり得ません、とミサカは断言します』

 

 ミサカの返事。一方通行の近づいてくる音に意識を向けながら答える。

 

「絶対なんて、絶対にあり得ない。大丈夫。必ず二人と他一万の妹の前に引きずりだしてやる」

 

 アルの宣言。と、ほぼ同時に背を預けていたコンテナが吹き飛ばされる。

 

「見ィつけたァ! かくれンぼはお仕舞いだァ!」

「じゃあ、次は僕の番だ!!」

 

 アルは両手を合わせる。

 

「あァン? ……手榴弾?」

「当たり!! さっき、大量の粉塵で咳き込んでたからさ。大量の破片だったら自慢の自動反射はどうなるかな?」

 

 アルはニヤリと笑うと、手榴弾を放り投げる。と、自身の前に壁を錬成。次の瞬間、破裂音。

 

「無駄だァ! こンな破片、千だろうが二千だろうがかわりはしねェ!!」

 

 爆発による砂煙と破片。そんな中でも、瞬きすら不要な一方通行の目の前にアルが現れる。

 一方通行は反応できない、そしてしない。自動反射への自信が無駄な労力を省く。

 棒立ちの一方通行に向かい、アルは、振りかぶった右手を、顎をかする様に振り抜く。途中で何度も錬成反応が起こる。そして、一方通行の頭部は、鈍器で殴られた様な音をたて体ごと吹き飛ぶ。

 

「何しやがったァ!」

 

 一方通行は頭を抱えながら立ち上がると、反射機能は生きていることを確認する。自動反射が機能しなかったことに苛立つ一方通行を尻目に、アルは指差す。

 

「お前を妹達の前に引きずりだす。大人しくするんだ」

 

 呆気にとられる一方通行。そして、笑い出す。反射しなかった事実は、その突拍子もない宣言に吹き飛ぶ。

 

「引きずりだすゥ? 引きずりだして説教でもするンですかァ? この俺に? この悪人に?」

 

 高笑い。それに対してアルは嫌悪感をあらわにした表情。

 

「お前が悪人だって? たった一人の女の子にビビってるお前が?」

 

 瞬間、静止。一方通行の顔から表情が消える。

 

「ビビってねェ!」

「君はビビったんだよ。無抵抗で、無反応な美琴の妹達に。だから、残酷に殺した。残忍さを強調した。血液を逆流させて。両手足を引き千切って。少しでも反応が見たかったんだ。少しでも、殺しの時間を伸ばしたかったんだ。自分が狂人である為に!」

「ふ、ふざけるな! 俺は悪党だ!」

「悪党? 君が悪党だって? 笑わせるな! 僕は本物の悪党を知ってる。そいつは自分の為に他人を傷つけ、自分の為に他人を燃やし尽くした! 欲望の為に何もかも灰にし尽くした。でも君は違う! 自分の為といい他人も自身もイタズラに傷つけてるだけだ! 自分の悪行には怯えるのに謝罪も反省も出来ない、イタズラをした後にママに叱られる恐怖に震えるガキなだけだ! 悪党? 笑わせるな! 単なる糞ガキなんだよ、お前は! それでもまだ悪党だっていうならその幻想をぶち壊してやる。来いよ、どサンピン! 格の違いを見せてやる!」

 

 ズビシと決めたアル。静止する二人。場所が場所であればタンブルウィードが吹くところだ。

 

「クキケクケ、クケケケケケケケケケケケ! お前絶対殺してやらァァァ!」

 

 一方通行が、奇妙な笑い声をあげたかと思うと両の手を突き上げる。

 その両手の掌の間に空気が溜め込まれていく。そして、それは、光を帯び始める。

 

「あれ? 僕ヤバくない?」

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