コードギアス 転生のルルーシュ   作:よみや

21 / 25
STAGE21 学生の終わり

 

 

 

 

 

 

「ルルーシュ、僕は行けない。僕は、ユフィの騎士だから」

 

 スザクの言葉に、止まっていた生徒会室の時間が動き出した。

 

「それに、正義の味方のように見えていても、黒の騎士団はテロリストだ。そんなものに、みんなを巻き込むのかい?」

「ああ、だがこれは俺のエゴだ。断ってもらってもかまわない」

 

 スザクが悲しそうな瞳で、ルルーシュを見つめた。

 

「ルルーシュ、僕は間違った方法で得た結果に価値は無いと思ってる。……僕は、父さんを殺したんだ」

 

 そろそろ我慢の限界で、スザクに噛みつこうとしていたカレンが固まった。

 

「父さんは自分のために徹底抗戦をしようとしていた。ブリタニアと交渉して爵位を得るためにね。……僕はそれが許せなくて、衝動的に刺したんだ」

 

「その結果、軍の指揮系統は崩れて、日本は早期降伏した。そして、軍には余力があったから、テロが横行することになった」

 

「僕がルールを破ったから……。だから、日本はこんな風になってしまった……」

 

 俯くスザクに、ルルーシュは声をかけた。

 

「……俺たちのことは言わないんだな」

「え?」

「国を売ろうとした男が、皇族の俺たちを利用しないわけがない。交渉のカードとして使ったんだろう? 俺たちを」

「……」

 

 スザクは無言で、目を逸らした。それが答えだった。

 

「俺たちを守ってくれたんだろう?」

「ルルーシュ……僕は……俺は……」

「なあ、スザク。間違った方法で得た結果に価値は無いと言ったが、俺とナナリーが生きていることに価値は無いのか?」

「違う! それは、違う! ……違うんだ」

 

 泣き崩れたスザクの手を、ルルーシュが取った。

 

「あの日、俺たちは世界の残酷さと自分たちの無力さを知った。それでもお前は、俺たちを助けてくれたんだろう?」

 

 幼いスザクに、全てを守れる選択肢などありはしなかった。それでも、ルルーシュとナナリーを守るという結果を選んだ。例え、それがどんな方法であったとしても。守りたかったんだ、2人を。

 

 打ちひしがれていたナナリーも、スザクの手を取った。

 

「別れる前に気づかなくてすまなかった。スザク、ありがとう」

「スザクさん、ありがとうございます」

 

 懺悔するかのようなルルーシュとナナリーに、スザクは顔をくしゃくしゃにして泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「なあ、ルルーシュ。ルルーシュは、最終的にはどうするつもりなわけ?」

 

 スザクが泣き止んだ頃に、リヴァルがルルーシュに問い掛けた。

 

「リヴァル、どういう意味?」

 

 シャーリーの言葉に、リヴァルは肩を竦めた。

 

「黒の騎士団は正義の味方だっていうけど、最終目的は何なのかなって。ルルーシュだって、何の意味も無しにそんなことするわけないし」

「それって、ルルやナナちゃんが、大手を振って生活できる世界ってことじゃないの?」

「で、その具体的な条件て何?」

 

 意外と鋭いリヴァルの質問に、シャーリーは言葉が詰まった。

 

「良い質問だな、リヴァル。一緒に来てくれと言っておいて、説明しないのも不誠実だ。俺の最終目的は、現ブリタニアの上層部を駆逐し、俺が皇帝になることだ」

 

 ルルーシュの言葉に、リヴァルたちは驚いた。ついでにカレンも驚いた。

 

「ええ!?」

「あ、カレンに言ってなかった」

 

 ルルーシュ! とカレンが拗ねたような顔で、ルルーシュを睨み付けていた。だって、カレンは頭使うの嫌いだから、あんまり先のこと聞いてこないし。

 

「なあ、今のブリタニアをどう思う?」

「どうって……」

「侵略に次ぐ侵略。差別と腐敗。新たな富を求めて、他国を襲う。まるで、強盗団だ」

 

 ルルーシュの言葉に、リヴァルたちは反論できなかった。

 

「例えブリタニアが世界を統一できたとしても、俺はそんな世界で生きていきたくはない。だから、俺が変える。シャルルを、皇族を、貴族を倒し、ブリタニアをぶっ壊す」

 

「そして、俺が皇帝になって変えるんだ。ブリタニアを」

 

 それは、ある種スザクの中から変えていくの究極形だろう。国のトップとして、中から変えるのだから。皇位簒奪? 身内だから、ブリタニアの内ゲバじゃない? 

 

「てっきり、ブリタニアを倒すのかと思ったぜ」

 

 リヴァルの言葉に、ルルーシュは首を振った。

 

「いや、ブリタニアを倒せば、待っているのはブリタニアの領土を奪い合う、次の戦争だ。それに、世界の経済にもかなりの影響が出る。倒してブリタニアという国が無くなるのは悪手だ」

 

 へーと天井を眺めたリヴァルが、うんと頷いた。

 

「じゃあ、俺は将来、皇帝のダチになるのか~」

 

 いつも通りの様子のリヴァルに、みんなが驚いた。

 

「しょーがねえな~、ルルーシュがどうしてもって泣くから、俺も付いていってやるよ!」

「リ、リヴァル!?」

 

 驚くスザクに、リヴァルは手を合わせた。

 

「わりぃなスザク。俺、こいつのことほっとけないからさ!」

 

 馴れ馴れしく肩を組んでくるリヴァルに、仏頂面のルルーシュ。でも、嬉しそうですね。

 

「もー! なんで、リヴァルが先に言っちゃうの! ここは私が先に言って、ルルと良い感じになるところでしょ!」

「シャーリーまで……」

 

 シャーリーは、スザクにはにかみながら言った。

 

「ごめんね、スザクくん。ルルがゼロだったとしても、今までのことが嘘になるわけじゃない。私がルルを好きだって気持ちは変わらないから!」

 

 シャーリーがルルーシュと腕を組むと、ルルーシュは明後日の方を向いた。照れ屋め。ちなみにカレンはちょっとむくれてるぞ。お母さん助けてもらった時にキスでもしとけばよかったのに。

 

「ルルーシュが皇帝になるってことは、シャーリーはお妃様か。玉の輿じゃん」

「もー! リヴァルは、すぐそういうこと言う!」

 

 あえていつも通りのやり取りをする2人に、スザクは苦笑いを浮かべた。

 

「敵わないな」

「そう? スザクも立派よ。私からも、ルルーシュとナナリーを助けてくれたこと、お礼を言うわ。ありがとう」

 

 今まで黙っていたミレイは、スザクにお礼を言うと、わちゃわちゃしているシャーリーたちへと向かった。

 

「もう、いつまで騒いでるの? それと、シャーリー。ルルーシュのお妃は私もだからね」

「え!?」

「ええ!?」

 

 ミレイの発言に、お約束のような驚きを見せた2人。

 

「そんな~会長~」

 

 へなへなと崩れたリヴァルに、ミレイは笑顔で言った。

 

「ごめんね~。私は、ずっと前からルルーシュのことが好きなの」

「ま、負けませんよ、会長!」

 

 フンスと気張るシャーリーに、ミレイはニヤッと笑った。

 

「安心しなさい。皇帝は複数のお妃を持つのが普通だから」

「ええ!?」

 

 ロイヤルな話題に、庶民のシャーリーは大混乱だ。ついでにカレンも大混乱だ。

 

「ニーナ、怖がらせてすまない」

 

 そんな中、まだ返事をしてないニーナにルルーシュが声をかけた。

 

「みんな、行っちゃうんだね……。でも、私は……」

 

 昔イレブンに襲われたニーナは、黒の騎士団も怖いのだ。

 

「わかっている、無理強いはしない。スザク、ニーナをユフィに紹介してやれ。科学者としてなら役に立つはずだ」

「え!?」

 

 驚くニーナ、スザクも戸惑った。

 

「ええ!? いや、でも」

「ロイド伯爵に頼めば何とかなるだろう」

「ロイドさんに? そう言えば2人は交流があるって」

 

 まあ、流石にニーナだけ置いてくのは可哀想だしね。

 

「お兄様! 私も連れて行ってください! お願いします!」

 

 みんなの去就が決まっていくことに焦ったナナリーが、ルルーシュに縋りついた。

 

「駄目だ」

「どうしてですか!? リヴァルさんやシャーリーさんは良くて、どうして私は駄目なんですか!?」

 

 泣きじゃくるナナリーに、ルルーシュが答えた。

 

「ナナリー、俺たちは戦いに行くんだ。体が不自由なナナリーを連れては行けない」

「そんな……」

 

 絶望するナナリーに、ルルーシュが言った。

 

「ナナリー。一緒に行きたいなら、目を開け」

「ルル!?」

 

 シャーリーたちが、ルルーシュを止めようとしたが、逆にルルーシュに手で制された。

 

「ナナリーの足は、昔撃たれたのが原因だ。だが、目は違う。その時のショックが原因の精神的なものだ」

 

 本当は、シャルルのギアスが原因だけどね。

 

「待ってください、お兄様! そんな急に!」

「今この場で目を開けないなら、ユフィに預けていく」

 

 本気のルルーシュに、ナナリーは絶句した。今までとは違い、交渉も我が儘の余地も無い。

 

「くっ、ううっ!」

 

 苦悶の表情を浮かべるナナリー。でも、目は開かない。

 

 しばらく待ったが、ナナリーの目は開かなかった。

 

「ナナリー」

「待ってください! もう少し!」

「さよならだ、ナナリー。もう、会うことは無いだろう」

 

 ルルーシュが、ナナリーに背を向けた。そのまま、生徒会室を出ようとする。

 

「お兄様!!」

 

 今までよりも遥かに大きいナナリーの声に、ルルーシュの足が止まった。

 

「嘘、ナナちゃん……」

 

 シャーリーが、手で口を覆った。

 

 ルルーシュが振り返ると、爛々と輝く藤色の瞳があった。

 

「7年ぶりに、お兄様の顔を見ました」

「破ったのか、あいつのギアスを」

 

 ナナリーが車椅子を動かして、ルルーシュの傍まで来た。視線は、ルルーシュの顔から外れない。

 

「それが女誑しの顔なのですね」

「兄に置いていかれるのが嫌で目を開くとは、……このブラコンめ」

 

 2人の視線が交わる。

 

「逃がしませんよ、お兄様♡」

 

 ナナリーは、満面の笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 




ナナリー覚醒(笑)
ユフィがスザクのメンタルケアしてない分、ルルーシュがするぞ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。