「草壁中佐! 考え直してください!」
旧日本軍の軍服を着た青年が、同じく旧日本軍の軍服を着た中年の男を呼び止めた。
「民間人を巻き込むような作戦は辞めるべきです!」
「何を言うか! これは、日本を取り戻す為の戦いだ! それに民間人といってもブリタニアのクズどもだ! 配慮してやる義理は無い!」
草壁はもう話すことは無いと、青年に背を向けた。
「貴様は、いつからそんな軟弱になった。貴様の父君は、立派な軍人だったいうのに」
吐き捨てるように言って、草壁は去っていった。残された青年は、悔しそうに俯いている。
「……テロじゃ何も変わらない。日本を取り戻すのには、民意が必要なんだ。力だけじゃ……」
◆◆◆
「カレン、無事で良かった」
埼玉から戻ったカレンは、扇たちに無事を喜ばれていた。
「あのゼロとかいう奴はどうだったんだよ」
玉城の言葉に、他のみんなも同感とばかりにカレンを見た。
「わからない。結局ずっと仮面のままだったし、でもコーネリアを手玉に取ってた。ゼロならもしかしたら」
カレンは、ゼロに希望を見出だした。しかし、それが玉城には気に入らないようだ。
「ケッ、素顔を見せられない奴なんて信用できるか! コーネリアに勝てたのだって、ナイトメアがあるからだろ! 俺たちだって、ナイトメアさえありゃ!」
ナイトメアを手に入れるのも実力の内だし、自分たちはナイトメアを与えられて負けてるんだが、忘れてるんだろうかこの男は。……忘れてそうだな。
荒れる玉城を見て、ゼロから【グロースター】のことは言うなと言われていたカレンは、これは言わなくて正解だと感心していた。
「組織が、どれくらいの規模かわかるか?」
「ごめん、わからなかった」
扇の問いに、カレンは言葉を濁した。実際全貌がわからなかったのもあるが、ゼロから組織内部のことは口止めされている。話していいのは、サイタマゲットーでどう戦ったのかくらいだ。
「俺だって、本気を出しゃあ!」
未だに管を巻いている玉城に、カレンと扇は溜め息を吐いた。
◆◆◆
「やはり、ここのピザは上手いな!」
ピザを食べてご機嫌のC.C.に、ルルーシュは内心
(そりゃスポンサー企業だしな)
とかメタいことを考えながら、自分の分のピザを齧る。
「で、この後はどうするんだ?」
「まずは、組織を大きくしないとな」
「レジスタンスか」
「いや、俺がやるのは正義の味方さ」
C.C.がピザを咥えたまま、首を傾げた。
「お前は、ブリタニアと戦うのだろう?」
「そうだ。俺は世界三大強国に干渉していくと言ったろ。ブリタニアは、現政権の打倒を目指す」
「それと正義の味方が関係あるのか?」
C.C.の流し目に、ルルーシュは肩を竦めた。
「あるさ。みんな好きだろ、正義の味方がさ」
綺麗事で世界は変わらない。だが、変えるなら綺麗な世界がいい。
「まあいい。それより、そっちの味も食べたい」
「ん、ああ。なら1ピース交換するか」
「具がたくさん乗ってるやつを寄越せよ」
「はいはい」
なんだかんだ仲の良い2人であった。
◆◆◆
「始まってしまった……」
TV画面から、草壁のメッセージが流れていた。独断だったので、みんな驚いている。
「
TV画面から離れたところにいた青年の元に、同じくらいの年頃の者たちが集まった。年齢は二十歳くらいだろうか。
「すまない。止めたが、聞き入れては貰えなかった」
「いえ、タケルさんのせいでは」
青年、タケルの言葉に、若者たちは首を振った。TV画面の前に集まっている大人たちの中には、日本人の気概を見せただの、【雷光】があるから上手くいくだの言っている者もいる。
「コーネリアは、人質なんて気にしないだろう。人質ごと殲滅して終わりだ。ヘイトは全て日本人へ向く」
そして、名誉ブリタニア人の日本人やイレブンの日本人の扱いが悪くなる。ずっと、その繰り返しだ。
「ゼロが現れました!」
TV画面から聞こえた声に、タケルは俯いていた顔を上げた。
「どうして、この件でゼロが?」
TV画面を見れば、ゼロの乗った車がコーネリアたちに囲まれていた。
「騒ぎに乗じて奇襲するのなら兎も角、なんで真正面から?」
タケルが食い入るように見つめていると、包囲が解かれた。そのまま、コンベンションセンターホテルへと向かっていく。
「何故だ? コーネリアが見逃す理由があるのか? 少し話していたみたいだったけど」
TV画面越しでは、詳細はわからなかった。
「何をするつもりなんだ、ゼロ」
◆◆◆
(ここまでは順調だな)
原作通り、草壁との対談まで持ち込んだルルーシュは、仮面の中でニヤリと笑った。
この事件を原作同様、黒の騎士団の旗揚げに利用するつもりのルルーシュは、準備万端で乗り込んでいた。
忍びの家系の半蔵がいるのだ。原作よりも工作は上手くいく。ああ、扇か? 扇は、俺が置いてきた。ハッキリ言って、あいつはこの戦いについていけない。
前回同様、カレンだけ呼び出し後は互助会のメンバーだ。
「ゼロ、素顔を見せてもらおうか」
「その前に、1つ聞きたい。お前たちは、この行動の先に何を望む?」
「知れたこと。日本人はまだ終わっていないと内外に知らしめるのだ!」
刹那的というか、なんというか。行動が先に全く結び付いていない。流石は藤堂とゼロへの嫉妬や劣等感で行動を起こした男だ。お前の面子、それが傷つけられても日本が独立できれば、それでいいだろうに。
目の上のたん瘤だったゼロが下手に出ているように見えて草壁はご機嫌だ。
「やはり救えないな。お前たちは、私の組織に必要無い」
しかし、それもゼロの言葉で崩れ去った。
「おのれ、ゼロォ!」
軍刀を抜いて斬り掛かる草壁に、ルルーシュは仮面の左目の部分をスライドさせた。
「死ね」
ギアスが発動し、草壁や部下が自殺した。
「そういえばギアスで殺したのは、これが初めてか」
ルルーシュは、ギアスがノーリスクでは無いことを知っている。なので、無闇矢鱈と使うのは避けるつもりだ。必要無かったから、サイタマゲットーでは使わなかったし。
「ッ!? ゼロ!」
扉が開き、ユーフェミアが入ってきた。
「これは……」
「草壁には死んでもらった。民間人を巻き込むテロは、看過できないからな」
そもそもシャーリーやミレイを巻き込んだ時点で、ルルーシュは許すつもりは無かったが。
「ユーフェミア、大人しくしていてもらおうか。間もなく、事態は動くからな」
「ゼロ、あなたは──」
ユーフェミアの言葉の途中で、爆発音が響き渡り【ランスロット】が飛び出した。
◆◆◆
TV画面の中で、コンベンションセンターホテルが崩れていく。
「……これで、終わりなのか? ゼロ……」
タケルが固唾を飲んでTV画面を見つめていると、突如中継先が切り替わった。
そこには、アップのゼロが写っている。
「安心して欲しい。人質は無事だ」
カメラが引かれると、無事な様子の人質が写った。再び、カメラがゼロを捉える。今度は、ゼロのまわりに人がいるのも見て取れた。
「我々は黒の騎士団!」
「騎士団……。ブリタニアへの当てつけか?」
ゼロを含め、団員と思わしき者たちは、黒い衣装を着ている。
「我々は武器を持たない全ての者たちの味方だ。そこに、人種は関係無い。日本人も、ブリタニア人も差別しない。我々は強者が弱者を一方的に虐げるのを許さない!」
「私は戦いを否定しない。しかし、日本解放戦線の草壁は、卑劣にもブリタニアの民間人を巻き込んだ。故に、制裁を下した」
「前総督クロヴィスも新宿で虐殺を命じた。だから私は立ったのだ。撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ!」
ゼロの言葉を聞いて、タケルは体に衝撃が走ったように感じた。
「ゼロ、本気か?」
ゼロが、マントを翻した。
「また強者が弱者を一方的に虐げた時、我々は再び現れるだろう。例え、相手がどれほど強大であったとしても」
「強者よ、我を恐れよ! 弱者よ、我を求めよ! 世界は、黒の騎士団が裁く!」
世界が動く。タケルは、ゼロの言葉を聞いてそう感じた。
「ゼロなら、日本を……」
自分も世界さえも変えてしまえそうな、そんな感覚。
「思いだけでも、力だけでも駄目なんだ……。ゼロ、君はそれを兼ね備えているのか? そうだとしたら、俺は──」
私はアニメ見ながら執筆してるので、見れる人は見比べるとここは同じだけど、ここが違うなんて違いがわかって面白いかも?同じシーンでもセリフや意図や心情を変えて書いたりしてるので。