ヤタガラス探偵事務所・帝都支部 〜大正の刃と現代の悪魔召喚師〜 作:ガチャガチャクツワムシ
駆達や柱4人はセイリュウの背から帝都の空を切り裂き、駆けつけたのは静寂に包まれた廃村だった。
駆は地に降り立つなり、使い込まれたガンプの画面を叩き、四神以外の中位仲魔を数体召喚する。
「……お前ら、村の外周を固めろ。ネズミ一匹通すな。俺の許可なく誰も中には入れるなよ」
影のように散っていく悪魔たち。駆は振り返り、同行した煉獄、実弥、義勇、天元の四柱へ告げる。
「悪いが、柱の皆はここで待機だ。少し離れた位置で様子を見ていてくれ。……何かあったら合図する。その時は、迷わず駆けつけてくれ」
駆の瞳にあるのは、かつての任務の延長線上にある冷徹な警戒心だ。柱たちはそのデビルサマナーの矜持を汲み取り、互いに頷き合って外周の監視へと回る。
駆は一人、静寂の廃村へと足を踏み入れる。その背後には、セイリュウ、ビャッコ、スザク、ゲンブの四体が、影のように音もなく従っている。
崩れ落ちた屋根、腐食した壁、苔むした路地。村の深部、崩れかけた家屋の影に、泥にまみれた一体の人形が転がっていた。駆はその造形を目にした瞬間、忌々しい記憶が脳裏に蘇る。
「……やっぱり、これか。あの時、俺と一緒に次元回廊へ放り込まれやがったんだな」
それは、元の世界で対峙したダークサマナー『人形師(パペッティア)』が操っていた人形そのものだ。主はあちら側に残ったはずだが、この「作品」だけが、駆と同じ漂流者としてこの世界へ吐き出されていた。
駆がその個体を解析すべくガンプの画面を操作し、一歩踏み込んだ、その時だった。
ガチリ、と硬質な音が静寂を切り裂く。
外部から供給される魔力の糸は見当たらない。にもかかわらず、機能停止していたはずの人形が、その瞳に赤黒い魔力を宿し、不気味な動作で立ち上がった。
「……野郎、人形の中にまだあいつのMAGが残ってやがったか。主不在で暴走たぁ、野良の悪魔以上に性質が悪いな」
人形が立ち上がると同時に、周囲の空間が歪み始める。人形を守護するかのように、無数の影が地面から染み出してくる。四神たちが即座に戦闘態勢を取り、四神の背が低く唸りを上げた。
駆はガンプをホルスターから抜き放ち、画面をスワイプしてロックオンを完了させると、不敵に口角を上げた。
「あの時に片付け損ねた残りカスか。四神の初陣の相手にしちゃあ、ちょうどいい動く標的だ」
駆け上がってくる影の群れ。駆が静かに命じる。
「……野郎ども、粉々に解体してやれ。これが俺たちの『再演』だ!」