マリア様がみてる(もしも私が、祐巳ちゃんになったら・・・)   作:河森柚木

2 / 4
早くも原作崩壊・・・


銀杏とタイとマリア様

月曜日、それは新たな1週間の始まり。

 

「ごきげんよう」

 

朝からそんな挨拶が飛び交う学園それが「リリアン女学園」。

 

明治、大正、昭和、平成と元号が4回も改まっても挨拶は変わらない。

 

幼稚舎から大学までの一貫教育が受けられ、18年も通えばお嬢様の出来上がり。

 

私、福沢祐巳もその一人だったりする。

 

 

 

 

マリア像の前で手を合わせ、今日1日の無事を願って――

 

いつもと変わらない1日の始ま―「お待ちなさい」

 

――らなかった。

 

上級生のお姉さま方みたいにゆっくりと振り返ると――

 

そこには憧れの上級生である『小笠原 祥子様』がいた。

 

(うわっ!うわっ~!!祥子様だ!祥子様にお声をかけられた!)

 

「ご、ごきげんよう・・・私に御用でしょうか?」

 

祥子様はじっと胸元を見て、「持って」と鞄をずいっと差し出してきたので受け取ると、

 

私の首へと手を伸ばす。

 

(!?!?)

思わず首をすくめると

 

「じっとして、タイが曲がっていてよ。 福沢祐巳さん?」

 

(!?どうして私の名前を!?原作では知らないはず!まさか・・・・・)

 

『そう、この世界は原作と少し変えてあります』

 

何処からとなくそんな声が聞こえた。

 

(は、早く言って~)

 

「あ、ありがとうございます。紅薔薇のつぼみ、ところでどうして私の名前を?」

 

「さあ?どうしてかしらね?」

 

祥子様は鞄を受け取りながら微笑み「ごきげんよう」と挨拶をして立ち去った。

 

(アリア様・・・いえ女神さま?これはこの世界を楽しみなさい。ということでしょうか・・・)

 

再び見上げたマリア様は少しばかり微笑んだようにみえた。

 

 

 

 

 

1年桃組――

 

鞄の中の物を机にしまい鞄を横にかけるなり机に突っ伏した。

 

(まさか、違うとは…)

 

「祐巳さんどうしたの?」

 

前の席の桂さんが心配した様子で聞いてきた。

 

「桂さん、実はさっき――」

 

祥子様に呼び止められた事、タイを直された事、そして私の名前を知っていた事を話した。

 

「良かったじゃない、憧れの祥子様に直していただけたのでしょ?名前を知っていたのはどうしてかしらね?」

 

「わからない・・・私みたいな何も特徴がない一般の生徒なのに・・・」

 

などと話していたら、桂さんが「志摩子さんごきげんよう」と声をかけた。

 

「ごきげんよう。桂さん、祐巳さん」と爽やかにそして優雅に席に着く。

 

「いったい、なんのお話をしていたの?」と志摩子さんが訊ねてきた。

 

桂さんが「実はね――」と私が話した事を志摩子さんに伝えると

 

「そんな事があったのね」とくすくすと笑う姿がとても綺麗だった。

 

 

 

放課後、音楽室の掃除を終えて日誌を書いていたら

 

「祐巳さん、祐巳さん」と蔦子さんが声をかけてきた。

 

「蔦子さん、教室のお掃除はもうお済み?」

 

「ええ。祐巳さんに見て頂きたものがあって急いでこちらにきましたの」

 

教室と音楽室とはかなり離れているので鞄を持って清掃に来る。

部活に行くにしても帰るにしてもその方が便利だからだ。

 

「私に見て欲しいのってなにかしら?」

 

「私が写真部に所属していることはご存じよね?」

 

「ええ。そして、ちょっと間違えば――『祐巳さん?』なんでもありません」

 

蔦子さんはメガネの奥の瞳を細めて威嚇する。

 

「まったく・・・せっかくこんないい写真を撮らせてくれた人とは思え無ないわ」

 

そういって写真を差し出した。

 

「・・・・・・・・・え~!」

 

蔦子さんに「声が大きい」と口が押さえられた。

 

「こ、これちょうだい!」

 

「差し上げても良いけど、条件が」

 

「・・・・まさか学園祭に飾らせてほしいとか?」

 

「話が早くて助かるわ。そして、祥子様に許可を貰ってくる事」

 

蔦子さんは写真をポケットにしまいながら難題を出した。

 

「む、無理よ!」

 

「どうして?こんなにも親しげなのに?どう見ても『スール』のようじゃない」

 

再び写真を祐巳に見せて止めとばかりに「欲しくないの?」と聞かれたら薔薇の館に行く選択肢しか残らなかった――

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。