シリカに覚悟ガンギマリ(後天的)幼馴染がいた話   作:五月雨と狐

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長くね序盤?早く依存させたいんだけど


3話

 

 

 石畳でできた地面に2つの足音と3つの薄い影が映っている。もう日はすっかり暮れてしまったようで先程まで見えていた空の赤は、暗くて青い夜の色に染まってしまった。

 

「あんまりこういうことを聞くのは良くないと思うんだけド、一個聞きたいことあるんだよネ。聞いてイイ?」

 

 三本髭が特徴的なお姉さん...アルゴさんが、道を先導してくれながら器用に後ろを向いて聞いてきた。純粋に疑問に思ってそうな顔をしている。

 

「いいですよ、まぁなんでも良いとは言えないんですけどね。常識の範囲であったら問題ないです」

 

 本名...は、いいか。俺の名前くらいなら日本にも二、三人いるだろうし。というかあんまり聞くことが良しとされない質問って何?銀行の口座の番号とか?

 

「なら遠慮ナク。その背中に背負った女のコって何なんダ?リアルでも知り合いっていうのは距離感で分かるケド...。」

 

 思ってたよりも予想外の質問だった。よくよく考えたら一切説明してなかったな...こんな状況で女の子背負ってる子供とか、怪しい以外の何物でもないというのに。ただ、これを話して良いのかは分からないが。

 

「...それを知ってどうするんです?」

 

 気持ち強めに聞いてみる。俺個人ならともかく珪子に関する質問は慎重に考えるべきだ。俺の予想が正しければシリカ...だけじゃないだろうし、なんなら眼の前のアルゴさんだって該当するが...おそらくそういう人の情報には価値が出てきてしまう。

 

 広場の男女比がすごいことになっていたのが原因だ。ここで珪子が後々きつくなるようなことはしたくない...アルゴさんがそれをするとは思えないけど、念のためだ。

 

 そう思って言ってみたのだが、アルゴさんはしっかり考えて応えてくれた。

 

「どーもしないヨ。お金(コル)積まれれば自分の情報も売るケド...子供のことを売るほど落ちぶれちゃいないヨ」

 

 そこでアルゴさんは真面目そうな顔をしていたのを止め、ニィーっと口角を上げた。面白そうにこちらを見ている。

 

「そ・れ・に。クー坊がここまでしてるなんておネーサン気になっちゃうナー。もしかして彼女とかそういうアレかナ?かー。マセてるネ最近の子ハ」

 

 クー坊ってなんだよ、完全ににからかいに来てるじゃん...。しかし、うーん...まぁ、これくらいならいいか?ソードアート・オンラインでの名前と関係性くらいなら。

 

「あんまりからかわないでくださいよ...そうですね。こいつの名前はシリカっていいます。で、俺とは幼馴染ですね」

 

 これくらいなら、いつかバレていたものだろう。後の情報はシリカが自分で話したいやつに話せばいい。俺から喋れるのはこんくらいだ。

 

「フーン?簡単に言うト、ってやつカナ。ほんとにそれダケ?」

 

「簡単に言うとっていうか、それ以上でもそれ以下でもないんですよ。俺にとってシリカはずっと一緒にいた幼馴染で、多分向こうも同じコト思ってますよ」

 

 思ってくれていなかったら普通に凹む。他人とか言われた暁には半日部屋に閉じこもって半年は引き綴る。それくらい一緒にいた幼馴染なんだ。

 

「なるほどナ。そんな幼馴染ちゃんのためにおネーサンに宿屋まで案内させてるのカー。いいなぁ、こんな状況でもそういう風に誰かに思ってもらえるノハ。なんか虚しくなってきたヨ」

 

 おネーサンもそんな幼馴染がほしかったー、と言うアルゴさん。おそらく心の底からは思っていない。ニヤニヤしてるから分かる。

 

「別にそうは思ってないですよね?」

 

「イヤー、どうだろうナ? 知りたきゃ五百コルだヨ。買っちゃウ?

 

「コルってなんですか?」

 

「...やっぱりそこからカヨ」

 

 

 

 

◆

 

 

 しばらく歩き、歩き、歩き。

 

 そろそろ歩き疲れてきてシリカの体重に若干脚がプルプルし始めた頃、俺達はそこについた。街の細い道にある、昼は野菜を売っているであろうお店の2階。そこが俺達が宿にするところだった。

 

 ついた途端、灯りのついていない扉をアルゴさんはコンコンっとノックをし、お店の人を呼んだ。宿屋は?と俺は思ったが、アルゴさんは慣れたような感じで。

 

『お宅の2階を貸してクレ。お代はきっかり500コル...って言いたいケド、250コルで頼むヨ。その代わり《アレグの種》10個、持ってくるカラ』

 

 と言い、あっさり部屋の鍵を受け取っていた。何がどうなってこうなったのかは分からないけど、俺の手元...は無理だから首に紐で繋がれている部屋の鍵がある...申し訳ないな。

 

「カー...やっぱりココ高いネ。クエスト受注で半額とは言え初期コルの25%は痛い..ケド3日借りられるから十分カナ?イヤでもやっぱ高いヨ..」

 

 ヨヨヨ、悲しんでいるのかふざけているのか分からない調子で目元をこすっている。申し訳ない気持ちが半減した気持ちだ。

 

 100申し訳ないから50は残っているんだけど。

 

「いや、アルゴさん。俺払いますって、ギリギリ300...コル?あるから場所教えてくれただけで良いんですよ?」

 

 残念だけどソードアート・オンラインに着て最初の30分で、持っていたはずの700コルは使ってしまった。でっかい剣の魅力に抗えなかった。今となってはその選択を後悔している。

 

 それでも300コルは残っている。話の通りなら250コルで部屋を借りることができるから

 

「イヤ、それは持っといたほうが良いヨ。ボーションも何も買ってないダロ?そっちに使ったほうが良い」

 

「そうは言っても...」

 

 ポーションが何か良くわかってないんです...というのはともかく、申し訳ない。アルゴさんにも必要なものだろう。それにクエスト?も受けてしまっているから手も煩わせている。

 

 「テカもう遅いんだヨ。払っちまったし、クエストまで受けちまったからサ。遠慮なくおネーサンの優しさに二人で甘えると良いヨ」

 

 にゃはははは、なんて言いながら軽く言うアルゴさん。俺がそれを聞いて思ったことは、先に言ってくれたら払ったのに!という気持ちが一つ。

 

 それと...。

 

「一つ聞いてもいいですか?」

 

「ン?知りたかったら500コルだヨ?今なら100コルだけど...オススメしないゾ?」

 

「あんまりふざけないでくださいよ...。なんでそんなに親切にしてくれるんですか?ぶっちゃけ俺、何もしてないですよ?」

 

 残りの一つは、なんで?というシンプルな疑問だ。俺はアルゴさんの知り合いじゃないし友達じゃないし、幼馴染でもない。ここまでしてくれる理由がなにも思いつかない。

 

 もちろん、アルゴさんが俺達に悪いことをしようとして、優しくしてくれているわけじゃないことも分かる。でも、だからこそ分からない。なんで他人にそこまでできるのかが。

 

 俺の言葉を聞いたアルゴさんは、コロコロと変わる表情を静かに納めこちらに向き直った。なにか悩んでいるようだったけど、自分の中でなにか決めたのか観念したかのように喋りだした。

 

「ンー本当ならお金積まれないけど...マ、いいかナ。というかクー坊は分かってると思うヨ?おネーサンがクー坊に優しくする理由。ま、もう一つは分かんないだろーケド」

 

「分かんないから聞いてみたんですけど。しかも何個かあるんですか?」

 

 俺なんか同い年の女の子背負ってるだけで、探せばソードアート・オンラインの中にも何人かいそうな子どもだぞ?

 

 ...もしやそれが理由か?

 

「多分思ってるのと違うヨ」

 

 違ったみたいだ。

 

「ウーン。なんというかナ、おネーサンとクー坊が会ったのって大体2,30分くらい前ダロ?そのときのオイラは中々精神的にキツクてナ。そんなときに話しかけてくれたことへの感謝、ってやつカナ?」

 

「...?それだけでこんなにしてくれるんですか?」

 

 そんなこと誰にでもできるだろ。そんなことにまで、こんなことで返していたらアルゴさんが先に潰れるぞ。悪いけど心底お人好しなのか、と疑ってしまう。

 

 こんな世界でのそれは生きていくうえで邪魔でしか無いはずだ。

 

「人間、チョロいところもあるってことサ。それに、自分とおんなじくらいの身長の女の子背負って歩いてる子ども見ると自分の悩みなんてちっちゃく感じるんだヨ」

 

 やっぱりシリカ背負ってるのが理由なんじゃないか?

 

「自分が泣きそうなときデモ自分より号泣してる子がいたら気にならなくなるなるダロ?それと一緒ダヨ...ちょっと性格悪いかもだけどネ」

 

「まぁ...確かに。でも、俺に関してはそうじゃないんですけどね。自分で選んだことですし」

 

 俺のせい、っていうのが根本にあるからな。俺が優しくしてしているわけじゃない。だから俺はキツイなんて思うべきではない。

 

 自分のしたことに責任を負うくらいはしなくてはいけないのだから。

 

「...クー坊がそう言うならとやかく言わないけど、それを見た他人がどう思うかは考えといたほうが良いと思うけどネ」

 

 アルゴさんはなにか言いたげだったがそこで口をつぐんだ...え?終わり?

 

「あの...あと何個かは?」

 

 複数あるような言い方してた...よね?一個しか聞けてない気がするんだけど。俺的にはまだ納得いって無いんだけど。

 

「...イヤ、一個ダヨ。人に言えるのは、サ」

 

「なにか言いたくないことなんですか?」

 

 それなら無理に聞こうとはしないけど。すごく言いにくそうな顔してるし。

 

「ウン。ごめんナ、おネーサンまだソレを言う勇気が無いんだよネ。どれだけお金積まれても言うつもりは無いヨ」

 

「ふぅん?じゃあ言えるようになったら教えてくださいよ。そのときになったらこの部屋のお金も返すので」

 

「まだ気にしてたのカヨ...」

 

 当たり前のことなんだけどなぁ...。

 

「...おネーサンも少しお話したくなったヨ。背中の...シリカ?ちゃんを先に部屋においてきたらどーダ?」

 

「ん、それもそうですね。置いてきます」

 

 よく考えたらここまで案内してもらった理由はシリカを安全な場所で寝かせるためだった。危ない、少し見失っていたな。と反省する。

 

 そうして俺は、先程まで話していたお店の1階から2階へとシリカを置きに向かった。そのとき振り返ると、アルゴさんは俺ではなく背中のシリカを見ていた気がするが、俺の気のせいだろうか。

 

 

◆

 

 

「それで、俺としたい話ってなんです?わざわざシリカ置いてきてまで...いや、気づいてなかったからありがたかったんですけど」

 

 アルゴさんは木でできた丸椅子に座り、俺を待っていた。アルゴさんの近くにあるもう一つの丸椅子に俺も腰掛け話をする。

 

「これからのことサ。これからクー坊たちはどーすんのかなって思ってナ」

 

 ...これから?

 

「現実突きつけるようで悪いケド、多分これは本当のデスゲームダヨ。あの茅場晶彦が笑って『たはー、嘘でした!』とか言うタイプじゃないのは明らかだからネ」

 

 あの茅場晶彦と言われても俺はすごいゲームを作った人って情報しか持っていないんだけど。後、こんなことを起こしたヤバい人間。

 

「...街にずっといる、とか?」

 

 正直ここの街に引きこもっているのも俺はアリだと思う。でっかい城壁、街を守っている衛兵がいる。お金は必要になるだろうから俺だけがモンスターを倒しに外に出て、それで宿屋のお金を集め続ける。

 

 いつかゲームが終わるそのときまで、それを続けるだけだ。現実の誰かがどうにかするのか、ゲームがクリアされるのか。どっちかは分からないけど。

 

「それも良いケド...絶対はないってことだと思うヨ...ほいっ」

 

 アルゴさんは腰に下げていた爪のような武器を右手に装着した。そして、それを何の躊躇もなく左手に刺した。

 

 刺した...刺した!?

 

「えっちょっ何やってるんですか!?」

 

 慌てて止めに走る俺。マジで何やってるんだ一体デスゲームって言ったのはそっちじゃないのか絶対が無いとか言ってたけど本気でマジで何をしてるんだ死んだらどうしようもないんだぞほんとにほんとに...!

 

「にゃははー面白いナ、クー坊は。ほれ」

 

 そう言って爪を腕から引っこ抜くアルゴさん。なんとも...ない、のか?

 

「ここは圏内って言ってナ、この街の中ではどんなダメージだって発生しないようになってル。視界の端にあるHPバーは一切減らない、そういうことだから大丈夫ダヨ。ちょっと気持ち悪いケド、ナ。」

 

 実際にそれを見てみる。確かにそこには緑色の棒があってそこにKuruと書いてある。俺のソードアート・オンラインでの名前だ。

 

「...圏内ってとこならダメージが発生しないってのは分かったんですけど心臓に悪いんでこれからは止めてくださいよ。で、それがなんだって言うんです?圏内が安全ならそれで良いじゃないですか」

 

 出るほうが危ない、という結論がより正しくなったと思うのだけど。しかし、アルゴさんは少し怖い顔になった。

 

 俺に向き直り、問うてくる。

 

「圏内が安全ってのハ、絶対カ?」 

 

 

プログレッシブか無印………どっちがいい?

  • そりゃオマエ無印だろ
  • いいやプログレッシブだね
  • いいとこ取りじゃね?
  • シリカ出すなら何処でも
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