テンプレおじさんVS異世界美少女たち〜決死の忖度サバイバル!〜 作:鷹井オムニバス
そうだ。異世界の海に行こう。
旅の道中、街から街への街道を辻馬車で走っている時に思い至った。
おしとやかさに満ちている俺の固定ハーレムメンバーである、リーシャ、ノーリィ、クゥ、ヴァイナ。
「(なんだか嫌な予感がするわ……)」
「(私たちの体だけを見渡して、なんだかいやらしいことを考えてそう……)」
この四人は常に服に露出度が足りない。
まぁ、俺のために純潔宣誓の祝福を受けているし、他の男どもに見せないための清楚さがあるからそれはいいんだがな。
アムレアスは露出度はそこそこあるものの、ドラゴンの王族由来の文化が俺にはがさつに見えてしょうがなかった。
「(はぁ。こいつがさつがさつうるせぇんだよなぁ……)」
ということで、そろそろ俺の目の保養になるようなイベントが必要だ。
水着ならアムレアスも少しは美人に見えるだろ。
勇者や魔王、貴族王族、異世界転移者、そして様々な種族や無機物への転生者など。
それらが登場する異世界でのイベントでも必ずある水着シチュエーション。
ならもちろん、それらのラノベ予言書に記された通りこの異世界でもあるのが当たり前だ。
そう思ってリーシャに水着を着て交流を深めるために海に行くことにした事を告げたのだが……。
「海の種族が着ているような水着……ですか?」
「……私たちはそんな不特定多数の人に見られる状況で、そんな格好をするのはちょっと……」
「……いや」
なぜかリーシャたちは水着を着ることに抵抗があるらしい。
「俺はどうでもいい」
「私もまぁ、いつも海中都市で着ていた服をそのまま着るよ〜」
何か勘違いしているようだな。
「あー、これはな。お前たちハーレムメンバー交流の場を設けるために考案した、俺ハーレム円滑計画の一つだから。つまり、絶対だ! 将来お前たち全員、俺の嫁になるための予行演習だと思ってくれよな……」
将来の計画まで立てている俺の甲斐性を見せつけてやり、さらにはチラリと流し目で全員を見渡す。
ふふふ、あまりにも感激したのか、それぞれ無言で俺の言葉を噛み締めている。
「「「「(うわ……)」」」」
「きもちわるい……」
……ん?クゥが全身の毛を逆立てて、辻馬車を飛び降りていってしまった。
「あ……! 今のクゥは……!」
「ゲロだろ? おそらく馬車酔いしたんだろうな おそらく気分が悪い所に、俺の甲斐性がある所を見せられて、感情が揺さぶられたところで込み上げてきてしまったんだろう……」
「あ、私も何だか込み上げてきたかもー……」
「あ(ず、ずりぃ!俺も逃げてぇよ!)」
ヴァイナまでもが飛び降りていってしまった。
「あれっ! お客さん大丈夫かい!?」
「あ、はい。大丈夫です。彼女たちは鍛えてますので……」
「それならいいんだが……。あんさんもあんまりおなごに対して——」
「——だ、大丈夫ですのでお気をなさらず! あはは、ご心配ありがとうございます!」
何か言おうとしていた行者のジジィを遮ってリーシャが礼を言った。
そうそう、ジジィに無駄に話されるより、リーシャたちみたいな美少女たちの声だけ聞いておきたいよな〜。
「そうかい……? なんだかわからないが、たいへんだなぁ。大丈夫ってんなら、俺は操縦に集中するよ。何かあればかけてくれ」
「ありがとうございます……」
喋りすぎなジジィに必要のない礼をノーリィが言って、やっと自分の役目に専念しだした。
最初からそうしとけ。
……ふむ。そろそろ見せるかな。
「さて、クゥとヴァイナはいなくなったが、お前たちにプレゼントがある」
「え……?(もしかしてそれって……)」
「な、なに?(この前特注してた奴……?)」
俺が普段使いしてる魔道袋から、一つ前の街でこっそりリーシャたちにバレないように特注で服屋で作らせたアイテム——
——俺の性癖水着だ。
「お前たち3人には、これをやろう」
「「「…………(うわ……)」」」
バレオタイプやセパレートタイプ、ビキニタイプなどなど、各々のハーレムで似合いそうなやつを防水仕様で作らせておいたのだ。
多少小さくてもそれが魅了に繋がるのは確実。
何よりどれも露出度が高いからな。
「こ、これが水着ですか……(なにこれ、布切れじゃない……)」
「とても小さい……(そもそもサイズ合ってないんじゃ)」
「あーーー(こいつの趣味かよ。俺のやつ、なんかやたらヒラヒラしてやがる)」
それぞれ顔を見合わせて、お互いの水着を無言で見せ合って真剣な表情をしている。
ははーん、さては隣の芝生は青いってやつだな……! それももちろん大丈夫だ!
「お前たちがもしかしたら他にも着たいと思うかもしれないと、予備も用意しておいたぞ! これだ!」
更に露出度が高くなったバージョンを見せる。これは俺にもっと見てほしいと思うことを考慮して、念のために作らせたものだ。
おそらく使うだろうがな。
「「「(…………うぇ……)」」」
ふふ、感動で声も出ないか。
その後、俺に返却してきた水着を回収し、それぞれの水着のコンセプトやこだわったポイントなどを説明して、時間が過ぎていく。
その最中、全員よっぽど聞き入っていたのか、終始無言だったな……。
ふふふ、楽しみすぎるぜ水着イベントォォォォォォォォォォォォ!!!
◇◇◇◇◇
「(ヴァイナ、今回はありがとう。さすがにあんな布切れ着たくなかったし……)」
「(いいよいいよー。はたから見るぶんには面白いけど、今回は流石に気持ち悪すぎ。パパに深海に溢れてる魚を適当に一匹、この辺りに放流してもらったから)」
「(あんな魚が深海には溢れてる……?)」
くそくそクソクソ!
ヴァイナが見つけたビーチが壊されるついでに、俺の魔導袋ごと、水着イベント道具全てが奴に破壊され尽くされてしまった……!
「伝説海獣ザメーラ……! 許さねぇぞテメェ……!」
「■■■■■■……!!!」
水着での愛の交流。人魚姫やドラゴンの姫が仲間になった今、やらなくてはならないと義務感に駆られた俺がなんとか実現したこのイベント。
なんとリゾートビーチだった場所が、巨大な鮫のような怪物に襲われて観光どころじゃなくなってしまった。
「あぁ、あの伝説のザメーラが来るなんて、もう終わりだわ……。でも、神ゴッド様なら……!」
「神ゴッド様に水着みせたかったのに……むねんです……」
「あーー……みずぎーー……」
荒れ果てたビーチで俺を応援するハーレムたち。リーシャはちょいと誤解しているようだな。俺の本当の力を……!
「ゴッドォォォ! ウォーターァァァ! ちゃぶ台返しぃぃぃ!」
俺はビーチ付近に来たザメーラを見据え、神の御業である神のちゃぶ台返しをお見舞いした。
この技は、水に手を入れながら両腕に勇者パワーを込めて込めて込めまくり、最後に思い切りテーブルをひっくり返すように、勢いをつけて水をかき上げるものだ。
それによって海は割れてザメーラは打ち上がった後にビーチへ落下。
まさにまな板の上の鯉。俺に倒される雑魚に格下げされた。
トドメに頭部をぶん殴ってやると、あっさりと死んだ。
やれやれ、伝説と言っても所詮この程度か……。
「す、すげぇ……(アホすぎるのに……)」
「ぶっふふふ……!最高! 神ゴッド様……!」
ふふふ、ドラゴンの姫や人魚姫さえも魅了してしまうとは罪な男だ……。
「(ちょうど過疎っていた海辺が見つかってよかったわ……)」
「(お金もあの男の変態道具が消えてなくなったぐらいだし、よかった)」
「(…………水着、ブレイド喜ぶかな)」
【あとがき】
この後ノーリィに人数分の性癖水着を着たそれぞれの神ゴッド自身に迫られる夢を見せられました。